日車寛見(呪術廻戦)

登録日:2022/01/19 Wed 09:41:00
更新日:2024/04/20 Sat 16:01:21
所要時間:約 7 分で読めます






君は服を着て風呂に入ったことがあるか?

思っていたより 気持ちがいい


日車(ひぐるま) 寛見(ひろみ)とは、漫画呪術廻戦」の登場キャラクターの一人である。


目次


概要


修習59期元岩手弁護士会所属の現役弁護士。36歳。風貌は冷めた雰囲気を帯びた四白眼と短髪の男性。
T大法学部受験や法科大学院導入前の旧司法試験といった難関受験を全てストレート通過してきた天才
一方で、司法修習生時代に裁判官の道を勧められながらも、「出世には興味がない自分には向いていない」という理由で断るなど野心や名誉欲はかなり希薄である。

元々はどんな逆境にもめげず、「助けを求め縋りついてきた手を振り払わない様に自分だけは目を開けていたい」という信念を掲げる高潔な弁護士だった。
しかし、法制度の限界を掻い潜るしがらみや結論ありきで進められる裁判、同じく予断によるマスコミやネットユーザーをはじめとした世間からのバッシング、敗訴した被疑者からの非難の視線等に晒され続ける中で遂に理性の糸が切れ、裁判中の法廷で突如術式を発動。
裁判官と検事の2名を殺害すると、岩手を離れ死滅回游に参加する呪詛師(泳者)へと転落した。
登場時点で102ポイント取得済み。うち100点をルール10追加のため、1点を虎杖に譲渡し、現在の持ち点は1。
参加結界は東京第1。


性格


一人称は「私」*1
元々生真面目で高潔な性格だった反動なのか、泳者となってからはかなりダウナー寄りの性格になった。
また「これまでやってはいけないと思い込んでいたもの」への好奇心とチャレンジ精神にも目覚めており、スーツを着たまま劇場内で風呂に入るなどの奇行を見せるようになった。
本人曰く「30半ばを超えてグレてしまったわけだ」。そのため堅物そうな風貌や表情に反してわりとジョークも言う。

102という大量のポイントは、最初に殺した裁判官と検事のものを除くと全て襲ってきた泳者を返り討ちにして稼いだポイントで、日車本人には積極的に人を殺してポイントを稼ごうという気も希薄な様子。
ただし、「時に法は無力」という諦観から、人間の手を介さない法執行の可能性を持つ死滅回游の結界術(システム)には期待と興味を抱いている。
ゆえに、自ら好んで戦いはしないが、結界術(システム)運用を観察するため死滅回游の早期終結は拒むという、積極的な参加意欲を持つ穏健派のスタンス。



戦闘能力



気に入らない奴をブチ殺したことはあるか?
思っていたより 気持ちがいいぞ


僅か12日間の独学によって1級術師と遜色ない実力となるほどの、類まれなる呪術の才能を持っていた逸材。
最初から領域展開が付属した自らの生得術式を独力で解析して結界術の基礎を習得し、さらにその結界術からの逆算で呪力操作まで会得した。
つまり、いきなり渡された超高等応用技術を出発点に逆算を重ねて自分で基礎理論を構築するという、チートを通り越した離れ業をやってのけている。
その後はコロニーに入る前の段階で多くの呪霊を返り討ちにして実戦経験を積んだ様子。
加えて才能に驕ることもなく、呪力を封じられながらもなお真っ向から戦える虎杖を危険視し、初手から全力で潰すことを即決する判断力も兼ね備える。

戦闘では後述の領域で有罪判決を喰らい、弱体化・無力化された敵をガベルで叩き潰す戦法を得意とするトリッキーなパワーファイター

これらの要因から、現代の新米術師にもかかわらず、レジィからは鹿紫雲と並ぶ「ズ抜けた強者」と認定。
ナレーションには「五条悟に並ぶほどの才能の原石」と評されている。


誅伏賜死(ちゅうぶくしし)


やり直しだ


日車の生得術式にして領域展開
風景は四方をギロチン台で囲まれた法廷。
この領域は「術式の必中」にのみ焦点を置いた平安期の領域のタイプであり、「術式を説明する」という縛りを加えることで運用している。

内容は「標的を被告人として提示された罪状を巡って弁論を交わし、日車側が有罪判決を勝ち取れば量刑に応じた様々な刑罰(ペナルティ)を科すことができる」というもの。
結界内では、弁論以外の一切の暴力行為が無効化される。
ジャッジマン(後述)が裁判内容を提示すると、日車の手元に証拠が封じられた封筒が具現化され、まず被告が提示された罪状の疑いに関する陳述を行った後、日車側が封筒を開示し証拠を踏まえて反論を行う。

被告が行える陳述は「黙秘」「自白」「否認」の3パターンだが、「皆が真実を述べるなら裁判など必要ない」という日車の考えもあり、陳述内容は虚偽であっても構わない。
この術式は真実を暴くことが主眼ではなく、判決はあくまでも両者の答弁の妥当性によって下されるため、本来は有罪の被告人が巧妙な偽証で無罪を勝ち取ることも、逆に日車が無罪となるべき被告人を有罪に持ち込むことも理論的には可能。
そのため、被告人となる者は裁判の各原則と日本の法律を把握し、その上で受け答えする必要がある。

発動時は呪印を結ぶ代わりに、武器としても使用するガベル*2を打ち鳴らす。


ジャッジマン


虎杖悠仁は18歳未満にもかかわらず
2017年7月16日 宮城県仙台市のパチンコ店「マジベガス」に客として入店した疑いがある

日車の式神。
眼が縫い合わされた天秤を模した黒い人型という日車の信念を皮肉るようなデザインが特徴。
領域内での裁判の進行を担当し、裁判の議題となる罪状の提示、及びその「証拠」を具現化するのもジャッジマンの役目。
そして、被告人の陳述より日車の反論のほうが妥当であると認めるか、或いは被告人が自ら罪を認めれば、六法に基づき判決を下す。
他にも、受肉体の中にある複数の魂も個別に識別した上で判決を下すことが可能。

裁判を模した術式ゆえに、日車、標的ともに両者合わせて2回までやり直しを求めること*3が許されており、ジャッジマンはこの請求を拒まないのが術式の弱点。
ただし、現実の裁判とは異なり、提示される罪状はまた新しく変化する*4

ジャッジマンは結界内の両者の過去を全て知るが、あくまで裁判長ポジションとして完全中立の立場。
裁判の起訴内容の決定について使役者である日車に有利な忖度は一切行われず*5、事前に具現化した「証拠」以外の情報共有も一切行われない*6




上記のように場合によっては一方的な展開に持ち込める反面、術式には欠点がいくつか露呈している。



装備

  • ガベル
日車の呪力で具現化したガベル。側面部に十字架のレリーフがあるのが特徴。
ガベルは柄の長さも含めてサイズを自由に可変可能で、戦闘に耐えうる特大サイズから通常の裁判で用いられるサイズまで調節が効く。
単純なサイズ変更の他にも鞭のようにしならせてガベルの頭の部分で相手の腕に巻きつかせて体勢を崩させる小技も行使することができる。
呪具の類ではなく呪力で構築されている代物であるため、たとえ手元から離れても瞬時に消して再び手元に具現化させられる。
手元から離れていなくても左手から右手、右手から左手へと瞬時に移動させることもできるので攻撃を外しても外した直後に空いている片手に移動させて間を置かずに攻撃し、ガベルを持っていた元の手に移動して再び攻撃といった戦法を取ることで疑似的な二刀流(二槌流)を行使することができる。

また、普通なら領域展開を解いた直後は生得術式が焼き切れ使用困難になるが、このガベルに関しては領域を解いた直後も問題なく使える。
これは恐らく、『死刑』(デス・ペナルティ)の執行など領域の解除後も使われる前提の武装として術式に組み込まれているためと思われる。

総評すると『サイズ可変によるリーチと破壊力の可変が可能』『小技が効く』『武器を失うリスクと奪われるリスクが皆無』『飛び道具にすることができる』といったように非常に痒い所に手が届いてくれる柔軟で万能な武器であり戦闘未経験者の日車の弱点を見事に補完している。


その他技術

  • 領域展延
自分だけを包み込む領域により相手の術式を中和しダメージを抑える防御の技巧。
術師になって2ヶ月弱で会得したことが彼の才能を物語る。
更には展延を挿んだ後に術式効果を再開して処刑人の剣の消滅を回避する芸当を見せ、宿儺によると(俺に近いレベルで術式を運用できている)との事。

  • 反転術式
宿儺によって斬撃で両腕を切り飛ばされた際に、土壇場で使用する事が可能に。
片腕だけだが再生してみせた。

活躍


死滅回游

東京芸術劇場で着衣入浴に興じていたが、そこへ甘井に案内された虎杖が登場。彼から総則(ルール)の追加を要求されるもそれを断り、戦闘に突入する。

開幕早々に領域展開誅伏賜死(ちゅうぶくしし)を発動する日車。
未成年でありながらパチンコ店に客として入店した件を罪状として提示された虎杖は、思案の末に「トイレを借りに入っただけだ」と弁解するも、提示された「証拠」は景品交換所で金品を受け取る自身を写した防犯カメラの映像(日時入り)。
「パチンコ店への入店は自分で認めたうえで、その直後に隣接する交換所で金品を受け取っていたため、トイレを借りただけという陳述は虚偽と認められる」として有罪判決を受け、「没収」によって呪力が使えなくなってしまう。

弱体化した虎杖をガベルで滅多打ちにする日車だが、「壊れない人形」とまで称する程の頑丈さはどうにもできず、決定打に欠く状況が続く。
そうしているうちに、日本の裁判制度について頭を絞った虎杖が「控訴」を思い立ち、これを宣言。再び舞台は裁判所に変化する。
二審に挑む虎杖だったが…

虎杖悠仁は2018年10月31日 渋谷にて大量殺人を犯した疑いがある

あぁ 俺が殺した これは嘘でも否定でもない

「有罪」「没収」「死刑」

さらに状況が悪化した虎杖だが、この時点で日車には戸惑いが生じていた。
ジャッジマンから提出された証拠。それは虎杖の中に巣食う悪魔の存在、そしてそこから連想される「渋谷事変」の真相。
お互いの射程距離に入った瞬間……日車は術式を解除し、虎杖の拳を真正面から受けた。

刑法39条1項だ
弁識能力と制御能力いずれかが欠けていると心神喪失となる
渋谷での君は宿儺に肉体を乗っとられていた

つまり制御能力がなかった
自発的に制御能力を放棄したわけでもない
つまり

無罪だ
君に罪はない

それはジャッジマンではなく、日車寛見が下した判決。
それでも、「俺が弱いせいだ」と譲らなかった虎杖にそれ以上を追求せず、「オマエのような弱さを持つ人間がまだまだいるのかもしれん」という期待を抱き、ルール追加の権利を譲渡した。

総則10「泳者は他泳者に任意の得点を譲渡することができる」*12が承認されると、早速残る2点のうち1点を虎杖に譲渡する。
虎杖からは共闘を持ち掛けられるがこれは拒否し、結界が開けたら岩手での裁判官・検事殺しについて自首すると言い残し、去って行った。

自分の意思で人を殺したことはあるか?
……そうか 最悪の気分だったろう

人外魔境新宿決戦

長らく消息不明であったが、いつの間にか虎杖や他の術師達と合流したようで、新宿で勃発する五条悟と宿儺との戦いを観戦。

日下部が解説した領域展延の仕組みに(感覚としては理解できる)と独白するなど、変わらず高い才覚をうかがわせる。


余談


名前に付けられている「日車」とはヒマワリの別名。
ヒマワリは弁護士バッチのデザインに使用されている花である。




追記・修正はジャッジマンから無罪を勝ち取ってからお願いします。

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最終更新:2024年04月20日 16:01

*1 虎杖との会話では俺を使用した事もある

*2 アメリカの法廷や議会において、号令や勧告として打ち鳴らすために裁判長、議長が持つ木槌のこと。『逆転裁判シリーズ』でサイバンチョが折につけてカンカン打ち鳴らしているアレ。「裁判の象徴」的なイメージに反し日本の裁判制度には存在しないもので、国内では参院会議でのみ慣例的に使用されている。

*3 三審制度による、高等裁判所への「控訴」と最高裁判所への「上告」。もっとも、現実に上位裁判所での審議が行われるのは新たな論拠や証拠が提出された場合に限られ、そうでなければ「却下」となる。また、新たな証拠はないが、そもそも審議が不十分だったと認める場合は、「差し戻し(判決を出した下位裁判所に審議のやり直しを命ずること)」となる

*4 ただし、これは敗訴した側が判決を不服としてやり直しを要求した場合であり、勝訴した側がやり直しを求めた場合、前の罪状を引き継いで裁判される

*5 第二審は虎杖が自ら罪状を認めたため一方的な展開になったが、仮に虎杖に争う気があったなら「証拠」の内容も含め日車側に極めて不利なものである。

*6 ただし、「証拠」の内容は開封前から日車に知らされており、その説明は被告人には為されない

*7 おそらくは「裁判」と「処刑の執行」はあくまでも別のフェーズという日車の認識が関わっていると思われる。

*8 五条は無下限呪術の秘伝たる「茈」の存在を知っていたが、それに必要な術式反転「赫」を習得していなかったため使用出来なかった。しかし、既に術式の説明書を理解している状態であったため、「赫」の使用を可能にしたと同時に「茈」も習得している。

*9 最高刑まで勝ち取っていた側からの再審請求には本来メリットがなく、事実上自分が誤っていたと認めての権利譲渡となるため。

*10 もっとも、誅伏賜死を「裁判を模した縛りによってバフ・デバフを与える戦闘目的の搦手用術式」と解するのであれば、積極的により重い判決を下そうとするジャッジマンの挙動は必ずしも術式の目的から逸れているとは言えない

*11 虎杖との戦いは自分から矛を収めただけで、日車さえその気なら処刑人の剣を当てることも可能だった。

*12 日車はこの時、総則8との紐付けについても明言している

*13 人を殺傷した事件に対し「殺人罪」ではなく「衣服等所持物を破壊した器物損壊罪」で起訴される等

*14 ジャッジマンが日車の式神である以上、日車自身が疑問に思う点はジャッジマンにも反映されるだろうという判断から

*15 日車本人は(俺の戦闘経験の浅さがここで出た)とのことなのでこの事象については把握してなかった模様。

*16 また、「決戦前に高専側が呪具が封印されるかどうか確かめれば良かった」と言われるが領域を閉じた後も呪具が使えるかどうか確信が無いため無暗に領域展開を使用できない可能性が想定される。

*17 その後、第248話で没収された神武解そのものが消滅したことが判明した。ただし、元々「没収」にそういう効力があるのか日車の死後に強まった呪いで「没収」が強化されたせいかは不明。