Cキラ編(DEATH NOTE)

登録日:2023/06/26 Mon 00:06:11
更新日:2024/12/27 Fri 15:21:52
所要時間:約 6 分で読めます







Lがキラ 夜神月に殺されて9年


キラ 夜神月が死神リュークに殺されて3年




「Cキラ編」とは漫画『DEATH NOTE』の特別編となる読切短編。


【概要】

原作の後日談に当たり、キラとの決着がついてから3年後(2013年)の世界が舞台になっている。
実写映画版『DEATH NOTE』前後編2部作のスピンオフ映画『L change the WorLd』の公開を記念して2008年の『週刊少年ジャンプ』11号に掲載され、
2016年に『DEATH NOTE 完全収録版』、2021年に単行本『DEATH NOTE 短編集』にそれぞれ収録された。

Cキラの「C」は「Cheap(=安っぽい、チンケな)」から取られている。

原作同様に「デスノートを用いて殺人を行う者を追う」話ではあるのだが、原作とは違ってノートを使う「キラ」側の視点は全くと言っていいほど描かれず、
内容も推理より「Lの後継者としての在り方」に対するニアの内面描写に重点が置かれている。




以下、ネタバレ注意。



【あらすじ】

およそ6年もの間続いた、キラこと夜神月と、L及びその後継者達の戦いに終止符が打たれてから3年後の2013年。

月・Lの死は公には公表されず、空席となったLの座にはニアが着いて世界の難事件を解決しており、
キラの存在についても「抹殺された」「一時的に活動を止めた」などと様々な憶測が飛び交っていた。

そんな中、日本の65歳以上の老人の死亡率が突如として高まり始め、日本は長寿国1位から6位に転落するまでになった。
その異常な死亡率の高さから、それがキラによるものではないかという噂がネット界隈ではささやかれ始めていた……


【登場人物】

本エピソードにおける実質的な主人公。容姿は幼さが抜け、どこかLに似た雰囲気の青年に成長している。
苗字にも名前にも「L」がないがL・月に続く3代目Lとして難事件を解決する立場についている。
新たに現れたキラの殺人傾向について「特にこれといった信念もなければ、リスクを冒す覚悟もない」と推理し、
曲がりなりにも世界を変えようとしたキラ(月)にも、彼を命がけで追ったLにも失礼だとして「Cキラ」と名付けた張本人。
Cキラ事件にあまり気乗りしない*1様子を見せつつ、自身の立場や過去に行ったLとの話から、「Lならばどうするのか」について悩んでいる。

  • アンソニー・レスター
  • ハル・リドナー
ニアが指揮を執ったキラ対策組織「SPK」の元メンバー。
高齢者の不審死がデスノートによるものだとしてニアの下を訪れ、ニアに捜査に動くよう打診している。
Lとして活動しているニアとの関係は更に深まっているようであり、月を討ち取った『真のL』として『どう在るべきか』というニアの悩みに対し、
世界をキラの魔の手から解き放つべく、疾走した同志としてレスターは一つの言葉を投げかける。

ちなみに同じくSPKの元メンバーだったジェバンニはこれに同行しておらず、別シーンで1コマ・セリフなしで登場するのみだった。

日本捜査本部の面々。
(原作最終話が初登場だった山本を除いて)キラの殺人方法がデスノートであると知っているため、今回の件もまたデスノートによるものではないかと考えている。

松田は追う姿勢は見せつつも、今回の殺人について肯定派寄りの意見を落としており、もし殺人を行っているものがいるとしたら日本人だと意見している。
相沢は夜神総一郎の後継者にして『月=キラ』の真実に辿り着いた捜査員としての貫禄と冷静さ、思慮深さが更に深まっており、夜神親子死後のリーダーに相応しい姿を見せている。
山本はさくらTVにおける放送においては怯え腰になり、Cキラによって死を懇願した若者が心臓麻痺で倒れてからは当初キラの力に狼狽するも、それが返って気つけになったのか、
手で口を抑えながらも冷静さを取り戻すと、その後のL(ニア)からの言葉ではキラの力を直接見ながらもCキラの検挙に意欲的な姿を見せるなど、本質的には正義感が強い事がうかがえる。

世界一の名探偵。作中では既に故人。
かつてワイミーズハウスの子供達との質問会にて自身の探偵としてのスタンスを告げ、ニアを感心させている。
また、「質問することなく様子を観察している」「目付きが悪い」等の理由で自身の後継者をニアかメロのどちらかだと踏んでいた。

Lのもう一人の後継者。作中では既に故人。
ワイミーズハウスでのLとの質問会にて、Lの話を聞くシーンで数コマのみ登場。

デスノートを使って、大量の犯罪者に「死の裁き」を下す「キラ」として自身の目指す新世界を創ろうとした青年。
作中では既に故人となっているため、彼自身が話に関わってくる事はないが、今回のCキラも同じ手段(デスノート)を使っている事から比較対象に挙げられ、
ニアからは(正しい行動・存在ではなかったという前提だが)その頭脳・精神力等を「犯罪を7割減少させ、戦争を止めた」「Lの好敵手」と評され、
彼と比べればCキラは「私欲のためにノートを使った火口と同じクズ」で、「『キラ』と呼ぶのは月やLに失礼」と酷評している。
また、作中でリュークも彼の言動について言及するシーンがある(後述)。

  • Cキラ
本件におけるデスノートの使用者。
具体的な外見や名前は不明だが、作中での描写から「死神の眼」を持っている事が分かる。
具体的な経緯も同様に不明だが、ミードラのデスノートを利用して日本の65歳以上の老人を「病気の悪化」を死因に指定して殺害している。

犯行から想像したニアの人間像は「苦しんでいる祖父母を殺したことで、それが社会の為になると解釈した若者*2
あるいは「デスノートの力を得たことで自分なりのキラを気取るバカ*3

  • ミードラ
Cキラのデスノートの元の所有者で、大柄な両生類のような見た目の死神。死神ランクは9。
メスだが一人称「俺」で、男勝りな口調で喋る。
バナナが好物のようで、Cキラの傍らで夥しい数のバナナの皮を散乱させている。
死神ランクは低いが、その巨体故に周囲の死神からは一目置かれている。

リュークが人間界でデスノートを使わせて起こった出来事を見て楽しんだ事に触発されたのか、
人間界のリンゴ13個を手土産にデスノートを死神大王から受け取って今回の騒動を起こした。

お馴染みデスノート界の愛すべき外道の死神。
今回は終始死神界に滞在し、Cキラの騒動にも関わっていない。
原作の『幕』で、敗北した月に縋られるも彼を見限り、その名をデスノートに書いて死なせた張本人だが、今でもその頭脳や精神力は買っており、
ミードラが失敗した理由として「人間がデスノートを使うには強い精神力と信念が必要」「契約した人間が弱かったから」と逆説的に月を評価する言葉を述べている。

死神大王に人間界のリンゴの味を教えたらしく、その結果ミードラが2冊目のノートを手に入れられるようになったらしい(リュークも礼としてリンゴ3個を貰っている)。

  • グック
山羊の骨状の頭部が特徴的な死神。死神ランクは7。
今回の事件を起こしているのがリュークではないと知って驚くと同時に、デスノートを簡単に死神大王から受け取れるようになった現状に呆れを見せている。

  • 死神大王
死神界のドン。
本作で初めてビジュアルが明かされ、人型から大きくかけ離れた異形のビジュアルを読者に見せている。
リュークから人間界のリンゴの味を教えられた事でその虜になっているらしい。










【物語の結末】

Cキラの殺人は留まる事を知らず、ついには殺人の対象を「65歳以上」から「60歳以上」に変更。
さらには人生に絶望した若者達がTVの映像越しに自分を殺すように懇願するほどになっていた。

そんなある日、さくらTVでのキラに関する討論番組内で暴走した若者達がCキラに殺人を懇願して死んでいく映像が放映され、
さらにそれを見た他の者がキラに死を求め縋るという地獄絵図が展開。
相沢達が対策を打とうとするが、ここで突然映像が変わり、「L」の文字が表示。


とうとうニアが動き出したのだ。
彼の出した「Lならばどうするか」の答え。


それは「事件に関与せず、日本警察に犯人特定を任せる」事だった。




殺人方法は既に分かっている以上、そうするのが筋であると奮起する相沢達だったが、ここでニアが更に1つ犯人に対して言葉を投げかける。




この人殺し



! ……。




「Lっぽくなかったかもしれない」。
ニア……「3代目L」はそう振り返りつつ、全てを終えたのだった。


……いや…

それにニア、もうあなたがLなのだから


レスターからのその言葉と共に。


その後場所は変わって死神界。リュークと言葉を交わすミードラ。
曰くCキラは「(ニアの言葉を聞いて)3日間呆然とした後に発狂してノートに自分の名前を書いて自殺した」らしく、
あまり面白い遊びが出来なかった事に落胆していた。

が、彼女から持っていたデスノートとリンゴを受け取ったリュークは逆にCキラの奇行を面白がるのだった。


奇声を上げ 自分の名前を書いた か…

やっぱ人間って面白!


【余談】

  • 作中時系列の2013年だが、Cキラの存在に気付き始めた者がネット上に書き込んでいるのが2月9日*4となっているので、
    Cキラが暗躍を始めたのはその少し前の1月下旬~2月上旬の可能性が高く、アニメ版でいうところの月とニアの戦いの決着時期とほぼ同じである。

  • リュークがミードラから受け取ったデスノートだが、後に描かれた読切短編「aキラ編」で使用される事になる。

  • 日本の長寿ランキングが1位から6位まで低下している事を考慮すると、Cキラはノートを使って単純計算で19万人ほど殺害していることになる。
    • 一人の名前を書くのに20秒かかると仮定して、1日3時間ノートに名前を書く作業を行うと540人。その作業を365日間続けて19万7100人となる。

  • TVアニメ版のディレクターズカット作品『リライト2 Lを継ぐ者』では、
    今作にあった「Lが自身の哲学をニアに語るシーン」「テレビで大量殺戮が行われるシーン」が新規描き下ろしシーンとして逆輸入されている。
    特に後者はキラ反対派を殺戮する魅上照とそれを傍目で見ながらほくそ笑む月という大胆な形にアレンジされており、キラの悪辣ぶりを示す強烈なシーンに仕上がっている。
    しかし、こうした蛮行は原作の月が全否定しており*5、若干の矛盾が生じている。
    今作はあくまで「ディレクターズカット」という扱いであり*6、シナリオの流れも細部が変更されているので、あくまでパラレル扱いなのだろう。

  • 似たような事をした人物として、実写映画版の続編『デスノート Light up the New world』に登場したロシア人医師のアレクセイ・イヴァノフが挙げられる。
    ただ、こちらは自身の担当患者を安楽死させたり、インターネットで見つけた自殺志願者*7を殺害しており、Cキラほどの自己顕示欲は無かったようである。
    最終的には「キラの復活」を目論むサイバーテロリスト・紫苑優輝によってその所業とデスノート所有者である事実を突き止められ、彼のデスノートに名前を書かれて「薬物の大量投与で自殺」という形で死亡した挙句、使っていたノートも紫苑に回収されている。



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最終更新:2024年12月27日 15:21

*1 Lの時と違って殺害方法が既に割れており、Cキラも以前のキラ=月の足元にも及ばない人物と推測され、興味が沸かなかった。

*2 元「SPK」メンバーは老人が犯人の可能性も指摘したが、ニアは「年寄りが年寄りを殺すのは個人的に嫌」「死を望む老人が自らのような老人を殺すとしても、そんな人物がインターネットに貼り付いて殺す対象を選ぶほどの行動力・気力を持ち合わせているなど考えにくい」という2つの理由でその可能性を却下している。

*3 実際、作中で描かれた彼の部屋にはアニメキャラのフィギュア等が多数置かれており、若者である可能性が高い。

*4 現実世界で言えば、前述のスピンオフ『L change the WorLd』の公開初日にあたる。

*5 第二のキラ出現時、月は恐怖で支配する行為を否定しており、魅上の極端な傾向に危険視もしている。またLも反感を買う愚かなやり方と一蹴されている。

*6 脚本には本編でシナリオを担当していない監督の名前がクレジットされており、編集にあたって独自にシナリオを改変したものと見られる。

*7 彼の母国であるロシアから欧州全体に住む者。