グレイドル(遊戯王OCG)

登録日:2016/04/05 (火) 09:16:02
更新日:2025/04/05 Sat 11:43:06
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グレイドルとは遊戯王OCGのカード群および、それらのモンスターを中心としたデッキの事。
モンスターは水属性水族で統一され、宇宙人が体を軟体化させて別の生物に擬態しているような外見をしている。
名前の由来は宇宙人の一種とされる「グレイ」と、粘土人形「クレイ・ドール」と思われる。

デッキとしてはS召喚主体のカード群であり、モンスターのステータスは低めな方だが、
下級モンスターは共通してそれぞれ特定の手段で破壊されると相手モンスターのコントロールを奪取する強力な効果を持つ。
つまり、うっかり下手にモンスターを踏み抜いてしまうと、あっさり切り札が寄生されて寝返ってしまう。


A「よーし、モンスターを召喚だー!攻撃するぞー!」
B「じゃあ戦闘で破壊されたんでそいつもらいますね」
A「え!?」


また、装備状態のモンスターがフィールドを離れると、奪取されていた装備対象のモンスターは破壊される
つまり、《サイクロン》などで奪い返すことはできず、かなりの確率で1:1交換が成立する。
月の書》で裏返すと、相手の場に残ったままとなるので始末が悪い。


A「よーし、《サイクロン》で破壊だー!取り返すぞー!」
B「じゃあフィールドを離れたんでそいつ破壊されますね」
A「え!?」


効果自体はなかなか理不尽なもので侮れない。
コントロール奪取は基本的に強力な戦術であり、それが戦闘破壊・魔法・罠で破壊されるという簡単な条件だけで実現してしまう。
勿論、自滅しても問題なく効果は発動されるため、能動的に使うことも難しくない。

それでは、グレイドルに属するカード群を見ていこう。


【モンスター】


  • グレイドル・アリゲーター
星3/水属性/水族/攻 500/守1500
(1):自分のモンスターゾーンのこのカードが戦闘または魔法カードの効果で破壊され墓地へ送られた場合、
相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
このカードを装備カード扱いとしてその相手モンスターに装備する。
(2):このカードの効果でこのカードが装備されている場合、装備モンスターのコントロールを得る。
このカードがフィールドから離れた時に装備モンスターは破壊される。

戦闘と魔法カードで破壊された場合装備カードとなりモンスターを奪取する効果を持つ。
相手の除去系魔法の牽制にもなるが、相手がこいつを魔法で破壊しようとすることはまずないため、奪取を狙うには自爆特攻か自分の魔法カードで破壊する必要がある。
攻撃力が低い事に加え、サポートカードに《グレイドル・インパクト》という抜群のシナジーを持つカードがあるので、
基本的には自爆特攻はさせずに、《グレイドル・インパクト》とのコンボに使用される。
また、「魔法カードの効果」として扱われるP効果で破壊されても、奪取効果は発揮される。
今後のカードプールの変容次第では、ペンデュラムデッキの優秀な出張要員になることが期待される。
他にも攻撃力の低さを逆手に取り、《デブリ・ドラゴン》で蘇生させてシンクロにも繋げられる。

見た目はグレイが変身したワニ。外見だけなら攻撃力高そうだが。
後述の《グレイドル・パラサイト》を見る限り、《グレイドル・スライム》がクロコダイラスの身体を乗っ取った姿だと思われる。



  • グレイドル・イーグル
星3/水属性/水族/攻1500/守 500
(1):自分のモンスターゾーンのこのカードが戦闘またはモンスターの効果で破壊され墓地へ送られた場合、
相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
このカードを装備カード扱いとしてその相手モンスターに装備する。
(2):このカードの効果でこのカードが装備されている場合、装備モンスターのコントロールを得る。
このカードがフィールドから離れた時に装備モンスターは破壊される。


戦闘とモンスター効果で破壊された場合装備カードとなり、モンスターを奪取する効果を持つ。
下級グレイドルでは最も攻撃力が高いため、基本自爆特攻に用いられるのはこのカード。
他には、《グレイドル・スライム》の効果を用いることで破壊する使い方がセオリー。
別のテーマでも、《EMペンデュラム・マジシャン》のように自分のカードを破壊するデメリット効果を持つカードは多く、
複合デッキにおいてもコンボの構築に困ることは無い。
見た目はグレイが変身した鷹。



  • グレイドル・コブラ
星3/水属性/水族/攻1000/守1000
(1):自分のモンスターゾーンのこのカードが戦闘または罠カードの効果で破壊され墓地へ送られた場合、
相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
このカードを装備カード扱いとしてその相手モンスターに装備する。
(2):このカードの効果でこのカードが装備されている場合、装備モンスターのコントロールを得る。
このカードがフィールドから離れた時に装備モンスターは破壊される。

コブラじゃねーか!!

戦闘と罠カードで破壊された場合装備カードとなり、モンスターを奪取する効果を持つ。
《グレイドル・スプリット》では、装備する側でも、リクルートする側でも使え、相性が良い。
《グレイドル・コブラ》がいるときに好んで相手が破壊系の罠カードを使用することはまずない上に、
フリーチェーン罠カードの発動タイミング上、割り込んで特殊召喚するのには手間がかかるため、
基本的には自爆特攻か自軍の罠カードで破壊する使い方になる。
おとり人形》と併用すれば、暴発させつつ奪取できる可能性はあるが……
見た目はグレイが変身したヘビ。



  • グレイドル・スライム
チューナー・星5/水属性/水族/攻 0/守2000
「グレイドル・スライム」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが手札・墓地に存在する場合、自分フィールドの「グレイドル」カード2枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊し、このカードを特殊召喚する。
(2):このカードの(1)の効果で特殊召喚に成功した時、自分の墓地の「グレイドル」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。


グレイドルのチューナーモンスター。レベルは上級だが(1)の効果でフィールドに出しやすい。
(2)の効果で即座にレベル8シンクロに繋げられる利点もある。

特に、モンスター効果による破壊をトリガーに奪取できる《グレイドル・イーグル》とは抜群に相性がよく、
1.《グレイドル・イーグル》+もう1体を破壊して《グレイドル・スライム》召喚→《グレイドル・イーグル》の効果で敵カード奪取
2.(2)の効果でグレイドル蘇生→《グレイドル・ドラゴン》召喚
3.《グレイドル・ドラゴン》の効果でフィールド掃除→洗脳したモンスターと共にダイレクトアタック!

という戦術はグレイドル使いなら誰もが通る道。



  • グレイドル・スライムJr
チューナー・効果モンスター
星2/水属性/水族/攻 0/守2000
(1):このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地の「グレイドル」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
その後、この効果で特殊召喚したモンスターと同じレベルの水族モンスター1体を手札から特殊召喚できる。
この効果の発動後、ターン終了時まで自分は水属性モンスターしか特殊召喚できない。
(2):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。
デッキから「グレイドル」モンスター1体を特殊召喚する


インベイジョン・オブ・ヴェノムで登場した新顔のチューナー。
グレイドルでは珍しく展開力のある効果を持つが、
レベル5の水属性Sモンスターが少ないため、蘇生効果だけでは回しにくく、
シンクロを狙うなら、手札に下級グレイドルと同じレベル3の水族モンスターがいるときに使うのが望ましい。
蘇生したグレイドルと共に自爆特攻して、デッキから《グレイドル・スライム》やその他をリクルートする使い方もあるが、
何せ攻撃力が0なので…



  • グレイドル・ドラゴン
シンクロ・効果モンスター
星8/水属性/水族/攻3000/守2000
水族チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「グレイドル・ドラゴン」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがS召喚に成功した時、
そのS素材とした水属性モンスターの数まで相手フィールドのカードを対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
(2):このカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合、
このカード以外の自分の墓地の水属性モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。


グレイドルの切り札であるSモンスター。

S召喚時の破壊効果で相手の戦力を削り、破壊された時の特殊召喚効果で損失を補える。

チューナーが水族指定で効果も水族が関わるものばかりであり、
グレイドルでなくても水族でS召喚を用いるデッキには出張できる。

(1)の破壊効果は、チューナーである《グレイドル・スライム》がレベル5、Jrがレベル2であり、
その他下級グレイドルがレベル3であるため、普通に召喚した場合は破壊できるのは2~3枚。
もっとも、グレイドルと対峙した相手は、奪取を警戒してモンスターを温存させる傾向があるので、この枚数でも結構事足りたりする。
無論、《伝説の都 アトランティス》でレベルを引き下げたり、別の水族モンスターで召喚した場合はこの限りでは無い。

(2)の効果はモンスターの効果を無効化して特殊召喚する効果だが、
下級グレイドルであれば、効果は全て墓地から発動するためさほど気にならず、
蘇生したグレイドルで奪取したり、《グレイドル・スライム》で再びシンクロしたり、色々と悪用できる。





【魔法・罠カード】

  • グレイドル・インパクト
永続魔法
「グレイドル・インパクト」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):このカード以外の自分フィールドの「グレイドル」カード1枚と
相手フィールドのカード1枚を対象としてこの効果を発動できる。そのカードを破壊する。
(2):自分エンドフェイズにこの効果を発動できる。デッキから「グレイドル」カード1枚を手札に加える。


グレイドルデッキの要となるカード。
(1)の効果は魔法による破壊が効果のトリガーである、《グレイドル・アリゲーター》をコストにする使い方が基本になる。
《グレイドル・ドラゴン》の説明でも述べたが、グレイドル相手では敵のモンスターが温存される場合が多く、
奪取と破壊を両方成立させれば一気に攻め込む起点を作れる。
(2)の効果は万能サーチで汎用性が高いが、発動タイミングが遅いのが難点か。
どちらの効果も優秀だが、1ターンにごとに片方しか発動できないため、
状況をよく考えて臨機応変に使いたい。



  • グレイドル・スプリット
通常罠
「グレイドル・スプリット」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドのモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。
このカードを攻撃力500アップの装備カード扱いとして、そのモンスターに装備する。
(2):自分メインフェイズに、このカードの効果で装備されているこのカードを墓地へ送って発動できる。
このカードを装備していたモンスターを破壊し、
デッキから「グレイドル」モンスター2体を特殊召喚する(同名カードは1枚まで)。
この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。


攻撃力を上げる効果と2:2リクルートを実現するカード。
特に《グレイドル・コブラ》との相性が良いが、効率的な使い方は《グレイドル・コブラ》をコストにして奪取効果を発動させたあと
《グレイドル・スライム》+αをリクルートして《グレイドル・ドラゴン》をシンクロ召喚→破壊に繋げるか、
下級モンスター2枚を呼びだし、ランク3のエクシーズを行い、一気に畳みかける戦術だろう。



  • グレイドル・パラサイト
永続罠
「グレイドル・パラサイト」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時にこの効果を発動できる。自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
デッキから「グレイドル」モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。
(2):自分の「グレイドル」モンスターの直接攻撃宣言時に、相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。
相手フィールドにモンスターが存在しない場合、そのモンスターを相手フィールドに特殊召喚する。


自分のデッキからグレイドルを呼び出すだけでなく、
相手のモンスターを強制的に蘇生させるというトリッキーなカード。
どちらの効果もバトルフェイズに発動させるものであり、
もはや自爆特攻やれと言わんばかりのカードであるが、
単に奪取を狙うだけでなく、墓地肥しや墓地利用を封じれる等、使い勝手は良い。

因みに、イラストでスライムに襲われているのはクロコダイラス(初期のバニラモンスター)である。
のちに《グレイドル・アリゲーター》へと変貌していくのだろうと思われる。

  • グレイドル・コンバット
カウンター罠
(1):自分フィールドの「グレイドル」モンスター1体のみを対象とする
モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●その効果は「対象のモンスター1体を破壊する」となる。
●その発動を無効にし破壊する。

相手の使用するカードの効果を書き換える、もしくは効果を無効にできるカード。
1つ目の効果書き換えは、各種下級グレイドルの奪取のトリガーとなる、
モンスター破壊以外の効果を持つカードに使用するのが理想的。
なお、装備、永続魔法・罠に使用した場合、永続の特性は失われ、効果処理後に墓地に送られる。



【戦術】

『コントロールビート』と呼ばれる戦術が主軸であり、
相手の強力モンスターを下級グレイドルで奪取しながら戦い、
相手のモンスター層が少なくなったところで《グレイドル・ドラゴン》で一掃して勝負を決めるのがセオリーである。
奪取は特殊召喚に当たらないため、9期で人気だった特殊召喚封じのデッキにもある程度強気に攻めることができる。

近年の遊戯王は高速で強力なモンスターを出すデッキが多いが、少ないコストでこれらのモンスターを
コントロールできるのは大きなメリットである。
また、グレイドルの利点は、下級グレイドルのレベル・ステータスの低さを利用した小回りの良さであり、
低レベル・低ステータス限定のサポートカードを用意しやすく、戦略の幅は広い。

遊戯王においてコントロール奪取は敵の除去と自軍のアドを兼ね備えた強力な戦術として扱われており、
汎用性の高い奪取カードの数々は軒並み禁止行。環境に残っているのはそれらをデヂューンした新規カードやピンポイントなカードが多かった。
それだけに、少ない消費でコントロール奪取を連発できるこいつらは、カードプールにおける大きな価値を持つ。

ただし、《マクロコスモス》や《M・HERO ダーク・ロウ》などの無差別除外には滅法弱い。
それらを出されるだけでグレイドルモンスターが墓地に行かなくなってしまうので、対策は必須だろう。
加えて、マジェスペクターなど対象にならない効果を持つ相手は致命的に相性が悪い。

また、《SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング》に殴られると寄生してコントール奪取する効果が発動できなくなるので、こちらも天敵と言える。

以上のようにメタを張られやすいことから、デッキのメインとして使い難い一方で、
汎用性が高くリターンも大きい奪取効果から、他テーマのデッキに補佐として投入されていることも多い。
そのため「汎用出張要員」「優秀な2軍」という評価されてるんだかよくわからんポジションにいる。


【相性の良いカード】



  • グリズリーマザー
デッキのグレイドルを全て呼びだせるリクルーター。


  • 超量機獣グランパルス
超量のXモンスター。埋まってしまった魔法・罠ゾーンの整理に使える。


  • サルベージ
名前の通り、攻撃力1500以下の水属性2枚をサルベージするカード。


グレイドルの奪取効果は全て墓地発動なため、使いやすい。


  • スピリットバリア、一時休戦
自爆特攻のダメージを無効にするカード。


  • 伝説の都 アトランティス
全グレイドルのレベルを1下げるカード。純グレイドルでは《グレイドル・ドラゴン》の破壊枚数を底上げする程度だが、
餅カエル》や湿地草原などと組み合わせることで抜群な使い勝手を生む。


同じシンクロメインのテーマであることに加え、《グレイドル・スプリット》との相性が良い。
《輝竜星-ショウフク》は墓地とフィールドに《グレイドル・イーグル》があれば、
《グレイドル・イーグル》を破壊して奪取したうえにまた《グレイドル・イーグル》を蘇生させるという鬼畜のコンボを実現できる。


同じ水族であるグレイドルはアクアリウムの恩恵を部分的に受ける事が出来る。
特にアクアリウムを墓地に送った時のサルベージ効果でグレイドルを何度も使い回せるのが強力。
水族しか特殊召喚できないデメリットはあるが、グレイドルは水族だし、奪取は特殊召喚ではないため、気にならない。
また、アクアアクトレスは素のスペックが低いためグレイドルの奪取効果で
アクアリウムを揃えるまでの時間稼ぎができるし、低レベルであることを活かして、
《グレイドル・ドラゴン》の破壊枚数を増やしたりできる。
このように、お互いの特徴がカッチリと噛み合っている。


EXデッキを封じながら、相手が隙間を縫って出してきたモンスターをブン捕る複合デッキ。


グレイドルの奪取効果は、フルモンスターの弱点である特殊召喚封じや《スキルドレイン》の対策になる。


P効果で毎ターン自分のカードを破壊できるため、《グレイドル・アリゲーター》との相性が抜群に良い。
また、奪ったモンスターを素材に、《メタルフォーゼ・カーディナル》や《メタルフォーゼ・アダマンテ》を出せたりする。


壊獣を宇宙人が使役しながら敵を制圧するコンセプトの特撮感バリバリな複合デッキ。
単なるネタデッキと思いきや、相手に押し付けた壊獣を速攻で取り返したり、
奪取効果でその他モンスターを奪うことで『自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない』壊獣の弱点をカバーできるなど、
非常に親和性が高い。







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最終更新:2025年04月05日 11:43