Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ

登録日:2014/11/01 (土) 00:14:26
更新日:2023/12/21 Thu 14:18:50
所要時間:約 17 分で読めます






杯は恋に堕ちる

これは原典にして、最端の聖杯戦争



『Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ』は月刊コンプティークで連載されていた『Fate/Prototype』の外伝小説。
まだ本編が正式に世に出てないのに外伝があるというのもおかしな話だが、まあ気にするな。
小説は元ライアーソフトのシナリオライターで、スチームパンクシリーズで知られる桜井光、
イラストは『とびたて!超時空トラぶる花札大作戦』で間桐チームこと「間桐の夏、貧血の夏」のイラストを担当した中原がそれぞれ担当する。


断片(フラグメンツ)」の名の通り、『Prototype』の前日譚にあたる八年前の聖杯戦争を断片的に綴る物語。いうなれば『Proto/Zero』という位置付けの作品。
それと同時に八年前と現代の聖杯戦争の双方に関わる人物たちの視点から『Prototype』本編も断片的に語られる。

全五部構成で、現在第一部から第五部までが書籍化され、およそ3年、最終巻である5巻単行本発売まで含めると約3年半の期間を経て無事完結となった。


第一部『Little Lady』では、
八年前のセイバーのマスターである沙条愛歌とそのサーヴァントであるセイバー
そして沙条綾香の視点から見た聖杯戦争の断片を。

第二部『Best Friend』では、
玲瓏館美沙夜と、8年前にマスターとして参加した彼女の父のサーヴァントであるキャスターの視点から見た聖杯戦争の断片を。

第三部『Beautiful Mind』では、
アサシンバーサーカーライダー陣営の視点から見た聖杯戦争の断片を。

第四部『Dear My Hero』では、
アーチャーランサー陣営の視点から見た聖杯戦争の断片を。

第五部『Knight of Fate』では、
セイバーの視点を中心とし、残った陣営から見た聖杯戦争終結までの断片を描く。


ちなみに書籍には各巻毎に書き下ろしパート(+第1巻にはロリ綾香漫画)もあるので買って損はない。

また、フラグメンツ本編が時系列順に再構成されたドラマCDも全5巻が発売中。脚本は原作者の桜井氏が担当。
本編では描かれなかった部分の補完も行われている。特に沙条愛歌&セイバー陣営以外の陣営の描写もしっかり追加されており、本編を読んだ時とは受ける印象が大分変わるかもしれない。こちらも買って損はないだろう。


•ストーリー

東の果ての地にて、聖杯を巡る闘争があった。

遍く人々には知られる事のない、大規模魔術儀式。勝者となるべき者はたったひとり。

それは、八年前。1991年。

聖杯の顕現した、この東京に於いて。七名の魔術師の元に、今、七騎の英霊が集って。

史上第一の聖杯戦争が始まっていた。



これは原典を更にさかのぼる極点の話。根源の姫と、聖剣の王の物語。


  • 登場人物
(CVはドラマCD版)

沙条愛歌(さじょうまなか)
CV:豊崎愛生
セイバーのマスター。階梯は第一位・熾天使。
天賦の才に溢れ、ありとあらゆる分野の魔術を使いこなす「少女になってしまった全能」
その能力はマスターどころかサーヴァントすら単独であしらえるほどの領域にある。
自ら召喚したセイバーへの恋に落ち、聖杯を望む彼の為にありとあらゆる手段を使って他のマスターを脱落させていく。

セイバー
CV:櫻井孝宏
沙条愛歌のサーヴァント。サーヴァント階位第一位の剣の英霊。
かつて滅びた故国の救済のために万能の杯である聖杯を望む蒼銀の騎士王。
マスターである愛歌に危うさを感じるが、彼女が妹に向ける愛情からまだ望みはあると正しい道へと導こうとしている。
だが、物語が進むごとに彼の憂いは深まっていくことになる。

沙条綾香(さじょうあやか)
CV:花澤香菜
愛歌の妹。後のセイバーのマスター。自分よりも遥かに才気溢れる姉の愛歌に若干のコンプレックスを感じながらもただただ憧れ慕う少女。
しかしある時期から姉に対して得体の知れないものを感じるようになっていく。
その先にある過酷な運命を幼い彼女はまだ知らない。

沙条広樹(さじょうひろき)
CV:東地宏樹
愛歌と綾香の父。沙条家の当主。
娘の愛歌をマスターに立てて聖杯戦争に臨むが、次第にその底知れない能力と予想外の行動に困惑と恐怖を覚え始めることになる。

玲瓏館美沙夜(れいろうかんみさや)
CV:斎藤千和
魔術の名門・玲瓏館家の娘。後のランサーのマスター。天才的な魔術の才能に加えて生まれついての王者の気風を備えた少女。
八年前にもマスターである父の元で手伝いをしていた。しかしその戦いでの裏切りと呪いによって彼女は……

玲瓏館惟慧(れいろうかんありとし)
CV:伊藤栄次
美沙夜の父でありキャスターのマスター。階梯は第三位・座天使。
自分をも超える才覚を持つ美沙夜に大きな期待と愛情を向けており、後学のためと聖杯戦争中も娘を側に居させていたが、それが災いし……

◆キャスター
CV:三木眞一郎
玲瓏館惟慧のサーヴァント。サーヴァント階位第六位の魔術師の英霊。
真名はヴァン・ホーエンハイム・パラケルスス。某錬金術師父親ではない。CVは焔の錬金術師だが
生前に自身の研究成果を世に広めて医療技術の発展をもたらしたものの、それを疎んじた他の魔術師達に殺害された過去を持つ。
その高潔さを美沙夜の父に見込まれて美沙夜の友人となり、彼女からも偉大な先達として尊敬される事になる。
しかし、彼の本質はあくまでも「魔術師」に過ぎず……

仁賀征爾(じんがせいじ)
CV:伊丸岡篤
アサシンを召喚した魔術師。階梯は第六位・能天使。
比較的古い魔術師の家系の人間だが、レベルとしては大したことはない。
そんな現状に不満を持ち、その矢先にマスターとして選ばれた事に歓喜してアサシンを呼び出したが、直後に彼女の宝具によって命を落とす。

アサシン
CV:千本木彩花
マスターを失ったサーヴァント。サーヴァント階位第七位の暗殺者の英霊。
生前は「静謐のハサン」と呼ばれた「ハサン・サッバーハ」の一体。毒殺の名手であるという。
マスターを失ってからは魔力喰いによって現界を続けていたが、ある時愛歌と出会い、ある理由から彼女に絶対の忠誠を誓う。

來野巽(きたのたつみ)
CV:田丸篤志
バーサーカーのマスター。階梯は第七位・権天使。
普通の高校生だったが、母方の祖母の遺品に書かれていた呪文によってバーサーカーを召喚してしまった。
そして東京を戦場にしようとする魔術師達の悪行を止めるため聖杯戦争に参加することを決める。
魔眼持ち。とっても主人公っぽい。しかし、彼に主人公補正は無かった……。

バーサーカー
CV.宮野真守
來野巽のサーヴァント。
サーヴァント階位第二位の狂戦士の英霊。“理性”が持つ英霊としての側面と“狂気”が持つ反英霊としての側面の両方を有しているサーヴァント。
理性の人格はかつて狂気に呑まれて多くの悪事を働いてしまった事を悔いており、サーヴァント化した現在では生前なりえなかった「正義の味方」でありたいと願っている。
自らを友と呼び、聖杯戦争という殺し合いの儀式を行おうとしている魔術師を討つことを願うマスターのために戦い続ける。

伊勢三玄莉(いせみしずり)
CV:小柳基
ライダーのマスター。階梯は第四位・主天使。
奥多摩に本拠を構える伊勢三一族の当主だが、その魔術回路は既に枯渇しかけている。
強力な結界やトラップを張り巡らせた工房を造り上げ、籠城戦を目論む。

ライダー
CV:子安武人
伊勢三玄莉のサーヴァント。サーヴァント階位第五位の騎乗兵の英霊。
自ら「王の中の王」を自称する傲岸不遜な男だが、その大言に恥じない実力を持つ破格の王。
神獣の領域にある幻想種、太陽の船、全長数kmに及ぶ巨大な神殿というどれをとっても強力な宝具を持つ。
慢心王とキャラが被ってる気がしないでもない。

伊勢三杏路(いせみあろ)
CV.緒方恵美
8年後にライダーのマスターとなる少年。
その身を常に苦痛が蝕んでいる状態ながらも、全ての人間の幸福を願う高潔な精神を持つ。
後に愛歌によってビーストの一部を埋め込まれ、凄惨な状態で発見されることとなる。
プロトマテリアルにてプロトライダーの設定公開の頃から長らく伊勢三少年としか呼ばれていなかったが、本作最終巻にて下の名前が明かされた。

◆エルザ・西条(さいじょう)
CV:洲崎綾
アーチャーのマスター。階梯は第五位・力天使。
ドイツと日本人のハーフで、没落しかけている一族の出身。
かつて自身の子を亡くしており、その悲しみを胸に参戦する。

アーチャー
CV.鶴岡聡
エルザ・西条のサーヴァント。サーヴァント階位第三位の弓の英霊。
真名はアーラシュ。アーラシュ・カマンガー(訳せば「アーラシュ・ザ・アーチャー」)という異名も持つ。
神代最終期の古代ペルシャの戦士であり、一矢でペルシャとトゥルクの間に国境を作ったとされる大英雄。西アジアにおいては弓兵と言えば彼のことを指す。

◆ナイジェル・セイワード
CV:橋詰知久
ランサーのマスター。階梯は第二位・智天使。
心理の支配者と評される典位の魔術師で、自身の起源「執着」を元にしてサーヴァントにすら有効な「感情を支配する霊薬」を開発している。
封印指定が下る一歩手前の状態であり、聖杯戦争に参加したのも時計塔から手出しされることなく自分の研究を完成させるため。

ランサー
CV.能登麻美子
ナイジェル・セイワードのサーヴァント。サーヴァント階位第四位の槍の英霊。
大盾と見紛うほどの巨刃を付けた大槍を振り回し、炎の魔力放出スキルとルーンを使う女性の英霊。
真名はブリュンヒルデ。北欧神話における戦場にて死した英雄達の魂をヴァルハラへと導く戦乙女ワルキューレの1人であり、北欧神話の英雄シグルドの恋人。
両親共に神である彼女もまた純血の神であるため本来ならばサーヴァントにはなりえない存在なのだが、神話において神格を喪失した事がある為、『Apocrypha』のケイローン同様サーヴァントの枠に収まっている。
「各サーヴァントと一回前哨戦を行え」「その中で最大の難敵と定めた相手の前で「とある霊薬」を飲み干せ」という令呪による命令を与えられており、セイバーとの初戦で二つ目の命令を実行して姿を消した。
この霊薬の効果によって彼女の最愛の英雄シグルドへの愛情をセイバーへの愛情へと書き換えられつつあり、日に日に増していく想いに伴い宝具である槍の重さも徐々に増大している。



東の果ての地にて、聖杯を巡る闘争があった。

勝者は確かに存在した。だが、その手に聖杯を得た者は誰もいなかった。

そして、八年後、1999年。

聖杯は、この東京に再び顕現した。七名の魔術師の元に、今、七騎の英霊が集って。

史上第二の聖杯戦争が始まる。



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最終更新:2023年12月21日 14:18