射突型ブレード(AC)

登録日:2010/02/17 Wed 11:58:09
更新日:2025/04/24 Thu 19:21:49
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ARMORED COREシリーズに登場する武器カテゴリの一つにしてロマンの塊
通称「とっつき」。これはあるプレイヤーが『射突(しゃとつ)』を『とっつき』と読み間違えた事から。



【概要】


ARMORED CORE 3』は1つの分岐点である。
レーザーブレードとシールド類しか装備出来なかった左腕にも銃火器が登場したり、独立して射撃を行う子機EO(イクシード・オービット)を搭載したコアが登場したりと射撃武器の黄金時代が幕を開けた。

しかし、その一方で時代を逆流するかのように被弾を顧みず接近し、圧倒的な力で持って敵を粉砕する。そんな実体型ブレードが生まれたのもこの作品である。


『3』以前の作品ではサブである左腕部のエネルギーブレードが唯一の近接格闘武器であったが、そんな中ついに登場した実体型ブレード。
しかし、そのネタ性は極めて高かった。

そう、

ブレードと言う名の杭打ち機。

パイルバンカーだったのである。

さらに、メインであるはずの右腕のみ装備可能=マトモな手持ち射撃武器を装備しないという変態ぶりがこいつの存在に拍車をかけた。
それが射突型ブレード、通称「とっつき」である。



【詳細】

あらゆる他兵装と一線を画す凄まじい破壊力をもち、作品によっては多段ヒットすることもある。
そのため、「当たれば」敵ACや大型兵器を容易にスクラップにすることが出来る。
攻撃力の面から見ればまさに圧倒的。
では、何故装備しているプレイヤーが少ないのだろうか?

実はこの武器、レーザーブレードには存在する『突進機動を敵に向かって自動修正する命中補正機能*1』がなく、
しかもレーザーブレードには存在しない使用回数制限がシビアな値で存在し、さらに射撃ボタンを押してから射突されるまで1秒ほどのタイムラグがある。
要するに、ただトリガーを押すだけでは自分のド真ん前にぶち込む事しかできない武器なのである。

コントローラの全てのボタンを駆使し、高度な操作技能を要求されるアーマード・コアにおいて、
3次元で高速に移動する敵ACを相手に、接近して接触することがどれほど困難な事かはおわかり頂けるであろう。
事実、旧作において上記のような機能つきのエネルギーブレードを使いこなしている時点でイレギュラー、ドミナントの称号が与えられることを考えると、
これを使いこなす人は化け物かもしれない……

ハイリスク、ハイリターンの玄人好みの武器である。

とは言いつつもその輝かんばかりのネタ性に惹かれ、特化した修練を積むプレイヤーが少なからずいることも事実である。
大概はプレイムービーを見て、感化され挑戦してみるのだが、あまりの難度の高さに挫折する。

まさに漢の武器である。


【その後】

3系・N系においては大体上記の通り、ハイリスクハイリターンな武器だったのだが…

ネタロマン武器の名を恣にしていたとっつきだが『ACfA』においてついに転機が訪れた。
ACfAに多数登場する大型兵器『アームズフォート』は、その多くが巨大かつ挙動が鈍重である。
つまり、懐に潜り込みさえすれば、素早く、簡単に、そしてライフルの弾一発分の弾薬費でアームズフォートの一撃撃沈を狙える素晴らしい武器となったのだ。
トーラス変態兵器も開幕オーバードブーストからの『とっつき』で変態が起動する前に撃破!

今作ではドーザー・コジマブレードという亜種も登場した。
前者は使用回数が無限な代わりに威力が非常に低く、後者は性能や使い勝手は大差ない割に弾薬費が猛烈に高いため、
どちらもとっつきがあるなら敢えて使用する事も無いが、コジマブレードについてはそのコジマの煌めきに惹かれたなら是非使ってみると良い。

AC4から全ての武装が両手で装備できるようになり、とっつきもまた両手持ちが可能となった。
しかもボタン入力から起動までのタイムラグが無くなり、使用回数も大幅に増加したため、使い勝手は大幅に向上している。
素早く動き回るエネミーが居ないミッションなら、これを両手に持って立ちはだかるエネミーを全てとっついて回るという遊び方まで可能になった。

ACの動きは旧作よりかなりスピードアップしているため、ACに対して使い辛いのは相変わらず。
しかしそれでも、凄まじいスピードで飛び回るネクストACにとっつきをブチ込み続けてアリーナを制覇してしまう凄まじい人もいるんだから驚きである。


世界観を一新したACVにも、CE属性の「HEATパイル」と名を変えて続投。
相変わらずノーロック、N系以来の少ない総弾数、圧倒的な破壊力のロマン武器。

と思いきや、

従来のシリーズと比べて全体的な速度の低下、そして地上戦がメインとなった事が追い風になり、格闘機体では採用の余地が充分にあるガチ武器に変貌
ミグラント達を歓喜させた一方で、パイルが力任せな荒っぽい武器ではなくなった(後述)事や超玄人向けな仕様が大幅緩和された事に寂しさを覚える者も。
ストーリーミッションのラスボスも威力の強いヒートパイルなら一撃で沈むという馬鹿みたいな威力。
また、発生も早く、特に機動力の低いガチタンにとっては大きな脅威となる。てか、相手がタンクでなくても結構当たる。

更にガレージで確認できるが、モーションも一々カッコイイ。おまけに種類も5つと、比較的多い。

まさに『とっつき黄金時代』の幕開けである。

なお、V系のパイルは4系以前のAC、そして多くの作品に見られるパイルバンカーの様な「高速で打ち出した杭で強引に装甲を打ち破る兵器」ではなく、 「棒の先端に取り付けたHEAT弾を敵機に直接押し当てる兵器」 となっている。
そのため攻撃属性はKE(実体弾)ではなくCE(化学エネルギー)となっている。


ACVIにおいても続投。HEAT弾ではなく金属杭をとっつくスタンダードなタイプに先祖返りしている。
カテゴリ名はパイルバンカーとなり、ベイラム・インダストリー製の「PB-033M ASHMEAD」1機種のみが該当する。

今作の近接武器の例に漏れず左腕専用のチャージ可能武器となっており、低威力だがある程度離れていてもホーミングしつつ距離を詰めるようになった通常攻撃、超高威力だが間合いを詰めないため約40m以内の至近距離でないと当たらないチャージ攻撃と、敷居を下げた設計になっている。
チャージに必要な時間は他のチャージ武器に比べると短く、またアサルトブーストやクイックブーストをキャンセルして前進慣性をつけつつチャージということもできるため、多少の距離ならすぐに当てにいける。
ただし、チャージ攻撃であっても"過去作と比べると"威力は下がっている。また過去作のように多段ヒットして表記威力の何倍ものダメージが出るということもなくなったため、当てれば問答無用で倒せるという程ではない。

だが、本作の戦闘システムとしてスタッガー状態*2が存在する以上、「動けない敵にブチ込む」という行為がシステムに推奨されているようなものなので、狙っていく難度は大幅に下がった。あと弾薬の概念もない。
特に巨大ボスのスタッガーによる停止時間はかなり長いため、簡単に当てていけて時短のお供となる。逆に普通のAC相手に余裕を持って突っ込んでいくと盛大に隙を晒してブチ込み返される。
威力も従来ほどではないとはいえ、近接武器の中では最強クラス。地味に「直撃補正(スタッガー時のダメージ増加率)」は近接武器では最低だが、素の威力が高い分のバランス調整ということだろう。
近接武器の威力に強い補正がかかるBASHO腕を装備したうえでチャージ攻撃をスタッガー状態の敵に当てれば、巨大ボスだろうと数割単位、ACクラスが相手なら一撃でAPの大半を持っていくことができるレベル*3
一方の非チャージ攻撃は端的に言えば「ちょっと使いにくいブレード」程度の性能に収められており、とっつけない局面でも普通に格闘戦をこなせるため隙がない。通常攻撃の衝撃残留がかなり高いため、通常攻撃をヒットさせて大きくACS負荷を蓄積させ、冷却を待ちながら追撃してスタッガーに追い込み、満を持してチャージ攻撃を直撃させるという戦い方も可能。
総じて遠い過去のネタっぷりとは裏腹に、相対的には二重の意味で「 とっつきやすい 」非常に優秀な装備となっている。丸くなってしまったとも言う

ちなみに、基本的にチャージ攻撃の存在はリニアライフルなどを除けばEN系に集中しており、近接武器もEN属性が多いのだが、こいつは貴重な実弾属性の近接兵器。「操作上はチャージ」であるが、実態は撃鉄を起こして炸薬による爆発を伴うようにするためのもの。
撃鉄付きバンカーとか、もう完璧にどっかのくず鉄じゃないですかね。というか、ガトリング・ショットガン・爆発系肩武器など、件のマシンによく似合いそうな武装が揃って強武器に属しているのがACVIである。

なお、本作のとっつきはある理由でACVI発表直後から過去最高に注目された。
なんとTGA2022で唐突に公開されたアナウンストレーラーにおいて、大々的に登場したのである。
トレーラー内では本作の看板機体である2脚型AC「ナイトフォール」が装備し、ベイラム製4脚型ACに対して使用。
杭を引き込んで発射体勢に至った数瞬の後、放たれた渾身の一撃は、敵の胴体(コア)と視聴者のハートを同時に刺し貫いた。
鈍く煌めく鉄杭は、滴るオイルと共に、長き時を経て我々の前に再び現れた鋼鉄の巨躯を鮮やかに彩ったのである。
もちろん海外にもとっつきに魅せられた者は多いらしく、一部ユーザーの間ではチャージ攻撃をを指して「Rubiconian Handshake」と呼ぶ向きもある模様。肝心のパイル自体はベイラム製なのに…


有名なとっつき使い

  • シャドーエッジ
AC3に登場。
おそらく作中で最初にプレイヤーが遭遇するであろうとっつき使い。
あろうことか乗機「クラッシュボーン」にはロックオンできる兵装が 一切合切装備されていない
ミッション中に敵対ACとして登場するが、出現ムービー中の華麗な戦闘機動が印象に残る。
詳細は個別記事を参照のこと。

  • ムーム
ACLRに登場。
数少ないとっつき使いレイヴン・リンクスの中でも現状唯一となる 女性とっつき使い
動きが少々悪く、普通に戦っていればとっつかれる事も少ないだろう。
しかし、敢えて「女性にとっつかれて」みるのも一興。

「えぐらせてもらうで」
ACfAに登場。
テクノクラート社所属の広島弁ヤクz…もといリンクス。AC史上初の方言で喋るキャラというアルゼブラに負けない濃い人。
軽量機故の軽快な機動力に加え、登場するミッションは視界が悪いため油断していると物陰から飛び出して来た彼にとっつかれてしまうので注意。
やってる事は完全に長ドス引っ提げて対立ヤクザを闇討ちする殺し屋である。

相方はドSクモ女シャミア。
ちなみに登場ミッションではあのメイちゃんが雇える……なんかえろい
また非常に頼りになる社長も雇えるが、とっつきで一発轟沈する可能性があるので彼を雇う場合は真っ先に始末しておきたい。

  • 「レイヴン」
ACVIに登場。
レイヴンと言ってもプレイヤー自身である621ではなく、621が名義を借りる元になった傭兵の方であり、彼?こそが「ナイトフォール」のパイロットだったのであった。
とっつきを当てることに特化した戦法を持っており、肩の2連グレネードやキックでACS負荷を溜め、迂闊な近接攻撃やアサルトブーストによる突撃には的確にアサルトアーマーやカウンターパイルを決めて来る。
そうしてスタッガーに陥れば容赦なくとっついてくる難敵。


有名なとっつき


  • KWB-SBR44 / NIOH
最初のとっつき製造企業・キサラギ製のとっつきの中で最も高威力なもの。NIOHはN系での名称で、仏教用語の仁王を指す。
同時に2本の杭を打ち出す特徴的な構造もさることながら、軽量機であれば一撃で瀕死になる凄まじい威力を持つ。紙装甲の剣豪レイヴンであるエクレール等ごく一部のAC相手ではワンパンマンも可能。
その破格の攻撃力の代償として、使用回数は僅か4回とダントツに少ない。3系・N系のハイリスクハイリターンを極めた武装。


  • KIKU
AC4でもとっつきRAJM(fAのMUDAN)を製造したイクバールがアルゼブラに生まれ変わった後に製造した新作とっつき。
国花の名前が付けられるアルゼブラの製品だが、これに付けられたのは我らが日本の国花、である。
MUDANの時点で既に十分過ぎる威力だったが、そこから進化した本製品は更なる威力向上を果たしてしまった。
こいつでアームズフォートをヤるとダメージ表示がえげつないことに……。

一本の杭と撃発用火薬の薬莢ケースが剥き出しになっているという外観の素敵性能も素晴らしい逸品。
機能美に徹したそのたたずまいは、いにしえの名刀『菊一文字則宗』の如し。

  • KO-4H4/MIFENG  / Au-R-F19
ACVにて登場した最強の威力を持つとっつき、もとい 簡易オーバードウェポン
威力特化で最大6万超という恐るべき破壊力を持つ事から「6万パイル」の通称で愛されている。しかも実際には攻撃判定が横並びに二つある為、実火力は 驚天動地の12万オーバー にまで跳ね上がる。
ガチタンですらCEとAPをガチガチに固めたメタアセンでもない限り一撃で沈む程の超火力なので、「CE属性である意味がない」とまで言われることも。
しかし、弾数はNIOHより更に少ない 2発 。この弾数でもV系のとっつきの使いやすさから、慣れれば十分となる。
大抵の場合は軽量機の両手に、時には両肩追加弾倉で弾数を5発にして装備される。

  • PB-033M ASHMEAD
長い沈黙を破って生まれたACVIでも一度生まれたとっつきはそう簡単には死なず、むしろスタッガー含め諸々の仕様が快く出迎える形となった。
以前のブレードのように手首にちょこんと付いたビジュアルは鳴りを潜め、左腕前腕を占有するド派手なサイズにバルクアップ。
数値上は全武器通して最大火力。理論上の単発浪漫火力こそ直撃補正の関係でチェーンソーに譲るものの、ヒットの安定性を考慮すればこちらの方が期待値で勝ると言う意見が多い。
また、突進して杭を叩きつけるように刺す通常攻撃と、その場で停止して杭を目一杯引いて突き込むチャージ攻撃の二つを使い分けられるなど、使い勝手もかなり向上している。
おまけに看板機に搭載されるという大躍進により、PV等でその雄型を見せ付けゲーム起動時には毎回格納ギミックを見せつける優遇っぷり。
特にストーリー後半ではボスの防御値がEN寄りになる関係から、より活躍の場が増える。ピンチの時にパイルの一撃で逆転勝利を掴み取った傭兵もいる事だろう。


余談

  • 3系、N系作品では、この武器を使用する際に特殊な操作を行うと、射突ブレードの当たり判定がドリルのように無限に出続ける『次元とっつき』というバグが存在する。
    もちろんこれに当たった敵は死ぬ。余りに膨大過ぎるAPと迅速過ぎるAP復元速度を誇るコーラルスターも触れた瞬間即死する。


追記・編集はとっつきでアリーナを制覇してからお願いします

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最終更新:2025年04月24日 19:21

*1 通称ブレードホーミング

*2 攻撃を受け続けると陥る一種のスタン状態。一時的に行動不能になる上、スタッガー中は普段より大きなダメージが入るようになる

*3 相手次第では一撃死もある。敵のACもリペアキットを使う場合があり、そんな敵は半端に削ってもほぼ全回復されてしまうことが多い。そのため、当て方次第ではリペアを使わせる暇を与えずワンパンを狙えるというのはとても重要である。