登録日:2016/07/28 Thu 19:43:12
更新日:2024/12/31 Tue 21:58:08
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ウルトラマンタロウのおいたちは、『小学三年生』1973年5月号に掲載された、『
ウルトラマンタロウ』の特集記事である。
正式なタイトルは『
ウルトラ五兄弟が教える ウルトラマンTのおいたち』。
円谷プロ企画室長の満田かずほ氏が記事の監修を務めた。
◇概要
帰マン、
エースに続き、
ウルトラ兄弟6番目の弟として
彗星のごとくデビューを果たした
ウルトラマンタロウ。
従来シリーズに比べても、より幼年層の視聴者を意識した作風となった本作では、当然ながら主役ヒーローであるタロウに対しても、
初代ウルトラマンの有していた神秘性や、
ウルトラセブンのような異邦人としてのハードボイルドさとは全く異なる、
それこそ視聴者の隣に立つかのような「身近さ」が、とりわけ雑誌記事などでも意識された感はあるだろう。
そして、恐らくはその一貫として企画されたと思われるのが、この企画……
ずばり、
光の国で生まれ育ったウルトラマンタロウの幼少期、そして地球に来るまでのヒストリーに迫った記事である。
掲載誌の対象年齢、それこそ9歳くらいの児童層により「タロウ」というキャラクターを身近に捉えてもらうために用意された、
(地球人で言えば)読者と同じくらいの頃はタロウがどのような子供だったのか、
彼が宇宙警備隊でどのような活躍を収め、地球に派遣される事となったのかなど、
M78星雲・光の国における生活の情景などを通じて、タロウのバックボーンが深く掘り下げた内容となっているのが特徴。
掲載誌の発売タイミングからして、恐らくは『ウルトラマンタロウ』の番組開始直前、
もしくは放送再序盤ごろに購入者が読むことを想定していたと、文面からも推測できる。
本作は2003年刊行のムック『ウルトラ博物館』(小学館)において全ページが掲載されている。
それまでのシリーズで培ってきたウルトラマンの神秘性からあえて離れ、
主役ヒーローを「身近な」存在として児童層に受け入れてもらおうと試みた
当時の製作陣の意向を汲み取った小三編集部の力作記事、もし機会があれば一度目を通してもらいたい。
◆『ウルトラマンタロウのおいたち』内容紹介
まず最初にタロウの事を語るのは、彼の実父である
ウルトラの父。父は1万8千年前のタロウ生誕の瞬間を振り返る。
曰く、生まれたばかりのタロウは元気で大きな赤ん坊で、その声量の大きさには産み落した
ウルトラの母共々驚いたという。
産まれた時から小さな角が既に生えていたが、顔付きは従兄であるウルトラセブンそっくりだったと父は述懐する。
ちなみにイラストでは、生誕直後のタロウを取り上げる父を、セブンを始め親戚一同が見守る絵が描かれているが
番組放送直前だった事もあり、ウルトラの母の姿は人影に隠れて映らないよう配慮されている。
かくして、無事この世に生を受けたタロウは、すくすくと成長。
光の国の子供達は総じて成長が早いが、タロウはその中でも一際優れた片鱗を見せており、
生誕わずか2週間で歩きはじめ、一ヶ月が経過した頃には言葉を喋れるようにまでなったという。
もっとも根は普通の子供で、かなりの悪戯好きだったらしく、拳骨でコツンとするとすぐ泣きだして父を困らせたという……
続いてヒストリーを語るのは、従兄であるウルトラセブン。
セブンとタロウは三千歳しか齢の差がなく、小さい頃は二人でよく遊んでいたと振り返る。
(もっとも地球人で言えば、紀元前10世紀頃の統一イスラエル王国と、21世紀人くらいの差があるが……)
この頃のタロウは、
わずか8歳にして12トンもの巨岩を持ちあげるほどの力を制御しきれず、
乱暴なところを持った少年だったとセブンは述懐するが、それを憂いたウルトラの父が、宇宙から善良な怪獣を連れて来て
タロウに育てさせたところ、やがて彼は怪獣を可愛がるようになり、世話を通じて優しい気持ちの少年になったという。
シェルター、スーパーゴモラ「あ……? あ……?」
かくして、強い腕っぷしと、誰かを思いやる心を併せ持った腕白少年に成長したタロウは、
やがて齢が近い子供達に好かれるようになり、空中公園でのガキ大将として君臨するようになった。
無事にウルトラ学校へと進学したタロウ、この頃を振り返るのは実際に彼に教鞭を振るった経験のある古いウルトラマン。
彼がタロウを受け持っていたのは三千年前。
ウルトラの父の血を引くだけあり、タロウは勉学・体操ともに優れた技能を発揮する優等生だった。
得意のウルトラ体育ではよく先生に褒められ、子供オリンピックの飛行競争では優勝を果たすなどの成績を残し、
またその性格の優しさ故に、よく年少の子供相手に勉強を教えるなど面倒見の良さも見せていたという。
初代マンによると、この時代にタロウは遠足で地球に訪れたという。
タロウは地球の美しさに大層感激したそうで、再び地球を守りに赴く事になって嬉しいだろうな、とウルトラマンは締めた。
……なお、『
空想科学読本』シリーズ著者の柳田理科雄氏も、この話題を取り上げて指摘しているが、
三千年前の地球は
日本で言えばまだ
縄文時代真っ只中。すっかり様変わりした地球を見てタロウは面食らったに違いない。
腕白坊主もすっかり優等生に成長し、遂に学校卒業の時を迎える。解説するは彼の義兄
ウルトラマンエース。
タロウとは兄弟同然で育ったエースは、彼のウルトラ学校における成績についても詳しく熟知しており、
その成績は平均して高水準、特に
ロボット学やウルトラ怪獣学、ウルトラ体育を得意としていたとエースは語る。
曰く、エース自身は体育が苦手だったので、好成績を維持していたタロウが羨ましかった模様。
肥満児故か。
- 成績表の最終結果
- ウルトラ語:80点
- ウルトラ数学:90点
- 宇宙怪獣学:100点
- ロボット学:100点
- 大宇宙史:95点
- 宇宙地理:95点
- 変身学:90点
- ウルトラ体育:100点
- 合計:750点(満点:800点)
エースが語るには、彼の最終成績は735点。タロウはそれを15点も上回る好成績で卒業を果たしたのだ。
地球に行くためには、700点以上の成績が必須とのことだが、そのハードルを難なく乗り越えたタロウは、
見事、名誉ある地球派遣任務に就く事となったのだ。
ちなみに、『ウルトラマンタロウのおいたち』以外の記事でも、他の兄弟に関する総評を見る事が出来るのだが、
それによるとゾフィーは変身学のみ90点だがそれ以外はウルトラ学校最優秀成績の790点、
前のウルトラマンはウルトラ語に秀でた成績を出して735点、
セブンは全体的に他の兄弟よりも成績を落とした665点(体育の優秀さから特別に地球派遣が許可された模様)、
新ウルトラマンは怪獣学で優秀成績を叩きだして715点、
エースは開校以来最高の秀才と評されながらも体力の無さで減点されて735点……とのことらしい。
ウルトラ兄弟のラストを飾るのは、
帰ってきたウルトラマン。彼は、ウルトラ学校卒業後のタロウの活躍を語る。
タロウは、卒業後も自身の技を更に磨くべく、宇宙の様々な星に渡って悪い怪獣を討伐する日々を過ごしていたという。
まず最初に向かったのはL・P372星雲。目当ては、200万トンの超重量を誇る凶悪怪獣
デスガドン。
同星雲の宇宙警備隊支部も手を焼いていたデスガドンだったが、タロウはスワローキックと
ストリウム光線でいとも簡単に退治。
(ちなみに挿絵ではタロウが
ストリウム光線でデスガドンを倒す場面があるが、腕の構えはどうみても
メタリウム光線……)
その次には、アンドロメダ星雲に潜む大怪獣ダイヤキングと対峙。
タロウはダイヤキングも、戦いの末に宇宙の刑務所・怪獣墓場へと連行することに成功する。
帰マンはこの頃、絶賛地球で戦っていた真っ最中だったが、人づてでタロウの活躍の噂は耳にしていたそうで、
彼の戦いぶりを聞いてとても力強く思ったと締めるのだった。
ウルトラ兄弟が一周し、アンカーを務めるのは何を隠そう、この春から地球に向かうウルトラマンタロウその人。
彼は自身が地球に派遣される切っ掛けとなった事件として、読切『
ウルトラ6ばんめの弟はだれか?』でも語られた、
光の国のプラズマ核融合装置前における怪獣ギロンガとの戦いを振り返る。
タロウもまた、ゾフィーの推薦で地球派遣任務に選ばれた時は、飛びあがって喜ぶほどだったと述懐した。
最後に、地球における姿が「
東光太郎」という勇敢で優しい青年に決まり、彼と合体することを読者に語ったが、
後にTVで放送される光太郎との合体は「
とってもくるしいんだぜ。今から、ちょっと心ぱいしているんだ。」と胸の内を明かす。
地球の子供達も注射や歯医者を怖がるように、これまで万能超人ぶりの武勇伝が語られてきたタロウであっても、
読者たちと同じ、怖いものはあるということなのだろう。
タロウの生誕から地球派遣まで一通りのヒストリーを語り終え、最後に兄弟達からの応援・激励の言葉が贈られる。
ウルトラマンA
「
地球をまもるのは、とってもつらい。でも、けっしてくじけちゃいけないよ。
それから、たまには月にいって夕子にあってくれよな」
本当です!信じてください!
ちなみに夕子はタロウから行かずとも、後々向こうから会いに来ている。
帰ってきたウルトラマン
「
ウルトラブレスレットを使いすぎてはいけない。くせになって、かんじんのときこまるぞ」
肝心の時にブレスレットに頼って手痛い結果になった事を考えると、重みのある言葉である。
とはいえ、タロウもタロウで強敵が続出したために、付けるブレスレットの数を増やすことになるが……
ゾフィー
「
これからは、ピンチでもあまり助けにいかないことにしたから、気をつけてたたかってくれ」
もっとも実際には
バードンに
テンペラー星人、
タイラントといった強豪の出現が相次ぎ、そういう訳にもいかなくなるのだが。
結果、一度はゾフィーすらも落命してしまうという結果に……
ウルトラマン
「
ずるい怪獣や宇宙人にだまされないようにして、がんばれ」
良く言えば人間臭く、悪く言えばずる賢い敵も多くなってきた『タロウ』怪獣。警告は決して的外れではないだろう。
ウルトラセブン
「
きみの技は、みんなすばらしいけど、超獣より強い怪獣にきくかどうか心ぱいだ。
どんどん新しい技をくふうして、怪獣たちにまけないようにしてくれ」
光線技・格闘技ともに多彩な戦い方を見せるタロウ。単身地球で強敵たちと戦い続けたセブンからの的確なアドバイスである。
もっとも、
翌年に彼に待ち受ける運命を考えると、この親心はむしろ
タロウの後任に向かう事になるのかもしれない。
兄達の声援を受けたタロウもまた、感謝の言葉を返し、光の国より地球へと飛び立つのであった。
こうして誕生したウルトラ兄弟の新たな弟・ウルトラマンタロウ。果たして地球では、鬼が出るか蛇が出るか……
追記・修正は、ウルトラ学校で700点以上の成績を叩きだしてからお願いします。
- 縄文時代にやってきたことがあるってことは、世界観が重なってればティガと出くわした可能性があるな -- 名無しさん (2016-07-28 20:47:22)
- これはこれでヘラクレスのようなギリシャ神話っぽい感じが出てる気がする -- 名無しさん (2016-07-28 21:05:41)
- レオの時期の「ウルトラ大とうろん会」も面白かったな -- 名無しさん (2016-07-28 21:55:37)
- エースはアホの印象あったけど、考えてみたらほとんど北斗の影響か -- 名無しさん (2016-07-28 22:13:20)
- !?>従姉であるウルトラセブン -- 名無しさん (2016-07-29 09:04:30)
- 地球人との融合は苦しかったのか…衝撃の真実 -- 名無しさん (2016-07-29 15:56:42)
- セブンは元観測員なのに宇宙地利75点しか取れてないし体力優秀って免除って…ゾフィー兄さんが変身学で満点取れなかったのは良い設定だと思う -- 名無しさん (2016-07-29 18:29:39)
- 右欄だと「ウルトラマンタロウのおい たち」って切れるから「タロウに甥がいる・・・しかも複数」って一瞬なった -- 名無しさん (2016-07-29 22:57:00)
- ↑8 中身がアムイだったらティガと意気投合したなタロウwww -- 名無しさん (2016-07-30 08:58:56)
- ここにトレギア混ぜてもそこまで違和感ないな。 -- 名無しさん (2020-10-29 15:12:10)
- この学校で好成績を出してたりするころに、トレギアさんと会ってたのだろうね…完全に後付け設定だけど。 -- 名無しさん (2020-11-13 13:01:44)
最終更新:2024年12月31日 21:58