登録日:2011/06/04 Sat 15:12:36
更新日:2024/11/28 Thu 19:43:41
所要時間:約 4 分で読めます
ずらりならんだ九大怪獣世紀の決戦!
ゴジラ・ミニラ・ガバラ
オール怪獣大進撃
『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』とは、
ゴジラシリーズ第10作目の作品である。
東宝の子供向け映画企画である「東宝チャンピオンまつり」のメイン作品である。
1969年12月20日公開、観客動員数148万人。
【東宝チャンピオンまつり】
怪獣路線は1968年8月の『怪獣総進撃』を集大成として中止されるはずであったが(現在、制作側は否定)、『
緯度0大作戦』を始めとする1969年8月の興行収入が前年を大幅に下回ったため、急遽
ゴジラシリーズの再開を決定した。
邦画の人気が坂道を転がるように急落していく中で、怪獣映画は子供に一定の集客効果が見込める事と、田中友幸プロデューサーがシリーズ存続を望んでいたため、特撮映画と短編作品を中心とした年2回の子供向け映画企画を立ち上げた。それが東宝チャンピオンまつりである。
しかし、東宝の業績の落ち込みと子供向け企画である事から予算は大幅に削減され、また前後して
円谷英二の死去、特撮専門の特殊技術課の解散など、特撮映画にとっては逆風の時代となる。
【概要】
前述の事情により本作では予算節約のための様々は策が講じられている。
従来は特撮班と本編班の2班体制だったのが1班体制にまとめられ、また過去作からの映像の使い回し、予算のかかる
プールは使わないなどが行われている。
本作は他のシリーズと違い子供が主人公であり、児童文学に近い作風となっている。
また現実世界が舞台となっており、怪獣の出るシーンは主人公の
夢として扱われている。
加えて鍵っ子や公害といった、当時の世相が反映されているのも特徴である。
監督は
本多猪四郎で、本作ではこれまでの特撮班のサポートを受けつつ特撮パートの演出も担当している。
音楽には『
ウルトラQ』『
ウルトラマン』で有名な宮内國夫を起用。
現代を舞台とした子供が主役の物語というこれまでに例のない題材を、軽快で柔らかい音楽で彩った。
また、これまでの貢献の感謝を込めて円谷英二氏を監修としてクレジットしたが、本作の公開後にこの世を去ってしまった。
【ストーリー】
内気な少年である三木一郎は両親が共働きの鍵っ子であり、ガキ大将のガバラに絡まれる毎日であった。そんな一郎は夢の中で怪獣島に行き、ゴジラの活躍を見て
ミニラと友達になる。ミニラはガバラという怪獣にいじめられており、共感した一郎はミニラを励ます。
ある時、一郎は秘密の遊び場にしている廃ビルで免許証を拾う。その免許証は廃ビルに逃げ隠れていた銀行強盗の物であり、焦った強盗は一郎の誘拐を企てる。
【登場怪獣】
タイトルは「オール怪獣大進撃」、予告編でも「9大怪獣 ここに集結!」となっているが、実際には本作に登場する怪獣は全ての一郎の夢の産物である。
ガバラが絡む以外のシーンはほとんど過去作の使い回しなため、ひょっとしたらかつて一郎の見たゴジラ映画の記憶かもしれない。
◆
ゴジラ
ミニラの親として、厳しく指導をする。ミニラが一回はガバラを倒したのを見届けた後、ガバラを背負い投げで倒す。
◆
ミニラ
一郎の友達である。夢の産物であるためサイズは変更可能で会話も可能。
ガバラにいじめられていたが、一郎の励ましと機転で逆襲に成功する。
昭和では最後の出演作品であるが本によっては『対ガイガン』以降のゴジラはミニラが生長した個体とされている。
しかしそうすると時系列では最後になる『怪獣総進撃』(1994年)ではまだミニラであることから矛盾もある。
◆ガバラ
ガマガエルが放射能で巨大化したという設定の緑色のいじめっ子怪獣で、武器は両手からの電流。
ミニラを散々いじめたが、逆襲された上にゴジラにボコボコにされた。
一郎をいじめるガキ大将の三公のあだ名と同じ名前である事から、一郎の恐怖の象徴なのかもしれない。
◆
エビラ
ゴジラとの戦闘シーンは『
ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』からの使い回し。
流用元ではゴジラとのラリーに失敗した大岩が赤イ竹の秘密基地に直撃するシーンがあるのだが、今作の舞台である怪獣島にはそういう施設はないため、
大岩が何もない森に落ちるシーンだけ新撮されている。
◆
クモンガ
ゴジラとの戦闘シーンは『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』からの使い回し。
しかしクモンガの目の前に流用元にはなかった
謎の大岩が出現するシーンが存在する。
これは流用元ではクモンガの足下に糸に巻かれたミニラが横たわっており、今作ではミニラは一郎と共にゴジラの戦闘を観戦しているので、矛盾を生まないよう合成で隠す必要があったため。
◆大ワシ
ゴジラとの戦闘シーンは『ゴジラ・モスラ・エビラ 南海の大決闘』からの使い回し。
流用元では大コンドルという名前だったが、劇中では一郎から「大ワシ」と呼ばれている。
【登場人物】
◆三木一郎(演:矢崎知紀)
本作の主人公、団地に住んでいる内気な鍵っ子である。夢の中の怪獣島に行きミニラと友達になる。ミニラとの交流を経て、困難に立ち向かう勇気を得た。
◆三木健吉(演:佐原健二)
一郎の父親でディーゼル機関車の運転手。息子思いではあり、家に1人でいることを申し訳なく思っている。
演じた佐原健二は実際に
機関車を運転させてもらった。
◆三木タミ子(演:中真千子)
一郎の母親。仕事が忙しく、なかなか一郎の世話が出来ないため、隣の南に一郎の世話を頼んでいる。
◆南信平(演:天本英世)
三木家の隣に住むおもちゃの発明が趣味で、それを生かしておもちゃコンサルタントを職業にしているおじさん。面倒見がよく、一郎に手作りのおもちゃを与えたり、母親の代わりに世話をしたりしている。
ちなみに、
死神博士でも
キノコ人間でもない。
◆銀行強盗犯(演:堺左千夫、鈴木和夫)
五千万円を強奪し、廃ビルに隠れていた。落とした免許証を一郎に拾われたため、一郎の誘拐を企てる。
演じた堺左千夫、鈴木和夫は東宝作品で脇役として活躍。特撮作品にも多数出演している。
◆三公(ガキ大将・ガバラ):(演:伊東潤一)
一郎をいじめるガキ大将。4人の仲間を連れている。
最終的には
勇気を得た一郎に負ける。
◆サチ子:(演:伊東ひでみ)
一郎のガールフレンド。
- ガバラがよかった。 -- ななし (2013-08-27 19:34:53)
- ガバラは長いことガメラの怪獣だと思ってた -- 名無しさん (2013-09-14 18:43:34)
- 子ども向け映画としては結構完成度の高い出来 -- 名無しさん (2014-03-07 21:50:29)
- 日本よりもむしろ海外の方で評価が高い作品だとか -- 名無しさん (2014-08-09 13:12:08)
- なんでオールなんてだっさい名前にしたのか -- 名無しさん (2014-08-09 13:23:08)
- いじめっ子に勇気を持って立ち向かうようになったのはいいとしても、あれ立場が変わったようにしか見えないんだよな。その後も冒頭でいけないことだと言ったペンキ屋のおじさんへの悪戯も嬉しそうにやってるし良い変化とは思えない。子供向け作品でこのオチはどうかと思う。 -- 名無しさん (2014-08-13 00:09:42)
- 他のゴジラの映画において怪獣が日常を壊すものなら、この作品の怪獣はまさに子どもの空想の産物なんだよな -- (2015-04-12 23:36:31)
- 完全に現実世界が舞台だし、怪獣たちは全員妄想の産物だし、ある意味ではシン・ゴジラ以上の異色作かもしれない -- 名無しさん (2017-11-18 17:33:15)
- 成長した一郎少年が設計したのが怪獣総進撃の怪獣ランドって設定のSSを見たときは笑った -- 名無しさん (2017-11-18 17:40:49)
- 昭和ゴジラでこの作品だけ未見… -- 名無しさん (2020-05-23 14:54:49)
- ↑3 どっちかというと映画よりゴジラ〇〇周年記念ドラマとかで「ゴジラが教えてくれたこと」とかのタイトルで放映されてそうな話だよね -- 名無しさん (2021-05-01 10:49:45)
- ↑6そこは時代が時代だし仕方ない -- 名無しさん (2021-05-28 19:32:34)
- これ、あるサイトでウルトラQの「育てよ!カメ」と話の構成がそっくりだって記載あって後々確認したら確かに似てるなと思った -- 名無しさん (2021-11-15 17:59:38)
- ちびゴジラの逆襲だとポンコツバイトだったなガバラ -- 名無しさん (2024-06-19 10:59:17)
- 映画とゆうより夏休みのTVスペシャルみたいな内容、当時の子供達からの評判は良かったのだろうか -- 名無しさん (2024-11-28 19:43:41)
最終更新:2024年11月28日 19:43