浅井成実

登録日:2011/11/03 Wed 20:40:23
更新日:2025/04/16 Wed 15:59:12
所要時間:約 10 分で読めます




浅井(あさい) 成実(なるみ)とは、漫画名探偵コナン』7巻収録『ピアノソナタ「月光」殺人事件』のゲストキャラクターにしてキーパーソン。



CV:折笠愛(アニメ旧版)/沢城みゆき(リメイク版)

人物

月影島診療所の医師。26歳。
相当優秀な頭脳を持っているようで、20代前半で医者になった勝ち組。

ポニーテールが似合う、美人というよりカワイイ感じの女医さん。
社交的で明るい性格で、初対面の江戸川コナンたちともあっさり打ち解けた。
あとカワイイ。身長は毛利蘭(160cm)より少し高い。
アニメでは非常に色気のある声の持ち主。

タートルネックの服を好む。
職業は医者で頭脳は優秀、明るく優しく美人な上に料理も上手で、さらにピアノもうまい……
女性としてこれ以上は望めないほどに理想的な人物と言えよう。
ある一点を除けば間違いなくお嫁さんにしたい人ナンバー1である。
あとカワイイ。何度でも言ってやる。



以下ネタバレ












成実(なるみ)先生は麻生圭二の息子、麻生成実(せいじ)だったんですよ!!


浅井家の養子となる前の名前は麻生成実*1
そして12年前に自殺したというピアニスト、麻生圭二の息子であった。

……そう、成実先生はなんと男性だったのだ!本来の一人称はまさかの「オレ」。正体が露見してからは口調も男性的なそれに変わる。
ちなみに女性と見まごうほど線の細い体格は幼い頃大病を患っていた影響で、顔立ちに関しては生まれつき女性的だったとのこと。

そして、元村長・亀山を始めとするド外道な大人たちに皆殺しにされた家族の復讐のため、それに関わった4人を次々と殺害した人物……つまりこのエピソードの犯人である。あとカワイイ。

全ての発端は、麻生の幼なじみだった亀山・川島・黒岩・西本の四人が、麻生の海外公演の機会を利用して、麻薬を買いつけ売りさばいていたこと。
だがある時、麻生はもう協力しないと言い出した。そこで秘密が外に漏れるのを恐れた4人は、無関係な家族もろとも無理心中に見せかけて殺害し、その死因を自殺に偽装していたのだ。外道め!
成実のみが難を逃れたが、いきなり家族全員が自殺したと言われてすんなり信じる者はいまい。
家族の死因を怪しんだ成実先生は、医者になった後に故郷の月影島に女装して女医として戻り調査を開始(別に女装しなくても……)。
調査は難航したが、家族殺害の犯人の1人であるドスケベ村長・亀山にイロエロ目的で夜中に呼び出された事で真相を知る。
ちなみに、この色事目的を示唆する大人な展開は『コナン』では珍しい描写である(他にはジンベルモットや『イラストレーター殺人事件』の犯人と被害者とか)。

真相を知った成実は家族の復讐を果たす*2が、その後に公民館で殺人予告を送るという手法に怒りを覚えて血が上っていた*3コナンに自身の犯行であることを暴かれ、公民館に火を放って自殺を図る。

この際、コナンが火災に巻き込まれないように窓に向けて投げ飛ばして脱出させ、ピアノの暗号で「ありがとな、探偵さん」と弾きながらこの世を去った……。

犯人は男性しかあり得ない蘭姉ちゃんならできそうと言われる力技の犯行を繰り返し、コナンを窓を突き破るほどの勢いで10数メートルも投げ飛ばすなど腕力もまた半端ではない。
女と見まがう線の細い身体に一体どんな思いが詰まっていたのだろう。そんな華奢な体躯を突き動かしたのは、あるいはただ復讐の一念だろうか……。


『名探偵コナン』という作品のあり方、及び江戸川コナン/工藤新一自身に与えた影響について

悪意は無かったとはいえ、自身の推理で犯人を追い詰め、果ては自殺に追いやってしまった*4この一件は、コナンにとって大きなトラウマとなっている。
そしてコナンは、この事件で「推理で犯人を追い詰めて自殺させてしまうのは殺人犯と変わらない」というポリシーを持つに至った。ある意味、本件はコナンをコナンにした事件なのだ。
その為、この事件以降コナンは犯人の自殺を食い止める事に全力を注いでおり、『名家連続変死事件』では服部平次との会話で前述の持論を語っていて、これを覚えていた彼も『浪花の連続殺人事件』で犯人の自殺を食い止めている。

以降『コナン』の犯人が自殺をしない、しようとしても食い止められるのは、ある意味成実先生の犠牲があったおかげだと言っても過言ではない。
その為、これ以降の事件では推理で追い詰められて犯人が自殺という結末を一切扱っていないが*5、全てが完璧というわけではなく、特定の誰かがいなければ犯人が自殺していた回もいくつかある。
また、犯人が前々から病を得ていた場合は、真相解明後に病死したという特殊な例もある。

成実先生が登場したのは初期のエピソードだが、その後の『コナン』はご存知の通り、30年近く連載されている長寿作でかつ大人気漫画となっている。
ただし、他の推理作品では見かける「犯人が推理後に自殺」を『コナン』で扱ったのは30年近くの連載でこの時だけであり、その後は一切扱っていない為、他の作品でこの展開が発生した場合は高い確率で『名家連続変死事件』でのコナンの台詞を使って揶揄する人が多い。


ファンの受け止め

浅井が登場した『ピアノソナタ「月光」殺人事件』は作者が一番のお気に入りということもあって、読者の間でも最も人気や知名度の高い事件のひとつ。また同時に成実先生も最も知られた犯人のひとりであろう。
オフィシャルブック『コナンドリル』では成実先生が「印象的な犯罪者」第1位に輝いており、100巻発売記念の企画である「令和に語り継ぎたい!! 迷・犯人BEST100」でも第1位を獲得している。
2021年に実施された『再装填』企画でも人気投票の結果首位に立ち、リメイク版が放送されたほど。既に放送済の話がリメイクされたのは、第1話『ジェットコースター殺人事件』のリメイク『名探偵コナン エピソード”ONE“〜小さくなった名探偵』以来2例目。


主なセリフ

  • 私、前から憧れてたんです…自然に囲まれた小さな島で医者をやるのが…(表情からして、これは本心だろう)
  • きゃああああ!!!
  • ふああぁぁ(あくび)
  • 終わったよ、父さん…なにもかも…
  • 麻生圭二の息子だとバレないように女医師としてな!(なぜ女装に行き着くのか…まさに神発想である)
  • さぁな…スケベそーな男だったからな…(夜中に亀山に呼び出された理由について)
  • 本当は西本の自殺もうまく決めるつもりだったんだぜ…(意外としたたかな成実先生)
  • オレの手はあの4人といっしょ…もう血みどろなんだよ…
  • ありがとな、小さな探偵さん(楽譜の暗号で)


余談

  • アニメ旧版で成実を演じた折笠愛はのちに目暮十三の妻・目暮みどりを演じている。
  • 毛利探偵事務所に調査を依頼した電話の声は、もちろん成実が声を変えたものだと思われる。なお、アニメ旧版で声を変えた成実の電話を演じたのは、最初の被害者・川島英夫を演じた笹岡繁蔵であった。
  • 名の「成」は「しげ」・「まさ」・「なり」、「実」は「さね」・「よし」・「まこと」などとも読む。
  • 後年の劇場版にも、普段は女性として振る舞っているが実は……というゲストキャラクターが登場している。



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最終更新:2025年04月16日 15:59

*1 顔に加えて、医師免許には名前の読みは載らないことと、名前も女性の名前のように読めるものだったことから性別を偽ることができた。現在はローマ字読みが必須のため不可能。

*2 唯一前述の亀山だけは、正体を明かした成実先生に真相を暴露した後、あまりの衝撃にか心臓麻痺を起こして勝手に死んだという。

*3 コナンは事件後、殺人予告を出したのは、殺人を犯す自分を止めて欲しかったのではないかと考えている

*4 ただし、公民館にはあらかじめ油が撒かれており、推理とは関係なく、最初から復讐達成後に自殺するつもりだった模様

*5 犯人が自滅したり、推理とは無関係に自殺や病死を遂げたり、第三者に殺害されたのでコナンが防ぎようがなかったりしたエピソードはある為、「コナンの目の前で犯人を死なせない」と表現するのがより正確といえる。また、犯人が黒の組織関係者の場合は一時的にこの縛りが解除されている。特に劇場版で黒の組織を扱う場合は必ず発生している。