紋章(FE)

登録日:2019/10/02 (水) 00:08:45
更新日:2024/10/04 Fri 06:11:29
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概要

紋章』とは、『ファイアーエムブレム 風花雪月』に出てくる用語の一つ。
なおここでは歴代『FE』の国や王侯貴族の紋章、及びスキルとしての紋章は扱わない。歴代の「炎の紋章」ことファイアーエムブレムについては個別項目へ。


舞台であるフォドラにおける伝承では、女神ソティスにより、邪神と戦うべく与えられた力とされる。
本作では総称して『紋章』と呼ばれており、作中で信仰されている宗教「セイロス教」の四聖人と『フォドラ十傑』、
そして現在は失われたとされる「解放王」ネメシスが持っていた『炎の紋章』があり、それぞれの血筋に引き継がれている。

歴代における聖痕と同じ様なモノだが、これとは幾つか異なる点がある。
まず、聖痕とは違い紋章は肉体の表面ではなく血に宿るもので肉眼では見えないが、空中に魔法陣の様に浮かび上がらせることができる。

紋章が受け継がれるかどうかの法則性は未だ解明されておらず、その血筋の直系だからといって必ずしも出るわけではない。イングリットの様に数代ぶりに出る事もある。
また紋章持ちの血筋を幾つも取り込んでも、発現できる紋章は一つだけと決まっている。
例えばフレスベルグ家はエーギル家とも血縁関係にあるが、フレスベルグ家の者はセイロスの紋章とキッホルの紋章のどちらかしか発現しない。
これは人間の体が紋章を複数持つようにできていないためとされている。もし仮に二つあるとしたら、それは作中世界の理に反している後天的なものとしか考えられない。

更に、同じ『紋章』でも特に色濃く受け継がれた『大紋章』と薄まった『小紋章』の2つに区分され、 前者の方が当然その力は強い。
しかし、作中では十傑の時代から時が経ち過ぎて血が薄まっているせいか、唯でさえ少ない『紋章』持ちの中でも『大紋章』持ちなど希少中の希少で、作中の紋章持ちも殆どが『小紋章』である。

その他、紋章をめぐる研究は「紋章学」として確立されており、仲間にはこれに強い関心を示す者たちもいる。


『紋章』がもたらすもの

まず、血に宿る関係で血筋の証明にもなる。その人間が『○○の紋章』を保有しているならば、その○○の血筋に連なることは間違いない。

この具体例としては『金鹿の学級』の級長であるクロードが挙げられる。
彼は本編開始の一年前に突然その存在が公表されたリーガン家の跡継ぎだが、それまで何処で何をしていたか一切不明。
しかし『リーガンの小紋章』を宿すことから、どこの馬の骨とも知れぬ人物ではなく、同家に連なることがはっきり示せるのだ。
従って、同じ紋章を持つ者同士なら祖先を遡れば何処かで共通の人物を持つ親戚同士になる。
ただし聖者の紋章のみ例外で、これは後述の理由で貴族に与えられたものだし、現在でも所有者が増えているので、同じ紋章持ちであろうとも血は繋がっていない可能性もあるが。

加えて、宿した人間に様々な力を授けるものでもある。
例えば魔道に優れていたり、細腕でも巨大な斧を振り回すなど怪力を発揮できたりするようになる。
また、戦闘中にも魔法や戦技の威力が上がったりもする。
さらに大紋章持ちになると通常より寿命が長くなるらしい。

そして、紋章がある人間は『聖戦の系譜』で言う神器に相当する『英雄の遺産』という強力な武器を扱うことができる。
「パルミラ」や「スレン」、「ブリギット」に「ダグザ」といった他の国々に囲まれ、時に戦闘にもなるフォドラの貴族たちにとって、
強力無比な『英雄の遺産』を扱えるようになる『紋章』の有無は極めて重要で、特にファーガス神聖王国においてはそれを重視する風潮が強い。
『紋章』がなくても実は『遺産』を強力な武器として使うことはできる。
……だが『紋章』を持たぬものが使い続けた場合、最終的にはその人間は力に呑まれ、最後には理性無き醜い魔物へと変貌してしまうことになる。
ゲームシステム的には、武器を使う度に10ダメージのデメリットを負うことになり、無論『遺産』固有の強力な戦技も使用できない。
このため、やはり事実上『遺産』の所有者は紋章持ちの人間に限られることとなるのだ。
ただ『獣の紋章』の真相から紋章持ちも耐性があるだけで、使い続けたら魔物に変貌してしまうようだ。

そのため、フォドラ十傑の子孫は外敵の侵略の際に英雄の遺産を使い撃退するという義務がある代わりに、貴族階級という特権が与えられている。
これが現在のフォドラの『紋章』周りのシステムである。


『紋章』の負の側面

ただ、こうした現状が、言わば「紋章至上主義」とも言える歪んだ社会構造を生んでしまってもいるのも確か。

そも、第何子であろうと『紋章』を宿したものが当主になるべきという考えが王侯貴族内には根強い。
持たない者は例え長子であっても、その後『紋章』持ちが生まれたらお役御免、廃嫡されることもある。
シルヴァンの異母兄・マイクランがこの最たる例で、彼は紋章持ちの異母弟の誕生を境に廃嫡された。
その後は、シルヴァンに憎悪を向けつつ生き、大貴族の嫡子から盗賊団の首魁にまで成り下がり、最期は『紋章』を宿さぬのに遺産を使用し、醜い魔物へと姿を変え討たれることとなる……。

一方、『紋章』を宿した人間も決して楽な暮らしが約束されるわけではなく、環境次第で大変な目に遭うこともある。
イングリットのように、親の期待を一身に受け自由が無くなった者。
ベルナデッタのように、より良い相手に嫁ぐため虐待じみた教育を徹底的に受けさせられた者。
ハンネマンの妹のように、なまじ紋章を宿したがために子に引き継がせるため何人もの子供を出産させられ続けた者。
マリアンヌのように、望まぬ紋章を宿したがゆえに人生を悲観し続ける者。
……など、数多くいる。

しかもこの歪みは貴族社会だけでなく、平民にも同様に影響している。
万が一紋章持ちの貴族の男と懇意の仲となり、子供を授かり、
その子供が紋章を宿していたら、平民から一気に貴族の奥方へと成り上がれる。
そのためシルヴァンいわく「紋章持ちの貴族の男子には、平民女子が蟻のように群がってくる」という実情もあるらしい。

上述のような歪んだ現状故に、人々の中には今の社会構造を、ひいては『紋章』そのものを憎む者も多くいる。
昔からその是非の議論自体はされてきたらしいが、かといって『紋章』を蔑ろにして外敵に対抗するための力を失うわけにもいかないので、結局は平行線で終わるらしい。
ディミトリは、このことについて「長年繰り返されてきた議論だ。誰もが正しく、誰もが間違っている」と語っている。



+ 真実
やっぱりというか聖痕と同じく、紋章の元となったのは『竜の血』である。

伝承の上では上述の様に邪神を倒すために女神に与えられた事になっている。
しかし、実際はかつて女神ソティスという竜が死んだ後、盗賊ネメシスがその墓を暴き、 ソティスの血から『炎の紋章』を、骨から『天帝の剣』を、そして心臓から神器の力の元である紋章石を作り出したのだ。
そしてネメシスはその力を以て、ザナドに住む竜族たちを虐殺していき、
その虐殺した竜の血と骨を得る事で紋章と神器の力を得たのが後の『フォドラ十傑』である。

聖痕や神器が悪の力に対抗するため竜族から授けられた祝福であるのに対し、
英雄の遺産や紋章は、上述の通り強引に奪ったとも言える方法で手に入れたという、真逆の経緯を持つ呪いである。

ただし、そのうち聖者の紋章の方は聖者が竜そのもので、ネメシスと戦うためだとか人を助けるためだとかで血を人に与えた事で受け継がれている。
聖者の紋章を持つ家系がアドラステア帝国にのみ集中しているのも、元々帝国が対ネメシスのために竜族のセイロスが建国するように促したからである。

これらネメシスやフォドラ十傑が英雄どころか単なる極悪人というのは貴族の特権を揺るがしかねない真実であり、
人間に宿ったのなら宿ったで最大限に活かしたいセイロスことレアは、
紋章を女神から英雄に授けられたモノと偽りの歴史を語ることで貴族の立場を守っている。

一方、ソティスたち竜族と反目し、ネメシスを唆した本作の黒幕的存在である「闇に蠢く者」が、数々の非道な人体実験の末に紋章を後天的に付与する実験を成功させている。
これは十傑の紋章の有無が血筋の証明としての意味を失いつつあることを意味している。
例えばクロードが本物の孫だったからよかったものの、もし闇に蠢く者がリーガンの紋章を持ってリーガン家に訪れていたら同盟が大変なことになっていたのは想像に難くない。




紋章一覧

なおゲーム中、大紋章は『○○の大紋章』ではなく『○○の紋章』と表記されているが、
ここでは小紋章との表記合わせのため大紋章と表記している。

女神の紋章

紋章 効果 所持者
炎の紋章 まれに与えたダメージの30%回復。ごくまれに威力上昇・敵の反撃不可 主人公ソティスエーデルガルトネメシス

聖者の紋章

紋章 効果 所持者
マクイルの大紋章 魔法攻撃時、まれに威力が上昇 風を呼ぶもの
マクイルの小紋章 モニカ
セイロスの大紋章 戦技使用時、よく威力が上昇 ジェラルト、レア、白きもの
セイロスの小紋章 戦技使用時、たまに威力が上昇 エーデルガルト、アルファルド
セスリーンの大紋章 回復魔法使用時、たまに威力が上昇 フレン
セスリーンの小紋章 リンハルト、ヘヴリング伯
キッホルの大紋章 戦技使用時、たまに相手は反撃不可 セテス、ベルグリーズ伯
キッホルの小紋章 フェルディナント、エーギル公
インデッハの大紋章 武器攻撃時、まれに2回攻撃になる 動かさざる重きもの
インデッハの小紋章 ベルナデッタ、ハンネマン、ヴァーリ伯

フォドラ十傑の紋章

紋章 効果 所持者
ドミニクの小紋章 魔法攻撃時、まれに回数消費なし アネット
フラルダリウスの大紋章 武器攻撃時、たまに威力が上昇 フェリクス
フラルダリウスの小紋章 ロドリグ
ダフネルの小紋章 戦技使用時、たまに威力が上昇 イングリット
ブレーダッドの小紋章 戦技使用時、まれに攻撃と武器消費2倍 ディミトリ
グロスタールの大紋章 魔法攻撃時、まれに威力が上昇 リシテア
グロスタールの小紋章 ローレンツ、グロスタール伯
ゴネリルの小紋章 戦技使用時、たまに相手は反撃不可 ヒルダ
ゴーティエの小紋章 戦技使用時、たまに威力が上昇 シルヴァン、ゴーティエ辺境伯
カロンの大紋章 戦技使用時、よく威力が上昇 カトリーヌ
カロンの小紋章 戦技使用時、たまに威力が上昇 リシテア
リーガンの小紋章 戦技使用時、たまに与えたダメージの30%、自分を回復 クロード
ラミーヌの小紋章 回復魔法使用時、まれに回数消費なし メルセデス、イエリッツァ、死神騎士

歴史から消えた紋章

「エルネストの紋章」は有料DLC追加キャラのアンナが所持。
「長い歴史の中で消えた紋章」とだけ説明されており、詳細は一切不明。

「獣の紋章」はネメシスとフォドラ十傑とならぶ英雄モーリスの紋章。
しかし、ある日英雄モーリスは紋章石の負の力で獣になってしまい、罪のない者たちを殺戮した。
故にモーリスは英雄という名誉を失い、一族郎党皆殺しにされ、歴史から消えたというが、実はその血筋は残っていて……。

紋章 効果 所持者
エルネストの大紋章 武器攻撃時、まれに相手は反撃不可 アンナ
獣(モーリス)の大紋章 武器攻撃時、たまに威力が上昇 彷徨えし獣
獣の小紋章 武器攻撃時、まれに威力が上昇 マリアンヌ

四使徒の紋章

歴史の表舞台から消えた四使徒と呼ばれる聖人達が所持していた紋章。

有料DLC「煤闇の章」に登場する「灰狼の学級(ヴォルフクラッセ)」のメンバーが所持している。

紋章 効果 所持者
ノアの大紋章 魔法攻撃時、まれに回数消費なし コンスタンツェ
オーバンの大紋章 武器攻撃時、まれに相手は反撃不可 ユーリス
ティモテの大紋章 魔法使用時、まれに回数消費なし ハピ
シュヴァリエの大紋章 戦技使用時、与えたダメージの30%、自分を回復 バルタザール


以上、大小の区別をしなければ 22種類 の紋章が存在。
これらの紋章のモチーフはタロットカード(大アルカナ)であるという有力な考察がなされている。


追記・修正は紋章学者になってからお願いします。


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最終更新:2024年10月04日 06:11