ゾンビーノ(映画)

登録日:2020/02/16 Sun 11:54:06
更新日:2020/03/15 Sun 13:51:44
所要時間:約 7 分で読めます




ゾンビーノ(原題:Fido)とは、2006年*1に公開されたカナダの映画。監督はアンドリュー・カリー。
タイトルの通りゾンビが登場する映画だが、ホラー映画ではなく、ジャンルはブラックジョークコメディ兼ハートフルホームドラマ。そのためレンタル店によってはホラー映画の棚に置かれていない。
あの『ショーン・オブ・ザ・デッド』のゾンビ化したエドに着想を得たらしい。

本作最大の特徴は、ゾンビが日常の一部として定着しているという点。
基本的にゾンビ映画と言えば、ゾンビや悪意のある人間相手に生き残りをかけた戦いが描かれるが、本作の舞台はそれが終わった後の一応平和な世界である。
そのためショッキングなシーンはシルエットだったり画面の奥や端っこ、もしくは画面外だったりと極力抑えられており、複数のゾンビが暴れてるシーンに限って場違いな音楽が流れたりと、視聴者の恐怖感と緊張感を全力でぶち壊しに来る。
手に汗握るシーンは本当にごく僅か。まあコメディだから仕方ない。

また、この世界観により登場する人間は全員どこかしらずれており、「始終ティミーの味方であり続けたゾンビのファイドが一番まともに見えてきてしまう」という意見も。
「基本的に主人公のせいで色んな人に迷惑がかかる」「共存したい人間とゾンビ」という点では『バタリアン リターンズ』と似ているか。あちらは「愛情」で「悲劇」なのに対してこちらは「友情」で「喜劇」だけど。



■世界観


舞台は1950年代の地球。宇宙からやってきた放射線により、死者がゾンビになって人間を襲うようになった。
ゾンビ相手の世界規模の戦争の最中、科学者のラインホルド・ガイガー博士が『ゾンビは頭部を破壊すれば死ぬ』ことを発見し、更に『ゾンビを制御する首輪』の開発に成功する。
こうして人間は戦争に勝利し、ゾンビを新たな労働力としたのであった。


■用語


□ゾンビ

ご存知生ける屍。本作では上記の通り宇宙からの放射線により発生した。そのため感染能力は無く、噛まれただけではゾンビ化しない。あくまで死体が放射線を浴びることでゾンビ化するのである。
弱点は頭部で脳を破壊する、もしくは首を切断することによって倒すことが可能。
例によって喋らないし走らない。そして人肉を求めるが、理由は不明。
本作では上記の通り制御装置を取り付けられた個体が人間の従僕という形で受け入れられており、簡単な作業を行うなど僅かながらも知性を感じさせる。
ただし全てのゾンビが下記のゾムコンによって商品化しているわけではなく、ワイルドエリアと呼ばれる場所には今でも多くの野良ゾンビがおり、こちらは処刑場的な役割を与えられている。

□ゾムコン

制御装置を取り付けたゾンビを商品として販売する会社。本作の世界がポストアポカリプスにならずにすんだ理由。
ゾンビの有用性、制御装置は完全に安全ではないことをはっきりと報道、ゾンビが暴走した時のための部隊を用意し、迅速な対応を心がけ、治安維持のために市民にも協力を呼び掛けるなど、できることは可能な限り全てやってる優良企業。見習えアンブレラ。
ただし、あまりにも不都合すぎる事実はさすがに隠すため、100%ホワイト企業とは言い難い。

□首用の棺桶

死後、ゾンビ化することを嫌った人間が、事前に首を切断してもらった後に入る棺桶。
通常の棺桶と別料金なのか、かなり値が張る模様。



■登場人物&ゾンビ


□ティミー・ロビンソン

演者:クサン・レイ
声優:矢島晶子
人間側の主人公。ロビンソン家の長男である少年。
ゾムコンに対して強い不信感を抱いており、まわりから若干浮いてしまっている。おかげで友達がいないどころかいじめにあっている。
上記の通り、本作のゾンビの暴走はだいたい彼が原因である。悪い子ではないのだが…。

もっとも、『ショーン・オブ・ザ・デッド』に着想を得た以上、大元は『ゾンビ』、つまりロメロ四部作なので、それらの主要登場人物に先祖返りしたのかもしれない。

ファイド

演者:ビリー・コノリー
声優:鈴木琢磨
ゾンビ側の主人公。ヘレンがこっそり購入したゾンビ。「ファイド」は本名ではなくティミーにつけてもらったもので、日本でいうところの「ポチ」
放射能が地球に来るだいぶ前に、心臓発作で死んだらしい。人肉よりも煙草を欲するあたり、重度のニコチン中毒だったのだろうか?
他のゾンビと違って、明確な自我と感情を持つ。

ファイド役は本来ピーター・ストーメアが演じるはずだったが、彼はドラマ『プリズン・ブレイク』に出演するため、撮影の1週間前に断ったという。
ビリー・コノリーはニューヨークからロサンゼルスへの飛行機に乗り込む前に脚本を受け取り、到着と同時に出演を決めた。

因みに、人間と絆を結んだゾンビは他に『死霊のえじき』のバブや『デイ・オブ・ザ・デッド』のバド・クレイン、『バタリアン リターンズ』のジュリー・ウォーカー、『ショーン・オブ・ザ・デッド』のエド、『ウォーム・ボディーズ』のR等がおり、以外と多い。
また、自我と感情を持つゾンビとしては他に『ランド・オブ・ザ・デッド』のビッグ・ダディや『アイ・アム・レジェンド 別エンディング』のアルファ・メイルが代表的。

□ヘレン・ロビンソン

演者:キャリー=アン・モス
声優:塩田朋子
ティミーの母親。周囲との格差が広がることを嫌ってこっそりファイドを購入した。
「母は強し」を地でいく人物で、時にとても勇猛。特にラストの迅速かつ正確な射撃は圧巻。

□ビル・ロビンソン

演者:ディラン・ベイカー
声優:堀内賢雄
ティミーの父親。ゾンビ戦争にてゾンビ化した父親(=ティミーの祖父)を殺害したことがトラウマとなっているゾンビ恐怖症。
ある意味一番成長した人物だったが、ラストでまさかの…。

□ジョン・ボトムズ

演者:ヘンリー・ツェニー
声優:菅生隆之
ゾムコンの主任警備員。ゾンビ戦争の英雄。
当人は治安維持のために尽力していただけのつもりだっただろうが、残念ながらティミーとファイドの視点ではラスボスである。
ある意味本作で一番かわいそうな人。

□シンディ・ボトムズ

演者:アレクシア・ファスト
ボトムズの娘。ティミーのクラスメート。
ヒロインかと思いきや、そんなことはなかった。
ただし、終盤で重要な役割を果たす。

□シアポリス

演者:ティム・ブレイク・ネルソン
演者:安原義人
元ゾムコン所属の技術者。タミーを偏愛しすぎたせいでクビになったらしい。
タミーに噛まれた痕を自慢気に見せつける、制御装置を外した状態のタミーを壁に磔にして過激なスキンシップを楽しむなど紛れもない変態だが、本作のお助けキャラなので白い目で見ないように。

□タミー

シアポリスのガールフレンドゾンビ。死んですぐに制御装置を取り付けたため、他のゾンビと比べて血色がいい。ちなみに死因は病気による脳内出血。
歯をカチカチ鳴らす癖があり、シアポリスに注意される。
ファイド程ではないが、自我が芽生えつつあるかのような描写がある。愛ってすごい。

□ロイ・フレイザー

演者:アーロン・ブラウン
声優:朴ロ美
ティミーをいじめる悪ガキその1。下記のスタンと同じ名字だが、全然似てないのでおそらく親戚だろう。
本作で一番のチビだが、錬金術師ではない。

□スタン・フレイザー

演者:ブランドン・オールズ
声優:神代知衣
ティミーをいじめる悪ガキその2。太っちょで頭が悪い。
彼が中盤で言い放った「全部ティミーが悪いんです!」という台詞は、ある意味ではその通りなのだが、ロイとスタンの末路に関してはその限りではない。

□ヘンダーソン婦人

うるさい老婆。65歳。
ちょっとでも不満を持つとすぐに口に出す短気な性格。散歩に出たと思いきや、他人の家を観察し、ぐちぐちこぼす始末である。
ビルから「早く老人ホームに入れるべき」と言われるなど、評判はよくない。
そして元凶その2でもある。

□ラインホルド・ガイガー

ゾンビ戦争の救世主にしてゾムコンの創始者である科学者。上記の通り『ゾンビの弱点は頭部』であることを発見し、制御装置を開発した天才。
なお、制御装置を開発した理由は、「ゾンビ化した妻を諦めることができなかった」ため。
冒頭の映像に姿が映るのみで、直接は登場しない。



追記・修正はゾンビに頼らず、自力で行ってください。


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