白雪姫(ディズニー映画)

登録日:2016/02/25 Thu 20:11:46
更新日:2025/04/01 Tue 21:05:51
所要時間:約 9 分で読めます





『白雪姫』とは、ディズニーが製作したアニメーション映画。原題は「Snow White and the Seven Dwarfs」
1937年にアメリカで上映された。

【概要】

ディズニーのアニメ映画を代表する作品で、世界初の長編カラーアニメーション映画原作はグリム兄弟が手掛けた童話
4年の歳月(当時の金額にして)170万ドルという巨額が投じられた大作。

作画には俳優の動きを実写で撮影した後、それを基に上からセル画を描く手法「ロトスコープ」*1が用いられている。非常に手間のかかる方法だが、その結果21世紀の視点から見ても非常に滑らかに動くアニメーションが仕上がった。
また、複数のセル画を同時に異なるスピードで動かす、当時最新鋭の「マルチプレーン・カメラ」も導入されている。

公開前はディズニー社の存続すら危ぶまれていたが、公開するやいなや「アニメ=短編映画」という常識を打ち破った本作はアメリカのみならず全世界で爆発的大ヒット。
興行収入はなんと当時で6100万ドル(現在の日本円換算で約3000億円!!)*2というとんでもない作品となった。
今作の大ヒットによって、ウォルト・ディズニーはアニメ業界においての確固たる地位と巨万の富を得たのは言うまでもない。

アメリカは勿論日本でもその影響は大きく、戦後に初めて上映された際には漫画家・手塚治虫先生は50回も見に行ったという。
また1980年には「東映まんがまつり」枠でも上映されている。 

1993年にはデジタル修復が施されたリマスター版が上映されており、こちらも世界各地で大ヒットを記録している。
なおそれ以前のオリジナルバージョンはアメリカ、日本ともに著作権切れのパブリックドメインとなっているため、スーパーやドラッグストアで売っている格安DVDでも視聴可能。


【あらすじ】

むかしむかし、あるところに「白雪姫」という心優しいお姫様が暮らしていました。

彼女の継母である女王はとても怖い魔女
ある日、魔法のに「世界で一番美しいのは誰?」と尋ねたところ、「白雪姫」という回答がきたことで彼女は激怒。白雪姫を殺してしまおうと企みました。
ですが、殺すよう命を受けた狩人は白雪姫をかわいそうに思い、全ての真相を告げ、彼女に逃げるよう伝えました。

必死に逃げる白雪姫は森の中で迷った末、不思議な家にたどり着きました。
そこは、毎日ダイヤモンドを掘って働く7人の小人たちが住む家。
彼女の境遇を聞いた小人たちは、家事をしてもらう事を条件に彼女を匿う事にしました。

そんなある日、小人たちを見送り家で留守番をしていた白雪姫の元に、1人の貧しそうなお婆さんがやってきました。
「誰かが訪れても絶対家に入れてはいけない」と小人から忠告を受けていた白雪姫ですが、かわいそうに思い、つい家に入れてしまいます。

ですが、このお婆さんの正体は、魔法の薬で姿形を変え、白雪姫を自ら殺そうと動き出した女王だったのです。
そして、渡された毒リンゴを食べてしまった白雪姫は、二度と覚めない眠りについてしまい……。

【登場人物】

※声優は特記なき限りオリジナル版/1958年日本語版/1980年日本語版。

○白雪姫(Snow White)

 声:アドリアナ・カセロッティ/富沢志満/小鳩くるみ
この物語の主人公にして、元祖ディズニープリンセス。14歳。
優しい心と可憐な容姿を持つお姫様だが、その美貌ゆえに継母である女王からは疎まれ、召使のような扱いを受けていた。挙句の果てに殺されかけてしまうが、その事を狩人から告げられ、森の奥底へ必至に逃げることに。その途中、偶然7人の小人が住む家に迷い込んだことで彼らに匿ってもらう事になった。不法侵入をしたのでおこりんぼうには不信感を抱かれたけど…
お姫様ながらも上記のような扱いを受けていたことが幸いし、掃除や調理などを鮮やかにこなす技を身につけており、森の動物たちの協力を得て小人たちの家の大掃除をしたり、小人たちに手の洗い方を教えたりしていた。
だが、ある日小人たちの忠告を破り、困っている老婆を助けてしまった事でリンゴを口にしてしまい、永遠の眠りについてしまう……。

ちなみに頬っぺたがほんのり赤いが、これは絵の具ではなく化粧品の頬紅で着色されたもの。
肌の自然な色味を出すのに苦戦していたが、女性スタッフが私物の頬紅を塗ってみたところ大変いい感じになったのでそのまま採用されたんだとか。

また、1980年日本語版で白雪姫を演じた小鳩くるみ女史は後に、ディズニーとスクウェア・エニックスのコラボ作品である『KINGDOM HEARTSシリーズ』にも白雪姫役で出演している。
なお、同氏は他の名義でも活動しているが、「小鳩くるみ」を名乗るのは白雪姫役の時のみと決めているとのこと。

○王子(The Prince)

 声:ハリー・ストックウェル/五十嵐喜芳/三林輝夫
本名は不明。物語の序盤に登場し、白雪姫に一目ぼれ。いきなり城に入り込んだので最初は白雪姫を驚かせてしまったが、その後は良いムードになった。要はアニメ黎明期のロリコン?

その後、消えた彼女の行方を捜していたところ、毒リンゴによって命を落とした白雪姫と毎日その傍で悲しむ小人たちに遭遇。
命を落としてしまった今となってはこれしかできない、と悲しみのキスをしたところ……。

なお、序盤で勝手に白雪姫の城の中に不法侵入しているが、
これに関しては「女王が治める国は荒れ果て、衛兵を雇う余裕すらなかったせい」との裏設定があるためらしい。

●女王/イーヴィル・クイーン/王妃/ウィックド・クイーン/魔女/ウィックド・ウィッチ(The Evil Queen)

 声:ルシル・ラ・ヴァーン/北林谷栄/里見京子
本作のヴィラン。
黒いマントに暗い色をした豪華な衣装、冷酷な眼差しと外見からして邪悪そうな女王。白雪姫の継母。
根っからのナルシストで自分が一番でなければ気が済まず、白雪姫を散々こき使った挙句殺そうとした。
だが命令した狩人が任務を放棄した事を受け、自ら白雪姫に手を下そうと決意。
城の地下室で創った魔法の薬を飲んで姿形はおろか声までしゃがれたババア魔女へと姿を変え、毒リンゴを伴って動き出した。

そしてわざと困ったお婆さんの振りをして白雪姫を騙し、毒リンゴを食べさせる事に成功。
永遠の眠りについたことに喜ぶも、そこに7人の小人が急いで駆けつけたことで逃亡。
嵐吹きすさむ崖に追い詰められながらも、彼らに巨石をぶつけようとしていたが……。

なお、毒リンゴの創り方が記された書物にはその効果の消し方も書かれていたが、女王は「白雪姫にそんな事をする奴なんていない」「小人たちは悲しみのあまり白雪姫の遺体を燃やすはずだ」と侮っていた。

ディズニー公式のスマホゲーム『ディズニー ツイステッドワンダーランド』の登場人物であるヴィル・シェーンハイトは女王をモデルにしている。

○魔法の鏡(The Magic Mirror)

 声:モローニ・オルセン/村上冬樹/大木民夫
女王が治める国の城にある魔法。あらゆる物事を熟知しており、どんな質問にも正直に答える。
だが、そのせいで白雪姫が窮地に陥ってしまった。

鏡の中に浮かぶ顔が怖いと言う人も多いかもしれない。

○狩人(Humbert The Huntsman)

 声:スチュアート・ブキャナン/村上冬樹/八代駿
女王に仕える狩人の男性。
白雪姫を殺せ、という命を受けて森に赴くが、どうしてもそのような残酷な事はできないと嘆き、彼女に真実を伝えて森の奥へ逃げるように告げた。
その後女王にはブタの心臓をダミーとして献上している。

○7人の小人(The Seven Dwarfs)

森の奥にある鉱山でダイヤモンドを採掘して暮らすドワーフのおっさん7人組。
個性豊かな性格だが(おこりんぼうも含めて)根は皆優しく、迷い込んだ白雪姫を介抱し、家事全般を引き受ける事を条件に助けてあげた。
女王の悪評をよくご存知の模様。

衛生面に関しては非常に無頓着だったため、白雪姫から手洗いの仕方やマナーなどを教わっている。

余談だが、ディズニー100周年記念を祝して製作された長編映画『ウィッシュ』のヒロイン・アーシャの友人達(通称:7人のティーンズ)は彼らをモデルにしている。


◇先生(Doc)
 声:ロイ・アトウェル/東野英治郎/熊倉一雄
 小人たちのリーダー的存在。眼鏡をかけている。
 慌てると言葉を言い間違えたりどもってしまう。

◇おこりんぼう(Grumpy)
 声:ピント・コルヴィッグ/三津田健/千葉順二
 名前の通り短気で怒りっぽく、余所者である白雪姫にたいしてつんけんした態度を取っていた。
 ただ根は優しく、白雪姫からのキッスを喜んでいたり、
 彼女が意識を失ったと知るや真っ先に動き、そして彼女が永遠の眠りについた時には一番悲しんだりしてもいる。要はアニメ黎明期のツンデレ!
 また他の面々からいじられる事も多い。

◇ごきげん(Happy)
 声:オーティス・ハーラン/三遊亭円馬/滝口順平
 いつも機嫌が良さそうな小人。

◇ねぼすけ(Sleepy)
 声:ピント・コルヴィッグ/柳家小さん/北村弘一
 いつも眠そうなのんびり屋。隙あらばすぐ居眠りしてしまう。

◇てれすけ(Bashful)
 声:スコッティ・マットロー/春風亭枝雀/二見忠男
 名前の通り照れ屋で、何かにつけてすぐ顔を真っ赤にしてしまう。

◇くしゃみ(Sneezy)
 声:ビリー・ギルバート/坊屋三郎/槐柳二
 いつも鼻炎気味で、ふとした拍子で何でも吹き飛ばす強烈なくしゃみをしてしまう。本人も悩みの種。

◇おとぼけ(Doepy)
 声:エディ・コリンズ※日本語版では1958年版・1980年版共に原語版流用
 小人の中で唯一髭を生やしておらず、パジャマのような服と合わせて子供のような外見。
 いつもドジばかり踏む一方、何度も白雪姫からキッスを貰おうとしたりするちゃっかりした一面もある。

 何故か台詞が一言も無いが、これはおとぼけにぴったりの声優が見つからなかったためだと言われている(実際には、叫び声のみをエディ・コリンズが担当した)。
 また、サッカーブラジル代表チームの監督であるドゥンガの名前は彼にちなんでいる。
 キャラの設定上は「喋る必要が無いから喋らない」らしい。

○森の動物たち

シカや小鳥、ウサギアライグマなど広大な森に暮らす動物たち。
心優しい白雪姫が大好きで、彼女の良きサポート役として活躍。また白雪姫が毒リンゴで倒れたと知るや急いで小人たちの元に駆けつけ、事態を知らせた。一方、突然家が綺麗になってビビる小人たちを物陰からこっそり脅かす場面も。
なお、ワンテンポ遅いせいかいつもカメが貧乏くじを引いている。

●ハゲワシ

恐ろしい老婆になった女王の上に付きまとう2羽のハゲワシ。
まるで死神のように誰かの死を待つような行動をしていたが、その相手は……


【挿入歌】

世界を代表するアニメ映画という事もあり、使用されている曲もまた世代を超えた人気を集めている。
その中でも特に有名なのはこの2曲だろう。

♪いつか王子様が(Someday My Prince Will Come)

 白雪姫が7人の小人たちに何か物語を話してくれるようせがまれた際、王子様の事を思いながら歌う曲。
 アニソンという枠を超え、今やジャズやポピュラー音楽のスタンダードとして多くの人に親しまれている。

♪ハイ・ホー(Heigh-Ho)

 小人たちが仕事帰りに賑やかに歌う曲。
 「ハイ・ホー」は仲間たちを労ったり励ましたりするときの掛け声である。
 なお、以前の日本語訳は仕事が大好きという内容であったが、原語版は「仕事が終わったから家に帰ろう」という真逆の内容の歌詞である。
 それを受け、近年では本来の意味にあった日本語の歌詞に変更されている模様。


【没シーンについて】

中盤、食事をする前に小人たちが賑やかに手を洗うシーンがあるが、その後白雪姫が小人たちと一緒に食事をするシーンが存在しており、それ専用の曲も用意されていた。だが「内容が下品」というウォルト・ディズニーの判断によりカットされてしまったが、のちに発売されたVHSやDVDに収録されている。
これ以外にも没になってしまった曲があるが、こちらはデジタルリマスター版のサントラに収録されている。


【アトラクション】

ディズニー映画を代表する作品だけに、アメリカ、日本、パリのディズニーランドには白雪姫を題材としたアトラクションが設置されている。

東京ディズニーランドにあるアトラクションの名前は「白雪姫と七人のこびと」と一見普通……だが、
本家アメリカのディズニーランドでは「Snow White`s Scary Adventure」
日本語に訳すと「白雪姫の恐ろしい冒険」となる。

そう、実はこのアトラクション、ディズニーランドのアトラクションの中でも非常に怖いと評判(?)なのだ。

詳細はこちらを参照。


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最終更新:2025年04月01日 21:05

*1 今で言うモーションキャプチャーの先祖のようなものであり、近年でも「惡の華」で用いられている。

*2 2025年現在の興行収入は4億1820万ドルとなっている。