登録日:2010/06/09(水) 01:52:21
更新日:2025/07/20 Sun 14:15:08
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料理に良く使われる薬味。
植物としての生姜
ショウガ科ショウガ属に属する熱帯アジア原産の植物。
根茎は地下に埋まっており地上には偽茎となった葉のみが出る。
別の茎から独特の形をした花を咲かせるが、
日本国では稀にしか見られず大半が栄養生殖により増える。
原産国と同じような高温多湿な環境を好み栽培には水捌けの良い土地が選ばれる。
発芽温度は18℃以上、最適温度25~28℃とされるため4月頃に植え付けを行い10月頃に収穫されるのが良いとされる。
10℃以下で腐敗が始まるので種生姜の保管は13~15℃が最適である。
- 前年に種生姜として植え付けた塊茎を保存したものを「ひね生姜(根生姜とも呼ばれる)」
- 種生姜から新しく分化したものを新生姜
と呼び、固くて辛味の強いひね生姜は魚の臭い消しや薬味に、柔らかく辛味も弱い新生姜は
紅生姜やガリに向いている。
同じくショウガ科ショウガ属の茗荷と間違われることがあるが別物。
歴史
熱帯アジアから紀元前5世紀頃には中国に伝わっており薬として使われていた。
日本には3世紀頃に中国から持ち込まれたとされ、『
古事記』にも名称が載っている程歴史の古い農作物である。
リアルに「古事記にもそう書かれている」のだ。
古くは薑と呼ばれており、由来は「歯をしかめるほど辛いからという説(歯しかみ)」と「収穫時に端が赤い(端赤み)からと言う説」が有力である。
山椒も同じくはじかみと呼ばれており生姜を「くれのはじかみ(呉の薑、塊の薑)」、山椒を「なりはじかみ(成り椒)」「ふさはじかみ(房薑)」と呼んで区別していた。
西欧諸国にも古くから伝わっていたが、17世紀頃に
クリスマスに付き物のお菓子・ジンジャーブレッド(特に知られるのはヒトを象ったジンジャーブレッドマンか)が流行を見せた。
生姜の姜は薑(風邪を治す物の意を持つ漢字)の代用であったとされる。
英語の「ginger」の語源は角の形をした物の意を持つサンスクリット語が変化したものと見られている。
ちなみにこの語は
赤毛の人々を指して使われることもあるが、良い意味ではないそうなので口にしないのが無難。
効能
生姜の栄養価はビタミンやカリウムが少しある程度で豊富とは言えないが、その真価は香りや辛味の成分にある。
生姜の皮の近くに多く含まれる辛味成分のジンゲロール(6-ジンゲロール)は、血管に入ると免疫細胞が細菌が入ってきたと勘違いを起こすため、結果的に免疫細胞を強化する働きを持つ。
また、この物質自体にも殺菌作用があるため気管支炎等の予防にも有効である。
生姜を乾燥や加熱すると、ジンゲロールは「ショウガオール(6-ショウガオール)」「ジンゲロン(バニリルアセトン)」に変異する。
脱水反応により生じるショウガオールはより強い辛味を持つ物質であり、血小板の粘着や血管の収縮を高める物質の生産を妨害するため、血管を拡張し血流を良くし体温を高める働きがある。
胃腸の筋肉を必要以上に収縮させる物質の働きを抑えるので乗り物酔いにも効く。
「高い発汗作用」「鎮痛消炎効果」「対腫瘍効果」「抗酸化作用」を持つため「風邪の治療」「老化防止」「冷え症の改善」「癌の予防」にも高い効果を発揮する。
すごいやつだ。
ジンゲロンは独特の甘い香りを持つ物質で、近年では脂肪の燃焼に効果があることが明らかになっている。
その他にも
- 解毒作用のあるジンギベレン
- 血行促進効果のあるガラノラクトン
- 食欲増進効果のあるシネオール
等の香り成分が含まれており、非常に健康に良い食品であると言える。
ただし、過剰に摂ると体内の細菌を殺しすぎてしまい、腸内のバランスが崩れ、腹を痛めてしまう同じ薬味の
ニンニク同様の短所も有るので注意。
一日10gくらいが適量とされている。
ジンゲロールは酸化に弱く生姜をすりおろして三分もすれば元の含有量の半分になってしまうので、すりおろしたら出来るだけ早く使っておきたい。
漢方では中国語読みの「しょうきょう」と呼び、葛根湯を始め上記の薬効を目当てに使われる他、大棗(ナツメの実)と組み合わせることで薬効が強い生薬の副作用を抑えるとされ、活用の幅はかなり広い。
その他
タンパク質分解酵素のプロテアーゼを持つため肉を柔らかくしてくれる働きもある。
中国では酵素の働きを利用して牛乳を凝固させ、キョンジャッゾンナーイという牛乳プリンを作っている地域もある。
日本での生産される生姜は4割が
高知県によるものである。
日本や中国では薄切りにした物を香りつけなどに使うことが多いが、欧米等では乾燥させて粉末にしたものを甘い菓子に混ぜて使うのが主であるようだ。
乾燥に弱いため、保存の際は気温が15℃前後の時は一つずつ湿らせた新聞紙でくるむ、夏場はそのまま水を入れた器に浸して冷蔵庫で保存する(水は毎日替える)のが良い。
一回分ことに小分けして冷凍保存も便利。
解凍せずにそのまま使える。
皮も冷凍保存しておけば、香り付けにさっと使える。
石川県金沢市には生姜をはじめとする香辛料の神を祀った
波自加彌神社がある。
毎年6月15日には「はじかみ大祭(別名:しょうが祭り)」が執り行われており、参拝者には生姜湯が振舞われているとか。
2009年に永谷園がはじかみ大祭の開催日に因んで6月15日を「生姜の日」と制定した。
主な生姜の食べ方
笊饂飩や
冷奴などそのままではちょっと味気のない料理を引き立ててくれるし、
焼き魚や肉団子等のように臭みの強い料理の臭み消しに使われる。
あと
馬肉にはこれじゃなきゃ、という人も。
豚肉を
醤油や酒、味醂に生姜汁を合わせたタレに数分つけ、焼いた料理。
オシャレにポークジンジャーなんて呼ぶお店もある。
肉質が柔らかくなり、食欲増進効果によりビタミンB2の供給にも期待できる。
すりおろし、もしくは千切りにして他の具材と一緒に煮込む。
体を温めたい時には最適の組み合わせ。和洋中エスニックを選ばずいろんな食材と合う。
少量の生姜をスライスもしくはおろしてお湯を注いだホットドリンク。
お好みで砂糖やハチミツ、ゆず果汁などを加える。
寒い日には身体をポカポカ温めてくれる。
炭酸水を生姜やレモンで香り付けした物をカラメルなどで着色した炭酸飲料。
塩漬けにした生姜を梅酢に浸けたもの。
詳しくは項目へ。
薄切りにした生姜を甘酢漬けにした物。
寿司の付け合わせに使われる。
殺菌効果の他に、魚を食べて低下した体温を上昇させる効果もある。
インドではチャイをより香り高くする為にすりおろした生姜を入れることがある。
更に生姜にはシナモンやローズマリー等の風味が入っているため、様々な香りを楽しめる。
生姜をメインにシナモンなどの香辛料を使ったヨーロッパの伝統菓子。
クッキー(ビスケット)タイプとケーキタイプのものがある。
クッキータイプはジンジャービスケット、ジンジャースナップとも呼ばれる。
これを家の形に組み立てたものはジンジャーブレッドハウス。
ケーキタイプはモイスチャージンジャーブレッド、スティッキージンジャーブレッド、ジンジャーケーキとも呼ばれる。
黒いパウンドケーキ風の見た目。
ミルクティーやチャイと相性抜群。
生姜汁と砂糖を煮詰めたものを型に入れて固めた菓子、生姜板とも。
生姜を薄切りにして砂糖と煮詰めグラニュー糖を絡めた菓子のことも指す。砂糖漬け、砂糖煮とも。
ついついポリポリ食べたくなる。
そしてお茶が飲みたくなる。
関西方面で人気。
麦芽からできた水飴を水かお湯で溶き、生姜の絞り汁を入れた飲み物。
前者なら冷やし飴、後者なら飴湯になる。
夏バテ対策に良いし冬もポカポカになれる、ありがたいオールシーズンドリンク。
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最終更新:2025年07月20日 14:15