ローレシアの王子

登録日:2015/11/19 Thu 03:03:00
更新日:2025/03/30 Sun 20:38:31
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おおっ、ムーンブルクの王女ちゃん!


『ローレシアの王子』とは『ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々』の主人公。
勇者ロト初代勇者の子孫。

CV:山口勝平 (CDシアター) / 内田雄馬 (ライバルズエース)
山口氏は同じく『ドラクエ5』のCDシアターにてヘンリーも演じている。


概要

その名の通りローレシア国の王子であり、初代ローレシア王ことDQ1勇者の直系子孫。
『サマルトリア』と『ムーンブルク』の王族はローレシア一族の傍系にあたり、3国共に勇者ロトの血を引く者が治めている。
なおリメイク版ではローレシアの王子だけが『勇者の子孫』という肩書きを持っている。

デフォルトネームには『えにくす』『りはうす』『ロラン』等がある。小説版では『アレン』。エニックス公式ゲームブックでは、プレイヤーの分身となるため名前が設定されていない。
ただ知名度で言えば一番有名なのは『もょもと』だろうか。どう発音するかは定かではないが


見た目は青いヘルメットと服、そしてゴーグルを着用している。髪は基本的に黒髪だがバトルロードでは銀髪。
前作に比べ近代的なデザインなのはDQ2がDQ1の100年後を舞台にしているから。
(この100年後は竜王を討伐してからではなく、ローレシアから2つの独立国が誕生してから数えて100年という説が有力)*1

他の主人公の例に漏れずローレシアの王子も無口なため、本編中では性格はよく分からない。
しかしぱふぱふされると「ぱふ、ぱふ、ぱふ」と発言したり、MSX版にて危ない水着を着たムーンブルクの王女に興奮して、項目冒頭のセリフを叫んだりした事から年相応にスケベなのだろう。
ちなみにサマルトリアの王子が「こいつは さいこうだぜ!」と続ける。こいつら……。

FC版では3人の中で唯一ロトの剣を装備出来た。前述のように、ロトの血が一番濃いためかもしれない。
ただDQ2でのロトの剣は中盤にタダで入手できるそれなりの装備でしかなくアドバンテージはあまりなかったのだが。*2
リメイク版ではサマルトリアの王子も装備出来るようになりお高いひかりのつるぎを買うまでは彼の最強の剣なので大体彼の愛剣になるそれでいいのかロトの血が一番濃い子孫

旅立ちの際の餞別の少なさは何十年経ってもネタにされ続けている。
「王様から魔王討伐の命を受けて旅立つ」流れは1~3共通であるが、3は父が著名な人間であったとは言え大勢いる冒険者の一人に過ぎず、1はそもそも出自も定かでない馬の骨であるため、特別に目をかけていられないという理屈は成り立つ。
しかし2のローレシア王子は「ロトの末裔である事が分かっている」上に「王族の一人息子で王位継承者」という極めて重要な身分でありながらコレ(銅の剣と50G)なのだ。
同様に息子にこん棒しか与えなかったと思われるサマルトリア王といい、ラルス16世の血に連なる者は『可愛い子には旅をさせよ』という教育方針なんだろうか。(小説版やその他二次創作では出奔同然で旅出したためという設定がされていることが多い。)
尤も、金の鍵がないと空けられないローレシアの宝物庫と思しき場所にはロトの紋章以外は悲しくなるくらいの小金と薬草とキメラの翼しかない(リメイク版以降は1200Gと種が入ってる。)のでマジで予算がない可能性も……よく傾かないなこの国

没エンドとしてラスボスをサマルトリアの王子のメガンテで倒した場合、サマルトリアの王女が逆恨みでローレシアの王子を殺害するというものがあったらしい。
破壊神を破壊した男を刺し殺す王女は、流石はロトの血を引く者と言った所か……。


本編

物語冒頭で大神官ハーゴンがムーンブルクを滅ぼしたと聞き、父親から少しの餞別を貰って護衛を付けずに旅立つ。
親戚のサマルトリアの王子とすれ違いにすれ違いを重ねて合流、呪いを掛けられていた同じく親戚のムーンブルクの王女を助け出し仲間にした。
破壊神の復活を目論むハーゴンを倒すべく世界を巡り精霊ルビスの加護を受け、ロンダルキアで何度も全滅と蘇生を繰り返しながらハーゴンの元に到着、退治する事に成功。
しかし、ハーゴンは自らの命と引き換えに破壊神シドーを降臨させてしまい――


ちなみに仲間2人が犬にされたり、呪いで動けなくなったり(リメイク版)している中、彼だけは最後まで無事だった。
ゲームバランス的には全滅したり仲間の棺桶を引きずって町まで敗走した回数が最も多い勇者である事は疑いの余地は無く、これ以上彼を虐める必要は無いと思うが。
ローレシア自体もこれといった被害は無いが、牢屋に地獄の使いor悪魔神官が叩き込まれているので何かしら襲撃などはあったとは思われる。
……逆に言うと周辺のモンスターからは比べ物にならないくらい強いはずのこいつらを牢屋に叩き込める戦力の国なのでピンチになる余地がなかったのかもしれない

なおエニックス版ゲームブックではローレシアも襲撃を受けた際にローレシア王も負傷しており、下巻では余命いくばくもない状態にまで悪化している。
そのため破壊神シドーの討伐を成し遂げ帰還した王子に王位を譲るのも、大任を成し遂げた王子を祝福するためだけではなく、もはや先が無くなった自身の跡を早急に継がせるという切羽詰まった事情が含まれている。


戦闘

呪文の力に頼らず仲間を引っ張っていくまさに脳筋頼もしい剣士。
ドラクエの勇者と言えば物理攻撃を中心とした呪文も使えるオールラウンダーのイメージがあるが、それらとは異なり何と呪文が一切使えない。
呪文が使えない主人公は歴代でも彼くらいしかおらず、呪文が使えない勇者はローレシアの王子の他には勇者アベルぐらい。
一応ドラクエソードの主人公もだが……合体技でメドローアやピンクタイフーンをぶっぱなすとか以前に作品もキャラも影が薄いので微妙なラインかも。

その代わりに高いHP、攻撃力と防御力を持つ完全な戦士タイプ
まあ、後の戦士タイプしか使えないような重い武器から、繊細な技術が必要そうな剣まで使いこなすあたり器用ではあるのだろう。脳筋というより単純に呪文の才能が絶望的になかっただけかもしれない。
なお本作はMPのやりくりが厳しい上、物理攻撃が不利かつ呪文なら有利になるというシチュエーションはないため、戦闘面では呪文が使えない欠点はあまり目立たない。
何なら通常プレイであれば終盤にたたかうでまともなダメージを叩き出せるのは実質彼しかいないので、これはこれで特異な才能ではあるのだろう。
結果的にノーコストで安定して高い火力を出せて強烈な攻撃の多いDQ2ですら死ににくい物理アタッカーとして存分に活躍してくれる。


最高レベルは50。
危ない水着を除く全ての武器・防具が装備可能であり、元々の力も強いため一撃一撃が強力なアタッカーになる。
現在で言うバトルマスター要素の先駆者という見方もあるが、そちらはそもそも特技ありきの時代からの存在なのでプレイ上では掛け離れている。
FC版ではサマルトリアの王子は事実上序盤を少し過ぎた辺りで購入可能な鉄の槍が最強・最終武器のため、
大灯台前後には打点が低すぎで、実質彼が唯一の物理アタッカーでもあった。

他の2人に比べれば遅いが、歴代と比べると実はかなり素早い方。
少なくても、後の作品の専業戦士とは比べ物にならないほど素早い。
もっとも本作では敵味方の行動順にかなりランダム要素が強いため、その素早さも今一つ信頼できないのだが……。

呪文習得不可能以外の欠点としてLV5~16までのHP上昇が低すぎる点がある。
なんとこの間に上昇するHPはたった18しかないのだ(ちなみにLV5までのHP上昇合計は24)。
この頃は丁度ムーンブルク大陸~アレフガルド大陸の期間であり、呪文を使う敵やマンドリルと言った凶悪な敵が出没し、
サマルトリアの王子との装備格差も低く、かつ道具として使用できる装備も無い時期なので下手をすれば一番役に立たないという事もある。
とはいえ他の2人が格別タフなわけでもなく、窮地で最後の1人になりがちなのはやはり彼。生命線というか、死ぬ時=全滅が普通だろう。


その他

『稲妻の剣』と止めの一撃の『ミナデイン』『勇者集結』に登場。

勇者集結では勇者ロト初代勇者と共に現れ、ロトの勇者3人で同時攻撃を放つ。

ミナデインでは、サマルトリアの王子とムーンブルクの王女と協力しミナデインを発動する。
……DQ2にミナデインは無いとか、魔力が無い脳筋がいたらミナデインは使えないとか言ってはいけない。
どうもローレシアの王子は稲妻の剣の力で仲間に協力しているようだ。

『ドラゴンクエスト モンスターバトルロードビクトリー』のOPではミルドラースと戦っている。

本作はDQ2の数百年後が舞台なため、本人は登場しないが伝承が後世に伝わっている。
どうやらローレシアの王子はシドーを討伐して暫く自国で生活した後、仲間2人を連れて行方不明となったらしい。

そんな訳でローレシアとムーンブルクは滅亡してしまった……。

しかしロトの血は現在眠っているとの事で、血は絶えていないようだが……?

書籍などによるとこちらは正史に含まれるようだ(今後は不明だが)

  • 小説版
名前は前述の通り『アレン』。
勇敢な少年で、ムーンブルク壊滅の話を聞いて、父のアレフ七世王の反対を押し切り、半ば家出の形でハーゴン討伐に旅立った。*3
ムーンブルクの王女セリアとは恋仲で、彼女を巡ってサマルトリアの王子コナンと対立するも、コナンが身を引く事で和解する。
コナンの妹マリナからも思いを寄せられていたが、コナンから聞かされるまで気付かなかった。

  • CDシアター
名前は小説版同様に『アレン』。
基本的に小説版と同じで、こちらも最初からロトの鎧を装備している。

  • エニックス版ゲームブック
前述の通り名前は設定されていない。
ムーンブルク壊滅の話を聞いた後、父王に内緒でハーゴン討伐の度に出る。
接近戦の他に指揮能力にも優れ、仲間に呪文使用の指示を行ったりする。
ルプガナの娘ミリアに好意を寄せられている。

  • 双葉社版ゲームブック
エニックス版同様に名前は設定されていない。
このシリーズのロトの子孫には、腕に炎の痣があるという設定があり、今作の主人公及び仲間2人はもちろん、前作『1』の主人公にも炎の痣が存在する。
ノリの軽い性格で、自身を「美女にモテモテ」と称し、「大きなお世話だっ!」「~っちゅうに!」が口癖。また先祖譲りの自分の性格を変えなきゃとも考えている。



なんでその程度なんだ、どうして僕を他の人間のように殺せない!?

僕は人間じゃないってのか、お前達以上の化け物なのか!? 答えてくれよバズズ。僕は何だ!!


本作での名前は『ロラン』。
他の二人共々、自国の国名を捩ったネーミングになっている。

破壊神シドーを討伐したらバズズの策略によって人間から恐れられるようになる。
というのもバズズが人間達に、
シドーが倒されたという事は、シドーよりも『力』を持つ者が現れたって事じゃないのかね』と吹き込んだため。

魔法を使わずシドーを倒した為、言わば人間の力の象徴だったのだが、人間達から、
破壊神を破壊した男』と呼ばれ、人間の姿をしたモンスターと恐れる様になったため、仲間に告げず、鋼の剣などの平凡な装備だけを持って失踪してしまう。
そんな経緯のため、たまたま遭った人には優しく接するなど性格面は変わっていないが、上記の台詞の様に精神が不安定になっていた。

意識誘導したバズズ曰く、人々は魔法を使わず倒したローレシアに疑いを向ける事で、生贄は一人でいいと言う辻褄合わせをしていたとの事。
もっともこの通称も誇張でも伊達でもなく、ザキ無効化したりバズズの腕を引きちぎるほどの実力者。
ゲーム通りの「コマンド>たたかう」だけでも十分強いのにオリジナルの古流剣殺法でズンバラしまくる。
原作DQ2的にはやむを得ない薄味感で確固たるキャラ付けに欠けたローレシアの王子の印象を「破壊神を破壊した」の一言に集約し一変させた公認二次と言ってよく、バトルマスター寄りなイメージも彼で養われたと思われる。

作中モンスターの群れやバズズを相手に単独で圧倒していたが、その後敵の秘策でピンチになったところに、
ローレシアの王子を探していたサマルトリアの王子サトリとムーンブルクの王女ルーナが駆け付ける。
そしてルーナの回復呪文とサトリの「お前が化け物だって? 笑わせんな。俺達は3人揃って世界最強の化物(モンスターズ)になるんだぜ……!!」という解答を受けて完全復活を遂げた。


異世界ではあるが、DQM+においてはロランが失踪した事によってローレシアは滅んでしまったらしい。



もょもと

上記の通りプレイヤーの分身になる主人公という都合上、名前がどうしても必要になる小説・漫画作品やゲームブックでない限り名前が設定されていないが、
FC版を遊んだプレイヤーの間で「ローレシアの王子の名前」としてある意味最も有名なのは「もょもと」である。





追記・修正は破壊神を破壊してからお願いします。

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最終更新:2025年03月30日 20:38

*1 この設定は必ずしも統一されてはおらず、小説版ではムーンブルクがすでに存在している名門王朝であり、ムーンブルク王女の先祖に当たる王女が嫁いでロトの血を引く一族になったとされている。

*2 小説版ではいなずまの剣を媒介にしてかつての強さを取り戻したりと、それ相応に優遇されている。ちなみに、いなずまの剣の攻撃力(80)とロトの剣の攻撃力(40)を足すとⅢにおける王者の剣の攻撃力(120)になる。狙ったのかは不明だがなかなか胸熱である。

*3 その際宝物庫にあった王家の秘剣並びにロトの鎧を持って行ったため、彼だけデザインがゲームの青ヘルメットではなくロトの鎧を装備した状態になっている。