ゾイナー星人ベートニン

登録日:2021/06/04 Fri 17:53:15
更新日:2025/04/20 Sun 23:15:51
所要時間:約 7 分で読めます





ここはいずこでござる?「京の都」と其処此処に書いてはあるが、違う…
拙者の愛した京の都は、何者かに侵略されたでござるか…?

ゾイナー星人 ベートニンとは、特撮テレビドラマ「特捜戦隊デカレンジャー」に登場したエイリアンである。

CV:岩尾万太郎

データ

身長:228cm
体重:124kg
出身地:ゾイナー星
罪状:重要文化財窃盗の罪
ジャッジメント:◯(デリート不許可・無罪)
登場エピソード:Episode.18「サムライ・ゴーウエスト」

概要

平均寿命が60000年という長命な種族であるゾイナー星人の1人。
140年前、宇宙を航行していた際に不慮の事故に遭って地球の日本に漂着。
自身も負傷し、京の山中をさまよっていたところを新選組の一員にしてバンの先祖である赤座番之進(演:載寧龍二)が偶然通りかかり、彼に拾われる。
そのまま番之進と共に暮らしていく内に彼から赤座剣法と武士道を教えられ、その生き様に感動する。
そして、一度故郷であるゾイナー星に帰って修行を積んだ後に同じ新選組の一員となって京都を守る約束を結び、一度ゾイナー星に帰還し、現代になって再び地球を訪れた。
しかし、地球人と自分達ゾイナー星人の寿命の違いを知らなかった事から、文化も価値観も技術水準もすっかり変わってしまった京都に困惑し浦島太郎状態となってしまう。

人物像

一人称は「拙者」で、語尾に「ござる」と付ける古風な口調で話す。
恐らくこれは日本に滞在していた際に影響された物と思われる。本来の口調については不明。
番之進との約束を律義に守ろうとし、彼との思い出を何より重んじる生真面目で義理堅い性格だが、その分頑固で融通がきかず、故にどこかせっかちな面もある。

本来の姿は青緑色の肌に口と胸部にオレンジの発光体がある爬虫類あるいは半魚人といういかにも宇宙人らしい物だが、再び京都を訪れた際にはその上から赤い陣羽織にマフラー黒い兜を着用した武者のような出で立ちになっていた。

武器は普段は腰に納刀している日本刀型の長剣で、戦闘スタイルはそれを用いた剣術。
番之進直伝の赤座剣法も習得しており、必殺技は雷の如き速さで斬撃を放ち相手を切り裂く「赤座剣法・雷神剣」
総合的な戦闘能力は非常に高く、一人でデカレンジャー5人を同時に相手取って優位に立ち回り、雷神剣で一斉に変身を解除させてしまった程。

活躍

先述の約束を果たす為に京都に舞い戻るも、先述の通り現在の京都の街並みの様子に困惑。
自分を着ぐるみだと思い込んでしつこく絡んでくる女子高生達に腹を立て、その1人の携帯電話を切り落としていた所を、自身の宇宙船の目撃による通報を受けたデカレンジャー達と対峙。

面妖さ極まれり!貴様らが侵略者でござるなぁ!?

侵略者!?

えぇっ?
はぁ…?

拙者が成敗してくれるわぁーーーっ!!

デカレンジャー達を「京都を侵略した悪党共」と思い込んだベートニンは彼らと激突し、これを圧倒。
更に赤座剣法・雷神剣を放って変身解除にまで追い込んでしまう。
しかし、そこでバンの素顔を見るや否や…

おぉっ…!!その顔は…!赤座番之進殿か!?

はぁ…?

頭こそ散切りだが、番之進殿に間違いない!

ちょっとおい!何だよいきなり!?

いやぁ~番之進殿もお人が悪い~。拙者を、からかったでござるかぁ?いやぁ~参り申したぁ~!

なんと、その瓜二つな容姿故に番之進と人違いしてしまう。
直後に安心して気が緩んだか、空腹で気絶。その間にジャスミンのサイコメトリーで自身の過去をデカレンジャーに知られるのだった。


…その後、どこかの日本家屋でベートニンが目を覚ますと、目の前にいたのは頭を整え、新選組の着物を着た番之進だった。
先程との佇まいの違いに困惑するベートニンであったが、腹の虫が鳴ったベートニンを番之進は飯に連れ出した。
そうして家屋を出たベートニンの目に映ったのは…


木造の古い建物が立ち並び、着物姿の人々で賑わう自身がよく知る「京の都」の町そのものだった。


惑うことなきその情景に、今までの下りが全て「やはりあれは、悪い夢だったでござるなぁ~」と納得し安堵するベートニン。
そのまま番之進と共に町娘のお梅(演:菊地美香)が働く食事処に入ったが、そこで彼らを待っていたのは、新選組の筆頭格である局長・近藤勇(演:伊藤陽佑)、副長・土方歳三(演:林剛史)、一番隊長・沖田総司(演:木下あゆ美)だった。
番之進の話からベートニンの事を知っていたと言う彼らだが、ベートニンを隊士に迎える事には実力不足を理由に反対。沖田に至っては「お主は子供にも勝てぬ」と辛辣な評価を下した。
当然、初見で散々こき下ろされたベートニンはこれに立腹。
すると、土方は自身の刀をお梅に渡し「このお梅に勝てば、認めてやろう」と挑発。
敗れたら素直に星に帰る事も番之進と約束し、藁と竹で作った的相手の実力の見せ合いが始まった。

先手はベートニン。
「たやすい事!」と息巻く彼は、見事な太刀筋の下に一撃で的を斬り裂いた。

後手はお梅。
本人も「見様見真似やけど…」と言いつつ、ベートニンも「できるはずがないでござる」と高を括るが…


その太刀筋はあまりに早すぎて目視できなかった上、納刀と同時に的は爆発して木端微塵になってしまった。


こうして勝負は満場一致でお梅の勝利。
ベートニンは町娘に敗れた事を悔やみつつも、約束通りゾイナー星に帰る事になったのだった。
しかし、番之進が「これにて一件落着!」と決めポーズを取ったその時、うっかり手が付近にあった石塔に当たってしまい転倒。
支えようとした番之進も一緒に転んでしまい、同時にそれまで被っていたカツラが外れてしまい、先程のような散切り頭が露わになった。
しかも、石塔がぶち抜いた壁の向こうには現代的な道具に溢れたセットが広がっていた。

そう、全てはデカレンジャー達の壮大な芝居であった。
自分達を侵略者と思い込んでまで襲いかかったベートニンの姿から話に聞く耳を持たないと判断したデカレンジャー達は、当時の人々になりすまし、バンを番之進に仕立て上げる事によってベートニンを説得して母星に帰そうとしていたのだ。
そして先程までの京の都の風景は、「東映太秦映画村」のセットであった。
当然、お梅の抜刀もそれらしきポーズのみであり、的の爆発も裏に隠れていた技術班が仕込んだヤラセでしかなかったのだ。

映画村を飛び出し、まんまと一杯食わされた事に立腹するベートニンだったが、その前に突如エージェント・アブレラが出現し、そのまま彼を連れ去ってしまう。

時代は変わった…
そして今、子孫である奴らがこの美しい町を破壊してしまおうとしているのだ。

そうか…!ふむ…あの偽物が番之進殿の子孫…!

今や、この都を守れるのはお前だけだぞ?
美しい神社仏閣を別の場所に移動して、新たな「都」を創ったらどうだ…?

連れ去られた先でアブレラからそう吹き込まれ、ようやくバンが番之進の子孫である事に気付いたベートニン。
そして直後のアブレラの悪魔のささやきに対し、ベートニンは考え込む。アブレラの中の人的にもまるでどこかで見たような構図である。


手助けいたす。安くしておく故、おきばりやす…


直後、超巨大怪重機・ビグドローワーが京都の中心部に出現。
京都の重要文化財を次々に吸収していってしまう*1
そのあまりの大きさにデカベースクローラーが出動し、デカレンジャー達も先発したデカマシンに乗り込んでビグドローワーを食い止めにかかる。しかし、取り込まれた重要文化財の存在もあって迂闊に手出しできない。
当初はベートニンが乗り込んでいると思われたが、コックピットにいたのはバーツロイド。
デカレッドはベートニンを見つけるべく、デカベースロボを降り戦線を一時離脱。その際デカマスター「『侍の魂』を教えてやるんだ!」と、デカレッドにディーソードベガを手渡した。

そして、とある寺にいたベートニンを見つけたバンはビグドローワーを止めるよう説得する。
しかし…

拙者は、この都を江戸の昔のまま守りたかった…
それが叶わぬ今、もうどうなろうと同じでござる…!

馬鹿!!それでも赤座番之進の弟子かよ…
そんなの聞いたら俺のご先祖様が泣くぜ!?

インチキをするような輩の言葉、聞く耳持たぬ!

その事は素直に謝るよ…ごめん…
でも俺のご先祖様が…赤座番之進が守ろうとした京の都を、俺だって子孫として守りたいんだ!!

侍の心も技も残っていないくせに!!

そんなことない!!

俺だって赤座家の…赤座伴番だ!!

すでに憧れの京の都は変わり果て、その上恩人を騙られた事でベートニンの心は失望でいっぱいになっており、バンの言葉に聞く耳を持たなかった。
そんなベートニンに自分の思いと覚悟を伝えるべく、デカレッドはベートニンに剣術勝負を挑む。

両者一歩も譲らぬ鍔迫り合いの中で、ついに赤座剣法・雷神剣の構えをお互いに取った。
競り合いの末デカレッドはベートニンの刀を弾き飛ばし、技を発動。その兜を両断した。
そして勝負あった中で、デカレッドは重要地球文化財窃盗の罪でジャッジメントに掛ける。
しかし、判決はデリート不許可

謎の男から誘いは受けたが、きっぱり断ったでござる!

良かったぁ…ご先祖様の人を見る目は正しかったんだ。

伴番殿、そなたも立派な侍でござる!!

うん…安心してよ!140年前から比べたら、この町は変わったかもしれないけど…
今の人達だって、古い時代のいい物は守ろうとしてるから!

拙者は…安心して星へ帰ろう!

ベートニンは先のアブレラの誘いを、考えた末、断っていた。そもそもビグドローワーによる窃盗行為は、アブレラが後払いで売りつける為の独断行為であり、ベートニンは全く関与していなかったのだった。
時を同じくしてビグドローワーが取り込んでいた重要文化財も無事に解放され、デカベースロボがビグドローワーを撃破し勝利。
判決に胸をなでおろし、番之進の人を見る目を確かめたバンは、自分達現代に生きる人々の思いをベートニンに伝えた。
そして、勝負を通してバンの腕前と思いを知ったベートニンも、彼らにこの先の京の都を託し、今度こそ母星へ帰る決心をしたのだった。

余談

◆出身星と名前の由来は「武士道」の著者として知られる新渡戸稲造。

◆声を担当した岩尾万太郎氏は「爆竜戦隊アバレンジャー」にてムカデンパンジーの声を担当しており、スーパー戦隊シリーズへの出演は2年連続となる。

◆作中最初にして最後である「デリート不許可を受けて無罪潔白なエイリアン」となった。


アニヲタ剣法・追記修正!


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最終更新:2025年04月20日 23:15

*1 清水寺には多くの観光客などもいたが、お構いなしにそれらごと吸収した。