ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁

登録日:2011/02/17 Thu 17:30:30
更新日:2025/08/02 Sat 20:14:11
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ドラゴンクエストより、すごいドラゴンクエスト、できました。


ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁』(DRAGON QUEST V: Hand of the Heavenly Bride)とは、エニックスが1992年に発売したRPGで、ドラゴンクエストシリーズ第5作。

シリーズとして初めてスーパーファミコンをプラットフォームに発売され、その後PS2ニンテンドーDSにも移植された。
ただし、他のシリーズがリメイクで難易度が下方調整されているのに対して、本作は何故かリメイクの度に難易度が上がり続けている謎仕様となっている。
SNES時代はエニックスが北米市場に展開していなかったため、本作の海外展開はスクエニになってからDS版発売によってようやく実現した。


さらに2019年8月2日に本作を原案にした3DCGアニメ映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』が公開された。

天空シリーズの第2作だが、時系列で言えば最終作に当たる。

いきなりだが、ここからネタバレ含む。







【ストーリー】

ざっくり言えば、父と共に旅をする少年だった主人公が、成長して結婚し子を授かって一国の王になり、世界を救うお話。

ただしその間、母はさらわれ父は殺され10数年も奴隷やらされ、嫁もさらわれた上さらに石になって8年立ちっぱの荒行をさせられる、などなど超過酷。
最終的にはシリーズでも屈指の幸せをつかむ主人公ではあるが、歴代でも屈指の苦労人・不幸体質と言っても過言ではない。
全編通しては主人公(DQⅤ)の項目に詳しい。



【特色】

本作では、それまでのシリーズ作品にはない要素が多数盛り込まれている。

  • 主人公の成長
ゲーム進行に従い、主人公が少年から青年へと文字通り成長する斬新なストーリー。
これによりDQ4までの『プレイヤーの分身』というニュアンスはやや薄れたが、感情移入度は格段に上がった。
さらに、成長に伴って様々な要素が絡んでくるようになる。

  • 仲間モンスターシステム
本作最大の特色と言っても過言ではない『モンスターを仲間にできる』システム。
仲間にできるのは、中盤で主人公がモンスターと心を通わす能力を開花させてからだが、DQ4のホイミンなどとは違ってゲストキャラではなく、仲間になればずっと使える嬉しい仕様。
仲間になるモンスターはなんと42種類と豊富で、意外なやつが仲間になったりするので非常に楽しい。
リメイクではPS2版が70種類、DS版72種類と更に顔ぶれ豊富になっている。
モンスターによっては呪文や属性攻撃に耐性があり、有用な仲間を集める事も攻略には大切。死の火山でピエールやジュエルにお世話になったプレイヤーは多いだろう。
というか青年時代後半にパーティーメンバーをフルで人間キャラで埋めてもそもそも馬車の枠が余るので馬車を埋めたいなら絶対に必要である。
仲間になりにくいモンスターをひたすら狩る作業は誰しも通る道。
DQ3時代から仲間モンスターの構想はあったのだが、容量不足などの理由から没になった(HD-2Dリメイクでは形を変えてこの構想を具現化させている)。
容量が増えたSFCだからこそ実現したとも言える。


・めいれいさせろ
Ⅲ以来となる、全メンバーに行動コマンドを選択するシステムが導入。
ただしあくまでめいれいなので、賢さが低いと従ってくれなかったりもする。
MPないのにイオナズンなんか使わないでくださいよミニモンさん。
本作ではIVよりAIが強化されてそこそこ賢く立ち回ってくれるので、無理にめいれいさせろしなくてもいい局面も多かったりはする。

・結婚イベント
ストーリー中盤で結婚イベントがあり、SFC/PS2ではなんと2人から、DSでは3人から花嫁を選ぶことが可能![[もげろ]]!
その後子どもも生まれて、成長後には共に旅をするようになる。
ただし、結婚相手によって子どもの髪の色が変わったり、選ばなかった相手の暮らしぶりが変わったりするので、そんなに気安くは選べない。
ストーリー自体が変化することはないが。

その他、ルーラやパルプンテがイベント習得になっていたり、カジノで遊べるゲームが増えていたりと盛りだくさん。
移植版ではすごろく場も。



【登場人物】

主人公
紺色の帽子と白いローブが特徴的な少年。作中で様々な悲劇に直面しても希望を捨てず自らの人生を切り開いていく。
モンスターと心を通わせる不思議な力を持っており、青年期にその才能が開花することに。
ドラクエⅢ・Ⅳの流れを汲んで呪文と肉弾戦のどちらもバランスよくこなせるが、実は「Ⅲ」の僧侶寄りのポジション。
シリーズ随一のリア充ではあるが、あまりに不幸な展開が多すぎるのでリア充扱いされていない。
感情移入はしやすいがプレイヤーの分身というにはあまりに不幸すぎるため、自分の名前を付けて後悔した人もいるのでは。
小説版では「リュカ(リュケイロム・エル・ケル・グランバニア)」、移植版の説明書などでは「アベル」という名前が設定されている。

パパス
主人公の父親。序盤は主人公(プレイヤー)は文字通り彼の背中を見て過ごすことになる。
おひげが似合うムキムキのイケオジ戦士と言った風体で、その剣捌きも見事なもの。序盤はその斬撃に耐えられるモンスターはいない。
また、最強の「ホイミ」を使う事である意味有名。
プロローグでどこかのお城にいる夢を主人公が見るが一笑に付される。だがこれは事実であり、連れ去られた妻を探すため、王という地位を捨てて旅に出たお方だった。
しかし旅の途中で敵の組織である「光の教団」の罠におち、主人公を生かすために非業の最期を遂げる。
「ぬわーーっっ!!」

マーサ
主人公の母親。
ある力を持っていたため、主人公誕生のその夜に連れ去られた。
パパスは主人公にその事実を告げずに(おそらく既に死んだと伝えて)いたが、最後の最後でそれを伝える。
「母が生きている」ことは、主人公が奴隷となった時に唯一の希望の糧となり、その母を探すことは彼の人生における重大な行動理念となった。

サンチョ
パパスの旅のお供。その後は主人公にも仕えるなど忠誠心は厚い。
幼少期の時から登場しているが仲間キャラとして参戦するのは青年期後半になってから。
実はパパスの家臣の一人であり、彼ら親子の真実も勿論知っている。
リメイク版だと「くちぶえ」や「しのびあし」など人間キャラで唯一呪文以外の特技が使える個性的なキャラ。
モンスター勧誘のお供にどうぞ。
「ほぃい~キタ! がっちりくいこんだ!」だと? ……空耳だ。

ビアンカ
宿屋の主人ダンカンの一人娘。
主人公の二つ年上で花嫁候補その一。
主人公の幼なじみで8歳の頃に主人公と一緒におばけ退治をする。
その後、身体を壊したダンカンと共に田舎に引っ越すが、主人公のことは想い続けていた。
金髪で気の合う幼なじみのお姉さんタイプ。
物理も呪文もこなせるバランス系?…と言いたいところなのだが、
物理ではデボラに、呪文ではフローラに劣るせいで器用貧乏になり、
ルドマンの道中での差し入れも3嫁の中で唯一貰えない。
結果として純粋に戦力として見た場合、嫁候補の中では一番微妙。
一方で「SFCじゃ(花嫁は)ビアンカばかり選ばれると思った」と製作者が言うくらいに、
ビアンカを自然と選ばせるシナリオ作りとなっているので、それとの兼ね合いとも取れなくもない。SFCのパッケージでも主人公の横にいるし。

ベビーパンサー/キラーパンサー
主人公とビアンカが悪ガキから助けたベビーパンサー
主人公とビアンカは最初は少し不思議なネコだと思っていた。名前が候補から選べる。
とある事件で主人公と別れ、数年後に敵として再会する(倒すことができない)もあるアイテムを使うと主人公を思い出し再び仲間になってくれる。
PS2版までは他の個体のベビーパンサーが敵として出ていたため少し違和感が生じていたが、
DS版以降は敵のベビーパンサーの代役にプリズニャンが登場したことで違和感は解消された。

ベラ
少年期に出会う妖精の国の少女。
奪われた春風のフルートを取り返せる戦士を探して、人間界にやってきた。
子供にしか姿を見ることが出来なかったため、まだ幼い主人公へと協力を求める。
CDシアター版では、口調が結構やんちゃになっている。
青年期後半にも登場するが、「子供にしか姿を見ることが出来ない」という設定が明確に分かる演出が盛り込まれている。

フローラ
ルドマンの娘。
青髪でおしとやかなお嬢様タイプな花嫁候補その二。
芯が強い部分がある一方、かなり天然な部分も。
物理攻撃力は低いが賢さは高く攻撃呪文・回復呪文が得意な魔道士系。
MPが加入時からぐんぐん伸びるので呪文をどんどん使っていける。
自分の娘とダブルイオナズンが可能なのもフローラの特権。ルドマンからの差し入れも貰える。
ルドマンが溺愛しているが、実は彼とは血がつながっていない(だからこそ溺愛しているのだろう)。

デボラ
DS版で追加されたキャラ。
ルドマンの娘で花嫁候補その三。
黒髪で勝ち気なツンデレタイプ。
攻撃呪文はベキラゴン止まりだが、他の嫁候補より高い攻撃力を持つ。いわば戦士系で補助呪文も得意。
名義上のバランスタイプのビアンカよりバランスタイプしてるような
何気に速さが255まで成長しながらも女の身でありながらまじんのかなづちを装備できるトップクラスのメタルキラー。
DS版では会話システムが追加され、主人公を尻に敷きまくるドSっぷりを発揮するが娘を慮る一面も。

ルドマン
サラボナに住む大富豪。
家宝を継承するためのフローラの結婚相手を探しているが、試練を見事突破せしめた主人公の男気に強く感銘を受け、最終的に誰を選んでも家宝を渡してくれる上に最後まで全面的に主人公たちをサポートしてくれる豪傑。
フローラかデボラを嫁に選ぶと家宝だけでなく、旅の途中で差し入れまでしてくれるいい人。
祖先がとある大怪物を封印しており、単なる金持ちではなく強い使命感を持って行動している。この辺り主人公とウマが合うのだろう。
花嫁選択時に最初はルドマンとお手伝いさんを選ぶのは誰もが通る道。
「なんと この私が
好きと申すか!?
そ それはいかん!
もう1度考えて みなさい」

男の子
主人公の息子で双子の兄。下記の女の子共々、結婚相手により髪の色が変わる。
公式イラストではビアンカと結婚した場合が描かれていたが、男の子の姿を見て誰もがこれを想起した。
小さいもののベホマ、ベホマラー、ザオリクといった優秀な回復呪文も使え、主人公が装備できない作中一の壊れ武器のふぶきのつるぎも装備できる万能キャラ。力も当然255まで伸びる。
年相応に明るく活発。
実は彼は………。

女の子
主人公の娘で双子の妹。
兄と違って甘えん坊で内気な面があり、少しおませ。
しかし人の気持ちを察することのできる優しい子。
若干ブラコン気味なところがある。リメイク版ではかなり顕著に。
バイキルト、ルカナンといった補助呪文や、マヒャド、イオナズンといった強力な攻撃呪文を使える一方、肉弾戦は弱い。
嫁候補たちと違い、盾装備でみかがみの盾が装備できるのが利点。

ヘンリー
ラインハットの王子。
当初は生意気で「子分にしてやろうか」などと抜かすクソガキだったが、主人公と共に奴隷として10数年暮らした結果、丸くなり無二の親友となる。
一時的に旅の仲間にもなる。奴隷の服しかないという理由で奴隷服のままだが、本人曰く案外悪くないとかなんとか。
デールという腹違いの弟がいる。後継争いで微妙な関係とされていたが実際の兄弟仲はそんなに悪くない(ヘンリーが不貞腐れているだけ)様子。
下記にもあるが後にマリアと結婚しコリンズという息子を授かる。
ヤンチャなコリンズに対して本人曰く「まったく誰に似たんだろうな」「オレが子供の頃はもっとおとなしかった」というが…

▼マリア
主人公・ヘンリーと同じく奴隷だった女性。
元は光の教団の神官だったが、粗相を犯して奴隷に身をやつしていた。……ドジっ娘
兵士である兄の計らいで主人公らと共に脱出し、修道女となる。
後にヘンリーと結婚し、コリンズという息子をもうける。
なお、兄はその後死亡しているところが確認できる。兄貴ィィィィイ!!

▼プサン
某シェン選手のような風貌をしたヒゲメガネのオッサン。
20年近くトロッコでぐるぐる回ってたダメな人。
自称天空人を名乗っているが天空人共有の羽がないなどどこかイレギュラー。
しかしその正体は……

ゲマ
パパスを殺したホッホッホ怪人。
ジャミゴンズという部下を従えた、全プレイヤー最大の敵。
シリーズの中でもまさに悪役といったポジション。
ぶっちゃけこいつがラスボスくらいの勢い……だが原作ではその最後は割と空気。せめてその怒りをふんだんにぶつけてやりたいもの。
リメイク版だと更に出番と暗躍が増えたためますますラスボスが空気に…。
にしても部下の最期の見せ場すら奪うのは如何なものか…。
DS版ではボブルの塔で彼を倒した(原作と違い逃げられる)後、子供たちから主人公がとても怖い顔をしていると言及される。そりゃそうだろう。

ピピン
グランバニアの宿屋の息子。
亡き父の跡を継いで兵士になることが夢だった。
会話システムが追加されたリメイク版で最も輝いたキャラ。
呪文、特技を一切覚えない脳筋タイプだが地味に今作最強格の武器であるふぶきのつるぎを装備できる。


【余談】

初のSFC作品という事もあったのか、バグや仕様のミスが非常に多い事でも有名。
プレイヤーに有用な物で有名なのは「仲間簡単レベルアップ」や「ひとしこのみ」だろうか。
前者は当時から裏技として有名だったが、後者は発売から10年以上経ってから解析で発見された。(後者は条件や起きる事象からバグではなくデバッグ用操作という説が濃厚)
逆にプレイヤー不利の物は「重要アイテム消失」「敵のHP無限化」「ボロンゴバグ」辺りが有名か。
「敵のHP無限化」は全滅するしかなくなり*1、他は起きてしまうと進行不可になってしまう。
とはいえ有名じゃない物でも「倒した相手が『まもののむれ』の場合は絶対に宝箱を落とさない」*2という困る人は困るものも。

PS2版では上記のバグや仕様は当然無くなっているが、代わりにプレイ中にゲームディスクを抜き取る「オープントレイ技」があり、シーケンスブレイクを発生させられる場合がある。


追記がある、修正がある、良項目がある。

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最終更新:2025年08月02日 20:14

*1 正確には「HP2047ちょうどになった時、それ以上減らなくなる。」なので、ラスボスは「めいそう」で条件を外れる事はある。

*2 代わりにニフラムが殆どの敵に通る上、ニフラムで消した敵が宝箱を落とすこともあるので、『~たちの場合のみ宝箱を落とす可能性がある』と言い換えることもできる。ただしスラリンとクックルしか覚えないのでどちらかはパーティになくてはならない存在になり得る