井上敏樹

登録日: 2009/06/10(水) 21:18:23
更新日:2020/05/11 Mon 02:36:37
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井上敏樹…

仮面ライダーの脚本家としてその名を知らぬ者は居ない…


井上敏樹とは日本の脚本家・小説家。ヤ○ザではない
たとえギャラクシーエンジェルの時に新谷良子から本気で「その筋の人」と思われていたとしても、893ではない。
まあぱっと見でその業界の人に見えないほど強面で大柄な人なのは事実だが。

【概要】

埼玉県出身。
特撮からアニメ、ゲーム原作のコミカライズ、漫画やラノベの原作、果ては純文学まで幅広く手掛けている。

アニヲタ的には主に平成ライダーシリーズ(特にメインライターの『仮面ライダーアギト』以降)での所業が良くも悪くも有名。
かなり筆が早いため、忙しい時期のピンチヒッターとしてもよく起用されるが、
その良い意味でも悪い意味でも視聴者の度肝を抜く作風は好き嫌いが激しく分かれる。

第一期平成シリーズではメインライター・サブライター・劇場版の執筆など『電王』を除く9作品全てに携わったが、
その作風故か、第二期平成ライダーシリーズへの参加は『MOVIE大戦CORE』の「オーズ編と『仮面ライダー1号』、『ジオウ』の「キバ編」とスピンオフのみに留まっている*1

父親は昭和ライダーを担当した脚本家の伊上勝だが、彼に師事したわけでもなく父の脚本はロクに読まなかったらしい。
「著名な脚本家の息子」という認識はなかったと語っており、仮面ライダー関連の商品を東映スタッフからの土産物として貰ってきてくれた時に『仮面ライダー』の関係者が父親だという事を実感したという。子供時代には伊上への脚本の催促に対して居留守を頼まれることが度々あったという。
父を「実は人づきあいが苦手だと思う。子煩悩と無関心の中間ぐらいで、子供に嫌われるのが嫌いだった」「よく遊んでくれることはあったが、勉強しろなどと説教をすることはほとんどなかった」「仕事の関連でライダーグッズをお土産に持って帰ることはあったが、それ以外はろくなもんくれなかった」などと評している。


娘の井上亜樹子(別名義:鐘弘亜樹 )も同業で三代に渡る脚本家一家*2。娘本人の意向により彼女のペンネームは伏せられていたが、関係者のTwitterでのほのめかしもあり、
井上が担当した特撮作品のノベライズなどを担当したとある作家*3ではないかと推察されていた。
二人の関係は長らく公然の秘密とされていたが、『ゲゲゲの鬼太郎(第6シリーズ)』で脚光を浴びた亜樹子氏自ら誌上インタビューで親子関係を明かす。


最近では、『月刊ヒーローズ』の『装刀凱 ―ソードガイ―』、『仮面ライダークウガ』や、
ハローキティ×ヒーローという異色の漫画『イチゴマン』(担当編集:村上幸平)の漫画原作を担当。
また初の純文学作品『海の底のピアノ』、2冊目となる『月神』を発表している。


【作風】


一応シナリオの骨子自体は王道ではあるのだが、それを彩る枝葉末節が非常に濃く、王道に疑問を投げ続けるのが特徴。
ヒーロー物としては異色のシナリオを書くことが多く、人格に問題を抱えたキャラを生み出すこともある。
友情や信頼について冷笑的、あるいは懐疑的な話を作ることが多いが、
「声高に「友情」「友達」などといった単語を使うことに疑問を投げかけている」ということであり、
鳥人戦隊ジェットマン』のを筆頭に、男の友情や絆といったものを濃く描く傾向が強い。
また、作中では馬鹿にされがちな『アギト』の氷川や『仮面ライダー555』の菊池啓太郎といった生真面目なキャラクターが最後には報われることも多く、
本人の言動もあいまって偽悪的な印象も強く与えるが、やはり着地は王道というよりオーソドックスな結論になる場合が多い。

一方でスラップスティックコメディも好み、アニメでは『ギャラクシーエンジェル』、特撮では『衝撃ゴウライガン!!』といったハチャメチャな作品も書いている。
後述のように料理好きな為か、ほぼ毎回何かしらの形で食事シーンを入れ、ギャグ回では丸々二話料理番組にしたことも。


ハードなシナリオやアンチ王道を好む視聴者の支持を集める一方、彼を毛嫌いする人もいる。
特に一部には親の仇のように氏を憎んでいる人間もいる。
ただ、平成ライダーに関しての伏線放置は担当Pだった白倉伸一郎武部直美らの意向が強い。
平成ライダー以外の『ジェットマン』や『牙-KIBA-』、アニメ版『DEATH NOTE』などは非常に綺麗にまとめている。
たまにまともなキャラを作るとその常識的な面が逆に強烈な存在感を放ったりする。

戦闘シーンの描写に関しては大ざっぱにしか書かず、現場に任せて口は出さない主義らしい。
彼の担当回の戦闘シーンは監督やアクション監督など演出スタッフに大きく左右される。

出演者の人物像やアイデアに影響を受けることもあり、『ジェットマン』ではキャストの意見を聞いて、
どのような展開にするかを決めたことが複数回あった模様。

マッドハウスには「井上以外本社内全面禁煙(=氏だけは喫煙OK)」という伝説がある。
そういう伝説ができるほど関係が深い、ということなのは確かだが…。

1日に1シナリオを書き上げる程筆が早く、『仮面ライダーファイズ正伝 異形の花々』は1日で書き上げた、『RIDER TIME 龍騎』3話分の初稿を4日で書いたなどの逸話がある。
黒田洋介によると「半分の時間で二本の脚本」、つまり単純計算で4倍の量を書けるらしく、
脚本は上がりが早ければ早いほどその後の演出・作画などに余裕が出来る為、制作側からするとありがたいタイプらしい。
平成ライダーへの初参加も『仮面ライダークウガ』の制作進行が遅れていた為である。

料理がプロ級に上手いらしく、脚本に料理ネタをよく仕込むのは本人の料理好きの影響だろうか。
これに関しては 「弁当の仕込から監督、演出、アクションまで全てを一人でこなす超脚本家(笑)」 と呼ばれたりも(もとは井上アンチが言い出した事実誤認を井上ファンが面白がったのが由来)。
食べた人たちからも好評なのだが、面と向かって褒められるのは嫌なようでたまに「お手伝いさんが作ってくれた」と嘘を吐くこともあるそうな。
曰く料理シーンが多いのは「ニチアサで人間関係を示すのに性交以外だったら料理しかない」そうな。つまりちびっ子への配慮である。ただ全部のシーンがそうではないので注意。
ニチアサの制約を外れた小説版龍騎や555正伝、RIDER TIME龍騎では容赦なく人間関係を表す為に性交シーンを見せてくれる。(流石にRT龍騎についてはジオウの要素回収というのもあって直接的なシーンはカットされたが)

親交が広く色んなジャンルの人間と交流を持っている、『メビウスギア』(井上の原作作品)の作画を担当した六道神士によると、
仕事場へ行くと飲み屋のお姉さんからAV監督、真性レベルの変態まで様々な人達がいたらしい。

基本的に対談やインタビューなどはタメ口で良くも悪くも砕けた対応をしている。
『語ろう!クウガ アギト 龍騎』のインタビューではいきなりお茶を入れるところから始まった。

なぜか重要な台詞や描写をカットされることが多い。
例を挙げると、『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』のゾルダ脱落、『劇場版 仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼』のカブキの最期、『仮面ライダーキバ』の設定等。
劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王』では「絶対にここはカットするなよ!」と言っていた所が全てカットされていた (音也と渡の浴槽でのシーン、ゆりと恵の絡みなど)。
「当人にとっては重要でも客観的にはそう思えないから」という可能性もあるが、真相は不明。

実はあの熱血スポ根ロボットアニメ『疾風!アイアンリーガー』にも参加するはずだったが、飲み会の席で誤って腕を折られてしまい(酔った勢いでの腕相撲が原因)、
スケジュールの問題からその場に同席していた會川昇が代理で参加することとなった。酒の席のトラブルには気を付けよう。

登場人物の破滅を描く際には、たとえその破滅が自業自得であったとしても、視聴者の共感を呼ぶ印象的な場面を用意するケースが多い。
『ジェットマン』のトランザ、『超光戦士シャンゼリオン』の黒岩省吾、『アギト』の榊亜紀、『龍騎』の芝浦淳、『555』の草加雅人及び北崎など、
一度は頂点に立つも、自身の過剰な性格が災いし、自業自得ではあるが壮絶な最期を遂げる者が多く、
特に悪役のトランザ、黒岩省吾、北崎は従来の「ヒーローが敵に倒される」という図式からは逸脱している。
これについてはギリシャ神話のイーカロスのような「滅びの美学」が英雄(ヒーロー)には必要という信念からであるという。

劇中においてなんらかの悪事、特に「殺人(人の心を持った怪人含む)」を行ったキャラはかなりの高確率で報いを受けて死ぬ。
これは例え味方側のキャラであろうとも例外はなく、上記の草加雅人等が代表的。『キバ』の登太牙や名護さんなんかも、当初は最後に死亡する予定だったと言う。
なお逆に悪事を働かなかったキャラは、敵方であっても生き残ることがある。『555』のドルフィンオルフェノクや、琢磨君(色々やったが少なくとも画面内では一人も殺していない)等。

アニメだと東映版『遊戯王』にも関わっている他、同じく東映の『北斗の拳』や『仮面の忍者赤影』、更には『ドラゴンボール』の最初の映画も手掛けている。
また、『ドラゴンボールZ』ではベジータナッパが地球を訪れる前のエピソードを執筆しており、これも賛否が分かれる内容となっている。
更に、アニメ版『名探偵コナン』初のオリジナルエピソードの脚本を担当したのは彼なのだが…
「色々とツッコミ所の多いシナリオだったため、ストーリーやトリックの整合性を重視するお偉いさんを怒らせてしまい、以後呼ばれなくなってしまった」という噂が出た*4
勇者特急マイトガイン』で井上氏が執筆した2本は、片方は納豆嫌いの敵が世界中の納豆を買い占めたことで始まる完全なギャグ回、もう1本は正義の心に目覚めてしまった主役ロボの偽物の感動回と非常に両極端である。どちらも強烈なインパクトを持っており、未だに語り草である。
その影響からか『スパロボ』では上記2本ともシナリオ再現が行われた。
また、この回に登場したブラックマイトガインは人気が高くスパロボ、ブレイブサーガに参戦したばかりかスーパーロボット超合金で立体化も果たした。




【脚本】

太字はメイン脚本

アニメ

特撮・実写および関連作


【小説・漫画】


【ゲーム】


【実写出演】

  • 現場監督(仮面ライダー555)






また、カブト、電王、ディケイド、W以降を除く大体の平成ライダー劇場版(THE FIRSTとTHE NEXT含む)の脚本は全て彼である。
それらの評価は総じて高く、本編の放送があまり好評では無かった『キバ』ですら劇場版では多くの観客を魅了した。
特に『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ ロスト』 はアクションの素晴らしさなども相まって劇場版仮面ライダー最高傑作との呼び声も高い。

彼の父親である伊上勝も脚本家であり、昭和時代の仮面ライダーシリーズや他多数の特撮作品の脚本を書いていた。

彼が担当した中でも有名な『鳥人戦隊ジェットマン』は前作の著しい視聴率不振により戦隊シリーズ自体の打ち切りが危惧されていたが、
この作品が大きな反響を呼び戦隊シリーズが持ちなおしたと言われている。
ジェットマンは「戦うトレンディドラマ」とも呼ばれ、今の平成ライダーの様な主婦や大人の高年齢の客層を得る事にも成功した初めての戦隊である。
そして最終回は戦隊シリーズでも逸話として残るほど有名なエピソードとなった。子供ながらにあの最終回に衝撃を受けた者は多い。
雨宮慶太、白倉伸一郎(この時はサプPだった)とそれぞれ組んだ初の作品でもある。


ちなみに、仮面ライダー555ではこんな逸話が




敏樹
(草加雅人役の村上幸平に)
ファイズのキャラで誰に殺されたくない?

村上
木場。

敏樹
おk。分かった

村上
(渡された脚本を読んで)
いのうえぇぇぇぇ!!!!



同じく村上幸平関連で 、ブロッコリー(というか木谷高明)の圧力に曝されていた脚本家達に
「俺が責任取るから好きなようにやれ!」と発破をかけてカオスと化したことで有名な『ギャラクシーエンジェル』にて、
『カイザ・ムラカミ』役で村上をゲスト出演させたことがある。
内容は普通に面白く、村上の演技も声優としてやって行けそうな程自然。
草加の『なんじゃそりゃぁ~?!』が聴けるので草加、村上ファンは一度は見てみると良いかも。

最近は『牙狼』でも村上を登場させた。

村上とは非常に仲が良く、様々な珍味を食べさせている。
よく村上のブログにツーショットで写っているほか、ブログのカテゴリーに井上敏樹があるほど。
この他、若松俊秀(ジェットマン)、山本匠馬(キバ)など、「井上組」と言える俳優がいる。

上記の例にあるとおり非常に面倒見のいい性格で、人を悪く言うことも滅多に無かったりすることから、
業界関係者には彼を慕っていたり尊敬していたりする人物が結構な数存在する。主にこの人とかこの人とか。


追記、修正は任せた


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