ロカ(ダイの大冒険)

登録日:2022/05/11 Wed 03:42:41
更新日:2025/03/19 Wed 12:13:09
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おまえだけを犠牲にして勝つなんてまっぴらごめんだっ!!!



ロカは『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の登場人物。
CV:三宅健太(2020年版)

【概要】

勇者アバンのパーティーの一人。職業は「戦士」。
本編の15年前にアバンと共に魔王ハドラー率いる(旧)魔王軍を相手に戦い世界に平和を齎した人物。
勇者ダイのパーティーのメンバーであるマァムの父親で、同じく勇者アバンのパーティーのメンバーである僧侶レイラと結婚した。

本編開始時点では既に亡くなっている人物だが、その時期と死因は作中で説明されずじまいだった。
とりあえず地底魔城での最終決戦に参加した事実は確認されている(その時18歳)。
ん?ということはロカは16歳くらいの時にレイラを妊娠さs

本編の時点では既に故人であるため回想シーンのみの登場だったが、後に彼らの冒険譚を描いた『勇者アバンと獄炎の魔王』にて詳細が明らかとなった。

【人物】

若干短気ながらも明るく裏表のない好漢。
単純素直な性格で、嘘をつくときに唇を歪ませる癖があったりと近くにいる人からも考えが見えやすい(その割に「思ってもない事を口に出す」のが好もしい所)。
戦闘特性が脳筋な事もあり、本人は「自分は頭が悪い」とよく口にする。隠された物事を見抜く事・物事を隠す事に異常に優れたアバンとつるんでいるせいもあるだろう。
だが他者の気持ちを感じ取って間を取り持つ人付き合いのセンスがあり、状況変化を素早く認めて「ありがとう」「ごめん」を正直に言える真人間。
クロコダインに近いタイプの人物と言える。
そのお人好しかつ鷹揚にして寛容な人を集める器量は、アバンも「人が集まるのは彼の元にだ」と認めるほどで、
捻くれ者のマトリフも初対面の際に見ず知らずの他人のために身を張る危なっかしさに「早死にするなよ」と皮肉を交えながらも評価していた。残念ながら、後にその言葉通りになってしまったのだが。
頭が悪いと自称するものの、アバンとレイラを逃がす時間稼ぎの為に捨て石になる覚悟で敵わないことを承知でハドラーと一騎打ちを挑んだ場面では、直前にアバンの利他精神を「悪く無いが哀れだ(≒過剰だ)」「そんな事では格下の騙し討ちにやられてしまう」と苦言を呈していたハドラーが一転して「自分が名前を憶えて置くだけの価値がある男」「人間にして置くには惜しい」と最大限の敬意を払った程に自分の役割を理解して奮闘した。

女性の扱いが苦手で興味も無いと「絶対女なんか好きにならない、そんな事があったら国中裸で走り回ってやる」と日頃から公言していたが、冒険の旅の中で仲間のレイラと惹かれ合い恋仲になる。

【戦闘能力】

地底魔城の決戦時点では剣の腕はアバン以上とされているロカもばっちり凄いヤツではあるが、そんな彼にも苦悩の時期があった。
と言うのも、冒険に出た当初の彼は当代の騎士団随一であっても、アバンや歴代騎士団長と比べて明らかに拙い剣技しか持ち合わせていなかったためである。

ロカの特徴は何といっても人間離れした怪力
人間の背丈を超える大岩ですら軽々投飛ばし、バーサーカーが装備する簡素な鉄の盾くらいなら素手で殴り砕く程で、ハドラーとタイマン勝負した時はハドラーもその怪力を認めるレベル。
ただし、その異常なまでの怪力の所為で、雑に振るうだけでも大概の相手から勝利をもぎとってしまい、技術を磨く機会も逃していた。そして剣を使うよりステゴロで戦った方が強いという事実は、当初は割と本人もコンプレックスに感じていたりする。
また怪力とはいってもハドラーやガンガディアのパワーには歯が立たない。

とは言え、裏を返せば、伸びしろが多分にあり磨けば光る原石でもある。
前任の騎士団長だったコバルトも、ロカの人柄と共に、その秘めた才能を見込んで「騎士団長の後任はロカ以外に居ない」と心底惚れこんでいた。

また、レイラの想いに全く気付かないニブチンな恋愛面とは裏腹に、
戦闘では即興で仲間の意図をくみ取って連携したり、わずかな手がかりから敵の特性を瞬時に見抜いたりするなど頭が回り、ただの脳筋ではない。

修練の聖地ギュータで剣の修行を経た後には剣腕が大いに成長。
カール騎士団正統の型もしっかり扱えるようになり、これに限定した剣技であればアバンすら上回る域に至った。
アバンがハドラー諸共封印された折には、己の未熟さを痛感して、娘マァムを育てる傍らで更なる修練を重ねた。
そうして遂にカール騎士団の奥義・武鋒円を会得。
騎士団において少なくとも数代前に遡っても修めた者が居らず、伝説としてのみ伝えられるこの技を会得したロカ。彼は最早、カール騎士団において歴代最強とさえ目される剣士になった。


  • 豪破一刀
カール騎士団正統の型の初撃。
海波斬の原型となった技でもあるが、人間離れしたスピードで切り裂く海波斬とは性質が異なる。
豪破一刀の本質はカウンターであり、敢えて剣の切っ先を地面に突き刺して柄に寄りかかるような姿勢で、泰然と構えて冷静に相手の技の弱点や動静を見極める姿勢にこそ真髄がある。
冒険に出たばかりのロカでは自力でこの技を振るえるだけの力量が備わっていないが、レイラにピオラをかけてもらい、肉体の所作の速さと動体視力を上げて貰うことで可能になる。
この状態になれば、アバンでも相殺出来ない巨大なメラゾーマであろうが、切り裂きやすい炎の渦の筋を見極めて、持前のパワーとスピードが合わさった斬撃でもって真っ二つにしてのけた。

そして旅を経てレイラの助けを借りずに独力でこの技を放てるようになった。
キラーマシンの強固な装甲にもダメージが通り、一撃で頭部を両断して機能停止に追い込むまでに至っている。
なお、アバンもこの技を使うことができるが、カール騎士団時代は料理作りなどに時間を費やしてあまり訓練を受けていなかったせいか、ロカほどには精度が良くないらしい。

  • 武鋒円
カール騎士団正統の真髄にして最終奥義の前段階となる技。
アバンが凍れる時間の秘法によって封印された一年間、己の無力を痛感して徹底的に修行し直した末に開眼した。
手にした武器が届く間合いを円で表したものをカール騎士団では武鋒円と称し、決死の覚悟と共に、己の生命エネルギーたる闘気全てをこの武鋒円内に張り詰めながら相手を観察し待ち構えることが、正統の構えの真髄とされる。

柱のように立ち上る膨大な闘気がもたらす視覚的威圧感に反して、身体の防御力強化の効果は望めない技であり*1、足元に膨大な闘気を溜める副次効果によって敵の闘気の侵食を阻むに留まる。

ただし、攻撃においては非常に強力で、堅固さではなくカウンター攻撃によって攻防鉄壁の陣を成す。
あらゆる攻撃を防いで捉えた敵の隙を突く反撃が可能と謳われる奥義であり、矢の雨のような飛び道具が迫り来ようと、10体そこらの魔物が一斉に襲い掛かろうと、まとめて一瞬にして迎撃してのける。
通常、瞬間的に闘気を練り収斂するのは非常に高等な技術であり、ましてや敵を落ち着いて観察しつつ反撃の期を窺う行為と両立させるのは困難を極める。
しかし、この武鋒円の内を常に闘気で漲らせた状態を保つことで、魔王軍幹部のような鉄兜を殴り砕く強豪の目にも留まらぬ超速の剣と、正統の構えによる泰然とした洞察を両立させている。

だが当然ながら、猛烈な勢いで生命エネルギーを消耗するので、命に関わる危険極まりない技でもある。
その背に守るべき民が居り、この場を退いたら最後という局面くらいでしか扱えない背水の陣を具現化している。

  • 武鋒・豪破一刀
ここぞという終局に繰り出す最終奥義。
武鋒円に張り詰めていた全闘気を己の手にする武器に込めて、目の前の敵を豪破一刀で迎え撃つ。
敵を切り払った後の余波が何十メートルにも渡る衝撃波と化す強烈な一撃で敵を確実に撃ち払う。
全身全霊で絞り尽くした己の命を込めて放つ、文字通り最期の一撃。

【来歴】

元はカール王国騎士団の団長で、アバンとは母国であるカール王国の騎士団時代からの親友だった。
14歳という若さで騎士団長に任命されるが、これは本人の実力以外に、既に年長の騎士が全滅していたことにも起因する。既に10年以上も続いていた戦いは、やはり凄惨だったことがうかがえる。

フローラ姫が抜擢したアバンに対しては「(フローラ姫が連れてきたのだから)きっと凄い素質を秘めているのだろうから引き出そう」と積極的に構い続けて、人間不信から昼行燈に徹していた彼から全幅の信頼を得るに至った。
結局アバンの本領を引き出せなかったものの、アバンのサボり癖に呆れながらも、ロカもまたアバンのことを腐れ縁の親友と思うようになっていた。
やがて、魔王ハドラーが城を襲った際に初めてアバンの隠された実力を知り、また咄嗟に放たれた一撃(後のアバンストラッシュの原型)に希望を見た。
その確信に従い、先の一戦を終えて魔王打倒の旅に出るアバンに同行。これがパーティーの原型となる。

旅の途中で後に妻となる僧侶レイラと出会い密かに恋仲となり、戦いの日々のなかで彼女との間にマァムを授かった。だが鈍感なため、レイラが隠していたのもあり彼女の妊娠には気付かなかった。

アバンに妊娠の事実を知らされた際、動揺した隙を突かれて気絶させられ、そのままレイラ共々凍れる時間の秘法を用いる決戦には置いてけぼりを喰らった。
長い付き合いにより、そうでもしなければロカは付いてきてしまうことをアバンは知っていたから。
他者の介入により秘法が約1年後に解けるなどとは知らない当時。
ハドラーと向かい合う姿勢のまま瞬きひとつせず、いつ解放されるかすら分からない時間の檻に囚われたアバンを見せてはロカの精神が持たないと判断したマトリフの配慮により、アバンの身に起きた顛末は口頭で伝えられるに留められていた。
実際、目覚めたロカはこの事実を知り大きな無念と後悔に捕らわれ、魔王軍の勢力が大きく衰弱して情勢が改善に向かい、レイラと結婚できた後も、その幸せは友の犠牲の下に成り立っているものだと事あるごとに意識しては苦悩に苛まれていた。
しかし彼が残した平穏を享受できないのはそれこそアバンに対する不義理だと自分に言い聞かせてごまかしていると複雑な心境をマトリフに吐露していた。

その心中を晴らすかのように、来るべきアバンの復活と魔王打倒に備えて、ロカは妻レイラと愛娘マァムと穏やかに暮らす傍らで、懸命に修練を続けた。
そんな折に、アバンが遂に復活との一報を受けて彼と合流。
魔王討伐の為に本拠地である地底魔城に奇襲を仕掛ける電撃作戦が決行される運びとなった。
腕を上げたロカはパーティの先鋒としての役割を果たし、地底魔城にひしめく怒涛の様な魔物を次々蹴散らしながら進撃。
とうとうハドラーが控える玉座に近付いたその時、怨念でもって復活したキギロと遭遇する。
呪詛めいた力で禍々しく強化したのは見て取れるが、実態は未知数のキギロ。そんな相手にはアバンの必殺剣でも楽に倒せるか怪しく、まともに相手にすればハドラーの下に辿り着く前にパーティの消耗は必定だった。
ロカは殿を申し出て、アバンとレイラに魔王打倒を優先させて送り出し、独りでキギロに立ち向かった。

予感は悪い方向に的中し、邪悪な力でロカは蝕まれ圧倒されてしまう。
追い込まれたロカは、限界まで生命力を振り絞る最期の奥義・武鋒円で対抗し、辛くもキギロを撃破した。
しかしキギロとの戦いで呪いが込められた攻撃を受け続けたため、それにより体を蝕まれ翌年死去することとなる。

【余談】

仲間のレイラを妊娠させ、戦線離脱した事を読者から「魔王討伐の中、仲間に手を出して決戦直前に回復役共々一時戦線離脱してしまうなんて仕方のない奴だ」とネタにされることもあったのだが、レイラの実態が超肉食系&情熱的と明らかになったことにより、読者に「あんなのがパーティメンバーにいたんじゃあ仕方ない」と納得され、微妙な名誉回復をしてしまった。

また、マァムがどうやらロカの故郷でもあるカール王国で過ごした事は(最低でも物心ついてからは)一度もない*2辺り、ロカはアバンと共に旅立ってから一度もカール王国に帰還していないのでは?という声もあったが…

「勇者アバンと獄炎の魔王」によると、マァム誕生後にカールに帰還してはいた
だが、その理由は「絶対女なんか好きにならない、そんな事があったら国中裸で走り回ってやる」という親友アバンと交わした約束を果たすためであった。
それはロカの今の自分の幸せがアバンの犠牲の下に成り立っているということへの罪悪感ゆえの贖罪の意味もあったが、何よりもアバンが戻ってくることへの願いとアバンへの感謝を表す行いであった。
カール王国の側からは事情を配慮されお咎めはなかったようだが、全裸で国中走り回った後じゃそりゃ戻れないよね…と読者に妙な納得感を与えることになった。でもしばらくの間はカールに滞在して騎士団の奥義を得る修行をしてたようだが。
それにしてもレイラとの一件といいカール未帰還疑惑といい「勇者アバンと獄炎の魔王」で一々ブッ飛んだフォローを受け続けてる感もある

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最終更新:2025年03月19日 12:13

*1 Vジャンプ2023年8月号の解説には、「ロカのように斬撃に乗せる、拳打の威力を極限まで高める、身に纏い防御力を高める、飛び道具のように遠距離攻撃を可能にする等」と記述されており、この限りでは、武鋒円で得られるのは斬撃の強化のみ。

*2 それどころか、父親の故郷である認識も薄い