竜の騎士(ダイの大冒険)

登録日:2011/04/25 Mon 20:20:05
更新日:2025/01/12 Sun 20:50:11
所要時間:約 4 分で読めます




(ドラゴン)騎士(きし)とは、漫画『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』に登場する特定の人物を指す。

【概要】

太古の時代、世界の覇権を狙って争い続ける3種族を疎ましく感じた人間の神・魔族の神・竜の神が話し合い、「この世界を粛清する者が必要である」と結論付けて生み出された存在。

神がデザインしただけあって、
  • 人間の心と姿
  • 魔族の持つ強大な魔力
  • 竜の持つ戦闘力と頑強さ
を備えた究極の戦士であり、額に竜の紋章が輝く時、人智を超える戦闘能力を発揮し、その力を用いてたびたび世界の秩序を守ってきた。

単行本解説によれば神に匹敵する力を備えており、「いずれかの種族が野心を抱き、世界の秩序を乱した際に乱した存在を滅ぼし天罰を与えること」を使命とする。*1
つまりは世界の均衡を保つために送り込まれる神の使い(勇者)であり、天罰の神意を擬人化した最終兵器とも言える神造生物。
そのため人間界の一部地域では神の使いとして崇められており、「竜の騎士さまに滅ぼされてしまったとしたらそれは人間が悪い」と自罰的に考える者もいる。

竜の騎士は聖母竜(マザードラゴン)から生まれ、ランダムな土地に産み落とされた竜の騎士は「神の子」として人間に崇められながら育ち、親の顔も子の顔も見ずに生涯の殆どを戦いに明け暮れて過ごすのが常。
寿命こそ人より若干長いものの、天寿を全うできる者は多くない。
そして死後はマザーが骸を天に還して竜の紋章を引き継ぐと、マザーは次なる竜の騎士を生むというサイクルを繰り返してきた。
つまり一代に一人限りの彼らには血縁者は無く、まして二人以上の竜の騎士が存在することなどあり得ない。

…そう、あり得ないはずだった



【作中の該当人物】

  • 主人公である勇者ダイ
  • 並びに魔王軍に属する竜騎将バラン
の2人がこれに該当。
ダイは人間から生まれた初のイレギュラーで、バランはマザーから生まれた純正の騎士。
両者の関係についてはバランの項目を参照。

なお、かつて魔王ハドラーが世を乱していた時代には、バランは魔界の冥竜王ヴェルザーとの戦いで地上を留守にしていた。
この時期が被らなければ勇者アバンの名は生まれることはなく、以降の物語は全く異なる顛末を迎えていたのかもしれない。


【武装】

  • 真魔剛竜剣
竜の騎士に与えられる正式な武器。柄の部分に竜の頭部を模した装飾がついている片刃の曲刀。
オリハルコンでできているため、竜闘気を全開にしても耐えられる。
また、真っ二つに折れても放っておけば自然修復するメンテナンスフリーな武器。
神が作った武器であり、元々世界には存在しない。
最終局面での登場の仕方を見るに、おそらく竜の騎士が戦いに臨む際に神から授かるのだと思われる。

  • 竜の牙(ドラゴンファング)
バランが左目に着けている刺々しい飾り。
片眼鏡のような形をしているが目を覆うフレームの外周部は刃のように鋭くなっており、
これを握りしめて手を傷つけ、天に掲げて雷を受けることで竜魔人に変身する。
また翼のような部分にもそれぞれ刃がついているため、突き刺すことで隠し武器としても使用することができる。
かつて竜の騎士が儀式の際に身に着けていた小刀が変遷したものだと言われる。

【能力・技・呪文】

は原作のドラクエシリーズにも登場。
は漫画オリジナル(ゲーム版に逆輸入されたものも含む)。

  • 竜闘気(ドラゴニックオーラ)
竜の紋章が額に輝く時に纏う、竜の騎士の基礎にして真価と言える力。
闘気は生命エネルギーが力に転化された物を指すが、竜闘気はその中でも別格。
大抵の呪文攻撃を防ぎ、素手で金属を握り潰す程の肉体耐久力・破壊力を発揮できる。
なお竜闘気を全開にした状態で武器を振るうと、伝説の金属「オリハルコン」製のもの以外はその力に堪えられず自壊してしまう。
即ち強い闘気とそれに見合う武器があって初めて竜闘気に対抗することができ、ドラゴンキラー程度では竜の騎士には通用しない。
暗黒闘気とは人から逸脱した魔に近い闘気という点では類似性がある。
後述のドルオーラを連発するような過剰な竜闘気を行使すると、回復呪文の効用が現れるのが遅れる等の弊害が生じることが稀にあるという。

  • ☆紋章閃
収束した竜闘気を紋章からレーザーのように放つ。
貫通性・威力共に高い攻撃。
バランの弁によれば、全力で放てば山をも砕く威力が出るという。新アニメでは実際に弾かれた紋章閃が山を破壊していた。
弱点…というわけではないが、浮かび上がった紋章から竜闘気を放つため、貫通された痕も竜の紋章の形になるので、竜の騎士の関与を隠したい場合の使用には向いていない。
結果的にバランはこれをホルキンスに使ったがためにヒュンケルにダイとの関係を察知されてしまい、彼の救援を招くことになった。

  • ☆魔法剣
剣に呪文を纏わせて攻撃力を増大させる技術。
通常の呪文攻撃では弾かれる装甲に対しても通用する。
剣に闘気を纏わせる「闘気剣」は使用者が他にも見られる(例:アバンストラッシュ)が、魔法剣は竜の騎士にのみ可能。
なお、読者から「ドルオーラの魔法剣は無いのか」という質問が来た事があるが、竜闘気を扱うようになってからは常に竜闘気を剣に纏わせて戦っているため、強いて言うならばこの闘気剣がドルオーラの魔法剣に該当する、と作者は説明している。

  • ★電撃呪文
勇者の証として認知されることが多い、天候を支配して雷を発生させる呪文。
ダイはライデイン、バランは上級のギガデインまでを扱える。
これらを併用した魔法剣が両者の切り札。

  • ★ギガブレイク
バランの使う、竜の騎士秘伝の魔法剣。
剣にギガデインの雷撃を落としてその魔力を剣先に圧縮、
敵に向かって突進し渾身の力で思い切り振りかぶって相手に叩きつけ頭から縦一文字に斬り捨てる。
魔法力の残量の問題でギガデインが使えない場合はライデインで代替することが可能だが、当然威力は落ちる。
ダイは後に一度この技を使うが、先に同系統の技であるライデインストラッシュを編み出している。
全開の竜闘気との併用になるため必然的にオリハルコンの刀剣を使用することになり、その分威力は絶大。
バランの弁によれば竜魔人形態でのギガブレイクは威力のみを比較すればドルオーラをも凌駕する、歴代竜の騎士にとって最強の技である。

  • 竜闘気砲呪文(ドルオーラ)
竜の騎士最大の大技。
竜の口を模して開いた両手から、極限に圧縮した竜闘気を解き放つ。
単純な破壊力と攻撃範囲は作中の呪文・技の中でトップクラスで、一国を消滅させると呪文解説されている通り、実際に直撃していればテラン王国の首都を焼き尽くすであろう核爆発規模の爆発を披露した
ただし使用者の常態キャパシティを超えるので、竜魔人化しなければ使用できない。
闘気の収束に魔法力を消費する仕様上、種別としては一応呪文に分類される。
しかし実質的に闘気の攻撃である故か、大魔王バーンがこれを受けたときには呪文を反射できるはずのマホカンタでは対応していない。
この呪文は人間の姿では反動に耐え切れないため竜魔人化しなければ使用できない。そしてダイは竜魔人になる事ができなかったので、竜の騎士の力に目覚めてもしばらくはこの呪文も使えなかったが、後にバランの紋章を受け継ぎ通常を遥かに超える量の竜闘気を身につけた事で、人間の姿のままで撃てるようになった。
なお消費魔法力も半端無く大きいらしく、ダイの魔法力では2連発が限度。

  • ☆竜魔人
竜の騎士の最強戦闘形態(マックスバトルフォーム)
血の色が赤から青に変わり、背びれや翼、鱗などを持つ獣じみた姿に変貌する。
身体面の向上だけでなく精神面もより攻撃的に変化し、姿同様に殺戮に飢えた獣と化して敵を完全に殲滅する。

竜魔人に匹敵する力を魔族が得るために妖魔士団が研究していたのが超魔生物への変身技術である。
後述の闘いの遺伝子や竜闘気特有の技は再現出来ていないが、様々な魔物の長所を盛り込むことで身体スペックにおいて竜魔人の再現を目指している。
だが、寿命や暗黒闘気による蘇生を切り捨ててまで能力を高めた超魔ハドラーでも、単なる獣としてでなく、死に物狂いで子を守る父として再び竜魔人となったバランには力負けしてしまった。

最強戦闘形態(マックスバトルフォーム)」の力強すぎるルビが読者からしばしばネタにされるが、
新アニメでは残念ながら素直に「さいきょうせんとうけいたい」読みされている。

  • ☆「闘いの遺伝子」
能力に名前は無いので、バーンがつけた名前で表記する。
竜の紋章は、歴代の竜の騎士が経験した戦いを記憶している。そして紋章の継承者は、それらの経験を自分の物として参照する事が出来る。本のページを読んで考えるようなものではなく、自分の体験であるかのようにそれらの経験を参照し、とっさの判断に活かす事が出来るのだ*2
竜の騎士は、過去数千年の戦闘を体で覚えている、戦闘の超ベテランと言ってよい。大魔王バーンが最も警戒していた能力がこれであった。
ちなみに、ダイが生来持っていた紋章にはこの記憶がなかった。マザードラゴン経由での継承でなければ引き継がれないらしい。*3

  • 双竜紋(そうりゅうもん)
歴代の竜の騎士の中でダイだけが扱えるもの。
かつてダイはバランと戦った際、バランの精神支配から逃れる為に自身の紋章を額から右拳の甲に移していた。
物語終盤、バランが死ぬときにその紋章はダイに継承され、やがてダイの中で目覚めたときには左手に輝きだした。
これにより単純な力が増大しただけでなく、歴代の騎士たちの戦闘経験の結晶「戦いの遺伝子」もダイの中で芽生えていく。
双拳に輝く竜の紋章、その脅威を前にバーンは双竜紋と命名。
この時点でダイは竜魔人と同等以上の能力を持ち、ドルオーラも人の姿のまま使用可能になっている。
なお、最終的に双竜紋はダイが竜魔人化した際に額に戻ったが、竜魔人化が解除された後はこのまま額に戻ったままなのか、また両腕に移動しているのかは不明。*4






さらなる竜魔人、そして最終局面

ダイは双竜紋の覚醒の後、戦いの中で自分の能力を冷静に計量していた。
ふたつの紋章の力でかつての竜魔人化同様の「完全解放」を行えば、
大魔王バーンをはるかに上回る怪物になれるであろう事を察していた。

だが、竜の紋章は地上に本来1つだけ。2つの紋章の存在は異常事態である。
それらを同時に起動すれば、以前ダイが記憶障害を起こしたのと同じように共鳴による精神干渉が起きる。
その果てに生まれるのは竜魔人以上の破壊魔、誰も守ろうとはしない殺戮の生き物であるだろう
それでは、バーンを打ち倒すことはできても地上と愛する人々を守ることはできない。
だから、ダイはそれを実行しなかった。ダイは叩いて潰して壊す力ではなく、悲劇から守る力を望んだからだ*5
だが、ダイ達の思いが知り合う人々に届き、バーンの地上破壊計画が一時的にとはいえ頓挫した、後はバーンを潰すだけでいいとなった時… 
もはや、ためらう必要はなくなった。

今までの自分をかなぐり捨ててまでダイが竜魔人化を起動したとき、両手の紋章は一つになり再び額に宿った。
その結果、姿こそ人間のものとさほど変わらないが紋章は異常に肥大化。
生前のバランが秘めていた殺気を伴い野獣のように咆哮する姿、そして溢れ出る絶大な力は、バーンを以てして驚愕させ化け物と言わしめた。



「“力が正義”……!!」
「常にそう言っていたな……バーン!!」

「これがッ!!!」
「これがッ!!!」

「これが正義かっ!!?」

「より強い力でぶちのめされればおまえは満足なのかッ!!?」

「こんなものがっ…!!!」


「こんなものが正義であってたまるかっ!!!!」

これは変貌して戦うダイが泣きながら語った言葉である。





アニメではこの姿になったダイが流した血が赤色として描かれている。
どれだけ強大な力を得ようとも、化け物の姿になろうとも、ダイが人の心を失っていないという証明なのかもしれない…







余談だが、新アニメ版のダイの大冒険ではBGMとして『竜の騎士』がある。
主に強敵との戦いが大詰めの場面で流れるため、処刑用BGMと呼ばれることも。





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最終更新:2025年01月12日 20:50

*1 つまり無条件で人間の味方というわけではない。

*2 これが発動したダイは、「まるで、そう出来る事が当然のようにやっていた」と回想した

*3 ただし、最初期に竜の紋章が浮かび上がった際に今まで使えなかった呪文を当然のように使うなど、闘いの遺伝子らしき片鱗は出ている。

*4 そもそもバランからの洗脳対策で腕に紋章を移動させたので、その恐れがないなら基本的に腕に移動させる必要はない。

*5 実際、パワーでバーンを叩いていては「柱」作戦で地上を消し飛ばすバーンの計画は成功していた。ダイと戦いの遺伝子の直感は、まったく正しかったのである。