ドワーフ(種族)

登録日:2018/04/27 Fri 13:45:49
更新日:2023/08/27 Sun 09:44:26
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ドワーフとは、西洋の伝承に登場する亜人種の一つである。
エルフとは対になるような存在。


伝統的なドワーフ

北欧神話に登場する妖精「ドヴェルグ(Dvergr)」。
ブリミルの血と骨から創られたり土から創られたという伝承と、元はユミルに沸いた蛆とする伝承がある。
「闇のエルフ」「日の光に当たると石になる」など、今のドワーフには受け継がれていない要素もあるが、「洞窟を好む」「優れた鍛冶師である」など、原型はこの時点で既にできている。

その後ヨーロッパ全体に広がっていくうちに「力強い老人の姿をした小人」という現在に繋がるドワーフ像が出来上がったと考えられている。
白雪姫(童話)に登場する小人も、原典では「ドワーフ」と呼ばれており、ドワーフのイメージは概ね昔から変わっていないことが窺える。
今のイメージと少し違う点としては、ディズニーの白雪姫の小人を見ても分かるように、トールキン以前は髭が無いドワーフも普通に存在する。
ちなみに日本の一寸法師の主な英語訳もドワーフだったりする。ハンマー(打ち出の小槌)も持ってるというのは意外な共通点かもしれない。

近年ファンタジーにおけるドワーフ

エルフと同じく、大きな分岐点になったのは「ホビットの冒険」と「指輪物語」をはじめとしたトールキン作品である。
「ファンタジーな妖精」から「人間とは異なる隣人である亜人種」にイメージを切り替えたトールキンの功績は極めて大きい。
指輪物語でのドワーフは「頑健で背が低く、酒が好きで頑固者。優れた鍛冶師だがエルフが嫌い」とされており、後の作品におけるドワーフ像に極めて大きな影響を与えている。

トールキン作品から受け継がれたドワーフの設定は概ね以下のようなものが多い。
  • 背がとても低い。足も短いので馬には乗れない。
  • とても力が強く頑健。そのため、長距離移動の際は自分の足でどこまでも行ってしまう。
  • 魔法は基本的に苦手。
  • 髭を生やしている。この髭は彼らの誇りでもある。
  • 優れた職人であり、特に鍛冶が得意。
  • 住居は鉱山のすぐそば。洞窟であることも。
  • 属性は「鍛冶」のイメージから、火属性か地属性。
  • 基本的に悪人ではないが、頑固者。へそを曲げると話も聞いてくれない。
  • ただし、陽気で酒好きでもあるので話し合えない相手でもない。
  • 戦闘の際は道具である斧か鎚を振るい勇猛に戦う。
  • 寿命は「人間よりは長いがエルフよりは短い」ことが多い。大体200年ぐらい。
  • エルフとは反目し合っている。お互い森/洞窟に住む感性が理解できず、罵倒に使われたりする。

ウィザードリィでは、最初期の作品からプレイヤーキャラとして選択可能な種族として登場。
この作品で、ゲームキャラとしてのドワーフが広まったと言ってもいいだろう。
徹底的な脳筋型のパラメータであり、力と生命力が非常に高いが、素早さは全種族中最鈍。意外なことに信仰心が高いのも特徴。
戦士、僧侶、ロード向きのパラメータ。後手に回りやすいが、回復担当としては有利とも言える。
大体後のゲーム作品でも、このような設定で登場することが多い。ただし、魔法の扱いに関しては作品ごとにかなり幅があり、
「鍛冶に関わる魔法なら得意」というタイプと「どんなタイプだろうが魔法は苦手」というタイプに分かれる。

創作作品のキャラクターとしては、概ね味方として登場することが多い。
敵対する場合も、何かしら理由があることが多数。
そのため、その原因を解決してやれば、大体味方としてその剛腕を振るってくれる。

物語が始まった時点ですでに滅んでいるという仕打ちを受けることもある。
「古代ドワーフ文明が残したオーパーツ」として超科学の産物や遺跡のみが残されることになる。

角の付いた兜、立派なヒゲ、斧を使うなど、海賊で有名なヴァイキングのようないでたちで書かれることもあるが
ヴァイキングは海の民であり製鉄技術は低かったので山の民ドワーフと近い格好になるかは謎である。

エルフに「ダークエルフ」や「ハイエルフ」などの亜種が多いのに比べると、「ドワーフはドワーフ」であってあまり亜種は見られない。

せっかく鍛冶に優れていても、実のところ剣と魔法の世界ジャンルでは神が作ったり魔法がかかっている神話級装備がたびたび出るので
優れた製品でしかないドワーフ製品は、量産品より貴重なのに魔法の品よりは弱い半端な扱いをされることも。
ただし「物を新たに作れる」ことは滅んだ種族にはない強みであり、例えば異世界モノで異世界製品を再現したり、戦記モノで大型兵器を製造するような活躍をすることも。

女ドワーフ

ドワーフについて女が存在しないという伝承も存在し、それだけがまるで本来の設定のように語られてしまうことも多いが、
実際のところでは女ドワーフは古くから存在し、北欧神話にはドヴァリンの娘達がおり、スウェーデンの伝承には人間を魅了するドワーフの娘の歌などもある。
13世紀頃のドイツの英雄ディートリッヒの詩にはドワーフ女王ヴァージナルなども登場し、ディートリッヒが彼女と結婚するエピソードもある。
現代では大きく二系統に分かれる。このどちらにも属さない女ドワーフはまずいない。
これみたいに種族設定の段階で大幅に拡大解釈しているパターンを除く。


  • トールキンタイプ。 単に性別が女であるだけで、見た目は男のドワーフと全く同じ
    • 「ドワーフに女がいないように見えるのはなぜか?= 男も女も見た目が同じだからさ! 」という驚愕の設定。女だろうが、豊かに髭を蓄えているため見た目では区別がつかない。
      一方で、髭があっても顔つきは普通に女と分かるタイプや、「顔つきは女で髭も生えない」が体格は男のドワーフと全く変わらないというタイプもある。要するに肝っ玉母ちゃん型。「男は口髭、女は頬髭が長い」等、髭の形で差別化されている例も。
      • 変わり種として、年の若い女ドワーフが ロリ体型をマッチョにしたような外見 という 二つの系統の折衷型 とも言うべき姿になっているパターンもある。この場合さすがに萌えキャラとまでは行かないが、普通に美女だったりする。

  • 萌えキャラタイプ。 背が低い=幼形成熟していると解釈してロリのまま大人になる、つまりは合法ロリである
    • メインキャラで出てくる女ドワーフはほぼ間違いなくこっち。トールキンタイプがメインキャラなんて売れるわけがない。背が高くスレンダーな女エルフと対になるように、チビのまま大人になってしまうロリドワーフ。
      ただし、腕力はドワーフそのものなので、 ロリだけど戦う時は巨大な斧やハンマーを振るう 。そのギャップがたまらない、という人も多い。
      見た目ロリだが、ちゃんと成人済み という素晴らしい種族である。来いよアグネス
    • ロリエルフやホビット族などの単なる合法ロリと区別する形でロリ巨乳にされることもある。

でもどちらにしても、メインで出てくるドワーフは大抵男の方であり、「女のドワーフは希少」とされることも多い。
メインで出てくるのが大抵女の方であるエルフと対照的な部分が多い。

現実世界におけるドワーフ


現実世界においては同じ種で大型種と小型種の両方がいる動物の内
小型種の方の名前にドワーフの名が付けられることがある。
大型種であるアフリカウシガエルをそのまま小さくしたような姿の
ドワーフアフリカウシガエル、ウサギの中でも特に小さな品種の
ネザーランドドワーフ等がこのケースである。


各ジャンル・作品におけるドワーフたち

特に代表的なものや特徴的なものを以下に取り上げる。

指輪物語」のドワーフ

殆どのドワーフの元ネタとなったと言っても過言ではない元祖ドワーフ。
中つ国に住まう種族の一つで、背の低い頑強な種族でかつ全員が髭を生やしている。
動物、植物含めた他種族とはあまり親密とは言えず、ホビット族に対してはまだ友好的。
エルフに対しては一部除き不信感を抱いている。
鍛冶や石工を営んでいる事が多く、礼儀正しく誠実だったりする。
ちなみにドワーフは万物の父「イルーヴァタール」によって創造された種族ではなく、神格種族「ヴァラ」の工匠「アウレ」によって創造された種族である。

ウォーハンマーシリーズ」のドワーフ

英国ゲームズワークショップ社の展開するミニチュアゲーム兼SF/ファンタジー作品として有名なウォーハンマーシリーズにも初期作品からドワーフが登場している。 ウォーハンマーシリーズにおけるドワーフは指輪物語からモロモロ影響を受けており初期は独自性が少なかったが、シリーズを追う事に独自の解釈や差別化が図られていく。
ここではシリーズ別にドワーフ種族の紹介していく。
ウォーハンマー最初の作品であり、ウォーハンマー世界における古参種族として描かれている。〈旧き者〉(オールド・ワンズ)といいう謎の古代種族によって生み出された種族の一つで、古くから「オールドワールド」と呼ばれる大陸に住まう。
彼らの家は山脈の地下深くに在り、硬い岩盤を掘って広大な地下道網を作ってきた。
背丈は低いが、肩や胴回りは驚くほどたくましく、人間よりも寿命は長い。 彼らは長い髭を生やしており、自らの種族のアイデンティティとして大切にされている。
ドワーフは"年経た古いもの"を敬愛し、古き良き匠の品や長寿のドワーフを愛でている。
そして彼ら富を愛し、多くの財産を蓄える。
逆に彼らはその場しのぎの粗い仕事や見掛け倒しの仕事を軽蔑している。
また、彼らは「エルフ」族を嫌っており、太古に種族間で起こった「髭戦争」によってエルフをオールドワールド大陸から「ウルサーン」の地へと追い出している。
今では昔ほどの険悪な関係ではないが、ドワーフ族が心からエルフ族を信用する事は無いだろう。
ドワーフは更に名誉を重んずる種族である。彼らは何があろうと絶対に約束を違えないし、それを逸生涯忘れずに守り通す。
ドワーフ族は人間種族に助けられたことがあり、人間たちとは良好な関係を保っている。
だが、彼らは自分の名誉を穢した出来事があれば「怨恨の書」に書き込まれる。
今までの全ての恨みが描かれており、いつかドワーフは怨恨の書にかかれた恨み全てを晴らすことが人生における最大の目標の一つとされている。
ウォーハンマーFBの続編。ウォーハンマー世界が崩壊し、新たな多次元世界 「定命の諸領域」(モータル・レルム) を舞台にした戦いが繰り広げられる。
この作品ではドワーフは「 ドゥアーディン 」と呼ばれており、複数の種族に分かれている。正統派種族「ディスポゼッスド」、炎を操る傭兵ドワーフ「ファイアスレイヤー」、スチームパンク的な機械文明を持つドワーフ「カラドロン・オーバーロード」の三つの種族に分かれている。
西暦40000年の銀河系を舞台にした過酷な宇宙戦争が描かれているシリーズ。上記の2作品とはまた別の世界での話として展開されている。
本作のドワーフは「 キン 」と呼ばれいる亜人種族で、大半は「 リーグ・オヴ・ヴォータン 」と呼ばれる組織に所属している。
背丈は低く、強靭な筋力を備え、かつて人類が使用していた太古の貴重な異端技術を有する。
銀河最大の勢力である〈人類の帝国〉とは同盟関係を結んでおり、彼らと様々な取引を行っている。
また、リーグ・オヴ・ヴォータンは「リーグ」と呼ばれる派閥が存在し、各リーグは様々な貴重な知識やデータを記録している人工知能のスーパーコンピューターを有しており、それらは厳重に隠されている。
もしそれらを破壊や奪取しようとするならば、キンたちは命を懸けて守ろうとするだろう。
戦闘時にはパワードスーツを着込み、ボルト弾と呼ばれる特殊な弾頭を発射する銃や、特殊な力場を利用した剣や斧で戦う。

The Elder Scrollsシリーズ

ベセスダソフトワークスの看板RPGシリーズ。
実はTESにもドワーフ種族が存在しているが、 残念ながらプレイアブル種族ではない。
地下や山岳地域に都市を建設して、魔法ではなく機械による科学文明を築いたエルフの一種で、作中では「 ドゥーマー 」と呼ばれることが多い。
かつては非常に高度な文明を持っていたが、1000年前ほどに種族全員が謎の失踪を遂げた。
彼らは蒸気機関をはじめとした機械文明や魔法工学も発展させていたと言われ、8歳の子供でもゴーレムを作り出せるという技術の持ち主。
しかしその技術力に由来する残酷な面もあったようである。
今は各地にドゥーマーの遺跡が残っており、トレジャーハンターや歴史学者にとっては垂涎ではあるが内部に残された多数の巧妙かつ危険極まりない罠と、上述のゴーレムこと「ドワーフ・オートマトン」が主を失った今でも内部を徘徊し侵入者には容赦無く襲い掛かる為、生半可な用意と覚悟でドゥーマーの遺跡へ足を踏み入れるのは危険である。

Magic the Gathering」のドワーフ

世界初のTCGであるMTGはファンタジーを世界観の根底としており、ドワーフもまたカードとして登場する。
MTGは様々な次元を舞台としているが、このうちドワーフはカラデシュ、エルドレイン、カルドハイムに主要な種族として分布し、ドミナリアなどの次元にも少数が存在する。
カードとしてはに主に存在して、装備品や機体などのアーティファクトの扱いに長ける種族としての機能を持っている。
ドワーフはMTGの最初のパックから登場していた部族であるが、その当時ドワーフは赤単色の軽量種族でゴブリンと特徴が丸かぶりしていたため、カードとして刷られた枚数は少なかった。
転機が訪れたのはカラデシュ。カラデシュではドワーフの職人としてのイメージから白でアーティファクトの扱いに長ける種族として割り振られた。しかし、やはりドワーフの火に関するイメージや泥臭さが抜けたことはまずかったのかエルドレインの赤単色を経てカルドハイムで赤白の種族となってその後も定着することとなった。
ちなみに、MTGにおける女ドワーフは小柄で筋肉質の女性として描かれており、《厚顔の無法者、マグダ》の筋肉美は典型的は非トールキン・非萌えキャラタイプの女ドワーフ像としてよく知られている。

追記・修正は洞窟生活を謳歌してからお願いします。

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最終更新:2023年08月27日 09:44