四星(るろうに剣心)

登録日:2021/06/11 Fri 21:33:52
更新日:2025/04/27 Sun 18:31:00
所要時間:約 4 分で読めます





さぁ、四星(スーシン)、今まで随分我慢してきたろう…。
しばしの間、私の護衛の任を解く…。

暴悪に荒れ狂えッ!!

ニ タ リ 

四星(スーシン)とは、漫画るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の登場人物達。

目次

【概要】

雪代縁が率いる上海マフィアのメンバーで、組織のNo.2である呉黒星(ウー・ヘイシン)の直属の護衛。
四つ子の武人で、それぞれ青龍・朱雀・白虎・玄武と四聖獣の名を冠している。
全員共ビジュアルは同じ胴着を纏った禿げ頭(剃髪?)の巨漢というほぼ瓜二つで、額に自分の担当する四聖獣の名前が刻まれている他、頭部にそれぞれの聖獣を意識したような刺青が施されている。
護衛の任を解かれると「四」から本来の「四」としての武人となり、その際の実力は「4人が揃えば縁と互角*1」と黒星に評される程。

…と、設定は結構大層だが、実際の劇中では斎藤蒼紫左之助弥彦らそれぞれにボロが出た途端にあっさり敗北するなど、かませ犬程度の扱いでしかなかった。(一応、青龍と朱雀はかなり善戦してはいるのだが…)
また、総じて相手が敗れ死にゆく様を見るのが何より大好きというドS兄弟であり、ほぼ全員その性格が災いして敗れる事となり、斎藤や蒼紫にも「殺す価値もない」と一蹴された。
ただ黒星がロクに見ていなかった斎藤と蒼紫の得物*2を一目で見抜いて各々適した者で挑んだり、一応実力者ゆえの描写はあった。斎藤も青龍に対して「主と違って少しは使えるようだ」と認めている。
そして、強さは兄弟で等しく同じ…と思いきや、結構バラつきがある。
その為、本来は1対1よりも、兄弟四人で力を合わせて、互いの弱点を補い合った集団戦法の方が得意であると思われる。
劇中では「一人一殺」を命じられた故に敗北してしまった四人だったが、もしも集団戦法で来られたら、
一緒に戦った経験がほとんど無いのであまりチームワークが良い方とは言えない剣心組は、劇中以上の苦戦を強いられていた可能性は否定できない。
この辺は、(「四神」の実力を信じてたろうとは言え)「一人一殺」を命じた黒星の采配ミスと言えるだろう。



【構成員】


青龍



腕一本と引き替えで済むなら、
勝利の代償としては十分安い!

「四神」で最も相手の技を見切る事を得意とする。
関羽が持つような巨大な青龍偃月刀(薙刀)『青龍大刀(チェンロンダイトウ)』が武器。

斎藤と対決し、自身の左腕を負傷しながらも『牙突』の弱点*3を一発で見抜き、2回目と3回目の牙突の際にカウンターを見舞って彼の右肩と右腕を負傷させるが、
4回目の牙突…と見せかけた握撃で顔面を握り潰され、更なる牙突で『青龍大刀』も破壊された上で、止めの牙突を胸元に叩き込まれて敗北した。

斎藤曰く「愉悦欲しさに戦いに身を置いているクチ」「勝ち戦でしか笑えん男」。かつて牙突を攻略しても尚引き分けに終わった剣心に言わせれば「牙突を攻略したぐらいで斎藤に勝てるのなら、拙者と斎藤の決着など幕末にとうに付いている」とのこと。
斎藤を斎藤たらしめているのは、『牙突』のみならず彼の正義『悪・即・斬』に基づいた勝利への飽くなき執念であり、その差が命運を分かったのだ。

「闘いの最中に笑うなど武人として無礼千万」として自分で口元を締めるのが癖だが、優位に立つとあっさり笑ってしまうなど、やはり性根は他の兄弟とそんなに変わらない。
とはいえ他の3人はそんな考えすらなくニタ笑いしているし、斎藤程の強者が繰り出す技・『牙突』を見切るのに左腕1本で済むのなら勝利の代償としては安いと考えて本当に左腕を犠牲にしているので、兄弟の中ではまだ真っ当に武人している方である。
精神面では兄弟比較で一番成熟していたと言える為、もしかしたら彼が長男なのかもしれない。

余談だが、相手の技を見切る事に長けた武人という点では維新志士への鎮魂歌の時雨滝魅と共通しているが、
時雨は抜刀斎の龍槌閃を目に焼き付けただけで剣心の技を全て見切っているというメンタルも含めて青龍の上位互換みたいな強敵であった。


朱雀



これだ…。このとどめの瞬間……。
自分の技で殺される、その千差万別の表情が、面白いコトこの上無し!
これだから『闘い』はやめられぬ!

「四神」で最も「模倣」を得意とする。
だがただの模倣ではなく、敵の微妙な呼吸・目の動き・筋肉の動きなどを素早く察知し、初見の敵の技を全く同じタイミング・スピードで模倣する事ができる*4という、地味にとんでもない能力の持ち主。
恐らくは純粋な実力は「四神」の中でも最強と言ってもいいだろう。
ぶっちゃけ能力だけならメインヴィランでも十分通用します
翼の意匠が付いた二刀流朱雀双剣(チューチャーフェンギム)』が武器。

蒼紫と対決し、御庭番衆の「剣技」を何から何まで、それこそ『回天剣舞六連』まで事前情報無しの初見で完コピしてしまうなど、その恐ろしさを見せつけ蒼紫の肩も軽く切り裂いた。更に剣戟の中で瞬く間に小太刀を彼の手から両方共弾き飛ばし、己の勝利を確信する。
…と、ここまでは良かったのだが、「剣技」以外の模倣が疎かだった為に地金が曝け出てしまい、御庭番衆の「拳法」の前に虚を衝かれ鼻を蹴り折られる。蒼紫の本来の戦闘術は拳法だった事をここで思い出した読者もいたかもしれない
蒼紫から盗み得た技を再度繰り出そうとするが、『朱雀双剣』も「自分の剣ゆえ、太刀筋は百も承知」(そりゃそうだ)と白羽取りされた*5挙げ句に片方を折られて模倣剣を封じられてしまい、そのまま正拳突きで下顎を破壊されて敗北した。

「全ての武芸は始祖の模倣の繰り返しによって完成する」という持論を唱えていたが、それ自体は決して間違ってはいない。
武芸も学問も、全ては模倣から始まって学ぶものである。
だが、朱雀の場合、*6その「模倣」を更に進化させる、自身の技として昇華させるのがあまりにも疎か過ぎた。
この点を蒼紫から「模倣を極めても、所詮は模倣」と痛烈な皮肉で返される事になる。
単行本最終巻の後書きで作者が「パクリとオマージュの境目で悩んだ」事を語っているため、この辺りの展開は作者の自虐と漫画家としての決意表明も混じっていたのかもしれない
前述の通り、剣技と「模倣」に関しては間違いなく天才の領域であり、剣の実力自体は蒼紫を凌ぐと言っても過言ではなかった為、
相手の技のみにこだわらず、今までの模倣で得た剣技を惜しまずに披露していれば、互角以上の戦いを繰り広げる事も、運が良ければ十分に勝てる可能性もあった筈なのだが…。
敵が自分の剣技で倒されるのを見るのが何より好きというドS精神が、結果として自身の足を引っ張ってしまったと言えるだろう。


余談だが、実は剣心にとってはさり気に相性最悪の敵であった。
それと言うのも、蒼紫を上回る速さを持つ朱雀の力量ならば、あの『飛天御剣流』をも模倣し放題だからである。
ひょっとしたら『九頭龍閃』だけでなく『天翔龍閃』もノーリスクでラーニングできた可能性も万が一…*7
蒼紫と違って体術にはあまり秀でず剣術一点特化である剣心が対決していたら、流石に負けはしないにせよ蒼紫以上に苦戦を強いられていた可能性は高かっただろう。
『朱雀双剣』で十二分に抜刀術できるのか?というのはさて置いて。流石に敵に応じて武器は替えるだろうけど。

あと逆に、朱雀と相性最悪なのが、劇中で黒星も引き合いに出していた縁。
彼を相手にした場合、技そのものの模倣は容易くて他の兄弟3人と力を合わせれば確かに互角に立ち回れるのだろうが、『狂経脈』を発動されれば、体術だけでも剣心を翻弄するその化け物じみたスピードと振り下ろした剣で砂浜を遠くまで裂く桁外れのパワーには、流石に対処が困難だからである。
本当によく出来た力関係であると言えるだろう。


白虎



呆れるのはこちらだ!!
このウスラバカが!!

「四神」随一の拳法家。
攻撃する部位に最も大きなダメージを与える柔軟かつ無限のバリエーションを持つ指先の拳法と、メリケンサック状に変形する腕輪『白虎掌拳(バーフーチェムクン)』が武器。
他の3人と違いただひたすらに攻める。それ故最も激しい攻撃を得意としている。

左之助と対決し、その多彩なネタ拳により翻弄するが、ご存知の通り左之助は打たれ強さが長所なので「グダグダうるせェ上に小技がチマチマウザってェ」と一蹴され*8
「まぐれ当たりの一発で良い気になるな、身の程知らずが」と嘲笑しても「お前に言われると逆に呆れる」と返され逆上するなど、その傲岸不遜な態度にペースを乱されっぱなしにされてしまう。
最後は「スカッと一発、会心の一撃を見せてみろ」とドンと構える左之助に、わざわざ砂で目潰しした上で腹に自身の「大技」である上記のメリケンサックを用いた『白虎掌拳裏拳型・鉄鬼』を浴びせるも大したダメージにはならず、
「小技は効かねぇつってんだろ」と左之助の「大技」である『二重の極み(左手を併用した左之助版)』の前に吹き飛ばされ、立て続けに殴り飛ばされて敗北した。


総じて冷静な「四神」の中では短気で粗暴、かつ普段は周囲を呆れさせる左之助にさえ呆れられる程のチンピラじみた未熟な面が目立つ為、もしかしたら末っ子なのかもしれない。
その精神面を考慮するに、恐らく総合的な実力は兄弟中最下位だろう。
一応、「指先」というある意味では弱点も同然の部類の箇所をメインの武器にまで出来ている点では、
恐ろしい敵ではあるし想像を絶する修練を積んだに違いないが、いかんせん相手が悪すぎたof悪すぎた。
つまり相性が良いと思って挑んだヤツが相性最悪だった。他の3人も負けてるとはいえ、相性が悪かったとは言えない辺りがまぁなんとも…


玄武



敵は若ければ若い程に面白い!
その長い将来を奪い取るは最高の愉悦!

「四神」の中で最も冷静で思慮深い戦いをする者…だが、実際は未来ある者の芽を摘むのが好きな卑怯者。
三節棍に変形する棍『玄武蛇棍(ユンモウセイクァン)』が武器。

弥彦と対決し、変形する棍で『刃渡り』を二度封じて悦に入るが、弥彦をボコボコにして次の相手に向かおうとしていた所で何とか持ちこたえていた彼に自分と力試しをするよう挑発される。
油断してまんまと挑発に乗った玄武は弥彦に言われた通りに棍を打ち出したのだが、彼が気迫の末に編み出した『刃止め』の応用によって棍の先端を抑え込まれ、逆に棍を封じられてしまう。
押しても引っ込めても『刃渡り』が待ち受けるが、さりとて何もしなければ棍が壊れる*9*10という完全に詰んだ状態となってしまい、落ち着けクールになれ玄武と混乱した末に棍を破壊されてしまい、結局『刃渡り』が喉元に直撃して敗北した。


兄弟で最も思慮深いとは言っていたが、実際の所は明らかに場数慣れしておらず、似たようなコンセプトでありながらも腕一本犠牲にしつつも斎藤相手に善戦した青龍には遠く及ばない。
直接的な戦闘は不得意と思わしき描写が多い為、本来は後手に回って、黒星を護りつつ兄弟に的確な指示をしたりするなどの援護・軍師役なのかもしれない。
…それでも、思慮の深さをモットーとしておきながら「相手はたかが小僧」なんて考え出しちゃうのはどうかと思うぞ。玄武よ。


【余談】

ちなみに、四から四になる設定は、作者のミスで「四星」を「四神」と書いてしまったのが元。
余談だが、単行本のおまけページでまで「完結前に剣心の仲間達の活躍を後一度だけ描きたいと思って急遽作り上げたキャラ」だと作者はぶっちゃけている。……何とも不憫な。
それでも朱雀みたいなヤバい能力の奴はいたけど。

実写映画版『最終章 The Final』でもそれらしき恰好の4人組が黒星の護衛として登場している。
とはいっても、ほぼモブと言っても良いほどの扱いではあったが。
ただ一応、見えないところであの人物と戦ってはいたのかもしれない。


追記・修正は武人の心を持つ方にお願いします。


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最終更新:2025年04月27日 18:31

*1 ただし縁が狂経脈を発動していない時に限るらしい。狂経脈発動時は、彼らに加えて私兵団の全部隊を投入しても到底敵わないのだという。

*2 剣心曰く、普通なら一見して長刀を携えているように見える蒼紫に対して武器の間合いが広い青龍が向かいそうなものだそうだが、柄と鞘の重点のズレを見抜いて鞘の中に小太刀が二刀隠されていると見抜き、朱雀が蒼紫を選択すると共に一方の青龍は三尺七寸(約110cm)の日本刀を使いリーチ的に自分が有利な斎藤と対峙した。

*3 技の性質上右側が死角になる他視界も狭まる為、そこに滑り込まれると完全な対処が困難になる。かつて剣心も道場での戦いで当初は斎藤の手加減した『牙突』にすら何度か全く対応出来ていなかったが、抜刀斎に立ち戻った時にその弱点を突いて反撃した事がある。また青龍の大振りな得物ゆえそれを見越した横薙ぎなども届かず…と、さり気なく『牙突』にとって相性最悪の相手であった。

*4 言わば後出しのはずの朱雀が相手と同じタイミングで技を出せるという事は、コンマ数秒相手より技のスピードが速いという事に他ならない。

*5 しかも振り下ろしてきた剣を「上側から」片手で掴んでいる

*6 兄弟の中でも特に溢れる才能に酔いしれてしまったのか、或いは模倣した技で仕留める事しか眼中になかったのか…

*7 ただし、類まれなる身体能力と技術で構成されている九頭龍閃はともかく、天翔龍閃を必殺の奥義たらしめる秘訣は「何があろうと生きようとする意志が不可欠」と作中でも明言されているので、真似できたとしてもあくまでもそれは上っ面の部分だけ。他者を甚振ることに愉悦を覚える朱雀の精神性では結局の所、威力は遥かに劣るものとなっていただろう。

*8 一応左之助が「くっ!!」と呻いているコマもあったため全く効いていなかったわけでは無いのだろうが。

*9 三節棍に変形できる以上、普通の棍よりも作りが脆かったとはいえ武器組織の精鋭用心棒の武器」なのに竹刀とずっと突き合わせているだけでヒビが入り始めたというツッコミどころも当然ある。

*10 なお、128cm・『23kg』の弥彦の押す力に釣り合うほどしか負荷をかけなかったのにという点は、そもそも弥彦はこの戦い以前からも本気を出せば竹刀を叩き折ったり、白羽取りより遥かに困難な刃止めで大人の斬撃をもピッタリと止めてそのまま押し負けずに刃渡りするなど大人顔負けの素早さと力強さを併せ持つため、(剣心達より力は劣ると思われるが)あまりあてにならない。