かくしごと(漫画)

登録日:2020/04/12 (日曜日) 21:01:12
更新日:2024/02/24 Sat 19:14:35
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隠し事は、描く仕事でした



「かくしごと」とは月刊少年マガジンにて連載されていた、久米田康治による漫画作品である。
タイトルは「隠し事」と「描く仕事」のダブルミーニングとなっている。

単行本は全12巻。


2020年4月からはテレビアニメとして放送され、原作もほぼ同時に最終回を迎えた。
アニメが先行したため、原作最終回はアニメで使われた要素も取り入れたグランドフィナーレで締め括られている。


【作風】


かつての久米田作品同様シュール系ギャグ漫画ではあるが、宇宙人や異世界といったSF要素及び、度を越した変人によるブラックコメディと下ネタ要素は無く、限りなく現実世界に沿ったやや異色な作風となっている。


また、コミックスには姫が成長し18歳になった未来の世界が舞台のシリアス気味なショートストーリーが収録されている。


【あらすじ】


漫画家、後藤可久士は一人娘の後藤姫を溺愛していた。

だが後藤の描く漫画は所謂下ネタギャグ漫画。もしもそれが姫に知れたら心を閉ざしたり、いじめられるかもしれない。


後藤は心配のあまり漫画家であることを隠し、今日もスーツ姿で仕事場へ向かうのだった。


【登場人物】


後藤家


姫に知れたらどーする!?


  • 後藤可久士(ごとうかくし)
CV:神谷浩史
かつて「きんたましまし」というちょっと下品な漫画で人気を博した漫画家。
現在も似たような作風で、「風のタイツ」という漫画を連載中。
だがそれを娘に知られる事を恐れ、スーツで目黒区の自宅を出て、途中でラフな格好に着替えて渋谷区の仕事場へ向かう。

非常に親バカかつ過保護であり、いついかなる時も姫の事を優先して行動し、トラブルを招くことも。
表現者にはよくあるルーチンワークとして、ラフな格好でしか漫画を描けず、昔は全裸でないと描けなかった。
妻(CV:能登麻美子)がいたようだが、現在は姫と二人暮らしな模様。遺影や仏壇のような物は確認されていないが……

久米田主人公の例に漏れず、意図せず周囲の女性を勘違いさせ、好意を持たれてしまうタイプ。
ただ本人は既婚者かつ、今でも妻の事を想っているのでそもそも他の女性を恋愛対象として全く意識していない(それが拗れる原因でもある)。
名前の由来は「かくしごと」から。
中の人は言わずもがな、かつて「さよなら絶望先生」の主人公である糸色望の声も務めていた。

「下ネタ漫画を描いている」・「過去作の著者近影に全裸写真を掲載」・「娘がいる」など、作者である久米田自身を思わせる要素が多く、ボサボサの髪に無精髭という風貌も過去作で自分を登場させた際の自画像になんとなく似ている。


看板漫画家とは言えないものの、週刊連載を続けてるだけあってそれなりに裕福(本人曰く「そこいらのサラリーマンより稼いでいるわ!」とのこと)。特に姫のためならば大金だろうとポンと出すレベル。

しかし、生活費以外はとある目的に使用しているため後藤自身の生活は非常に苦しい。そして、この事は姫はもちろんアシスタント達にすら決して見せないよう気丈に振舞っている。




隠し事は何ですか?

  • 後藤姫(ごとうひめ)
CV:高橋李依
可久士の娘。9歳(小学4年生)。
やや感性が独特で天然の気があるが、父親想いの素直な良い子。
久米田作品ヒロインとしてはほぼ初めての「毒」の無い女の子である。
父が漫画家であることは少なくとも高校生までは知らずに過ごしてきた模様。

年齢が年齢なのであまり意識されないが、父親の色眼鏡を抜きにしても相当な美少女のようで、
プロのカメラマンでも光るものを感じるレベルの逸材。
それ故に可久士は変な虫が寄るんじゃないかと気が気でない様子。


名前の由来は「ひめごと」から。


  • 後藤ロク
CV.花江夏樹
作中で後藤家の飼い犬になる。
飼うに至る過程、名付けの過程でそれぞれひと悶着あった。

基本的におとなしく、めったに鳴かない。
名前の由来は「ご登録」から。

〇アシスタント

可久士率いるGPRO(ゴトープロダクション)のアシスタント達

  • 志治仰(しじあおぐ)
CV:八代拓
チーフアシスタント。
自分で考えることは苦手だが、指示があれば仕事は的確にこなす優秀なアシスタント。
動物や背景を描くのが得意。

漫画家志望でありちょくちょく自分の漫画について意見を受けているが、何せ先生が色々と特殊なのであまり参考にはなっていない模様。

名前の由来は「指示を仰ぐ」から。


  • 墨田羅砂(すみたらすな)
CV:安野希世乃
アシスタントの1人。
言動が割とゆるく、基本誰に対してもタメ口。よく墨を原稿に垂らして怒られるらしい。
……の割に、デジタル化の指南をしたり遠隔地のアシに仕事を発注したり、カンヅメにされた際に画材一式持ってきたりと案外有能。

割とノリが良く、後藤の奇行や無茶振りにもあっさりと答える度量の広さがある。
曰く「代官山の職場でクリエイティブな仕事をしたい」としてアシスタントになったらしい。漫画家になる気はない模様だが……。
スタイルが良く、本作のお色気担当的な部分もある。

名前の由来は「墨垂らすな」から。


  • 筧亜美(かけいあみ)
CV:佐倉綾音
アシスタントの1人。仕上げ・服飾担当。自身の描く絵柄は楳図か○おっぽく、内容もホラー気味。
ホラー漫画家志望で、ややダウナー気質な毒舌家。ファッションセンスが独特。
スタイルのいい羅砂に対して童顔低身長であり、とある事情で15歳を騙った際も特に疑われなかった。
中の人は「じょしらく」でマリーさんを演じていた。
名前の由来は漫画の技法の1つ「カケアミ」から。*1

アシスタントとは完全に別で同人活動をしている疑惑があるが、そのことは一切同僚に明かしていない。


  • 芥子駆(けしかける)
CV:村瀬歩
新人アシスタント。消しゴムかけ担当。

彼も漫画家志望で、ダークファンタジー漫画を描きたいらしい。
十丸院ほどではないが新人ゆえの無知で失言が多く、後藤を暴走させることもしばしば。
名前の由来は「けしかける」と「消しゴムをかける」のダブルミーニング。


〇姫の友達

姫を含めた4人で「めぐろ川探偵事務所」というごっこ遊びをしている。
どこかで見たような容姿や名前をしているが、中の人などは違うためスターシステム的な別人だと思われる。
ちなみに高校生時の姿は完全にそのまんまと言っていい。

またサブキャラ寄りということもあってか性格なども毒が薄い。

  • 東御ひな(とうみひな)
CV:本渡楓
姫のクラスメイト。給食委員。
普通の子に似ているが、ウザキャラ、スイーツ(笑)的な面を受け継いでいる。

  • 古武シルビア(こぶしるびあ)
CV:小澤亜李
姫のクラスメイト。目黒川探偵事務所所長。
動物好きの子に似ているが別人。眼帯も包帯もしていないが猫好き。

  • 橘地莉子(きっちりこ)
CV:和氣あず未
姫のクラスメイト。風紀委員長。
きっちりした真ん中分けの子に似ているが、多分別人。

  • その他
相賀加代:加害妄想の子に似ている。※後の登場時は名前が加帆になっていた。

大熊小夜:人妻女子高生の子に似ている。

松稲十月:ストーk…ディープラブな子に似ている。

春吉不二美:腐女子の娘に似ている。

森キリコ:引きこもりの子に似ている。

村木エリカ:すぐ訴えるパンツの子に似ている。

汐留奈留:メールでは毒舌な子に似ている。


〇その他

  • 十丸院五月(とまるいんさつき)
CV:花江夏樹
可久士の新担当編集者。ゆとり。
空気を読めない言動で後藤にピンチを招き、よくキレられる。
というか社会人としてのマナーが根底から欠けており基本的な『報告・連絡・相談』さえも疎か。
名前の由来は「止まる印刷機」という漫画と相性の悪そうな言葉(本人曰く止まらせたことは「まだ」ないらしい)。

なんかの縁故採用らしく、とにかくトラブルばかり起こすくせに、自身は仕事のできるエリートだと思い込んでいる。
本人だけがコネ人事だと気付いていないため、立場の濫用やゴリ推しはしないのが唯一の救い。

当然ながら編集部でも持て余し気味であるため、ベテランだが偏屈の後藤を押し付けられたのではないかと疑われている。
実は後藤とはなんだかんだで気が合う面があり、意外に相性が良いらしいことが示唆されている。

「後藤番」とか言うなあ!

名字が似ていることから、一部の読者からは「十丸院のモチーフとなったのは、講談社の編集者である都丸尚史氏なのではないか?」と噂になっていたが、最終巻の作者の総括によると、「十丸院のモチーフは実在しません。彼は今まで見聞きした編集者達の悪い部分を寄せ集めて作ったキャラで、あのような人物がマンガ編集にやってくるのは稀。どうも講談社の編集の都丸氏を十丸院の元ネタであるという噂している人がいるが、都丸氏が迷惑しているので、根拠ない噂を広めるのは止めてほしい(意訳)」とのことである。


  • 六條一子(ろくじょういちこ)
CV:内田真礼
姫のクラスの担任教師。褐色肌が特徴。
「きんたましまし」の愛読者でもあり、後藤の秘密を知る人物の1人。
後藤の紛らわしい言動により、彼に好意を抱いている。

久米田作品ヒロインの例に漏れず指叉を得物としている。が、本来の使い方なので何も問題ない。

名前の由来は自身の肌に使用されるスクリーントーン「61番」から。また眉毛が【】(縦書き時の向き)の形をしている。


  • 千田奈留(せんだなる)
CV:逢田梨香子
アイドル志望女子高生。
アイドルグループのセンターになりたがっている(名前の由来もそれ)。
後藤の紛らわしい言動に(ry

後藤家によく訪れ、姫と仲良くなる。
容姿はAKB48時代の前田敦子からモチーフをとられてると思われる。

後に未来編での状況を作り上げた原因となってしまった。

  • 汐越羊(しおこしよう)
CV:古城門志帆
クッキングアドバイザー。
料理教室に来た後藤の紛らわしい言動(ry
名前の由来は「塩と胡椒」から。

  • 城路久美(じょうろくみ)
CV:原由実
花屋の店員。花を買いに来た後藤の紛ら(ry
名前の由来は「じょうろ汲み」から。

  • ナディラさん
CV:加藤英美里
インドネシア出身の家事代行サービススタッフ。
後藤家は週に何度か彼女の世話になっている。母国由来の独特な料理を作ったり、怪しげな儀式を行ったりする。
褐色肌で、十丸院の「かっし欲」を無自覚に刺激して以来彼に好意を抱かれている。
(一方で六條先生では刺激されないらしい)

可久士を「クールジャパン」、姫を「姫サマ」と呼んでいる。
名前の由来は「不思議の海のナディア」のヒロインである「ナディア」から。

  • マリオ
CV:浪川大輔
古着屋の店主。後藤はこの店で着替えており、彼をクラークケントと呼ぶ。
また、亜美もここの常連である。
元々は「かってに改蔵」の準レギュラーキャラであった。



【余談】

アニメ放送前に、シャフト制作にPVアニメが公開されていた。
そこでの姫の声は安済知佳が担当しているが、後藤は変わらず神谷浩史が担当していた。

小学館の謝恩会での目撃談によると、久米田先生にも可愛らしい娘さんが居るという話がある。
描いている漫画がちょっと下品であり、それを娘に知れたら心を閉ざしたり、いじめられるかもしれないという心配は久米田先生の体験談なのかもしれない。




姫に追記、修正されたらどーする!?


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最終更新:2024年02月24日 19:14

*1 #を沢山重ねたような模様の事。暗い雰囲気を演出できる技法であり、特にホラー漫画などでよく見られる。