番轟三

登録日:2014/08/03 Sun 19:48:36
更新日:2025/09/18 Thu 00:57:45
所要時間:約 6 分で読めます





困ったことがあったら呼んでくれ!いつでも駆けつけるぞ。
合い言葉は……”ジャスティス”だッ!


番轟三(ばんごうぞう)とは、『逆転裁判5』に登場する所轄署刑事課所属の刑事である。
年齢33歳。本作におけるライバル検事であるユガミ検事こと夕神迅の相棒を務める。
声優は佐藤美一。
専用BGMは「合言葉はジャスティス!」。実に陽気で軽く、明るいメロディが特徴的な一曲である。


強い正義感の持ち主であり、「ジャスティス!」を合い言葉に日々市民を守る。
常に感情表現豊かで大袈裟なリアクションをするため、とにかく暑苦しい。
正義」の象徴である白いスーツに身を包み、ガンベルトから拳銃を出すような動作で警察手帳を取り出してくる。
非常にマイペースで、ユガミ検事の心理操作が通じないことから相棒を任されている。
二人のコンビネーションは息がピッタリで、指笛一つで証言台に駆けつけたり、仕草のみで意思疎通が可能な程である。

ユガミ検事自身が囚人であるため、
彼はその目付役であると共に、捜査に行けない検事に代わって必要な証拠品を集める立場である。
彼自身はユガミ検事について「更生させ、社会復帰させたい」と考えているらしい。
また、ユガミ検事が暴走した時には、 リモコンの遠隔操作で手錠に電流を流して鎮圧する こともある。

彼の行動原理は全て自分の信じる正義に基づいており、
弁護側が困っている時には公平な裁判のために情報を流してくれることがあるほか、
DLCシナリオ『逆転の帰還』では、弁護側からの要請に応えて事件の再調査を行ってくれた。
また第4話『星になった逆転』から最終話『未来への逆転』にかけても、ある事情から弁護側に積極的に協力してくれる。

逆転裁判5におけるイトノコ刑事ポジションの人物。
イトノコ刑事同様に抜けている所が多く、重要な証拠品を見落としたり、精密検査を忘れたりしてユガミ検事から呆れられることもしばしば。

探偵パートにおいては
「現場に調査しに来た王泥喜心音 不審人物と思って即逮捕しようとする
素足に履いてる靴を盗まれても気付かない (しかも2回も)」
「フレンドリーに 窓からジャスティスと挨拶 してくる」
「『肌身離さず守っている』と宣言した証拠品を、 直後に肌身離して電話を取りに行く
「『逆転の帰還』では弁護士バッジをつきつけると即座に 警察手帳をつきつけ返してくる 」等
色々とユニークな反応を見せてくれる。


その強烈な個性がプレイヤーの印象に残ったためか、
2013年のニコニコ生放送における公式人気投票では、5位にランクインするという快挙を成し遂げた。
ちなみに相棒のユガミ検事は7位と、こちらも高順位であった。



「まあ、追記・修正がんばりたまえよ! Wiki篭もりたち!」

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この先、逆転裁判5のネタバレのため注意。












オロカなキミ達も、ジブンが亡霊ではないとわかったね?





登録日:2014/08/03 Sun 19:48:36
更新日:2025/09/18 Thu 00:57:45
所要時間:約 6 分で読めます




その正体は『亡霊』と呼ばれる国際的なスパイであり、本作におけるラスボス
7年前にユガミ検事が有罪判決を受けた「UR-1号事件」の真犯人であり、心音にトラウマを植えつけた張本人。
そして、現代では大河原宇宙センターを爆破し、乗組員であり王泥喜の親友である葵大地を殺害した犯人である。
専用BGMは「UNKNOWN」。事件の裏で常に暗躍する亡霊らしい、おどろおどろしさが特徴的なBGMだがよーく聞くと番のテーマ曲のメロディが組み込まれており、曲自体が彼の正体に到達するための一つの伏線となっている。

正確には「番轟三」という人物は本編開始前に既に死亡しており、作中に登場するのは『亡霊』が変装している偽物。この情報は御剣怜侍によって審理中に持ち込まれた。
具体的には本編の1年前のどこかで本物を殺して入れ替わっており、本物は身元不明死体として発見されていた。

最大の特徴として感情のコントロールが可能であるため感情の起伏が極端に少なく、番刑事として活動していた時の感情表現豊かな振る舞いも全て演技に過ぎない。
恐怖心も殆ど感じないため、普通の人間には出来ないような危険な行動も躊躇なくやってのける。
逆に感情がないことを指摘されれば咄嗟に喜怒哀楽を発露させてみたりと、その心理構造は普通の人間ではない。
国際的スパイとしての頭脳も折り紙付きであり、高い身体能力も備えている。

スパイとしてのスキルやマスクを使うことで他人の顔・言動・音声までも本物そっくりに真似ることができ、
任務のために常に他の誰かとして生きてきたため、本当の顔や性格は自分でも分からなくなっている。しかし、何故か本作ではギャグ目的でしか使われていない…
と言うか顔を自由自在に変えれるなら7年前の犯行でわざわざ能面を被る必要はなかったのではないだろうか。
スパイという立場上、常に殺し屋に命を狙われており、正体がバレることについて強い警戒心を持つ。
このため自身に繋がりそうな情報については些細なものであっても極端に抹消したがっており、感情が殆どないとされる亡霊にとっての“唯一の感情”と言っても過言ではない。

スパイらしく多種多様な道具を持ち合わせており、腕時計はボタン一つで飛び出すフック付きワイヤーになったり、ダイヤルを弄ることで特定の電子機器にハッキングを仕掛けて無力化すると言った芸当も可能。
作中で彼が持ち込んだライターも実は秘密道具の一つであり、ボタン一つで小型の拳銃に可変するというロマン溢れる仕様。


ユガミ検事に近づいたのも「更生させるため」というのは建前で、真の目的は自分の正体に関わるデータを奪うことであった。
そもそも彼は誰にも正体を知られないように生きてきたため、他人と信頼し合うという感性は持ち合わせていないのである。


信頼、理解し合うなどというものは感情に支配された弱者の思想だ。
信じられないからこそ、人間は……信頼などという幻想にすがるのだよ。


本編開始より七年前、自身の録音テープが当時亡霊を追ってた夕神検事の手に渡ってしまい、挙句その音声を彼の姉の同僚である希月教授によって心理分析に掛けられてしまった。*1
自分の正体がバレることについて病的に恐れていた彼は、ロケットの妨害工作の任務を受けたついでにセンターの職員に変装して潜入し、当時宇宙センターに在中していた希月教授を殺害。
だがその場に居合わせていた教授の娘である希月心音に見つかってしまい、彼女の口を封じようと襲い掛かった。
ところが、心音は咄嗟に部屋にあった工具セットの中からナイフを取り出して振り回し、その結果右手の甲を刺される。
心音を蹴り飛ばして気絶させたものの、この時に自身の血液が部屋に飾ってあった月の石に付着するという大失態を冒してしまった。
当時、センターには厳重な警戒が敷かれていたため月の石を迂闊に持ち出せず、手持ちの装備では破壊することも付着した血液を除去することも出来なかった。
そのため、咄嗟に同じく部屋にあった打ち上げ予定の探査機に搭載するカプセルの中へ入れ、月の石を宇宙に飛ばしてしまおうという奇想天外な方法に出た。
ロケットの妨害工作として探査機の破壊工作を行い、自身に繋がる唯一の証拠を宇宙空間に消し去る算段……だったのだが、当時のクルーだった星成太陽の奮闘で失敗に終わり、自分の血液が付着した月の石が探査機ごと帰還するという最悪の事態に。
焦った彼は再びロケットの妨害工作の任務を受けたことを契機として、番轟三刑事に扮して避難誘導担当という名目でセンターに再び潜入。
月の石が入ったカプセル強奪のためにそれを持っていた葵大地殺害に踏み切った……というのが「逆転裁判5」の終盤に起きた事件の真相である。
ところが葵大地は刺されたにも関わらず必死に抵抗したため、肝心のカプセル強奪にこれまた失敗。
自身が計画していた逃走ルート構築のためのタイムリミットが迫っていたため、やむを得ずカプセルはその場で捨て置かれ、後に警察の手で証拠品として回収されることになる。

ストーリー終盤では証拠品であるライターの指紋データを捏造することで心音に葵大地殺害の罪を着せようとする。
最終話の法廷パートにおいて成歩堂達により彼の正体や捏造工作が明らかにされていくが、
『亡霊』もハッキングによるココロスコープの妨害や感情のコントロール、傍聴人の不信感を煽る等の手段で心音の心理分析から逃れようとした他、
ワイヤーを使って 直接攻撃 を仕掛けたり 法廷から逃げようとする ばかりか 証拠品を奪って燃やしてしまう 等、手段を選ばず最後まで抗ってくる。

御剣の調査により本物の番刑事が死んでいると判明すると、星成太陽、一路真二成歩堂龍一と次々にマスクを換えつつ「自分は正体不明の潜入捜査官である」とシラを切ってくる。
第1話『逆転のカウントダウン』の冒頭で法廷が爆破されたのも、正体に関わる証拠品である月の石を消してしまうために彼が仕組んだことであった。
しかし、最終的に彼が存在を知らなかったもう一つの月の石が決め手となり、完全に正体を暴かれることになる。

追い詰められた『亡霊』は遂に死の危機に直面。
他者を信頼することが出来ない孤独な亡霊にそれを受け止める術はなく、それまでのような感情のコントロールができなくなり、「恐怖」を叫びながら、馬等島晋吾美葉院秀一一路真二、天馬出右衛門、静矢零、星成太陽、夕神かぐや、天馬ゆめみ、夕神迅と次々にマスクを変えながら発狂。


これが、自分の中の……恐怖?
あ……あああ……あああああああ!

やめろ!やめてくれ!どこだ!いるのはわかってるぞ!
見ろ……まだバレてない!バレてないって証明してやる!

……ウ、ウウオオオ……本当の顔!本当の顔なんか!顔顔顔顔顔顔!
ぼくはアアア!オレはアアア!わたしはアアアアア!ダレなんだァアアアアアアアアアアアアア


同時に法廷を監視していた殺し屋に狙撃されてしまうが、急所を外れたことで一命を取り留め、緊急逮捕されることとなった。
なお、狙撃して倒れた際に「番轟三」のマスクが外れ、影で隠れた顔が出てきたが、
それが『亡霊』の本当の「素顔」なのか、はたまた他の誰かのマスクなのかは全くの不明。
いずれにせよ、優れたスパイのスキルを持っていながら「本当の自分」をわからないのは全くの皮肉である。

そして『亡霊』最大の敗因は人間にとって最も重要な「感情」を軽視していたことである。
「任務のため自分の感情を捨て去った」と嘯いていたが、自分の正体発覚を極端に恐れていたのは紛れもない彼自身の感情から来る行動だった。
その感情のために動いた結果、逆に証拠を残してしまい、自身の罪と正体を暴かれるというのもまた最高に皮肉が効いている。
感情のない『亡霊』と謳われた彼も、結局は感情を完全に切り離せない一人の人間であったのだ。

尚、『亡霊』も法の暗黒時代を齎した一人として法曹界に多大な影響を与えた人物でもあった。
その彼の逮捕後、それが雪解けだったかのように御剣による検事局の内部不正摘発は大幅に進み、法の暗黒時代は遂に終わりを告げた。
……だがこの大改革により不正検事が一掃された結果、まさかの検事不足という事態になり新たな厄介ごとを招くことになるのだがそれはまた別の話……。

ちなみに、罪が暴かれたのに本当の姿や名前などが最後まで不明のままの犯人は彼で2人目。
1人目に関しても実は御剣によって7年前証拠を押さえられ逮捕されている。


新キャラクターの中でも人気を集めたことや、当初は本作におけるイトノコポジションと思われていたこともあり、一連の展開に衝撃を受けたプレイヤーも多かった様子。
そして彼をイトノコポジションで出したために、役割の被るイトノコ刑事が本作に出なかったと考えると災難ではある。次回作にも出なかったし……。

彼の発言や演技力からしても、おそらく本編以前の番轟三(本物)も喜怒哀楽が激しく「ジャスティス!」が口癖の面白熱血刑事だったのは間違いないだろう。
それだけに本物が既に亡くなっているのは悔やまれる点である。
亜内検事ライバル検事として登場したように、続編ではせめて番刑事の兄弟を出して欲しいという声も少なくない。




追記・修正は感情表現豊かにお願いします。

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最終更新:2025年09月18日 00:57

*1 テープの劣化で声紋鑑定が不可能だったため、少しでも情報を得ようと心理学の権威である希月教授に依頼したという流れである