比留間兄弟

登録日:2020/05/29 Fri 23:40:00
更新日:2021/05/26 Wed 23:20:09
所要時間:約 10 分で読めます




比留間兄弟とはるろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-やられ役登場人物である。

概要


「るろうに剣心」の第一幕から最序盤にかけて登場した、「るろ剣」本編に於ける記念すべき最初の悪党。
悪知恵が働く兄「比留間喜兵衛」と武闘派の弟「比留間伍兵衛」の兄弟である。
元々は第一幕を面白くするために悪役二人が必要になって作成した際、ページの纏りを良くするために二人が共謀する理由を「血のつながり」という分かりやすいものにした結果、二人が実の兄弟になった。そのせいか正直兄弟の割にはあまり似ていない。

「第一話の敵」と言ってしまえばそれだけのキャラだが、第一話で読者に主人公の強さや魅力、ひいては物語の面白さを伝えるための引き立て役としてその作品の最初の悪役も非常に重要な要素である。
結果るろ剣は一時期ジャンプの看板にまで上り詰めた*1ことを思うと、第一話での彼らのやられっぷりは決して無駄ではない…のかもしれない、か?

人物


比留間喜兵衛

年齢:四十五
趣味:悪企み
特技:金勘定
CV(CDブック版のみ):青野武

比留間兄弟の兄の方。
恵比寿顔で小柄な男で、一見好々爺を演じている(それでも実際は45歳)が、実際は腹黒で悪だくみを策謀している。
弟と違い(一応)合法的な範疇で遂行する事を望んでおり、狡猾かつ用意周到に策を練り、策も二重三重に張って事に臨むなど慎重さも見られる。
神谷道場の土地の価格に目をつけ様々な策謀を巡らしあと一歩のところまでいくが、緋村剣心の邪魔立てにより失敗する。

それまでは道場主・神谷薫の奉公人のような立場で彼女に優しく接しており、孤独に苛まれていた薫はそんな彼に気を許しつつあった。
しかしそれは完全な演技でしかなく、本性を見せてからは一転して「小娘」呼ばわりし忌々しげに接するようになり、薫の心の傷を抉った。
ただ初登場時点で剣心に対し「流浪人など人生の落伍者だから耳を貸すな」と薫に断言するなど本性をちらちら見せてはいる。
もっとも剣心に指摘されている通り、根は結構臆病。

CDブックでは原作より台詞ややりとりが幾つか増えており、弟の頭の悪さに辟易している事が伺える一面がある。
デザイン上のモチーフは小畑健の『力人伝説』に登場する某有名理事長。
なお、アニメ版では登場しない(後述)。


比留間伍兵衛
年齢:三十七
趣味:物真似
苦手な人物:
CV(アニメ/CDブック)小村哲生/笹岡繁蔵

比留間兄弟の弟の方。
神谷活心流と人斬り抜刀斎を騙り辻斬り騒動を起こした実行側。薫の情報によると元々士族であった可能性がある。
隣町の破落戸(ごろつき)の溜まり場の剣術道場「鬼兵館」の頭目でもあり舎弟の破落戸も抱えている。*2
身の丈六尺五寸*3の大男で更に長い髭も蓄えているため、見た目はぶっちゃけ『悪い関羽にしか見えない。

作中では雑魚扱いされているが、それはあくまでも剣心や左之助と言った規格外の強さを持った猛者と比較した場合の話であって、一般の警官ならば複数人が束になっても歯が立たず、第1話の時点で十人を超える死傷者を出している辺り、後のギャグキャラ化扱いで流されがちだがかなりの大罪人である。そう考えると後に登場する見掛け倒しの先生よりよっぽど殺人剣に精通してしまっている。
更には(当時はまだ未熟だったとはいえ)師範代の薫を二度も真っ向から一蹴し、剣心にして「薫殿よりはるかに強い」と断言させる程度の強さは有している。道場襲撃のシーンでは仕込み杖で彼女の木刀を強引に叩き折って一撃入れただけなので、「剣術」で圧倒したというイメージは沸きにくいかも知れない
また一見で剣心の飛天御剣流の本質を見抜いているなど、剣術の心得自体はしっかりと持ち合わせている*4


…が、薫は後にとの連携込み*5とはいえ十本刀である鎌足に真っ向から勝利してしまっているので、実は十本刀クラスの実力者なのではないかという牽強付会説もなくはない。おかげで鎌足の強さが疑われる事態に
肯定的に考えるなら、弥彦や左之助同様、薫が成長したと考えるべきだろう。終盤で戦えば薫でも勝てたかもしれない。デカブツは足元を崩すのが基本だし。*6
また、薫は鎌足の弁天独楽の始動を確認してから柄の下段・膝坐で弁天独楽を回避しつつ鎌足の膝を破壊しており、相性勝ちしたというのもある。

まぁ、最序盤で左之助からは「何万回倒しても強さの証にはならない」と断言されており、人誅編では二重の極みも使えない左之助に一コマで倒されてるくらいなので、あのレベルに比べると色々とお察しではある。
なお、人斬り抜刀斎以外にも斬左の物真似もしている。まぁこっちはギャグなのだが、もちろん全然似てないし、即座に素手の左之助にボコられた。


アニメ版では神谷道場の元門下生という設定になり、人を斬る事に喜びを感じ門下生を刀で襲撃するも、師範である薫の父に制裁されて右手の親指を潰された上で破門された。
その際幼少の薫を見て復讐心の矛先を彼女に向ける事となった。
また小細工担当の兄が設定ごと消え去った為か、ある程度頭も回るようになった。
残った左腕だけで我流の剣術を磨き10年越しの復讐を目論むなど、その執念は本編の強敵達にも迫るものがある。
斬左編以降もアニメオリジナルエピソードに登場して剣心達を倒そうとした事も。
また、左之助からの評価も「そこそこの使い手」に上がっており、完全にナメられていた原作と違いある程度シリアスな対応を受けている。


本編でのやられっぷり活躍


第一話から登場。
神谷道場の土地を略奪を目的として、弟の伍兵衛が神谷道場の流派"神谷活心流"と幕末の伝説『人斬り抜刀斎』の名を騙り辻斬り騒動を起こし神谷道場を廃業寸前に追い込み、
兄の喜兵衛は行き倒れを装って神谷薫に接近して好々爺を演じ、住み込みの奉公人として傍に寄り添いつつ道場の閉館と土地の売却を唆していた。

しかし薫が道場を閉館させる気配が全く無かったことと伍兵衛の正体に感づいたことから、結局力づくで土地の略奪を図る事となる。
夜中に門弟たちと道場に押し入って薫を負傷させ土地を手放す誓約書に拇印を無理やり押させ成就寸前まで至るも、
偶然薫と出会った流浪人にして本物の「人斬り抜刀斎」である緋村剣心の登場によって全てが頓挫。
人斬り抜刀斎を騙っていた伍兵衛も"本物"の前には手も足も出ず『龍槌閃』の一撃で完敗し、喜兵衛も恐怖で失禁・気絶した。
その後、二人揃ってふん縛られ、警察署の前に転がされて御用となったという。


それからしばらくして、どうやってかは不明だが刑務所を脱獄し、裏社会で名を馳せていた「喧嘩屋斬左」こと相楽左之助に剣心の抹殺を依頼。
辻斬り騒動の顛末は彼の耳にも届いており、動機に関しては「みっともねぇ逆恨み」と一瞥されるが、剣心が伝説の「人斬り抜刀斎」であると告げられると歯応えのある喧嘩相手に飢えていた斬左は依頼を快諾した。
もっとも喜兵衛からすれば斬左とて幕末最強と言われた剣心に勝てるとは思っておらず、本命は二人の闘いの直後、気を緩めた瞬間に物陰から外国人居住地で仕入れた自らの拳銃で仕留める、という算段であった。

しかし剣心にあっさり斬左の依頼主が自分達であることを看破され*7、物陰に隠れていたことも剣心と斬左にはバレバレであったため2人の静かな恫喝を受けて表舞台に引きずり出される。
更には斬左に拳銃の存在もあっさり看破され、自らの喧嘩に横やりを入れられぬよう拳銃も(素手で)壊されてしまう。

そして闘いは案の定剣心が斬左を圧倒していたが、斬左が口にした赤報隊の名を聞いて驚いた剣心の一瞬の隙をつき、喜兵衛が隠し持っていた二丁目の拳銃を発砲。
打ち取ったと思ったが、剣心は弾道を見切り鍔で銃弾の直撃を阻止(しかしこの一撃で鍔は破損し、二度は防げない)。
次は薫と明神弥彦に銃口を向けて脅し、伍兵衛も二人が逃げれないよう両脚の骨を折ろうとするものの、
そこに喧嘩の邪魔を絶対に許さない斬左がぶん投げた斬馬刀が伍兵衛の目の前をかすめ、鼻の上を大出血。*8
喜兵衛も剣心から「つくづく救えぬ男だ」と言われてしまい、それでも更に隠し持っていた三丁目の拳銃を出そうとしたものの、剣心の『土龍閃』の直撃を受け敗北。
しかも「気絶しない程度」に威力を抑えられ、生き地獄の如く激痛にのたうちまわっていた。

その後特にこれと言った活躍も言及も無く、物語からフェードアウトしていった…









…と、思ったが終盤になってまさかの再登場。どうやらその後二人で信州に逃亡したらしい。
信州に逃げ果せた後は、養蚕業の利権に目をつけ宿場の養蚕業の独占を狙う地元のMッパゲ*9のヤクザ不動沢(元力士)の用心棒となっていた。
自分の力量を見せるために意気揚々と登場したものの、そこにいたのは斬左こと左之助。
阿鼻叫喚する二人であったが、左之助と読者はすっかり忘れていたため、四年半ぶりの顔合わせと勘違いされてしまう*10
それでも斬馬刀を持っていない斬左など恐るるに足らず、今こそ鼻の傷の恨みを晴らす時!!と勇み刀を抜くものの、やられる瞬間すら省略され左之助にボコボコにされる。
もうこの頃になるとメタ発言もするようになり完全にギャグキャラになり下がっている。

当初はMッパゲの宿場独占の邪魔者である上下ェ門の討伐にぶつけようと考えられていたが、左之助との喧嘩を見たMッパゲから戦力外扱いにされてしまう。
それでも名誉挽回のために喜兵衛の矢文で上下ェ門を仕留めようとするものの当然ごとく失敗。
最後はそのMッパゲの後ろ盾である叔父・谷十三郎(ブタまんじゅう)の護衛をしていたようが、こちらも戦闘場面を完全省略され兄弟揃って左之助にフルボッコにされてしまう。
第一話から登場した彼らの活躍やられっぷりはここで終わることになる。


「「結局最後までこんな役…」」


余談


作者としてはこの二人の顔はメリハリが効いているため非常に描きやすく(二人のカットも2分あれば描けるとのこと)、時間が無い時には愛おしさすら感じていたほどらしい。
そのこともあってか、「今『剣心』を描くんだったらこういう風に」というテーマで、様々な登場人物をセルフリファインして完全版カバー下に描かれた「再筆版」でも全く描きなおされなかった。作者の和月氏曰く
「コイツらのデザインは既に無敵の完成系。全く以て変え様が無い。素晴らしい
とのこと。変えれる要素が全く無かった志々雄ですら頑張って多少はリファインしたのに
コミックスの製作裏話で「再登場することはないでしょう(笑)」とコメントしていたにも関わらずその後2回も登場したあたり、よほど描きやすかったのだろう。

また、実写版キネマ版と言った原作本編以外での登場は現状無かったりする。*11
その一方で、「十勇士陰謀編」ではアニメ版設定の伍兵衛がサブイベントで登場したり、「再閃」では河原ステージの背景で兄弟そろっていたりと何気にゲーム作品での出演には恵まれている。

なお、アニメ版に喜兵衛は登場しないのは前述の通りだが、アニメオリジナルエピソードで剣心達が泊まった旅館の番頭*12の容姿は喜兵衛が元になっている。



結局追記・修正してもこんなクソ項目…

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2021年05月26日 23:20

*1 いわゆる発行部数が一番落ち込んだ『暗黒期』と呼ばれる時期であるが。

*2 舎弟の一人の「西脇」は作者の本名でもある。

*3 約195cm。ただし漫画的な誇張で3mくらいありそうに見えるコマも。

*4 CDブックでは薫がこの台詞を言っている。

*5 操のクナイによるアシストも薫の武器が竹刀などではなくもっと頑丈な物だったら必要無かった。

*6 付け加えると物語冒頭の薫は「人斬り抜刀斎」を単身探し回るなどかなり気丈に活動していたが、一話開始時点で門下生は既に全員逃げてしまっており、唯一支えになっていた喜兵衛が実は黒幕の片割れだった事が襲撃の際に本人から暴露されるなど、精神的には相当参っていたと思われる

*7 剣心いわく「この町で拙者が抜刀斎と知っているのは(自分と薫以外では)比留間ぐらいのもの」。彼にしてはうかつなミス。

*8 漫画では特にその後の描写は無いがCDブックではそのまま悶絶し転げ回っていた。

*9 所謂M字ハゲ。ベジータの額を参照。

*10 劇中では半年だが連載の期間としては四年半。

*11 ただし、実写版一作目に登場する我荒兄弟は比留間兄弟をベースにしている。

*12 喜兵衛とは違い悪人ではない。