登録日:2019/08/25 (日曜日) 02:25:00
更新日:2024/12/24 Tue 17:01:53
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サンタクロース・キラーとは、
アメリカのスラッシャー映画『悪魔のサンタクロース』シリーズに登場する
殺人鬼である。
作品毎に別人だが、
サンタクロース姿をした高身長で筋肉質な逞しい身体をもち、両刃の
斧を凶器として多用する共通点がある。
黒いサンタクロースと同様に、クリスマスイブに「悪い子」に「罰」を与える。
サンタクロース・キラーの一覧
キラーサンタ
演者:チャールズ・ダイアコプ
シリーズ第一作『
悪魔のサンタクロース 惨殺の斧』に登場する。シリーズ中で最初に登場したサンタクロース・キラーである。中年の白人男性で、やや肥満体型。
1971年12月24日クリスマスイブ。サンタクロースの扮装をしてスーパーを訪れ、店員レビットを射殺して現金31ドルを強奪して逃走。その後、ヒッチハイカーを装ってチャップマン一家を油断させ、近付いたところでいきなり
夫ジムを射殺。直後に妻エリーを
レイプしようとするが、抵抗されたためナイフで喉を切り裂き殺害。更に当時5歳の長男ビリーも殺そうとするが、逃げられてしまう。なお、チャップマン家の車内には当時はまだ赤ん坊だった次男リッキーもいたが、何故か見逃された。
その後の消息は不明。
元々は普通の子供だった主人公ビリーの人生を滅茶苦茶にした張本人だが、
特に何の制裁も受けることなく物語からフェードアウトする。非常に胸糞悪い。
ウィリアム(ビリー)・チャップマン
演者:ロバート・ブライアン・ウィルソン
「
悪魔のサンタクロース 惨殺の斧」の主人公兼スラッシャー。
シリーズを代表するキャラクター。
18歳の白人男性。髪の色はライトブラウンで、瞳の色は黒。高身長・筋肉質で、更にハンサムな青年。
元々は普通の子供だったが、五歳の時のクリスマスイブに精神を病んだ祖父から「
サンタクロースは悪い子に罰を与える」という話を吹き込まれ信じてしまい、更に診療所から帰る途中でキラーサンタに両親を殺されたことで「
サンタクロース恐怖症」になってしまった。
その後、「聖メアリー孤児院」に弟と共に引き取られるも、そこの院長である
マザー・スペリアは神聖な存在であるサンタを嫌うビリーが気に入らず、クリスマスシーズンになると精神が不安定になり、毎晩悪夢にうなされるビリーを
無理矢理ベッドに縛り付けたり、サンタ姿になった神父の膝に無理矢理座らせたりようとするなど、心のケアをするどころか、
心の傷を散々に抉った。更にスペリアは、「
セックスは罪であり、罪を犯した人間を裁くのは善である」という自らの思想を
体罰と共に刷り込む洗脳教育を施した。
これらのことから、孤児院での生活はビリーにとっての
もう1つのトラウマになってしまい、親身になってくれたのは孤児院内で発言力が弱いシスター・マーガレットだけであった。
それから年月が経ち、18歳になったビリーは
トラウマ克服のために鍛えたのか上述の通りの逞しい肉体となり、さらにハンサムな顔、そして
真面目かつ陽気な性格を併せ持つ好青年と化していた。
スペリアによる斡旋で、おもちゃ屋「アイラズトイ」に就職すると、直ぐに同僚達と打ち解けると同時に真面目な勤務態度で信頼を勝ち取っていく。
しかし、サンタクロース恐怖症は未だに克服できておらず、
クリスマスシーズンが近付きサンタを思い起こさせるおもちゃが店に並んだり、サンタの扮装をした店員を見てしまうと錯乱してしまい、仕事に集中できなくなってしまう。更に、事情を知らない上司アンディとは険悪になってしまい、精神的に追い詰められていく。
そんな彼の心の拠り所は片想いしている同僚のパメラだけだったが、ある日、彼女との
セックスを妄想していると
「罰だ!」と叫ぶマザー・スペリアの声と共に
キラーサンタに殺される夢を見てしまい、
妄想に逃げることすら出来なくなってしまう。
そして、クリスマスイブ当日。なんとサンタの扮装を担当していた店員が怪我で欠勤してしまい、
店長アイラ・シムズ直々に代役を頼まれる。真面目ゆえに断ることも出来ず、忌まわしきサンタクロースのコスチュームを纏うと、
額から滝のような汗を流し、笑顔を作ることすら出来ず、疲労困憊になりながらも業務をおこなう。
なんとか閉店まで持ちこたえるが、その後の打ち上げで
店長に酒を飲まされて精神が更に不安定になってしまった上、更に倉庫でアンディがパメラに無理矢理迫る場面に遭遇してしまう。
キラーサンタに母が襲われる場面がフラッシュバックし、遂に発狂すると、怒りに任せてアンディの首にクリスマスツリーの電飾を巻き付けて絞殺してしまう。直後に助けたはずのパメラから罵られるが、この時点でビリーは完全に正気を失っており、
「サンタクロースは悪い子に罰を与える」という祖父の話と
「セックスをするのは罪で、罪人を罰するのは善である」というスペリアに植え付けられた思想が繋がり、
「罪人を罰するサンタクロース」になりきってしまう。そして、片想いしていたはずのパメラに対し「罪への罰」としてダンボールカッターで腹を切り裂き殺害する。
更に未成年の自分に酒を飲ませた店長をネイルハンマーで撲殺し、副店長のマリア・ランドールもアーチェリーで射ぬいて殺害すると、消防斧の代わりに設置されていた両刃の伐採用の斧を手に、街へと飛び出す。
その後、民家に侵入してセックスしようとしていたデニースとトミーというカップルを、「罰」として前者は鹿の頭の剥製に磔にして、後者は格闘戦の末に二階の窓から放り投げて殺害した。更に民家内でデニースの幼い妹シンディと遭遇するが、
「一年間良い子だった」と自称する彼女は殺さずに
血まみれのダンボールカッターをプレゼントした。この行動から、彼が本当に自分をサンタクロースと思い込んでいることがわかる。
民家を後にすると、警察の目を逃れるために山道を進む。そう、彼は「ある場所」に向かっていた。
自分に洗脳教育を施した罪を罰するために。
山中ではジムとダッグという若者二人組が、後からやって来たボブとマックという不良に暴行を受けた挙げ句、ソリを強奪されたのを目撃し、いじめへの「罰」としてボブを斬首する。
翌日のクリスマス当日。遂に目的の場所「聖メアリー孤児院」に辿り着くと、サンタの扮装をして子供達を喜ばせようとした管理人兼神父のケルシー・オブライエンが、彼をビリーと誤認したバーンズ巡査によって射殺される様子を目撃。罪の無い神父を射殺した罪への「罰」として孤児院を警備していたバーンズを斧で惨殺し、遂に孤児院内に侵入。ようやくスペリアと対峙する。スペリアは今さら「サンタクロースはいない!」と、
子供の頃のビリーに一番必要だった言葉で説得を試みるが、通用する筈もなく、ビリーはそのまま「罰」を与えるために斧を振るが、寸前で
ビリーの凶行を止めようと奔走していたマーガレットに同行していたリチャーズ警部に銃撃される。リチャーズが放った二発の銃弾は致命傷となり、倒れたビリーは「もう大丈夫、サンタはいなくなった…」と子供達に穏やかな表情で語り掛け、唯一自分の死を悲しむマーガレットに看取られながら絶命した。享年18。
生まれつきの殺人鬼だった
マイケル・マイヤーズや知能に異常があった
ジェイソン・ボーヒーズ等の他作品の殺人鬼と違い、
元々は普通の子供であったが不幸の連続の末に正気を失ったという設定のため、
サイコパスではなくソシオパスといえる。性格は両親が殺される前は純真無垢で思いやりがある優しい子供だったが、何でも信じてしまうほどに感受性が高い。孤児院では普段は「良い子」と評価されていた。18歳の時は前述の通り真面目かつ陽気。
殺人鬼としては独自の倫理観を持ち、それに従って「罪人」と判断した者を「罰」として殺害するため、「ソウ」シリーズの
ジグソウキラーに性質は近いといえる(特に2のアマンダに)。
また、
スラッシャー映画の殺人鬼特有の超人的な身体能力も持ち併せており、マッチョな男を片手で持ち上げたり、勢いよく放り投げたりできる他、耐久力も高く、金的を食らっても大して怯まない。どこで覚えたのか、プロレス技のダブルハンマーを繰り出したり、アーチェリーで正確に相手の胸を射抜くこともできる。
ロバートの熱演と地味ながらもリアルな殺人描写によって、「正体が明らかな存在」「主人公」であるにも関わらず、見事に恐怖の存在と化しており、海外でもホラー映画のキャラクターとして一定の人気がある。フィギュア化されるほどに。
また、「セックスしたキャラクターは死ぬ」というホラー映画のお約束も「スペリアにセックスは悪と洗脳された」という設定により必然性が与えられた。
リチャード(リッキー)・コールドウェル
演者:エリック・フリーマン
シリーズ第二作「悪魔のサンタクロース2 鮮血のメリークリスマス」の主人公兼スラッシャー。ビリーとは違い、
「ある意味」シリーズを代表するキャラクター。
ビリーの弟である18歳の白人男性。髪の色は茶で、瞳の色は黒。ビリーと同じく高身長・筋肉質・ハンサム。第一作ではビリーより4歳年下だったが、二作目では7歳年下に設定が変更されている。
ビリーと同じくスペリアの
洗脳教育を受け、兄と違い優等生として孤児院で過ごすが、前作の最終盤に兄ビリーの最期を目の当たりにしたことでスペリアへの復讐を誓う。
翌年、孤児院は閉鎖されるが当時12歳だったリッキーはシスター・メアリーが見つけた里親「ローゼンバーグ家」に引き取られ、ファミリーネームも変わる。
事情を知っていた両親はクリスマスを祝わなかったため、基本的には平和で楽しい暮らしができていたが、やはり兄と同じく「サンタクロース恐怖症」であり、サンタを思い起こさせる「赤い物体」を見るとパニックを起こしてしまう。また、兄がスペリアが遠因で破滅したのを見たためか「シスター恐怖症」でもあり、シスターをみると同じ症状が起きてしまう。
15歳の時に義父モーティが死去したことで心に再び心に大きな傷を負う。そしてある日、裏山を散歩している最中にエディという青年がポーラという同年代の女性に無理矢理迫る場面に遭遇してしまう。
当時は赤ん坊で覚えているはずの無い、母がキラーサンタに襲われる場面がフラッシュバックし、衝動的にエディを「赤い」車で轢き殺してしまう。しかし、ポーラはこの事に感謝し黙秘を貫いたため、後にリッキー自身が自白するまでこの事件は明るみには出なかった。
18になったリッキーは
ホテルで雑用係として働くが、ある日、ロッコという金貸しが債務者をリンチしている現場を目撃。兄と同じく、
弱い者いじめが嫌いなリッキーは「赤い」ハンカチで顔を拭うロッコを捨てられていた傘で貫き殺害する。
後日、ジェニファー・スタットソンという女性と出会い、
恋仲となり、初めてセックスを経験する。
リア充になったことで心の平穏を取り戻し始めるが、デートでジェニファーが選んだ映画がよりによって「
悪魔のサンタクロース 惨殺の斧」だったり、超やかましい「映画館のおしゃべり男:Loudmouth in Theatre(キャラクター名)」がいたり、ジェニファーの元彼チックが超しつこくてナルシストだったりしたせいで鬱憤がたまっていく。因みに「映画館のおしゃべり男」はシアター内で殺害されたが、何故か誰も気づかなかった。
Why?
更に後日、ジェニファーとのデート中に「赤い」車を整備していたチックが喧嘩を売ってきたことで遂に怒りが爆発。車のバッテリーをチックの歯に繋ぎ、電流を流す。この時リッキーはチックの首を掴んでいたが、
何故か感電せず、高圧電流を流されたチックの顔面は
何故か破裂した。Why?
ジェニファーは人を殺したリッキーを罵るが、罵られたリッキーの脳裏には
何故かスペリアの洗脳教育がフラッシュバックし、「罰だ!」と逆ギレする。そして車のアンテナを
当然のように素手でもぎ取り、それを縄の代わりにしてジェニファーを絞殺。直後に拳銃を持った郊外警備員に逮捕されそうになるが、
返り討ちにして射殺。拳銃を手に入れたリッキーは意気揚々と歩き出す。
銃声を聞き、「何の騒ぎだ!」と飛び出した郊外居住者を
なんとなく射殺。
さらに、ゴミ箱のゴミ袋を交換中の郊外居住者その2を
「ゴミの日だ!(Garbage day!)」の迷台詞と共に射殺。因みに、この時空耳で「
カルピスデイ!」と聞こえることから、某動画サイトではリッキー自身もカルピスと呼ばれたりする。
更に走行中の「赤い」車に三発の銃弾を浴びせ、撃ち抜かれた車は
横転した上にバクハツした。Why?…っていうか、
赤ければ何でもいいのか⁉
間もなく警官に取り囲まれ、
拳銃自殺を試みるが、弾切れで失敗し、逮捕される。
その後、監獄病院で精神治療を受けるが、クリスマスイブの日に13人目の担当医ヘンリー・ブルームに自らの過去を語った後、ブルームをボイスレコーダーのテープで絞殺して病院を脱走。
街に出たリッキーは救世軍(慈善団体)のサンタを殺害してコスチュームを奪い、身に纏うと、兄と同じく両刃の伐採用斧を手にスペリアの家に向かう。
「シャイニング」のジャックのマネをしながらスペリアの家に侵入し、
車椅子生活のスペリアとエクストリーム鬼ごっこ・かくれんぼを繰り広げる。
何故か異様にしぶといばかりか、
ナイフを手に逆ギレするなど異様に肝が据わっているスペリアを追い詰め、斬首。
遂に兄の復讐を果たす。
更に警官達と共にやって来たメアリーを
その場のノリで殺そうとするが、名前すらない「
刑事」に胸を拳銃で二ヶ所も撃ち抜かれる…が、
何故か死なず、警官に
ショットガンで腹を撃たれて吹っ飛び、ようやく沈黙した…と思いきや、メアリーの悲鳴を聞いて
にんまり…生きていた!
そして三作目『
ヘルブレイン/血塗られた頭脳』にて、
粉砕された頭蓋骨の代わりにアクリル製のカバーを身に付け、脳が透けて見える怪物のような姿で
復活! 再びクリスマスイブに殺戮を繰り広げる!
WTF⁉
全ては少なすぎる予算、40分にも及ぶ「前回のあらすじ」、エリックの過剰な演技、雑な演出と脚本、ありえねぇ!殺害描写のせいである。
しかし、海外では意図せずにブラック・コメディ映画とみなされており、「Garbage day!」のMAD動画が投稿されたり、フィギュア化したりとある意味愛されている。
ジョー・ペトー
演者:ミッキー・ルーニー
シリーズ第5作『キラー・ホビー/オモチャが殺しにやって来る』に登場する。オモチャ屋の店主である老人。
表面上は好々爺として振るまい、父親を亡くして失語症となった主人公デレクを気にかけているが、実は妊娠中の妻を事故で亡くしたショックで自作の殺人オモチャで何人もの子供達を殺傷して逮捕された過去を持つ危険人物である。
普段は養子のピノと2人暮らしであるが、日頃からトラブルを起こす彼に対しては冷たく接している。しかし、中盤で口論のはずみでピノを階段から突き落としてしまった際には身を案じて駆け寄る等、全く愛情が無いわけではない模様。
そして、本編後半ではサンタクロース姿となってデレクを誘拐する。
ピノ・ペトー
演者:ブライアン・ブレマー
『キラー・ホビー』におけるもう1人のサンタクロース・キラーであり、その正体はジョーが作った人間そっくりの
ロボット。
思考も人間そっくりで生みの親であるジョーを父親のように慕っているが、ロボットである故にジョーからはあくまで創造物としか見られておらず、上述の階段から突き落とされた場面でとうとうジョーを殺害してしまい、それを皮切りに
殺人ロボットと化してしまう。
つまり、デレクを誘拐したサンタクロース姿のジョーはピノの変装であり、ジョー本人は既に死亡していたのである。
ちなみにデレクの母サラに欲情しており、デレクを殺してサラの息子になろうとしたが、無論受け入れられるはずもなく、最期はサラとノア(デレクの本当の父親)の活躍で大破・機能停止してしまった。
出自といい在り方といい、人物像がある意味
ビリー・チャップマンのネガとも呼べる。
ロナルド・ジョーンズ・シニア
演者:リック・スケネ
シリーズ第6作『サイレント・ナイト 悪魔のサンタクロース』に登場する。白人の中年男性。
浮気した妻に
復讐するため、
火炎放射器を製作。サンタクロースの扮装をし火炎放射器を装備して妻のあとをつけ、命乞いをした彼女を容赦なく焼き殺した。しかし、当時保安官だった主人公オーブリーの父ブラディモア氏によって銃撃され、自身も火だるまになって死亡した。
ロナルド・ジョーンズ・ジュニア
演者:リック・スケネ
同じく『サイレント・ナイト 悪魔のサンタクロース』のスラッシャー。
主人公ではなく、完全に悪役。
「R.J.煙突そうじサービス」を営む白人の中年男性。シニアの息子。
幼い頃、父の最期を見たことでブラディモア家に復讐を誓う。
その後の経緯は不明だが、作中ではサンタクロースの扮装をしてマスクで顔を隠し、
凶器とプレゼントが詰まった袋を持って町を練り歩き、
「悪い子」に「罰」を、「良い子」に「プレゼント」を渡す。
凶器は父と同じく自作の火炎放射器のほか、チャップマン兄弟も使用した両刃の伐採用の斧、スタンロッド、火掻き棒、クリスマスツリーの電飾、ウッドチッパー、
トナカイの頭の剥製、草刈り鎌等。
終盤には主人公オーブリーの両親を惨殺し、更に保安局を襲撃してオーブリー以外を皆殺しにするが、オーブリーと壮絶な斧チャンバラを繰り広げ、最後は火炎放射器で火だるまとなって退散。
生き延びた。
追記・修正お願いします。
- クリスマスがじわじわ迫る! -- 名無し (2019-10-06 16:35:32)
- クリスマスまで、あと… -- 名無し (2019-10-23 14:37:39)
- こんなサンタクロースは嫌だ -- 名無し (2019-12-24 17:42:30)
- シリーズの第4作である『新・死霊のしたたり』はサンタクロース・キラーどころか、サンタクロースすら登場しない -- 名無しさん (2021-12-26 16:21:08)
最終更新:2024年12月24日 17:01