ホラーマン

登録日:2023/02/12 Sun 00:24:00
更新日:2025/03/22 Sat 12:55:39
所要時間:約 12 分で読めます





怖いですね~、ホラーですね~


ホラーマンは『それいけ!アンパンマン』の登場人物。
声:肝付兼太(第159話Aパート - 第1330話Aパート、2016年クリスマススペシャル*1、映画:第3作、第5作 - 第28作)(1991年11月25日 - 2016年10月21日、2016年12月23日)→矢尾一樹(第1376話 - 、映画:第29作 - )(2017年10月6日 - *2




【概要】

ひょうきんでお調子者だが誰に対しても親切なガイコツの男性。

劇場版第3作目「とべ! とべ! ちびごん」(1991年7月20日公開)で初登場、約4ヶ月後に第159話Aパート「アンパンマンとホラーマン」(1991年11月25日放送)でTVデビューを果たす。

元は岩山の洞窟で暮らしていたが、現在はドキンちゃん目当てのためか、ばいきんまんの住む「バイキン城」に居候している。

名前に「ホラー」と付いている事や公式サイトの説明文で「みかけは こわそう」と説明されているように、「恐怖」をモチーフとしたキャラクターである。実際、初登場時には洞窟を訪れた者を怖がらせようとする言動も取っていた他、彼と初対面した学校の子供たちやジャムおじさんたちにも外見を怖がられていた。
ただし登場回数を重ねるにつれ、元々悪さに向いていない本人が「ホラー」要素を前面に押し出さなくなったこともあり、初対面の相手に第一印象を怖がられるケースはほとんどなくなった。


初登場時のエピソード

「とべ! とべ! ちびごん」では、ドラゴンの男の子・ちびごんの空を飛ぶ練習に付き添っていた。

後に定着した調子のいい性格はこの時点では見られず、「練習から逃げては自分のためにならない」と熱血指導するなどちびごんの保護者役というポジションが強調されていた。
口調についてもあまり丁寧語を使用しない他、ドキンちゃんに好意を抱く様子もない。



「アンパンマンとホラーマン」では、「アンパンマンをやっつけてくれる強そうな奴」を探していたばいきんまんたちが、ドクロの形をした岩山の洞窟へ向かった際に初めてホラーマンと出会う。
ドキンちゃんにすっかり一目惚れしてしまったホラーマンは、そのままバイキンUFOに掴まる形でバイキン城まで付いて来てしまう。

ドキンちゃんからは「好みじゃない」と拒絶されるものの、「アンパンマンをやっつければ見直してくれる」とばいきんまんにそそのかされたため、アンパンマンと戦うことに。彼をおびき寄せるべく学校に出没し子供たちを怖がらせてみせるが、その後はてんで空回りの連発。子供たちには笑われてしまい、乗せられやすい性格も手伝ってすぐに打ち解けてしまった。
あまりのやる気のなさに激怒したばいきんまんに叱咤され、再度本気でアンパンマンに戦いを挑むが、逆にばいきんまんを攻撃してしまうなどヘマの連発。アンパンマンの強さに恐れをなし、そのまま退散してしまった。
これにて「ドキンちゃんの事も諦めるだろう」と思われていたが、以降も現在まで彼女が振り向く時を夢見てストーキング奮闘し続けている。


【外見】

ボロボロな群青色またはグレーの服を着ている。服に付いている2本の骨は模様ではなく「ホネブーメラン」という武器にもなる実物である。

全身が骨だけでできているため体は自在にバラバラになれる(というかされる)。アンパンチで吹っ飛ばされたばいきんまんがバイキン城に落ちて来た際にバラバラになるという扱いをよく受けるが、すぐ元に戻れるので平気。
頭だけを自立して動かすこともできる。この他、劇場版「りんごぼうやとみんなの願い」では、胸骨で本に付いた鍵穴をピッキングしたこともある。

顔のフォルムがしょくぱんまんに似ていることから、ドキンちゃんの夢や妄想シーンに割り込んでしまうことも。

稀に「リアルホラーマン」と称して超リアルなタッチで突然暗がりに現ればいきんまんたちを仰天させたりもする。さすがにホラー過ぎるためか近年でこのネタは使われなくなった。第193話Bパート「アンパンマンとおばけの城」のリアルホラーマンが歴代の中で最もホラーだと言われている。

同時上映作品「みんなでてあそび アンパンマンといたずらオバケ」では、取り憑いた相手をオバケに変身させる「でろろんオバケ」の能力が唯一効かず、ばいきんまんは「元々オバケみたいなもの」と言っていた。


【性格】

一人称は「私」(キャラソンでは『』)。基本的に丁寧口調で「ホラー」や「…ですね~」などが口癖。

元々洞窟で人を怖がらせていたお化けとは思えないほどのひょうきんでお調子者な性格。

加えてポジティブ思考の持ち主でもあり、あざみちゃん*3の毒舌も全てプラスの方向に受け止めており全く効かなかった。
ドキンちゃんに何度フラれようと決して恋を諦めない姿こそが、その底抜けに前向きな性格や強靭なメンタルを物語っていると言えるだろう。

「ドキンちゃんのためなら」と彼女の言う事には何でも素直に従う。ドキンちゃん側も彼の事は意識していないものの素直で働き者という長所は買っている節があるようだ。

お調子者の性格が高じて、失敗を繰り返すばいきんまんを詰るなど毒舌な一面もある。その内容はばいきんまんの欠点を率直かつ的確に突いたものが多い。
気分次第で付き合っているように見えて、意外と彼の問題点をシビアな観点から分析しているかのような油断ならない一面もあることがわかる。

初登場回では「1+5=15」と答えるなど頭はあまり良くない模様。ばいきんまん・ドキンちゃんとトリオでいる時でも大ボケをかましては2人にキツいツッコミを入れられることが多い。

ドキンちゃんに気に入られるためならどんな苦労も惜しまない努力家。ホラーマンがメインの回は、彼女にご馳走するためにゲストキャラクターから料理を教わるというストーリーが多い。
料理は元々得意なためかレシピ習得も基本飲み込みが早いが、中にはパスタ料理など失敗したことのある分野もある。炊事から掃除まで家事全般をこなすため、バイキン城にいる時は大抵ばいきんまんとドキンちゃんに雑用係にされてしまっている。

善悪について

劇場版やTVシリーズの中編などではばいきんまんたちと一緒に行動することが多いが、アンパンマンたちに敵意を持っているわけではないため、それ以外ではアンパンマンらに味方することが多い。

ばいきんまんの味方をする時は、騙されて「鉄骨ホラーマン」に変身させられたりなど半ば巻き込まれる形が多いが、恋敵でもあるしょくぱんまんが標的だと面白がって加担する。
ただ、当のドキンちゃんはしょくぱんまんに危害が及ぶと肩入れしてしまうため、彼女に同調する形でしょくぱんまんを応援することもある。かつてはしょくぱんまんに嫉妬することもあったが、現在は対抗心を燃やすこともなくなりつつある。

ある時ははばいきんまんの悪巧みに付き合っていたり、またある時はパン工場の面々と仲良くしたり手伝いをしたりなど、立ち位置がコロコロ変わる気まぐれ者。同じ話の中で何度も相手側へ寝返る場合さえある。

仲良くなったゲストキャラクターをばいきんまんが襲おうとした場合には、ゲストキャラを守るために彼に抵抗することもある。この時ばかりはさすがに寝返ったりはせず、彼なりの正義感をもって戦いに挑む。だが基本弱いので大抵返り討ちに遭う。

元々率先して悪さを働くような性格ではなく、むしろ誰に対しても腰が低く紳士的であることから、悪人として見られることはほとんどない。

(幼児向け作品という性質上)「アンパンマン」に登場するキャラクターの多くが「アンパンマンに対し善か、悪か」というひとつの性質が、具体的な感情の描写などによってはっきりと明確化される中で、派閥を意識せず興味本位で行動するホラーマンは特殊な存在であると言えるだろう。

原作者・やなせたかし氏は、ホラーマンについて「善悪が曖昧で、いい奴なのか悪い奴なのかさっぱりわからない」と評している。
作者をしてその立ち位置を悩ませる彼の存在は、これからも作品を大いに面白くしてくれることだろう。

以下はアンパンマン公式サイトのQ&Aでの回答。

Q.ホラーマンはいい人?悪い人?
よく、ばいきんまんと一緒にいて、ばいきんまんのいたずらに付き合わされますが、本当はまじめでいい人ですよ。




【その他の関連キャラクター】

●鉄骨ホラーマン
正確にはホラーマン本人の変身パターン。入った人を筋肉モリモリにする「鉄骨マシーン」で変身したホラーマン。
服には「S」のマークが付く。普段は全身骨だけですぐバラけてしまう打たれ弱いホラーマンも格段にパワーアップする。マシーンが破壊されるかもう一度マシーンに入ることで元のホラーマンに戻る他、メロンパンナの「メロメロパンチ」を受けても元に戻る。
なお、「鉄骨マシーン」にはこれまでにクリームパンダかまめしどんなども入ったことがあるが、なぜかホラーマンは鉄骨化する回数がかなり多い。ガリガリのキャラがマッチョになるというギャップにスタッフも面白さを見出しているのかもしれない。

●鉄骨ホラーマンズ
声 - たてかべ和也(鉄骨ホラーマンレッド)、水鳥鐵夫(鉄骨ホラーマンブルー)
「アンパンマンと鉄骨ホラーマンズ」に登場。
「3倍マシーン」の機能が付いた「鉄骨マシーン」3台で誕生したもう2人の鉄骨ホラーマン。レッドは乱暴な性格でブルーはおっとりした性格。
中の人的に「ホラーマンとレッド」=「某お坊ちゃま某ガキ大将」である。

●ホラーだんしゃく
「アンパンマンとホラーだんしゃく」
ホラーマンのご先祖様あるいは親戚。西洋風の騎士の出で立ちをしており髭を生やしている。
ある夜、ホラーマンの夢枕に立ち、「もっと人を怖がらせろ」と彼を叱責する。その後、ホラーマンを城へ導き中に収められていた服を着せることで男爵の人格がホラーマンに憑依した。
その後は骨の形をした剣で人々を目一杯怖がらせる…と言っても顔への落書き程度だが。

●ホラ・ホラコ
声 - 榎本加奈子
同時上映作品「ホラーマンとホラ・ホラコ」に登場。
海底にある「ホラホラ王国」の王女。ホラーマンに似ているが、ガイコツではなく「ホラ貝」がモチーフである。得意の「ホラ話」でアンパンマンワールド各地で混乱を起こす。
自身に対し紳士的に接してくれたホラーマンを慕うようになり、「自分はホラーマンと人魚姫の間に生まれた娘」だとホラを吹いてしまう*4
最終的にホラ話であることが判明してからは「兄になって欲しい」と懇願するようになり、ホラーマンもそれを了承した。




【その他】

  • TV放送初期の第41話Aパートに「アンパンマンとかいじんドクロマン」という回があり、ドクロマンというキャラがゲストに出てきたことがあるが、ホラーマンの原型などではなく、ばいきんまんの変装(髑髏のお面をかぶっただけ)だった。

  • やなせ氏の著書「アンパンマン大研究」によると、ホラーマンのモデルは「日曜洋画劇場」の解説でおなじみ、映画評論家の淀川長治だという。ホラーマンがよく使う「怖いですね~」「サヨナラ、サヨナラー」などの言い回しは、淀川氏の名調子から採られている。やなせ氏は初代声優の肝付兼太氏にもホラーマンの演技について「これは淀川長治でいこう。でも、あんまり淀川さんにしないでね」と要求していたそうだ。

  • 1991年の初登場以来、2016年まで25年に渡りホラーマンを演じてきた初代声優の肝付氏が同年10月20日に死去したことにより、それまで準レギュラーで定期的に登場していたホラーマンがしばらくの間登場しない空白期間が存在していた*5。翌2017年7月に公開された映画「ブルブルの宝探し大冒険!」より矢尾一樹氏が2代目に就任したため、以降TVアニメでも第1376話「アンパンマンとどろんこ魔王」(2017年10月6日放送)より再び登場するようになった。

  • キャラクターソングに「ホラーマンメチャクチャチャ」がある。ホラーマンの気まぐれな気質や敵か味方かわからない、まさに「メチャクチャ」な立ち位置が曲名の通りチャチャ風で歌われている。なお、3番には「おばけのくに」という地名が登場するが、これが彼の生まれ故郷なのかは不明。2018年には矢尾氏への声優交代に伴い新録された「ホラーマンメチャクチャチャ2018」がリリースされた。

  • やなせ氏にとってホラーマンは大のお気に入りキャラでもある。当初は一度限りの登場でフェードアウトすると思いきや、いつの間にか人気者になったホラーマンに魅力を感じたそうだ。また、ドキンちゃんに一途な愛情を寄せる純情な部分や、どこからでも神出鬼没に現れることができる面白さが彼の持ち味であると評価してもいる。





追記・修正よろしくお願いします。

あたしめんどくさいからホラーマン代わりにやっといて~。

ホラホラ~、ドキンちゃんの項目なら喜んで…。

おバカー!あたしのじゃなーい!!


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最終更新:2025年03月22日 12:55

*1 生前の音声を用いた形でライブラリ出演しているため、台詞が「ホラー」の一言のみである。

*2 肝付が2016年10月20日に逝去したためしばらく登場しなかったが、翌年の劇場版で少しだけ再登場。その後、テレビ版では2017年10月6日放送の第1376話「アンパンマンとどろんこ魔王」で再登場。現在は再びテレビ版、劇場版共に定期的に登場している。

*3 気の強いアザミの女の子。悪気はないのだが相手にトゲのある言葉をぶつけて落ち込ませてしまう。

*4 彼女曰く、ホラーマンはかつて「ホラー王子」だったらしく、人魚姫と生き別れたショックで痩せこけてしまい現在のホラーマンになったのだと言う…勿論これもホラだが。

*5 同年12月に放送された「ポッポちゃんのきらきらクリスマス」は、生前収録した肝付氏の声を編集する形でホラーマンを登場させたため、これが肝付氏による最後のホラーマンとなった。