メタリウム光線

登録日:2022/12/31 Sat 10:20:39
更新日:2025/06/11 Wed 23:02:24
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テェーン!!




とは、ウルトラマンエースの必殺光線。
ウルトラ兄弟次男ことウルトラマンスペシウム光線に相当する技でもある。


【概要】

右腕を縦にし、左手を右肘の下に付けたL字の構えに組んだ後、プラスとマイナスのメタリウムエネルギーを交差*1させて発射する、所謂ワイドショット型の光線。
エースはウルトラ兄弟の中でも多彩な光線技の使い手として有名だが、そのエースの使用頻度が最も高い光線技でもある。

光線の色は赤・白・青と赤と青の2色が入り混じったパターン。
いずれも、従来の白/青一色のイメージの強いウルトラ戦士の光線技の概念を覆すもの。
発射する際のポーズも独特で、(一部客演を除いて)上半身を左側に大きく捻ってから勢いよくL時に組んで、投げつけるように発射する。
発射前にモーションを取る流れは、ウルトラマンタロウストリウム光線以降、様々なウルトラ戦士にも引き継がれている。
客演の度に光線がのように光る演出に変化しており、当時と比較して光学技術の進歩を感じさせる。

温度は35万℃で、ウルトラマンパワードのメガ・スペシウム光線(着弾時1億℃/発射時は100万℃)、ゾフィーM87光線(87万℃)、タロウのストリウム光線(45万℃)に次いで高い。
しかし、これを喰らった相手はほぼ木っ端微塵に吹き飛ぶため、インパクトは大きい。

ウルトラ6兄弟の力を宿したウルトラマンギンガストリウムも使用可能。
その際、エースの幻影がギンガストリウムに重なり、大きく捻るポーズの後でL字に組み合わせる事で発射される。

ちなみに「メタリウム」という単語は「メタモルフォーゼ(変化、変身)」に「スペシウム光線」「エメリウム光線」を組み合わせた造語。

エース本人以外では、エースの模造品であるエースロボットも使える。
しかしエースキラーには通用せず、逆にウルトラ兄弟の必殺技のフルコースを叩き込まれて爆散した。


【派生技】

スーパーメタリウム光線
スノーギラン戦とシグナリオン戦で使用した強化版。
見た目は通常と変わらないが、発射時のモーションがやや異なる。
発射前に両手を腹の部分に交差させた後、大の字に構える事でエネルギーをチャージ。
その後、通常のメタリウム光線と同じように左側に大きく捻り、L字に構える事で強力なメタリウム光線が発射される。

スペリオルストライク
映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』にてギガキマイラに放った、8兄弟の得意光線を一斉に浴びせる合体技。
内容はウルトラマンティガゼペリオン光線ウルトラマンダイナソルジェント光線ウルトラマンガイアクァンタムストリームウルトラマンメビウスのメビュームシュート、
初代マンとウルトラマンジャックのスペシウム光線、ウルトラセブンのエメリウム光線、そしてメタリウム光線。
これだけでも十分豪華絢爛なのに、劇中ではギガキマイラの放つ破壊光線デザスタル・バーストを止めるために使われた牽制技というのだから驚き。

ウルトラスペリオル
こちらも『超ウルトラ8兄弟』より。
8兄弟の得意光線を、今度は一つの光線に収縮させる合体光線。
ギガキマイラにトドメを刺した。

メタリウム光線(グリッターバージョン)
これまた『超ウルトラ8兄弟』にて、ウルトラマンを応援する人々の声を受けてグリッター化したエースの必殺光線。
共にグリッター化した他の7人の必殺光線による合体技・スペリオルマイスフラッシャーで巨大影法師を消滅させた。

メタリウムバースト
ウルトラマン超闘士激伝』で披露した、メタリウム光線の強化技。
メタリウムエネルギーを右拳に集めた後、地面に叩きつける事で全方位に衝撃波を発生させる。
第2回銀河最強武道会にて、対戦相手のエースキラーに大打撃を与えたものの、ループ星人ヤンドの提案で発生した電磁フィールドデスマッチだったのが運の尽き。
メタリウムバーストの直撃で、エースキラーが電磁フィールドネットに直撃する前にエースが彼を庇ってしまったため、結果的にエースキラーの勝利となった。

W(ダブル)メタリウム光線
この技も『ウルトラマン超闘士激伝』で披露。
エースキラーR(リベンジャー)との合体技で、2人同時にメタリウム光線を発射する。
この時、エースキラーRはエースと鏡映しのモーションと構え方を取る。
マザロン人の幽霊が変貌したジャンボキングに向けて使用するが、まったくの無傷だった。


【主な使用相手】

ベロクロン
記念すべき初使用相手。
パンチレーザーで口を攻撃後、そのまま頭部目掛けて放ち、見事に止めを刺した。
この時ベロクロンは爆発せず、そのままビルを巻き込んで倒れ込み、息絶えている。

カメレキング
翼をもぎ取った後、そのままメタリウム光線を発射。
これを受けたカメレキングは木っ端微塵に吹き飛んだ。

ガラン
タイマーショットで右腕を焼き切った後にパンチレーザーで全身を焼き尽くし、そのままメタリウム光線で木っ端微塵にした。
いわゆるオーバーキルの始まりである。それだけ超獣が恐ろしい生体兵器であり、倒すのに躊躇してはいけない事の表れであろう。
巻き添えになった操り主こと怪奇漫画家・久里虫太郎はご愁傷様だが。

ドラゴリー
エースパンチで後のところてんマグナムよろしく右腰部に風穴を開けた後にエースブレードで首を切り落とし、メタリウム光線で跡形もなく吹き飛ばした。
それにしても容赦ない。

ホタルンガ
TACの超獣粉砕ミサイルV7が頭部に直撃。
その隙を突いて、背中目掛けてエースのメタリウム光線が炸裂。そのまま木っ端微塵に吹っ飛んだ。

ブラックサタン
石油タンクをぶつけてタイマーボルトで攻撃後、石油を直に浴びたブラックサタンは大炎上。
そのままメタリウム光線で攻撃後、粉々に吹き飛んだ。
先述のガランに負けず劣らずのオーバーキルである。

巨大ヤプール
異次元での決戦で巨大ヤプールの怨念に苦戦するが、これを振りほどき肉弾戦に移行。
やがて互いの光線技の撃ち合いに持ち込まれ、巨大ヤプールの光線をはじき返したエースは、メタリウム光線でトドメを刺した。
しかし、爆散する際にヤプールは「地球の奴らめ、覚えていろ! ヤプール死すとも超獣死なず! 怨念となって必ずや復讐せん……!!」の呪詛を残している。
この言葉の通り、ヤプールの怨念は形を変えて地球人や北斗星司=エースを苦しめる事になる……。

マザロン人
フラッシュハンドで会心の一撃を決めた後、メタリウム光線を炸裂。
マザロン人はそのまま倒れ込み、息絶えた。

スフィンクス
頭部をエースブレードで切り落とした後、タイマーショットで身体を破壊。
さらにオリオン星人の乗るピラミッドごと頭部をメタリウム光線で破壊した。
ドラゴリーばりに容赦ないな!

ジャンボキング
『A』本編における最後の使用相手。
メタリウム光線で頭部に致命傷を与えた後、ギロチンショットを放ち、息の根を止めた。

ウルトラマンレオ
『レオ』38話で使用し、昭和シリーズで最後に倒した相手。
レオキックを回避したところに初代マン、ジャックの同時シネラマショットと共に放って昏倒させた。

ルナチクス
ウルトラマンメビウス』第44話「エースの願い」にて。
肉弾戦を繰り広げ、CREW GUYSの援護を受けた後に発射。見事爆殺した。

ビクトリーキラー
『ウルトラファイトビクトリー』にて。
飛び上がってエメリウム光線やスペシウム光線を回避した後、メタリウム光線を発射。
ビクトリーキラーもM87光線を発射するが、ほぼ互角で相殺された。

バラバ
ウルトラマンZ』第19話「最後の勇者」にて。
鼻からのミサイルをエースバリヤーで防ぎながらアロー光線で牽制し、バリヤーを投げ捨てる際に体を捻ってそのままメタリウム光線の発射へと移行。
バラバもそれに対抗して目からの怪光線・スネークヘルサンダーで対抗するが、撃ち合いの末に怪光線は消滅し、バラバは大ダメージを受けた。
これにはウルトラマンゼット「すごい……!」と感嘆していた。

なお、『Z』のエース客演回については辻本貴則監督の意向で、必殺技使用時にはライブラリに収録されている故・納谷悟朗氏の掛け声ではなく、
『A』で北斗役を演じ、客演回では北斗役と(会話する際の)エースの声を担当する高峰圭二氏が当該必殺技名を叫ぶという演出になっているが、
それはメタリウム光線使用時も例外ではなく、「メタリウム光線!!」と叫んだ後にメタリウム光線を発射している。
設定上は「ゼットに戦いを教えるため、敢えて技名を呼称している」という事になっている。


【メタリウム光線が効かない・無効化された相手】

アリブンタ
5話目にして早くも出現した、メタリウム光線が通じない超獣。
この後、アリブンタを操っていたギロン人が現れ、罠に閉じ込められるものの、
ゾフィーが駆けつけた事により地底からの脱出に成功し、最後はゾフィーとの連携で2体に勝利したのだった。

ブロッケン
紙一重でメタリウム光線を回避し、逆に背中からの怪光線で大ダメージを与える。
「立て!撃て!切れ!」がなかったらやばかった。

エースキラー
メタリウム光線をはじき返し、スペシウム光線とエメリウム光線のつるべ打ちでエースを追い詰めた。

ブラックピジョン
腹部の口からメタリウム光線のエネルギーを吸収。
その後、腹から光線を発射して反撃した。

バクタリ
こちらは効かないというよりは、発射をキャンセルされた例。
セブンが静止し、エメリウム還元光線でバクタリを動物園のバクに戻した。

ファイヤーモンス
ファイヤー星人から授かった炎の剣でメタリウム光線を受けきり、胸を貫いて一度はエースを倒す。
その後、セブンに救われたエースは、二度目の戦いにおいても再び窮地に追い込まれるが、TACの援護でファイヤーモンスは撃破された。
ファイヤー星人もまた、自らの武器である炎の剣で脳天を突かれ、メタリウム光線を受けて爆散するのであった。

タイラント
ゾフィー、初代マン、セブン、ジャックを葬った合体怪獣
エースもメタリウム光線を放ち迎え撃つが、腹部に吸収されてしまった。
この時、タイラントはジャックのスペシウム光線を二度も吸収しているが、メタリウム光線を吸収した際に爆発が巻き起こっていた事から、
「地球におけるタロウとの戦いで負けたのもメタリウム光線のダメージが大きかったのではないか?」と思われる。


【余談】

メタリウム光線が世に出る前、ウルトラシリーズの光線技は白で統一されていた。
これはシリーズで光学作画を手掛け、スペシウム光線を生み出した飯塚定雄氏のこだわり。
飯塚氏は「光線には、悪い奴が出す破壊の光線と、それを防ぐ良い奴の光線の2種類がある。正義の光線は白だ」と、スペシウム光線に色を付けようとしたスタッフにも釘を刺したと言われる。

そんな中、メタリウム光線は東宝映像の宮西武史氏によって極彩色な光線となった。
宮西氏は『ゴジラ』シリーズの合成技術も手掛けており、このエフェクトは川北紘一氏も『ゴジラ対メカゴジラ』に携わる際にメカゴジラのスペースビームを生み出す際の参考になった」と公言している。



追記・修正は上半身を大きく捻ってからお願いします。

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最終更新:2025年06月11日 23:02

*1 日本コロムビア『ウルトラ必殺技大百科 ウルトラマンA編』にてこう解説されている。