マトリフ(ダイの大冒険)

登録日:2011/05/31 Tue 20:15:40
更新日:2025/01/01 Wed 15:05:04
所要時間:約 20 分で読めます





…おれは…賢者じゃねえ!…言葉(づら)が気に入らねえんだよ

だからな カッコイイ肩書きを考えたのよ!世界に一人しかいねえ最強の呪文使いの名前!

それが…!!!大魔道士!!


漫画『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の登場人物。
CV:青森伸(1991年版)/山路和弘(2020年版)

●目次

【概要】

勇者アバンのパーティーのメンバーの一人。年齢は98歳。
本編の15年前に魔王ハドラー率いる魔王軍を打倒し、世界に平和をもたらした人物。
世界最高と名高い大魔法使いで、攻防だけでなく特殊な呪文にも精通した『賢者』であるが、その呼び名を嫌い『大魔道士』を名乗っている。

平和になってからは隠居していたが、登場後は勇者ダイのパーティーの魔法使いであるポップの師匠となる。
同じく勇者アバンのパーティーのメンバーだった戦士ロカと僧侶レイラの子であるマァムとは幼い頃からの知り合い。(そのせいでよくセクハラにあう)。

なお、キャラクター名の由来は『週刊少年ジャンプ』の編集者(後に編集長、現・集英社専務取締役)の鳥嶋和彦からとされる。
そして近年、初期のヘタレ全開だった頃のポップを「さっさと退場させろ」と三条に進言していた編集の人が鳥嶋和彦だったと明かされた。
この配役は偶然だったのか、果たして。

【人物】

皮肉屋、かつひねくれ者の人嫌い。
更に弟子のポップが評するには「横暴が服着て歩いてるみてぇ」な性格。


魔法使いってのはつねにパーティーで一番クールでなけりゃならねえんだ…
少なくともオレはアバンと組んでた時にゃそうしてたぜ

この信念の下*1、アバンの仲間時代にはパーティーの参謀・支柱役を担っていた。その戦闘スタイルと強力な呪文は、本編にてポップに受け継がれることになる。
豊富な知識を有しており、ポップから聞いた「ダイの額に浮かぶ紋章」の話から、正義の陣営では最も早くダイが竜の騎士であることに気付いた。
力が目覚めるにつれてダイに降りかかるであろう人間からの迫害を心配するも、自分がダイにどうこう言うのではなく、詳細を濁しつつポップにそれを任せた。
ダイを支えられるのは、冒険を一番長く共にした親友しかいないと判っていたからである。
この時、もしかするとどこかダイと自身の境遇を重ねていたのかもしれない。

進んで苦難に向かっていくタイプではないポップにとって、無理やりにでも課題を押し付けるマトリフは、ある意味アバン以上に師としての相性が良かった。
ポップもマトリフを『師匠』と呼び、憎まれ口を叩きながらも尊敬している。
またマトリフも、なんだかんだ言ってポップが可愛くて仕方の無かった様子で、ザボエラの罠に嵌ったポップを救った際には「薄汚ぇ手でそいつにさわるな」と静かにキレている。
ポップを自分の二の舞にはしたくないという思いもあり、ポップが五指爆炎弾(フィンガーフレア・ボムズ)を使ったと聞いた際にはその危険性と使い続けた結果を自身の体調の悪化という形で示し、「いずれ必ず必要な力が身に付く」と二度と使わないよう諭している。
メドローアの伝授に対しても、当初は逃げを考えていたポップが吐血しながらメドローアを発動させるマトリフの姿を見て覚悟を決めた事に「…ありがとよ」と礼を言っていた辺り、
この時はポップを死なせかねない行為故にポップが逃げに走っても仕方ないと思っていた模様。
実際、ポップが相殺に失敗しそうになった事には必死にアドバイスを行い、「消えるんじゃねぇっ!」と応援している。

ちなみにポップと同レベル、あるいはそれ以上にエ ロ い
  • とある女性をスカートをめくり上げて下着を鑑賞、さらにじっくりねっとり撫で回す
  • マァムの胸を一心不乱に揉みながらアヘ顔になる
  • ダンジョン探索中にスケベな本*2を手に取ったら、罠が掛かっていて本に姿を変えられてしまう。(勇者アバンと獄炎の魔王)
など、いい歳して自重というものを知らない。
師弟揃って……いいぞ もっとやダメに決まってんだろ*3

【戦闘能力】

操る呪文の数は100を越えるともいわれる大魔法使い。
攻撃呪文と回復呪文など、二つの呪文を同時に扱える神業じみた極めて希少な特技も持ち、ハドラーをも驚かせた*4
作中で一般的に知られている魔法使いと僧侶の呪文は全て会得済み。
ただし使用不能な呪文も存在する。
他の魔法使いが開発したオリジナル呪文や、伝説の竜の騎士のみが用いるデイン系とドルオーラ、そして、本作においては発動に体力を要するとされる古代呪文や呪法等が該当する。

本編においては御年98歳。流石に高齢かつ現役を退いているため、単純な戦闘力だけで言えばアバンのように前線に赴くことのできないほど身体が弱っている。

だが腐っても大魔道士と名乗った男。
常人を遥かに上回る魔法力はいまだ健在で、「1対1で1分間だけの魔法比べなら、この地上の誰にも負けない」と豪語し、事実復活してから3度のパワーアップをへて過去より遥かに強力になったはずのハドラーにも押し勝ってみせた。

しかし近年は高齢ということもあって、身体が呪文の威力についてこないジレンマを抱えており、メドローア一発で立ちくらみを起こしてしまうほど魔法力に比べて不釣り合いに身体の方が衰えてしまっている
さらに過去の無茶(禁呪の類)のツケが回り、本編が後半に差し掛かる頃には頻繁に吐血するほど体調は悪化。床に伏せることが多くなっていた。

……ただそう言いつつも98歳まで生きている辺り、やはりどこかおかしい人物である。
本人も「アバンやロカの事を思えば、縮まって100年ならむしろ長すぎる」とポップにこぼしており、年若い仲間達が早死にしていく中、自分が生き永らえている事を苦に思う面もあった模様。

巨大呪文の開発と行使で、これまでに相当の無理を推したのだと思われ、短期決戦どころか一発勝負しか許されないコンディションなのはブロキーナ師範と同じ状態。

使用呪文

ポップに最初に教えた呪文。曰く「目的地をイメージするのがコツ」とのこと。
移動手段以外にも緊急脱出手段としても活用することができる。
1991年版では、大道芸人の小屋を経由してからロモスの山奥へ向かった。
詳細は個別項目を参照。

  • 飛翔呪文(トベルーラ)
ポップとの修行時に発動。
本作のオリジナル魔法で、その名の通り使用すると空を飛ぶことが出来るようになる。
ポップが使用したときは「いつの間に覚えた!?」と驚くも、直後に自身もトベルーラを発動・頭突きをお見舞いしてポップを負かした。

  • 真空呪文
名称不明の真空呪文も複数している。
バギ程度の魔法を小技の起点にするだけでなく、最大真空魔法のバギクロスも使用可能。
バギクロスは通常X字の真空波となるが、敢えて竜巻状の形態として最大出力で放てば、浅い海であれば数百メートル先まで海を割り海底を露出させることすら可能である。

  • 氷系呪文(ヒャド)
ポップとの修行の時に使用。
海面ごとポップの足を凍らせイオラで追撃するが、トベルーラで回避された。

  • 最大氷系呪文(マヒャド)
勇者アバンと獄炎の魔王』で使用。
上記の用途でバギ系呪文によって海を割った後、マヒャドで凍らせて海底宮殿への道を作った。
ここまで大出力の魔法を二連発で放つと、流石のマトリフもしばらくまともに身動きが取れなくなる。

  • 中位爆裂系呪文(イオラ)
ポップとの修行の時に使用。
上記の通りヒャドで拘束したポップに追い撃ちを入れる形で発動した。

  • 閃光系呪文(ギラ)
ポップとの修行の時に使用。
呪文は叫んでいないがポップのギラと同じものを放っている。
アニメ版ではポップの方は息切れしていたが、マトリフの方は平然とした表情を浮かべており技量の差を見せつけた。

  • 中位閃光系呪文(ベギラマ)
ハドラーとの戦いで使用。
同時にキアリーを発動させている。

  • 極大閃光系呪文(ベギラゴン)
ハドラーとの戦いで使用。
ゲームでのしょっぱい性能を知る人からは意外だろうが、本作のベギラゴンはイオナズンと双璧を成す最高レベルの極大呪文として描かれている*5
ハドラーは人間であるマトリフがこれを使ったことに驚愕していた。


  • 回復呪文
『勇者アバンと獄炎の魔王』にて度々使用していた。
大魔道士を自負する実質賢者としては当然と言えるが、実はこの術をかけてほぼ完全に回復出来たらしいのは、ロカに対する一回のみ。
ダメージを負って自分にかけていた時には、傷が完全に癒え切ってない時が度々見られる。
この描写から、習得しているのはべホイミ止まりで、完全回復のベホマには至っていないらしい。

  • 解毒呪文(キアリー)
毒を中和する治癒呪文。
ザボエラの毒を受けたポップに施したが、複数の毒を仕込まれていたため簡単に解毒できなかった。

  • 迷宮脱出呪文(リレミト)
ダンジョンから一瞬で脱出する呪文。
『勇者アバンと獄炎の魔王』で崩壊するオトギリ姫の居城から脱出した。
もしもマトリフがこの呪文を覚えていなかったらアバンたちは今頃海の藻屑であり、移動系の呪文の重要性がよくわかるシーンである。

  • 重圧呪文(ベタン)
マトリフのオリジナル呪文。
ピンポイントに重圧を発生させて相手を圧し潰す呪文。重力という特性故か、相手の体格が大きいほど効果が増す。
有効範囲はかなり調整が効き、最大規模で放つと魔物100体を巻き込める程の巨大クレーターも生み出せるし、逆に魔物数体程度に対象を絞るまでに狭めることも可能である。
強力な呪文ではあるが体格が小さめな幹部級をこの魔法だけで仕留めるのは不可能。魔王ハドラーに対して放とうとした際も、マトリフは最初から足止めを目的としていた。
『勇者アバンと獄炎の魔王』にて、ガンガディアを床の傷んだ場所に誘い込み、ベタンで床を崩して地の底に叩き落した。
またアバンのペンダントにこの呪文の力を込める事で彼に重力負荷をかけ、第二の必殺剣の習得に一役買った。
発動時のサインとして杖を振り下ろす動作を行う。外伝で無手のマトリフが発動した時はサムズダウンの動作だった。

マトリフのオリジナル呪文。
オリハルコンの身体を持つハドラー親衛騎団と戦うための切り札としてポップに伝授した。
威力は絶大だが、それ故にマトリフ自身も老齢のため一発撃つだけでも吐血して戦闘不能になる。
詳細は個別項目を参照。

上記以外にも様々な呪文が使えるが、使える呪文が多すぎてマトリフ自身使えることを忘れていたりするものもあるらしい…。

装備

  • ギュータの法衣
愛用している法衣。
マトリフの故郷・ギュータの隠れ里で製作された物で、名前等の詳細は『勇者アバンと獄炎の魔王』のコミックス2巻にて判明した。

  • 輝きの杖
魔法石が填め込まれた杖。
携行時は縮まった状態だが、魔法力を込める事で伸ばす事ができる。
若い頃に愛用していた杖で、『勇者アバンと獄炎の魔王』でもこれを持ち出して加入する。
後に『ダイの大冒険』でマントとベルトと共にポップに送られている。

  • へんなベルト
マトリフの顔が付いたバックルのベルト。
デザインがダサいためポップも「これだけは要らない」と外そうとしたものの、何故か外れなかったため、「呪われてるんじゃねぇのか、このアイテム…」と嘆いていた。
『勇者アバンと獄炎の魔王』ではマトリフが初登場した時の服装で装備しているのが確認できる。

【経歴】

勇者アバンと獄炎の魔王





世界最強の魔法使いのオレ様の

この世のただ一つの称号を教えてやる

オレは大魔道士!マトリフ‼



アバン一行と出会う数年前、伝説の秘呪文を保管する遺跡「ヨミカイン魔導図書館」に一人で挑戦する。
こう表現すると格好良いが、ぶっちゃけた話、伝説に謳われるスケベ本を探し求めたいというしょうもない動機である。
だが、お目当てのスケベ本にかけられた罠によって本の中へ吸い込まれてしまい、遺跡からは脱出したものの、落石によって下敷きとなって数年間動けなくなってしまった。

その後、遺跡の知識を求めてこの地に現れたアバン一行のロカと出会い、彼の悩みを解決する手助けをする代わりに自身の呪いを解くのを手助けするよう持ち掛ける。
ロカのことを「騙され易そう」とくさしながらも、同時に仲間の役に立ちたいと純粋に願う彼の人の良さに惹かれ、魔王軍との激闘を経て本格的にパーティに参加した。

この時点でLV38とアバンたちの倍近くのレベルを持ち、メラゾーマやルーラにリレミト、そして独自開発の大呪文重圧呪文(ベタン)等の多種多様な呪文を使う事が出来る。
この頃からへんなベルトを着けていた

他人の心の声が聞こえる本の時にもアバンの心だけは一向に分からず、打ち解けたロカとレイラ等の一部の者以外には強く心を閉ざす彼のことを警戒していた。
しかし、天才故に爪弾きにされてきたアバンや彼の先祖の歴史を知り、同じく天才魔導士として苦労してきた己と重ね合わせ、互いに共感する理解者となっていった。

アバンストラッシュに必要な最後の奥義「空裂斬」のカギを求めて、ギュータの隠れ里へ帰ってきたマトリフは、師匠バルゴートの娘でかつての修行仲間のカノンと再会する。
当初は優秀な卒業生にも拘らず勝手に里を離れたことでカノンから手痛い歓迎を受けるものの、魔王と戦う勇者アバンの力になってほしいと頭を下げる彼の真摯な説得とアバンの実力が認められ、協力を得られることになる。

ブロキーナと共に、ロカとレイラを除いた決戦にも参加している。
そこではハドラー以外の全ての敵を一手に引き受け、アバンに攻撃の手を届かせない奮戦を見せた。
だがアバンが呪法の制御に失敗したことに気付くも、ハドラーと共に凍った時間中に閉じ込められる彼の姿をただ見ていることしかできない無力を味わった。

約一年後、ハドラーとアバンが自由を取り戻してからは再びパーティーに参加。かなり後悔したようで、彼なりに新魔法を開発するなどして準備を重ねた上での再加入だった。
そして地底魔城での最終決戦までを仲間と共に戦い抜いた。

ダイの大冒険

平和が取り戻された後は仲間と別れ、一度はパプニカ王国の相談役として召抱えられるも、力を持ちすぎた自分を疎まれ続けた事で人間に愛想を尽かして出奔。パプニカ王国があるホルキア大陸の外れ、バルジ島付近の洞窟に隠棲した。
本編開始時に現れた魔王軍による侵略も無視し、世界の行く末もどうでもよくなっていた様子。
しかしながらアバンの忘れ形見であるダイ達と出会い、その人間性に惹かれて教えを授けるようになる。
初戦でフレイザードからダイが逃げるしかなかったのは、フレイザードがバルジ島内部に施した禁呪の力のせい。
その禁呪は術者以外を無力化し、呪文の使用すら不可能にするという凶悪なもの。
マトリフはその性質を見抜き、禁呪の範囲外から術の基点となる二つの柱を壊すよう助言。
ダイ達に反撃の手がかりを与えた。
その際ちらりとポップを見て、「今まで見たことない程に弱そうな魔法使い」と呆れながらに酷評。
鍛えてやらないと直ぐに死ぬからと、嬉々としてポップをイジメ…もとい根性を叩き直していく。

物語中盤、ハドラーはザボエラと共に、対バラン戦を終え疲弊したダイ達を闇討ちしようとしていた。
そこに出くわし、今再びマトリフはかつての魔王と対峙する(その場に居合わせたのは、アバンが書き残した『アバンの書』をダイ達に届けるため)。

「これならどうだあッ!!!!」
ゴゴゴゴ…
「極 大 閃 熱 呪 文!!!!」

ゴゴゴゴ…
Σビクッ

「バ…バカなっ!! (人間に)できるはずがないっ!!!」


「極 大 閃 熱 呪 文ッ!!!!」

この時のハドラーとのベギラゴンの撃ち合いは熱い。

後にハドラー親衛騎団の兵士ヒムがメラゾーマ10発分の威力を耐え凌ぐという事をポップから知らされると、病身を起こして極大消滅呪文(メドローア)の伝授を決意。
極大消滅呪文の特性を語った後、ポップに同じ呪文を使って相殺させるという試練を与える。

こうして自身の最強呪文であるメドローアすら習得したものの、最終決戦を前にある事情で自信を失ってしまったポップに、最後の教えとして激励する。
ポップが全てに恵まれた人間ならこれほどの魔法使いにはならなかったこと、平凡な身の上だったからこそアバンに憧れて歯を食いしばりこれまで戦ってこれたこと、
そして……
…自信を持て!!

お前は強い!!

オレの…自慢の弟子だっ!!

家族の居ない天涯孤独の彼にとって、たった一人の弟子には思い入れも深かったのだろう。

その後、回復魔法等が使えるようになったポップは、マトリフがそうであったように「賢者」ではなく、「大魔導士」を名乗るようになる。


以下、おまけ。

ニセ勇者のパーティーの項で、黒の核晶(くろのコア)にまつわる「トラブル」にここで触れたい。
でろりんたちがオーザムの「柱」の頂上に着いた時、黒の核晶の前には彼らでは勝てそうも無いモンスターが待ち構えていたのである。
……が重い身体を引きずりでろりん達と同じ目的でそこに現れたマトリフが*6

時間がねえんだ・・!おめえが消えな・・!!!

メドローアでそのモンスターを一蹴。
そのまま黒の核晶の凍結に移ろうとするも呪文の反動で力尽き、残る仕事をまぞっほ達に一任。

まぞっほ…! おめえがやれッ!!

この瞬間、ニセモノの勇者たちに世界の命運が託されたのだった。

実はマトリフは、まぞっほと同じ師を持つ兄弟子である。
ずっと昔、修行の途中で師から逃げ出した不肖の弟弟子に、

おめえも男なら、一生に一度くれぇ本物の英雄になってみせろ!!
最後にチョコッと手を出すだけで英雄になれるんだ
こんなボロイ役はねぇ…!!

とマトリフは告げる。
そして、でろりん達とともに魔法力を振り絞るまぞっほ。
その結果は、
…だから言ったろ? ボロイ役だっ…てな…!!!

というマトリフの言葉が示している。

本編のエンディングでは、でろりん達から金品を没収する彼の姿が描かれている。

「まだ持ってんだろ?盗んできたものは全部返してこい」

この金品は主にロモス王国が超獣軍団に襲われた時その裏で火事場泥棒をしていた時のものだろう。
マトリフに見咎められた以上、世界を救った功績でもチャラにしてはもらえなかったようだ。


【人間関係】

かつて魔王軍と戦った際のパーティメンバー。
初めて出会った時には、エロ本化の副作用諸事情で読心能力を得ていたマトリフだったが、アバンはその精神力でもって頑なに心を閉ざしていた為に心が読めず警戒していた。
しかし、その閉ざされた心の先には天才故に周囲と馴染めない苦悩と高潔な精神が隠れていると知り、自分と重ねて共感を覚えた。
以降、天才故に懊悩してきた人生の先輩として、卓越した頭脳の持ち主同士として、気の置けない仲間となった。
旧魔王軍と戦った生粋の戦士
仲間の助けになりたいと願う心と真直ぐな精神に惹かれ、まだ未熟な彼を導く先達として共に戦場に立った。
生真面目なアバンよりはくだけた彼のことは、後述のまぞっほへの未練もあってか弟分として可愛がっており、その成長ぶりと戦闘における直感に対して強い信頼を寄せていた。
旧魔王軍と戦った僧侶戦士の女性。
自分好みの魅力的な女性で習性のようなセクハラも敢行していたものの、上手くあしらう彼女に翻弄されっ放しだった。
そして何より、弟分として可愛がっていたロカの意中の人だったため過度なちょっかいはかけなかったらしい*7
旧魔王軍討滅後は、彼女が住むネイル村にしばしば訪れて、ロカの忘れ形見でもある娘マァムの面倒を見ていたらしい。
  • バルゴート
マトリフが物心ついた頃から師事していた修練の地ギュータにおける恩師。
修練の果てに普通の人間として到達し得る文武の境地に至った大賢者。
マトリフから見て「魔法でも駆使してどうとでも延命出来る、死ぬところなぞ到底想像出来ない超人」であり、自他共に認める天才であるマトリフでさえ、彼に負けることは受け入れていたほど。
ギュータの地においてもマトリフは破天荒な生活を送っていたようで、尊敬する恩師に迷惑をかけていた自覚はあったらしい。
バルゴートからもメラ系とヒャド系の呪文の同時発動の危険性を身体で教えられた際に「聞き分けのない弟子」「口で言っても従わん」と評されている*8
その恩師から「過去最強の卒業生」とその実力を認められて「真の勇者を見つけ助けとなる」という末期の願いを託されたマトリフは、卒業と同時にギュータから出奔することを決意した。
  • カノン
バルゴートの娘にして、修練の地ギュータで共に修行に明け暮れた同朋。マトリフとは相思相愛の間柄でもあった。
後述のまぞっほが10代の頃に夜逃げした際、マトリフは顔に皺が出来てそこそこ歳を感じさせる容貌だったが、カノンは皺一つ無い妙齢の美女であり、マトリフとは歳が離れていた模様。
恩師バルゴートから夢を託されたマトリフだったが、カノンには碌に別れを告げずに出奔しており、後年になってマトリフはその事に対して「逃げた所為で悔いを残した」と述懐している。
恩師から託された夢だけでなく、恩師の娘という間柄や年齢差もあってか、彼女への愛を告げずに出奔してしまった。そのことをマトリフは生涯悔いることになる。
単行本解説において「マトリフと同等以上の実力」とされるが、これは想い人に対してマトリフが本気を出し切れなかったのも一因のようである。
ギュータで共に修行した後輩。30歳年が離れている弟分で、年齢的には息子にも等しかった。
氷系呪文に秀でていてマヒャド*9をも扱える、マトリフから見ても才能豊かな若者だった。
しかし自分より強い魔物には尻込みし、そのコンプレックスの裏返しか自分より弱い者には加虐的になる悪癖があった。
その悪癖を師バルゴートからは再三咎められ、その度にマトリフに慰められるも、傑出した才能と胆力を備える彼と自分との格差を痛感してしまっていた。
その挙句、まぞっほはギュータから夜逃げしてしまい、マトリフは長年無念に思っていた。
旧魔王軍の最高幹部。
トロールの希少種にして珍しく知性を求めた彼は、生来備えていた怪力だけでなく魔法にも卓越している強敵であり、必然的に魔法に長けたマトリフが相手をすることが多かった。
実力ではマトリフが一、二歩先を行くものの、時に出し抜かれて追い詰められる油断ならない強敵であり、マトリフは度々窮地に追い込まれた。
マトリフはその人生において、負けても不思議でない恩師バルゴートと本気を出し切れないカノンを除けば、対立しても一蹴出来る相手しか存在しなかった。それ故に、幾度も本気で命の削り合いを演じたガンガディアは生涯初めての好敵手でもあり、奇妙な友情すら感じていたようである。
マトリフは本編でハドラーを「三流魔王」と挑発しているが、ガンガディアとの好敵手関係が『勇者アバンと獄炎の魔王』で描写された事により、
「マトリフは己の信念を曲げてまでガンガディアが忠義を尽くしたハドラーの堕落っぷりが許せなかったのではないか」と推測する声も出ている。
アバンが遺した彼の愛弟子。
パプニカでの悶着で人間に愛想を尽かしていたマトリフは、当初気紛れ半分でダイ達を魔物の群から助けた後は、すぐさま突き放す気でいた。
しかし、まだ弱冠でしかないダイの眼差しにかつてのアバンを重ね見て一転、急造の師として面倒を見た。
アバンが遺した彼の愛弟子にして、自身の愛弟子。
見るからに才気と気迫が溢れるダイと比べて、才はあれど甘ったれの鼻っ垂れにしか見えない新米魔法使いの15歳の少年だった。
1ヶ月は寝ずにぶっ通しで臨戦態勢を維持出来る程に過酷なギュータでの修練を経験し、その修練を共有した魔法使いばかりを目にしてきたマトリフにとって、出会った頃のポップは「見るからにあっさり死にそうな過去最弱に見えるもやし」でしかなかった。
そんな彼を、旧魔王軍より遥かに強大な新生魔王軍に立ち向かえる人材にすべく、マトリフは過酷な特訓を彼に施した。
ポップは泣き言を言いながらもこなしてみせた。
期待以上の成果と根性を示したポップは、マトリフにとって、自分が手の届かない高みへと駆け上がっていく自慢の弟子である。


【余談】

1991年アニメ版で、マトリフがポップを連れてネイル村にルーラで向かう途中、間違えてニセ勇者一行の興行の場に入り込むシーンがあり、一瞬マトリフとまぞっほがニアミスしたが、特に何も起きなかった。兄弟弟子の設定前だから とか言わない。



「あの…マトリフさん…」
「なんだ…!?」
「…シリアスな顔をして項目に追記・修正するの…やめてくれませんか…!?」
さわさわ
「おおっ そうかっ!じゃあな!」

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最終更新:2025年01月01日 15:05

*1 外伝によれば後にポップにも受け継がれるこの信念は、かつて自身の師に教わった者とのこと。

*2 タイトルは「SEXYDARKGODDESS かつて魔界を騒がせたエロエロな女神たちの全てがここに」だそうだ…

*3 実際新アニメ版では、漫画で出来てたセクハラの多くがコンプライアンスの都合で未遂に終わらされている。残当。

*4 『勇者アバンと獄炎の魔王』では魔王ハドラー配下のガンガディアが先にマトリフと戦いこの特性を把握しているが、特にハドラーには報告されていなかったようだ。

*5 ダイ大はギラ系を「DQにおける最初の攻撃魔法」としてリスペクトする意図があったらしく、贔屓されている。ポップが力を収束したギラで強敵の身体を貫いたシーンはその表現。

*6 「勇者アバンと獄炎の魔王」にて、過去にアバンの空裂斬の修行のためにオーザムを訪れており、ルーラで来ることが可能だったのが幸いしている。

*7 一応本人は気にしていないが、少々は胸や尻を触られていたとのこと。

*8 同時に「一を聞けば十を知る知恵もある」とも評されている。

*9 「HREO WORKS」より