Kirby for Nintendo GameCube

登録日:2023/01/19 Thu 14:11:01
更新日:2025/01/15 Wed 13:02:41
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Kirby for Nintendo GameCube」とは、HAL研究所が開発し、任天堂から発売されなかったニンテンドーゲームキューブ用のアクションゲームである。


経緯

2004年11月ごろに制作していることが発表され、その後2005年のE3で映像が公開された。その内容は、『星のカービィ スーパーデラックス』にあったヘルパーを3人呼び出せるようになったものであった。
桜井政博によると、アニメ版を放送しているからこそ、ゲームも充実させていくという方針の元で『星のカービィ 夢の泉デラックス』『星のカービィ 鏡の大迷宮』に次ぐ形で発売される計画であり、『カービィのエアライド』からもあまり間隔を開けずに世に出る予定であった。
ストーリーにもデデデ大王ワープスターを奪われたため取り返しにいくという、アニメの影響が色濃く見られる設定となっている。そして、そのワープスターを取り込んだデデデ型のロボがボスとして紹介されていた。
他にも「デデデにさらわれたカービィをヘルパーが救出する」といったシナリオも用意されていた。

しかし、その雲行きは怪しく続報が無いまま発売予定だけが延期、桜井もHAL研究所から独立したり、ハードも後継機のWiiに変更されたりしては、期待だけが雑誌などで煽られる状況が続き、2010年ごろには遂に発売スケジュールの掲載がなくなってしまった。

そういった中で発表・発売された『毛糸のカービィ』は、GC版で期待された内容とは大きく異なるゲーム性から当時の評判は良いものばかりではなく、『社長が訊く』で「これとは別にHAL研究所でも新作を作っている」という趣旨の発言がされる程だった。

裏側

ヘルパーシステムの導入を目指したGC版だったが、シングルプレイとマルチプレイの共存の難しさから頓挫。*1
その後3Dアクションやコピー能力の一新を目指した絵本風グラフィックの試作が行われたが、クオリティに満足できずいずれも白紙に。11年近く苦難が続いていたという。しかし、それでも開発は続いており、ディレクターとなった熊崎信也の元で新たなプロジェクトが動いていた。

表舞台へ

2011年1月に、決算説明会の中でWii用の本編カービィが岩田聡より直接発表され、映像も公開された。同年のE3ではより具体的な内容を紹介するPVが公開され、その後発売日が2011年10月27日と発表された。そう、その本編カービィこそ『星のカービィWii』である。知っての通り、当作品は今ではカービィシリーズの中でもトップクラスの人気となる完成度の作品として知られている。その裏側には消えていった3つの作品と、それらを風化させずに完成に導いたHAL研究所の努力があったのだ。

GC版の名残

『カービィWii』として無事に表舞台に立ったGC版。形こそ大きく変化したが、その当時の名残は当該作品に数多く残されている。当時のPVで流れていた曲には、「勝利への道」という題がつき格闘王への道のテーマ曲として用いられた。他にも当時の曲が使われているものがいくつかあるらしく、中でも人気の高い「スカイタワー」は元々「勝利への道」と対になる楽曲として作られていたという*2
PV内で出てきたデデデ型のロボットもHR-D3と言う名前でデザインを変えつつ登場を果たしている。『Wii』を代表するスーパー能力も、試作3作目で予定されていたものであり、その他当時の素材のおかげで基礎はすぐにできたことも語られている。
また「ウォーター」のコピー能力もGC版で登場する予定であり、後に『Wii』で正式採用された。
デザインや技のスタイルは現在とは異なり、視聴者募集で採用されたアニメのウォーターに近い透き通った姿になっている。*3

その他の作品への影響

収集要素のフィギュアでは、いくつかエアライドからと思われる3Dモデルがあったが、その中に混じってGC版に登場予定だったガレブのものがあり、名残と考えられる。

サブゲーム「カービィマスター」にデデデロボという名前が付いて、PVのロボットが登場。『Wii』より前にGC版要素を拾っていた。

付属のブックレットのメタナイトの紹介ページで、見知らぬ赤い蝶のナイトが描かれていたのだが、これが後にGC版に登場予定だったキャラであると判明した。

『ロボボプラネット』にサブゲームとして「カービィの3Dチャレンジ」が収録。その名の通り、3D空間でカービィを動かすサブゲームである。アクションは絞られ、基本的にすいこみと吐き出しで敵を倒していく。『すいこみ大作戦』はそれを一本のソフトにまとめ、強化した物。試作2作目の3Dアクションのリベンジと思われ、そのスクリーンショットにあったような格子模様の地面も見られた。

『すいこみ大作戦』に次ぎ、今度は3D空間でコピー能力を扱うことに挑戦した。

4人プレイ可能な本編作品。フレンズヘルパーという形に落とし込むことで、GC版最初のヘルパーを連れての冒険へのリベンジに成功。中でもブルームハッターはクリーン能力のコピー元兼ヘルパーとしてGCの無念を晴らした。
エアライドに寄せていたためヘルパーで呼び出せる敵キャラクターのチョイスも異なっており、ストーンはロッキー(GCPVではガレブ)、ウィングはバードン(GCPVではではフラッピィ)になっている。
ボムはポピーブロスJr.のままだが、PVのポピーは巨大な玉に乗って移動し本体が非常に小さくなっている。またPVには敵キャラとしてプラズマウィスプの姿もあった(スタアラではコンセが採用)。

また、先述した赤い蝶のナイトが歴史の闇からまさかの復活を果たした。

遂に本編で3Dアクション化を果たす。試作2作目だけでなく、ここまでに記載した3D作品のノウハウもあって達成と相成った。

また、赤い蝶のナイトについても、続投している。

  • 星のカービィ Wii デラックス
『Wii』から引き継いだ要素はもちろんだが、HR-D3の後半戦の楽曲が「シャウト オブ デデデ」に差し替えられ、デデデ大王のロボであったという名残をより強くうかがわせるようになった。

また、マホロアエピローグ 異空をかける旅人ではスカイタワーがあるナッツヌーンと対応したエリア「異空のロスカドーラ」のステージ曲に「勝利への道」のフレーズが使われており、対となる楽曲という要素が形を変えて使われている。


追記・修正は3回の試作を経てお願いします。

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最終更新:2025年01月15日 13:02

*1 最大2人プレイだった『スーパーデラックス』と異なり、最大4人同時マルチプレイという状況へのバランス調整が難航したと思われる。マリオシリーズでさえ最大4人マルチプレイを可能にしたのが『NewマリオWii』からだったことを考えると、「横スクロールアクションゲームで4人マルチプレイ」の技術的な難しさが窺える

*2 実際、共通するフレーズが見られ、作曲はそのような手法を得意とする安藤浩和氏である。

*3 『Wii』では2P以降も色違いカービィを操作出来る都合上、ウォーターを含めてコピー能力で色が変わらなくなっている。そこから考えると、GC版ではカービィは1P専用キャラクターだったと推察出来る。