小説 仮面ライダーアギト

登録日:2021/08/22 Sun 01:26:00
更新日:2023/11/28 Tue 08:25:19
所要時間:約 5 分で読めます




翔一が失った過去に秘められていたのは!?
ロード怪人“アンノウン”を倒すことができるのは、アギトG3ギルスか!?

『小説 仮面ライダーアギト』は、講談社キャラクター文庫から2013年1月31日に発売された小説。
TVドラマ『仮面ライダーアギト』のノベライズ作品。

ストーリーはテレビ本編にオリジナル要素を加えて再構築されたもの。著者は小説家の岡村直宏。テレビ版のメインライターを務めた井上敏樹が監修を担当している。
岡村氏は仮面ライダー作品の脚本を務めたことはないが、井上氏がシリーズ構成を担当したテレビアニメ『すもももももも 地上最強のヨメ』に脚本家として参加していたため、この縁で本書を担当したものと思われる。

他の井上敏樹が関わったと比べるとエログロ要素は控えめ。
しかしヒロインの真魚を主軸に3人の仮面ライダーの人間模様を描く構成はいかにも氏の作品らしいと言える。テレビ版のやり取りの再現や細かな設定も掘り下げられており、映像作品を見た人ならばニヤリとするネタも多い。


【テレビ版との相違点】

  • 闇の力に関わる設定のオミット。

  • 美杉太一、河野刑事、沢木哲也(闇の力の使者)、木野薫他あかつき号乗客が登場しない。

  • クウガ』の続編的要素が省略されたため、G3ユニットは初めからアンノウン相手を想定して組織されている。

  • テレビ版のあかつき号事件にあたる『あかつき村事件』が今作の主軸となっている。

その他主要人物の背景設定が変更されているが、真魚以外の人物像は概ねテレビ版と共通している。


【あらすじ】

記憶喪失という苦悩を背負いながらアギトに変身してアンノウンと戦う津上翔一、ギルスの変身能力に肉体を蝕まれる涼。神秘のベールに包まれた戦士アギトとギルス、そしてG3・氷川に加え、真魚を取り巻く人々の運命が動き出す…!


【登場人物】

本作の主人公。セカンド居候。バイクは美杉教授に買ってもらった。
あらすじでは「記憶喪失という苦悩を背負う」と書かれているが、作中ではまったく気にしていないどころか、「見るもの聞くものすべてが新鮮に感じられるため、毎日記憶喪失になってもいい」と思っているほど。
山中で泥だらけになっていたところを発見され、保護されたときには記憶喪失になっていた。そこで病院の担当医(おそらくこの人)のつてで美杉義彦と出会い、居候している。
アギトは本編におけるグランドフォームにあたる形態のみ登場。並大抵のアンノウンでは苦戦しないほどの強さを誇る。

警視庁の刑事でG3の装着員。家族や警察官になった経由、そしてG3装着員に選ばれるまでの過程が描かれている。持ち前の不器用さは健在。
本編では主人公の一人だったもの、今作では翔一、涼、真魚と比べると一歩引いた立ち位置であり、地の文でも唯一名字で記されている。
G3の戦闘力もテレビ版通りであり、作中では1体しかアンノウンを撃破していないが、エピローグにおいては後の『ジオウ』よろしく量産化が実現し、氷川も経験を積んだことで多数のアンノウンを撃破していることが語られた。

ギルスの力に目覚めた青年。氷川同様オリジナルの背景が描写されている。
アンノウンに襲われていた真魚を助けた事が切っ掛けで互いの運命を絡ませてゆき、親交を深めてゆく。
ギルスはテレビ版同様の強さを誇り、アンノウン相手に負け知らず。しかし、ギルスの力の負担で肉体を蝕まれ、エピローグでは映像作品以上に悲壮な状態に……

本作のヒロイン兼主人公の一人。テレビ版と最も設定が変わっている人。ファースト居候。
かつては山村に暮らしていたが、自分以外の村人全員が何者かに惨殺されるあかつき村事件以降、叔父の美杉家に居候している。
本編よりも自身の超能力を畏怖しており、周囲に知られ居場所が無くなることを恐れて、他人との関りを極力避けている。心を落ち着かせたい時には折り紙を折る(特に箱)癖がある。妖怪折り紙箱女
何気にテレビ本編では実現しなかった超能力でのアンノウンの撃退に成功している。
同居している翔一のことは何かと気になるようであり、涼に対しては同じ苦しみを抱くもの同士シンパシーを抱いている。氷川に対してはお兄ちゃん的な信頼を寄せている。
作中でスレンダー体系でお尻がきれいなことが語られておるが、これはテレビ版の演者の秋山莉奈が放送終了後「オシリーナ」の愛称でグラビア活動をしていたことが元ネタ。
エピローグではあの人と意外な関係に発展している。

G3ユニットの頼れる姉御。肉食系女子ではなく本物の肉食。焼肉ではタンやミノなど噛み応えのある肝臓系が好みだと判明。
物語後半でG3が損傷により修理に出されたため、必然的に出番が少なくなっている。

  • 尾室隆弘
G3ユニットのオペレーター。身長から体重まで何から何まで平均的な男。小沢さん曰くそこがいいらしい。基本焼肉を食べてばかり。

警視庁捜査一課所属の刑事で明晰な頭脳と冷徹な判断力で将来を嘱望されたエリート。小沢さんとの犬猿の仲の悪さは相変わらず。ベジタリアン。
テレビ版では持ち前の頭脳で物語の謎を解き明かしたが、本作では出番は控えめ。
エピローグでは量産型G3の装着者として氷川と共に戦っている模様。

  • 美杉義彦
真魚の叔父であり、友人から記憶喪失の翔一のことを聞いて引き取った。自他ともに認める物事を信じ込みやすい人のいい人間であるため、学会では変人扱いされているとのこと。
息子の太一がいないからか真魚に対して本編以上に過保護。

  • 小林雪紀
小説版オリジナルキャラクター。名前の由来はおそらく「沢木雪菜」と「榊亜紀」。
21歳の大学生であり、モデルのような美人。
翔一に好意を寄せており、彼とデートの約束をするが…


アンノウン

作中の昨年の十月、社員がビルの屋上から一階のロビーまで転落死する不可能犯罪をはじめ、活動を開始した超越生命体。名前表記は「〇〇ロード」で統一されている。
一部のアンノウンを除いて数ページで倒されるなど、扱いはあまりよくない。また本編では複数体で活動していたアンノウンも、本作では1体で活動している。

前述の通り「闇の力」絡みの設定が全く言及されないため、作中では終始「超能力者を狙う謎の怪物」としての扱いに留まり、エピローグでも決着が付かず未だ出現し続けて仮面ライダー達と戦っている事が描写されている。

【登場アンノウン】



【用語解説】

  • あかつき村事件
本作の中心となる出来事。
劇中から3年前、山村の村人がほぼ全滅した未解決事件で、犯人逮捕に至っていない。氷川は当時付近の駐在として勤務しており、唯一の生存者である真魚を救っている。
事件当日、真魚は蔵に隠れており、透視能力を用いてアギトが父親を殺害するところを目撃している。


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最終更新:2023年11月28日 08:25