ダイアラック

登録日:2012/01/12 Thu 15:47:11
更新日:2024/03/23 Sat 20:18:15
所要時間:約 10 分で読めます




ダイアラック』とは『ドラゴンクエストⅦ』に登場する町の一つ。青の石版。
封印されていた島の1つで、ゲームでは3番目に訪れる。前はエンゴウ。次はオルフィー

町の中心に高い岩がそびえ立っているのが特徴。
鬱イベントが多いことで有名なⅦでも指折りの鬱展開の町である。


ストーリー

青色のふしぎな石板を揃えた主人公キーファマリベルの三人は、エスタード島の謎の神殿から陰気な雰囲気の孤島へとたどり着く。

島には町がひとつあるだけで、他には何も見当たらない。
その唯一の町も完全に廃墟と化しており、町の一部には毒沼が広がっている。
さらに町の至るところに人の形をした石像が並んでおり、石像の多さとあまりのリアルさに、マリベルは「人間が石になってしまったのでは」と訝しむ。

主人公らは町の奥で、一人の老人と出会う。
旅の目的を聞かれた主人公は、正直に「時を越えて失われた世界を取り戻すため」と答えるが、老人は「この町のことはお忘れください。今ではもう遅すぎた」と告げる。
そして、老人は「皆さんがこれからも旅を続けるなら」と、主人公らに『天使の涙』という秘薬を託す。

老人によると、この町の人々は恐ろしい呪いにより石化してしまっており、その呪いをとく唯一の方法が『天使の涙』なのだという。
しかし、この町の石像は長い年月を経て風化が進んでいるため、もはや天使の涙でも治すことはかなわなかった。
町を救えなかった老人は深い諦念を抱いており、この地でひとり、町の最後を見届けるつもりらしい。

主人公たちは廃墟となった宿屋で一晩を過ごすが、その夜、主人公は外から聞こえる悲しげな声にふと目が覚めてしまう。
ひとり宿を出た主人公は、町中の石像が淡く光を放っていることに気づく。
それぞれの石像は、この町で起きた悲劇について断片的に語りだすのだった。


ダイアラックの成り立ちと気候

この地はかつて戦地であり、一度は戦いで町が滅んだが、それから再び人が集まるようになり、ダイアラックの町となった。
戦争から長い時がたった今でも、町の地面からは昔の道具などが見つかることがあるという。
また防空壕のような地下室も存在しており、平和になってからは子供たちの秘密基地になっていた。

この地域は古くより雨が少なく、食物も育たない貧しい町であった。
そのため、ダイアラックの住民たちは毎年雨ごいを行っているほか、町の入り口近くに水神の像を作ったり、とある老婆は町の中央に古くからそびえ立つ背の高い岩に祈りを捧げたりと、人々は恵みの雨を求めて懸命に願っていた。


50年前の悲劇

雨が降らない期間が何年も続いたある年のこと。
人々の祈りが届いたのか、雨乞いの日についに雨が降り注いだ。

しかし、それは紫の雲から降り注ぐ、ひどく濁った灰色の雨であった。
灰色の雨はすぐに上がったが、雨ごいのために建物の外に出ていた町の人々は全身に灰色の雨を浴び、体が石になってしまった。


老人の正体

主人公は石像が語る記憶から、50年前の悲劇の日にクレマンという青年が町の外へと買い出しにでかけていた事実を知る。
石像から語られた記憶について老人に話すと、老人は自分の名はクレマンだと名乗った。

老人は灰色の雨から唯一逃れていた、この町の生き残りであった。

かつての青年クレマンは、買い出しから戻ってすぐ、石化した人々を見て絶望し、長い年月をかけて天使の涙を手に入れたものの、風化した石像を元に戻すことはできなかったのだ。


もう一人の生き残り

翌朝、主人公は老人クレマンから「天使の涙は空気に溶けてゆっくり落ちていくものらしい」という話を聞く。
しかし、クレマンにはその言葉の意味が分からないようだった。

主人公は石像から教えられた記憶を頼りに、かつての子供達の秘密基地へと至る隠し階段を見つける。
地下通路を進み一番奥へと抜けると、町の中央にある高い岩の真上へと繋がっていた。
町を見渡せるその場所で主人公が天使の涙を振り撒くと、なんと地下から一人の少年が姿を見せるのだった。

少年はヨゼフと名乗り、さっきまで雨ごいをしていた大人たちはどこにいったのかと問う。
主人公は少年に悲しい事実を告げるが、ヨゼフはそれを信じず、町の石像を見ても不思議に思うばかりであった。
ヨゼフを老人クレマンに会わせると、驚いたクレマンはたった一人でも助けられた事実に歓喜し、主人公らに感謝を伝える。

灰色の雨が降り注いだ日に偶然地下にいたヨゼフは、雨ごいのために外にいた人々と違い、石化はしても風化はまぬがれていたのだ。*1

ヨゼフはクレマンから町に起きた出来事を聞き、次第に真実を受け止めるようになった。
活力を取り戻したクレマンはヨゼフを連れて旅に出ることを決意し、灰色の雨の恐怖を人々に伝え、少しでも犠牲者を減らすための語り部となることを誓うのだった。


主な登場人物

  • クレマン
廃墟となったダイアラックにひとりで住んでいる老人。
目がほとんど見えていない。

もともとダイアラックの住民であり、他の住民より少しは戦えるらしく、灰色の雨が降った50年前は他の町へ買い出しに行っており、唯一石化を逃れた。
その後、町の人々の石化をとく方法を求めて旅に出て、数十年をかけて天使の涙を手に入れるも、風化してしまった石像には効果がなく、絶望の日々を送っていた。

主人公の活躍でヨゼフが元に戻ったことから希望を取り戻し、後にヨゼフと共に灰色の雨の恐ろしさを各地に伝える旅人となる。
実際に、グリンフレークにて彼が訪れたらしい話が聞ける。
その旅路は、ある町では話を信じられずに嘘吐きとして石を投げられることもあるほどの過酷なものだった様子。

ちなみに買い出しから帰ったら、恋人のミリーとの結婚を皆に報告する予定だった。
それなんて死亡フラグ……と言いたい所だが、逆にフラグが立ってしまったのは村人の方であった。


  • ヨゼフ
ダイアラックに住む少年。戦時に作られたと思われる町の地下室を見つけ、『秘密基地』と呼んで遊んでいた。
灰色の雨で石化したものの、秘密基地の中にいたことで雨風に晒されることなく、その体は風化しなかった。
主人公が振り撒いた天使の涙で唯一石化が解ける。

後にクレマンと共に旅に出るが、聖風の谷の日記にてヨゼフが青年となりクレマンは同行していないことから、クレマンは旅の途中で亡くなったと思われる。


  • レナ
ヨゼフの友達の少女。
ヨゼフの見つけた秘密基地を知る唯一の町人だが、雨ごいの日は外に出ていたため石像は風化してしまい、石化は解けなかった。


  • ミリー
クレマンの恋人。
買い出しに行くクレマンを心配して教会で祈りを捧げる健気な女性。
異性にモテるようで町には他にミリーに恋する男がいるが、その男は不謹慎にも(ミリーと結婚したい一心で)クレマンが買い出しから戻らないことを教会で祈っていた。
雨ごいの日は外にいたため、石化は解けなかった。


  • キーン
ヨゼフの父親。
『酔いどれキーン』とも呼ばれる飲んだくれ。
雨ごいを信じておらず酒場に入り浸っていたが、マスターによって締め出され、自宅に帰る途中で灰色の雨によって石化した。
町人で唯一、主人公に記憶を伝えた直後に石化した体が完全に砕け散る。
原因は不明だが最も風化が早かったのだろう。


現代

クレマンとヨゼフが旅立ったことで封印が解かれ、エスタード島のすぐ南に島が復活する。
長い年月の中でダイアラックの町はシンボルの大岩を残して跡形も無く消滅している。
シム*2という老人が「この島に町を作りたい」と言い出し、主人公らも協力して移民の町を作ることになる。

リメイク版ではシムじいさんがリストラされた代わりに、ティアという少女から『元モンスターの人間』を集めた町を作りたい頼まれる。
ついでに、町の地下からモンスターパークへワープできるようになり、オリジナル版よりも早い段階からモンスター集めが行えるようになった。
すれちがい通信が行えるようになるのもこの時期から。

プレイヤーが移民をどの程度集めるかにもよるが、やがて多くの人々が住み着くようになる。
頑張れば神様も住む。


余談

  • いわゆるボスがおらず、会話イベントのみでストーリーが進行し、戦闘が一切発生しない。
    町の外では一応魔物とエンカウントするが、小さな島なのでわざわざ歩き回らないと戦闘にはならない。
  • 灰色の雨を降らせた元凶とは、後にグリンフレークで戦うことになる。
  • 現代のメモリアリーフという町では『災いを呼ぶ老人』というタイトルの本を読むことができる。
    • その内容は、
      “子連れの老人は、行く先々で人を石像にする呪いの雨の恐怖を人々に語って聞かせた。
      だが人々は老人を嘲笑い、石を投げて町から追い出した。
      そして明くる日。紫色の雲が空を覆い、濁った雨が降り注ぎ、町からざわめきが消えた……。”

      …というもの。
    • あろうことか真実を語るクレマンとヨゼフが悪役であるかのようなタイトルになっており、二人の辛い旅路が思い起こされるが、こういう重いエピソードを添えてくるあたりが本作らしいというか何というか…。
  • 3DSリメイク版では、夜中に石像から灰色の雨の日の記憶を読み取る場面の台詞がだいぶ削られており、主要人物(ミリー、レナ、キーン)の記憶のみ語られる。
    • PS版と比べて、この町の悲劇性が薄れてしまったと嘆く声もある。


名言

マリベル
「うわっ! なんかむちゃくちゃ陰気な感じの町ね ここって。
アルス。あんたみたいのが住むのにちょうどいいんじゃない?」


神父
「なぜ水神の像ではなく、この岩に祈るのですかな?」
老婆
「水神は しょせん人の作ったもの。
じゃがこの岩は我らより古くからこの地におるからのう。」
神父
「なるほど……。
しかし、なぜこの岩はこのような場所にあるのでしょうな。」
老婆
「岩がここにあるのではない。
この岩を慕いて我らがここにおるのじゃ」


農夫
「子供の元気な町はきっと将来も明るいべ」




キーン
「……おっかあ!! ヨ……ヨゼフ!!」


マリベル
「そういえば、あんたにひとつ聞きたかったんだけど……
どうしてあんたは、あの地下通路の入り口を知ってたのよ?

ふうん……。
じゃあ、やっぱりあの夜には外で何かがあったのね?

珍しいじゃない。アルスが役に立つなんて。
たまには褒めてあげるわよ。」


追記・修正は灰色の雨を浴びてからお願いします。

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最終更新:2024年03月23日 20:18

*1 グリンフレーク編でも描写されているが、灰色の雨が降ると屋内にいる人も石化する。雨が降ったとき地下にいたヨゼフも石化からは逃れられなかった。

*2 『町作り』がテーマということで、シムシティが名前の元ネタであろう。