ノロイ(ガンバの冒険)

登録日:2018/01/22 Mon 02:15:00
更新日:2025/04/23 Wed 22:11:07
所要時間:約 10 分で読めます





画像出展:ガンバの冒険(1975年4月7日~9月29日) 第20話「白イタチノロイを見た!」より
@製作・著作 トムス・エンタテインメント


ようこそ…薄汚いネズミどもよ。ようこそ。

私がノロイだ。

ようこそ…ようこそ…

さあ、私は君たちを歓迎する。ゆっくりと歓迎する…



ノロイとは、日本テレビ系アニメ『ガンバの冒険』に登場する白イタチであり、ラスボスである。
CV大塚周夫(アニメ版)/野村萬斎(3DCG映画版)


【概要】

メインキャラクターである忠太の故郷の島を荒らし、ネズミを殺戮して暴虐の限りを尽くす凶悪なイタチ達の長。それがノロイである。
今作におけるイタチは、主人公達の種族であるネズミを苦しめる不俱戴天の敵とも言うべき間柄にある。

通常のイタチの三倍はある巨体*1と雪のように輝く純白の体毛、血のように赤い目のアルビノイタチ。
不気味な笑い声にも似た鳴き声が特徴的。
劇中の圧倒的存在感やビジュアル、なによりも大塚氏の不気味な怪演と悪意の塊みたいな性格から、今なお日本アニメ史上屈指の恐ろしい悪役とまで恐れられる最凶最悪のイタチである。



【そもそもガンバの冒険って?】

かなり古い作品であるので知らないアニヲタもいる可能性があるため、簡単ながら解説を挟む。
原作は斎藤惇夫氏が書いた小説『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』。
この作品を基に東京ムービー(現:トムス・エンタテインメント)が1975年に制作・放映した児童アニメこそ『ガンバの冒険』(全26話。当然ながら完結済み)である。
人間っぽくデフォルメされた小さなネズミ達を主役とし、個性豊かな可愛らしいネズミたちが知恵と勇気を振り絞って冒険の旅に赴き強大な敵に立ち向かう冒険活劇アニメの名作。
昔はアニメ番組の再放送が現在よりも盛んに行われており、本放送のリアルタイム視聴者でなくとも幅広い世代に親しまれているアニメ番組というものは沢山あった。本作もその一つである。

この手のアニメでは珍しく本作は全編がネズミの視点で描かれているため、人間は「恐ろしいほど巨大な生物」というイメージで統一されているため殆ど出て来ない。
しかしその存在感やキャラの濃さは人間のキャラクターに負けることは全くない。

ただし児童アニメだからといって油断していると残酷な展開や殺伐とした無情な展開が容赦なく登場人物と視聴者に襲い掛かる。
そして、今作の陰鬱な描写の大半を一手に引き受けるのがラスボス・ノロイというわけである。



原作小説ではフィジカル面ではむしろ普通のイタチに劣り、そもそもリーダーではなく知恵者ポジションの、「ガンバたちと同じ比率で擬人化されたただのイタチ」だったのだが、アニメでは大ハッスル


【性格】

残虐非道にして冷酷非情。そして極めて傲慢、残酷、狡猾な外道。
その一方で言葉遣いは深い知性を窺わせるかのように非常に丁寧。
また同じ単語を繰り返し言う癖がある。

主人公ガンバ達ネズミを「いつでも殺せる薄汚いネズミ」と露骨なまでに見下して侮蔑し、弱者をいたぶって殺戮することを何より好む狂気的な一面を持つ。
ネズミが人間同様衣服を着て博打や娯楽を楽しみ、武器を振るったり砦すら築くほど高度な知性を得ている本作だが、そんな世界観でも異質な程にずば抜けた知性の持ち主で、
ネズミたちをあるときは純粋な暴力で、あるときは群れを従えて、またあるときは陰湿な策略でと、あの手この手で少しずつ心身共に追い詰めては殺してゆく生粋のサディスト。
劇中では主人公ガンバを一息に殺さず、鋭利な爪で弄ぶように切り刻んでいたぶり愉しむ残酷極まりない所業までして見せている。

この残虐性はネズミのみならず、野鳥などの自分より弱い生物には誰であろうと牙を剥く上に、
群れとして生きていくうえで明らかに不必要で過剰な数のネズミを殺戮していることから、ノロイにとっての他生物の殺戮は己が快楽を得るための行為と考えるべきだろう。

知性の高さは策謀面のみならず、ネズミたちの言葉を介してガンバ等ネズミとコミュニケーションを取れるほど。
ただし前述の通りネズミの存在は徹底的に見下している関係上、意思疎通は出来ても和解の類は不可能。
劇中での


まだまだ殺すな。いつでも殺せる。ゆっくり殺せ。楽しく殺そう。薄汚いネズミどもを……


という歌のようなノロイの配下に対する呼び声はノロイの残虐性を象徴するワンシーンである。
また作中描写からノロイの群れは様々な場所を転々としながらネズミを殺戮していた模様。
おまえのような野生動物がいるか!

またナルシストの気があるのか、自分の体色と同じ白を何よりも美しいと捉え偏執的に執着する独特の美意識を持つ。
もし部下がノロイの好みの白い物を穢してしまった場合、


お前達はこの世で一番美しい白い花を穢した…!
分かっている筈だな!?白を穢した者がどうなるか…!!


とまるで自分自身を汚されたかのように怒り狂い、花を穢した部下のイタチに容赦ない制裁を加え処刑している。


生きるためにネズミを狩る訳でもなく、人間に影響された訳でもネズミに恨みや憎しみ、トラウマがある訳でもなく、ただ「ネズミを殺すこと」自体がノロイの楽しみであり悪行の動機という、嫌な方向で人間臭い生粋のシリアルキラー。
それがノロイの本質である。



【戦闘能力】


逃げるがよい…私の爪から逃げ切れるものなら逃げるがよい…

カカカカ……

ネズミたちから「白い悪魔」と恐れられるその力はすさまじく、
規格外の巨体が繰り出す爪の一振りは自分より大きなを殺傷し、岩すら一撃で削り取る怪力の持ち主。
あと魔物でもファンタジーな血を引いている訳でもないのに何故か催眠術まで使える。
極彩色に変化するノロイの眼光を直視し催眠術の術中に嵌ってしまったガンバは、無抵抗のままノロイに散々痛めつけられ切り刻まれて弄ばれてしまった。
この残虐な行為はノロイ曰く「歓迎のあいさつ」である。

長らしく群れを率いることも得意で、陰湿で冷酷な性格と合わさった優れた狡猾な知能による謀略と統率力こそがノロイ最大の脅威。
統率したイタチ軍団と自身の狡猾な頭脳を駆使することで疾走する馬を容易く仕留めたり、巧みにネズミたちを心身ともに追い詰めていく事を好む。
最早ここまで来ると動物というより魔王と呼ぶ他ないだろう。まあネズミ達にとってノロイは魔王以外の何者でもないだろうが。

一応イタチらしく硫黄臭を忌み嫌っており、硫黄の臭いが漂う場所には近づこうとしない弱点があるが、そんなことは気休めにしかならない。


【劇中での行動】

初登場は20話。
ノロイの群れが支配する「ノロイ島」に上陸し、イタチの群れに追われるも何とか凌いだガンバ達の目の前に堂々と出現。
催眠術を駆使してガンバを徹底的にいたぶり弄ぶ舐めプを披露し、
更にイタチを指揮しての挟み撃ちにしたり、ガンバ達を渦潮の渦巻く崖に追い詰め自殺を強要するというド外道な手法を見せガンバを追い詰めていく。
ラスボスとの遭遇の開幕早々コレである。



私が硫黄の臭いが嫌いだと知って火口へ逃げ延びたネズミ共よ…
そこにいる間はまだいい…。だが一歩たりともそこから出てみろ。
私はお前達を必ず殺すぞ、必ず殺す!!
カカカカカ……!

23話では己が嫌う硫黄の匂いが漂う火山付近に砦を築いて勢いづくネズミたちを追い詰めるため『とある一計』を講じる。
それは配下と共に島中のネズミたちをわざとガンバたちの砦に追い立てていき砦の人口を過剰な状態にしておいて、
更にネズミの兄弟に目を付けて人質に取ることで兄をイタチ側の内通者に仕立て上げておき、
ダメ押しで内通者の兄にわざと砦の食料を破壊させることで食料を奪うと同時に不和を発生させることで、
ネズミ軍団の士気及びチームワーク破壊と砦の機能停止を同時に行い、飢えに耐え兼ね砦から出てきたネズミを皆殺しにしていくというド畜生極まりない陰湿な兵糧攻め作戦であった。
というか児童アニメでガチの兵糧攻めを実行させておまけに成功させるな

この策は見事に的中。
ネズミ軍団のチームワークはガタガタとなり、食料も失ったことでネズミ達は砦を捨て再び逃避行することを余儀なくされてしまった。
なお不幸にも裏切り者となってしまった兄・太一を配下のイタチは殺そうとしていたがノロイはこれを静止している。
理由としては


仲間を売ったヤツなど殺す価値もない…

放っておいてもいずれ野垂れ死にする!裏切り者には帰る所はないからなァ……カッカッカ…


という考えから。温情と呼ぶのもおこがましい鬼畜の死体蹴りであった。
おまけに人質の弟は捕まってる間ノロイにいたぶられて瀕死という情け容赦ない追い打ち付きである。
おまえ本当にイタチか…?




続く24話では砦を捨てノロイ軍団の追っ手に追われ、食料もなく消耗しきったネズミ軍団に


勇者達よ、戦いはやめよう!

あなた方は真の勇者だ。
かってイタチ族にこれほどの勇気を持って立ち向かったネズミを私は知らない。我々は心からあなた方の勇気に敬服した!
そしてこれ以上無益な戦いを続ける愚かさを悟ったのだ。
あなた方はもう十分に戦った。
我々は勇者をもてなすに戦いをもってしようとは思わない。
勇者には宴こそ似合いのものだ。
共に手を取り歌って、美酒を酌み交わそうではないか……


有り余る豊富な食料を見せびらかして優しげな言葉で停戦を呼び掛けるという、これまでのノロイの行動や性格を知っていれば明らかに罠としか思えない策を展開する。
当然ガンバ達は罠と見破るも、言葉巧みなノロイの話術と交渉術もあって食料もない逃避行により消耗しきったネズミ達には効果抜群。
食料欲しさに停戦を受け入れようとする意見が高まり、ガンバ一行と停戦派との間が険悪化しネズミ軍団は内部崩壊寸前まで追い込まれる。
その時、かつて殺す価値も無い裏切り者と見下された太一が囮としてノロイに接近。
太一がノロイに攻撃を仕掛けた結果、配下がノロイを守ろうと飛び出したことで伏兵の存在が明らかになり、ノロイの策謀は瓦解する。


馬鹿めェ!命令するまで出るなと言った筈だァ!!

ノロイ……とうとうしっぽを出したな。もうこれでゲームは終わりだぜッ!ハッハッハッハッ!

…ッ!殺せェッ!!

うう…みんな…よく…見ておけ…
これがノロイの本当の姿だ……ぐわぁあああああああああ!!


見下していた裏切り者に自慢の策を覆され、激昂のまま太一を部下に惨殺させると、物語は一気に最終決戦にもつれ込んでいく。

今夜の作戦は失敗に終わった。だがお前達の勝利もこれ切りだ
明日の晩また来ようッ!
その時こそお前達の最後の夜となるのだッ!



最終決戦ではを泳いで別の島に逃れたネズミ達を追って部下のイタチ軍団とともに追跡し囮のガンバ達に襲いかかるが、
ガンバの仲間7人が己の命を丸ごと囮に使うという決死の策に配下のイタチ諸共引っかかってしまい、噛みついたガンバもろとも大渦巻きに巻き込まれていく。
こうしてネズミとイタチの長きに渡る戦いは終焉を迎えた。


白イタチ…ノロイは死んだ…手下と一緒に渦に巻かれて死んだ…。
オレ達は勝ったんだ…堂々と戦ってオレ達ネズミはイタチを全滅させたんだ。
大勝利さッ!万々歳さッ!!
こんなメデてぇことはねぇ…こんな嬉しいことはねぇ…。
なぁ…ガンバよぉ…ガンバよぉ…ガンバよぉおおおおおおッ!!
…ガンバ…ガンバよぉおおおおおおおおおおッ!!!

……信じない。私は信じない。ガンバが死んだなんて信じない…
………信じなぁあああああああああああいっ!!

……ヘヘヘヘッ!朝だッ!朝だッ!朝だいッ!
気持ちのいい朝だぜッ!ハッハハハ!…ハハ…ハハ…!
…見ろいッ!綺麗な朝日じゃねぇかよぉ…ッ!!


ガンバの仲間であるヨイショ、シオジ、イカサマが叫んだのと同じ深い哀しみがネズミ達の間に広まるも、
同時にネズミ達はガンバというかけがえのない犠牲を払ってノロイという悪魔の恐怖から解放されることになったのだ。




【3DCG映画版のノロイ】



画像出展:「GAMBA ガンバと仲間たち」(2015年)より
@白組


成る程……勇ましいネズミが勢ぞろいしてるのねぇ……
今日はなんて素晴らしい日なのでしょう!!


2015年に公開された3DCGアニメ映画『GAMBA ガンバと仲間たち』にも当然の様にラスボスとして登場。
他のキャラクター同様に作風に合わせてスタイリッシュな人間体型にリファインされている他、
血のように真っ赤だった瞳は、を放つような青い瞳になっている*2

まだ声優が伏せられていた頃の最初のトレーラーでは、出演者欄の最後に不気味なフォントでデカデカと「ノロイ」の文字があったりと制作側もノロイの扱いは特別視していた様子。
中の人が狂言師なだけあって独特な言い回しが特徴的で、口調も丁寧なですます口調になっている。ちょっとオネエっぽい?

デザインこそ多少の変更はあるものの、残忍な性格や狡猾な頭脳は従来同様。催眠術もしっかりと完備している。

ただし、尺の都合かかなり変更が加えられており、
旧アニメ版とは違い一度海に沈められ這い上がって来た際は、
自我を失っていない。
最期は渦に飲み込まれて沈んでいく中、ガンバを道連れにしようとするが、間一髪でガンバはシオジに救われ、ノロイ本人は静かに海の底に沈んでいった。。




海を渡ってきたアニヲタ達よ、生きていたとは嬉しいことだ…

私の追記・修正にかかるために、生き延びていてくれていたとは嬉しいことだ




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最終更新:2025年04月23日 22:11

*1 通常の雄のニホンイタチが大きくて37cmほどなので、単純計算1m10cm程という規格外の巨体

*2 ……が、最終盤で海に沈んだガンバを道連れにする際、旧作アニメ同様の赤い瞳になった。