夢工場ドキドキパニック

登録日:2021/02/03 Wed 23:41:06
更新日:2025/04/11 Fri 20:54:49
所要時間:約 4 分で読めます





『夢工場ドキドキパニック』とは、フジサンケイグループのイベント、『夢工場'87』のタイアップの一環としてディスクシステムで発売された2Dアクションゲームである。
発売はフジテレビ、開発は任天堂

本作を元に生まれたゲームが『スーパーマリオUSAであり、現在は専らその原作として知られる。

【ストーリー】


夢宇(ムウ)界を描いた絵本からとんでもない事件が起きようとしていた。
「人々の楽しい夢を作り出す夢工場のドリームマシンは、夢宇界という世界にありました。
そのドリームマシンをいたずらしたマムーは、ムウ達に大嫌いな野菜で降参させられました」
こんな物語の絵本をピキとポキが破ってしまったから大変。マムーが甦り、2人をさらった上、
本当に夢工場を占拠してしまったのだ。もう夢宇界は大混乱。そこでイマジンファミリーが登場!
マムーから夢工場を取り戻すため、絵本の中に飛び込んでいった。
(当時の販促チラシから抜粋)

【概要】


1987年夏に開催された大型イベント、『夢工場'87』のタイアップ商品。
宮本茂氏など、当時一大ブームを残した『スーパーマリオブラザーズ』に携わったスタッフが開発にかかわっている。

野菜を引っこ抜いて敵に投げつけたり、敵そのものを持ち上げたりと当時としては一風変わったアクションが用意されており、ゲーム自体も任天堂マリオスタッフが関わっていたこともあり好評であった。

プレイヤーキャラクターはイマジン、リーナ、パパ、ママの4人から選択可能。
一度選ぶとマムー撃破まで切り替えできず、ゲームクリアにはマムーを4人全員とも撃破しなければならない。
そのため実質4周する必要がある。セーブ機能は搭載しているのでご安心を。

「夢工場」でのテーマの1つである「仮面」はヘイホーやカメーンなどの一部の雑魚敵やゴールなどに使われている。終盤には・・・

パッケージ版ではマリオとイマジンが握手しているイラストのシールが、また懸賞品として、マリオ、ピーチ姫、イマジン、リーナがデザインされたテレホンカードが用意され、任天堂が開発したことが大々的に宣伝された。


アメリカなどでは、キャラクターをマリオシリーズのキャラクターに差し替え、その他さまざまな仕様変更を施し、『スーパーマリオブラザーズ2』として発売された。
この時日本では本来の『スーパーマリオブラザーズ2』が既に発売されていたが、海外では難しすぎるゆえか未発売であったため、同じタイトルで指す作品が日本・海外で異なるという結果になった。
日本版の『スーパーマリオブラザーズ2』は、その後『スーパーマリオコレクション』の収録ソフトとして海外にも発売はされている。

このアメリカ版『スーパーマリオブラザーズ2』として販売された『夢工場ドキドキパニック』を日本で発売した作品が『スーパーマリオUSA』である。

ヘイホー、ムーチョ、サンボ、キャサリンなどのマリオシリーズでもお馴染みのキャラクターは同作で誕生した。もしも『夢工場ドキドキパニック』が発売されていなかったら、マリオシリーズのキャラの顔ぶれも若干異なっていただろう。

ストーリーに関しては、「マリオUSA」と全く異なる。例えばUSAでは舞台が「夢の国サブコン」となっているが、今作では絵本の中である、ピキとポキにあたるさらわれたキャラクターがUSAにはいない、など。

ゲームシステムなどの詳細は「マリオUSA」の記事に詳しく記されているため、そちらを参照してほしい。

【キャラクター】


敵キャラなどはマリオUSAのほうに詳しく乗っているため、今作のみに登場するイマジンファミリーを記す。
  • イマジン
プレイヤーキャラその1。ターバンが特徴的な少年。「夢工場」におけるメインのイメージキャラクターであり、ゲームでは平均的な性能の持ち主…ということになっているが、実はジャンプ力はママと同率の最上位。
「マリオUSA」ではマリオに相当するが、マリオはキノピオの次にジャンプ力が低いことを考えると使いやすさが相対的に下がってしまっている。

  • リーナ
プレイヤーキャラその2。アラビアの踊子風な服を着た女の子。
イマジン「ファミリー」とあるが、彼女はイマジンの「ガールフレンド」である。家族公認かよ。妹などと勘違いしていた人もいるだろう。
ゲームでは力が弱く持ち上げたり、物を持った状態での移動速度が遅いが、ふわふわとジャンプできる。「マリオUSA」ではピーチ姫に相当。
余談だが、当時のボードゲームでは彼女がさらわれ役である。

  • ママ
プレイヤーキャラその3。イマジン、ピキ、ポキの母親。他キャラはアラビア風だが、彼女はどっちかというとフード付きマントを着た魔女のような格好をした長身の女性。
ジャンプ力が高いうえに、ジャンプ中はスローになり動かしやすい。ジャンプ中足はバタバタしない。一方で力は弱く物を持つと自慢のジャンプも弱体化。「マリオUSA」ではルイージに相当。

  • パパ
プレイヤーキャラその4。イマジン、ピキ、ポキの父親。
イマジン同様ターバンを巻き、ひげを生やした小太りの男性で、太っているためジャンプ力は低い。一方力は強く、物を持ち上げる速さや物を持った状態の移動速度は最速。「マリオUSA」ではキノピオに相当。

  • ピキ、ポキ
イマジンの兄弟の双子。マムーにさらわれた。ピンクがピキで青がポキ。2人の絵本の取り合いが騒動の原因であり、実質全ての元凶。

  • ルーサ
猿。イマジン家のペットであり、ピキとポキがさらわれたことをイマジン達に知らせている。ただし絵本の世界には突入しなかったらしくOPとEDにしか出てこない。

【マリオUSAとの違い】


『夢工場ドキドキパニック』から『スーパーマリオUSA』にするために大小の仕様変更が施されているため、その一例を記す。
  • ディスクシステムからファミコンカセットに変更。
  • プレイヤーキャラクターがマリオたちに変更。
  • セーブ機能の廃止及びコンティニューの追加。
  • 1キャラクターでマムーを倒せばゲームクリアに。
  • チャプターごとにキャラ変更が可能に。
  • カニの姿のボス、「チョッキー」の追加及びボス配置の変更。
  • タイトル画面などの差し替え。
  • マリオたちがライフ1で小さくなる。
  • 地上ステージ及びキャラ選択のBGMに夢工場にはなかったパートが追加。ボーナス、無敵BGMの変更。
  • ダッシュの追加。
  • ボーナスのスロット画面が豪華な仕様に。
  • ゴールであるマスクゲートのデザインが変更。
  • みんなのトラウマ「カメーン」の顔が無表情から恐ろしい顔に。無表情のほうが怖いという意見もあるが。
  • 一部アイテムの変更。(投げつけアイテムのビッグフェイスがみどりコウラになるなど。)
このように、大幅な仕様変更が存在する。

【余談】


パッケージアートと「マリオUSA」のパッケージアートは単にマリオキャラに置き換えただけに見えるが、実は同じようですべて書き直されている。
また、マリオキャラのポーズがマリオ=イマジンを除き、全て相当するキャラから変えられており、ママに相当するルイージはパパ、リーナに相当するピーチ姫はママ、パパに相当するキノピオはリーナと同じポーズになっている。

任天堂が他企業が発売するゲームの開発に回る、ということは非常に珍しい。これ以外だと味の素マヨネーズの懸賞非売品『もと子ちゃんのワンダーキッチン』、三井不動産と電通の二社連盟発売ソフト『スヌーピーコンサート』くらいである。

マリオブラザーズに登場したPOWブロックが登場している。開発がマリオシリーズ開発者であることからの内輪ネタだろう。もちろん「マリオUSA」でも差し替えられずに登場している。

ハックン、ポンキー、サンボは日本ではヘイホーたちより一足早く、「スーパーマリオワールド」でマリオシリーズ初登場を果たしている。
また今作に登場する「ボブ」という敵キャラと「マリオ3」より登場したボム兵は海外名が同じ「Bob-omb」であり、見た目、性質が近く、マリオ3の説明書にも「よーく見るとどこかで見たことがあるなぁ。」と書かれているが同一キャラクターかは不明。

ヘイホー、キャサリンなどの本作初出キャラの版権はフジテレビが持っている、という都市伝説もあるが、実際フジテレビが版権を持っているのはイマジンファミリーだけで、ヘイホーたちは任天堂が版権を持っている。

イマジン達がヘイホーやキャサリンより知名度が低くなってることがネタにされることもあるが、実際この手の企業イベントのイメージキャラクターは大抵、イベント終了後は知る人ぞ知る存在になるため、むしろイベントから30年以上たっても「マリオUSA」の元ネタとして今でも語り継がれるイマジン達はまだ知名度がある、といえるだろう。


追記・修正はマリオUSAではなく、夢工場ドキドキパニックをやった人にお願いします。

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