ベイビーわるきゅーれ(映画)

登録日:2023/03/07 Tue 13:21:00
更新日:2024/04/24 Wed 23:18:50
所要時間:約 19 分で読めます







二人は殺し屋

その正体



『ベイビーわるきゅーれ』(英題:Baby Assassins)は2021年7月30日に公開された日本のアクション映画。
監督はアクション、バイオレンス作品を得意とする阪元裕吾
主題歌はKYONOの「STAY GLOW feat.TAKUMA(10-FEET)」。


◆概要

高校を卒業したばかりの殺し屋女子コンビの日常と殺しを描いた青春バイオレンスアクション映画。
監督・脚本を務める阪元裕吾は芸大在学中から受賞歴のあるインディーズ出身の監督で、これ以前にも『最強殺し屋伝説 国岡』や『ある用務員』といった殺し屋バトル映画を手掛けていた。
主演は舞台『鬼滅の刃』で竈門禰豆子を演じた髙石あかりと、実写映画『キングダム』や『るろうに剣心』、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』でスタントパフォーマーを務める伊澤彩織
2人は『ある用務員』でも似たような女子高生殺し屋コンビを演じており、本作でも役柄は異なるものの再演となった。

本作も監督の前作の流れを汲む殺し屋映画だが、最大の特徴は暴力と常に隣合わせで呆気なく人が死ぬ無情な世界観と、どこかゆる~い日常系とも言える雰囲気が同居している部分。
例えば主人公2人は「関東殺し屋協会」という組織に所属する殺し屋として生きているが、悲惨なバックボーンや重い境遇などは微塵も感じられない。
殺し屋稼業は完全にワリの良いバイト感覚であり、平時は漫画や映画、ゲーム、ネットなどを嗜みながらだらだらと過ごす今時の若者でしかない。
公式パンフレットなどでも「明るい殺し屋映画」があってもいいじゃないか!と銘打たれており、全体的なノリはほぼコメディ映画。むしろ「ハリウッドよりも週刊少年ジャンプを意識した」という阪元監督の嗜好からして、美少女系深夜アニメに感覚は近い。

実際、仕事の斡旋やマネージャーの派遣などを請け負ってくれる協会などの設定は週刊少年ジャンプ連載の『SAKAMOTO DAYS』、(元)女子高生バディが銃器を手に激しいアクションを繰り広げる様子は『リコリス・リコイル*1などに通じる部分があり、普段は漫画やアニメを嗜む層にも自然と受け入れられる作風となっている。

また、作中でも実際のネット・漫画・アニメといったサブカルに触れる描写が多々あるのも特徴で、野原ひろしの(言ってない)名言を得意げに語る人を揶揄したり、Amazonで買った爪を剥ぐ拷問器具を見て「ひぐらしで爪を剥いだのが魅音詩音のどっちか」という話題になる*2といった場面が共感と笑いを誘う。

というか、劇中歌の『らぐなろっく ~ベイビーわるきゅーれ~ feat. Daichi』を主演2人が歌っていたり、パンフレット付録にその劇中歌のほかドラマCDまで挿入されていたりで、演出や特典がほぼほぼアニメそのものである。歌詞やドラマCDでもスマブラバッキーに触れるなどやりたい放題。
全体的にティーン女子2人のオフビートな会話やギャグのかけ合いを垂れ流すパートが本編の大部分を占めており、まさに雰囲気はゆるふわ日常系アニメ。

一方、アクション監督に映画『図書館戦争』、『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』、や『HiGH&LOW』のドラマ版Season2の村山vs轟戦などを担当した園村健介を招いており、バトル描写は日常描写に反した非常にスピーディーかつキレのあるものに仕立てている。
アクション内容も冒頭のコンビニでのナイフを用いた集団戦から、ゼロレンジで体を突き合わせる激しい肉弾戦、派手にマシンガンをぶっ放す銃撃戦までバラエティに富んでおり飽きさせない。
特にラストバトルはモノローグや台詞すら廃した超本格的な格闘戦になっている。戦うのがスタントを本職とする役者同士ともあって動きがキレキレに冴え渡っており、邦画アクション最高峰と言っても過言ではない。

このゆるい日常ギャグとキレのあるアクションのギャップと絶妙なバランスが話題を呼び、映画を観た一部ファンの間から「人が20人くらい死ぬあずまんが大王」、「まんがタイムきららで連載しているジョン・ウィック」、「実質初代プリキュアといった例えが寄せられた。

また、レイトショー限定、全国3館での公開という厳しい上映環境にもかかわらず、映画レビューアプリ「Filmarks」の初日満足度ランキングでは『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』を抑えての1位を獲得した。
インディーズ作品ながら口コミによって徐々にリピーターや上映館数を増やしていったという意味では『カメラを止めるな!』にも通じるヒットであり、カメ止め!の聖地でもある池袋シネマ・ロサでは『カメ止め!』や『君の名は。』に次ぐ9か月以上の異例のロングラン上映を達成した。

さらに海外の映画祭にも『Baby Assassins』のタイトルで招待されることになった。野原ひろしの偽名言とか通じるのだろうか…
評判も「ジョン・ウィックシリーズが完結する前に、伊澤と髙石の参加を求める署名活動を始めないといけない*3」といった形に好評で、無事世界に向けて羽ばたけたようだ。

2023年3月24日には『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』のタイトルで続編も公開。


◆あらすじ

高校卒業を間近に控える女子高生のちさととまひろの裏の顔は「関東殺し屋協会」に所属する殺し屋。
彼女たちは協会から委託された殺しをそつなくこなしながら、日々をだらだらと過ごしていた。
しかし、協会は高校卒業と同時にこれまでしてきた支援を一切打ち切ると宣告。そのため、2人は新たに表の顔としてのアルバイトを見つけつつ、鶯谷での共同生活を余儀なくされるのだった。
人殺し以外にスキルがなく、公共料金の支払いといった日常の知識も皆無な2人の“普通の”社会人生活は悪戦苦闘の連続。
いくつもの表での面接・就職・退職、裏での殺しを繰り返しながら、明るく社交的なちさとは何とかメイド喫茶のアルバイトに漕ぎつけるが、コミュ障でネガティブなまひろはそれに嫉妬。2人の仲は次第に悪化していく。
さらに裏の殺し屋稼業では、2人にシノギを潰されたヤクザ一家「浜岡組」に目をつけられてしまい……


◆登場人物

関東殺し屋協会

殺し屋や死体処理業者などから成る裏社会の組織。
組織のことを会社、殺し屋のことをクルーと呼び、各殺し屋にマネージャーをつけて管理するなど一般的な企業と同じような形態を取っている。
福利厚生もしっかりしており、未成年者には寮や積立金制度に各種サポート付き、成人後も賃貸の用意などまで世話をしてくれる。賃金は20歳まで給料制のほか、税務関係は税理士に任せている。
いくつかルールもあるらしく、私情による殺人の後始末は自費負担、ヤクザや政治家の死体処理は割増料金、協会所属の殺し屋同士の私情による殺人は最大の禁忌で犯した場合は「粛清さん」と呼ばれる存在に狙われるようになる…etc
また、裏の顔の隠れ蓑になる表の顔としての就職も求められるが、こちらは運転免許の取得などの条件を満たせば殺し一本でもやっていけるらしい。

  • 杉本ちさと
演:髙石あかり

オウオウオウ!上等だゴラァ!!今すぐ行ってやンよ!!
首洗って待ってな!!カスがァッッッ!!!!

黒髪ロングの少女。
コンタクト派だが、オフの時は眼鏡をかけている。ドルチェ&ガッバーナの香水を愛用。
肉の好みはハナマサのタン。また、辛党だが猫舌。
ダウナーで言動は直球かつ辛辣だが、基本的には陽キャで社交的。
そのため初見の人ともすぐに仲良くなれるし、苦手な先輩相手でも根気よく付き合うことができる。半面、人付き合いは広く浅くといったところで深く関わり合うことは嫌う。
殺し屋の稼ぎで金に困っていないこともあるが*4、ひぐらしの爪剥ぐヤツや仕事で取り回しが悪いマシンガン、果ては手榴弾51個を購入したりと享楽的な浪費家。コンビニの食事では1000円くらい使わないとお腹いっぱいにならないらしい。20歳になったらバットモービルを買う予定。
熱しやすく冷めやすくもあり、(まひろ曰く「超序盤」にもかかわらず)ゲームもすぐに投げ出す。
ある程度のストレス耐性はあるのだが、限界を超えるとブチギレて後先を一切考えずに暴力に走る短慮な側面があり、しばしばその悪癖で表裏の稼業共に窮地に陥ることがある。
一方で割り切りも早く、咄嗟の機転も効く方。戦闘力はまひろに劣るものの、その状況判断能力と思い切りの良さが功を奏する場面も多い。
まひろほど真面目に裏稼業に取り組んでおらず、仕事の最中に気を散らしたり、表のアルバイトに入れ込みすぎるあまり疎かにすることもしばしば。反面、本人なりに表と裏に線引きはしているらしく、前述の広く浅くな交友関係も堅気に関わりすぎないようにするためである。

演者の髙石が舞台で禰豆子を演じていたことから、ちくわを横向きに咥えてボーッとする一幕が挿入されている。

  • 深川まひろ
演:伊澤彩織

無理なんだよぉ~~~……一人じゃあ……
私……なんも出来ないんだよぉ……

金髪ショートの少女。
快活そうな見た目に反して気だるげでボソボソとした声で喋る。基本的に斜に構えており、拗れた思考回路の持ち主。
体を動かすことが得意で、家でもダミー人形のトレーニングボブを相手に格闘技の鍛錬に明け暮れている。
一方で趣味はインドア気味で、ゲーム実況や猫動画の観賞を嗜むほか、ちさとよりもゲームが得意。因みにゲームに合わせて体を揺らす派。
日常生活はぶきっちょで洗濯機に銃のマガジンを誤入したり、銃の隠し場所をよく忘れる。また、食べ物もよく食べこぼす。辛いものは苦手。
初対面の人と話すのが苦手なコミュ障で、なるべく人がいない道やお店を好む。
自他共に認める社会不適合者であり、例えバイトの面接の最中であってもストレスが限界を迎えるとフリーズして妄想など現実逃避に走り不気味に呟きだす。
一応、本人としては変えようとする意思も少なからずあるようなのだが、その都度失敗してはうじうじするという負のループに陥るため改善がほぼ不可能。
さらにネガティブを拗らせすぎると、言動が異様に刺々しくなり、相手をするのも面倒になるくらいに卑屈になる。ちさと曰く「自分からは何も挑戦しないで、頑張ってる人見下して安心してるしょうもないツイッタラーみたい」
まず普通の仕事はできないため、その点で殺し屋は天職。表のバイトは面接すらバックレるほどだが、裏の仕事は「結構好き」と語っており、ちさとよりも真面目かつクールに取り組んでいる。
戦闘力は群を抜いて優れており、格闘・ナイフ・射撃全てに秀でたオールラウンダー。特に近接格闘では柔軟に打・投・極を使い分けるアクロバットな動きで、屈強な男相手でも圧倒する強さを見せる。
強者との死闘で疲れ果てながらも笑いだしたりと、実は結構な戦闘狂でその点はちさとからも引かれ気味。

演者の伊澤は元々スタントパフォーマーとして裏方の仕事をしていたが、本作のヒットを機に役者としての露出も多くなっていった。


  • 須佐野
演:飛永翼(ラバーガール)

一番恐ろしいのは警察じゃなくて税務署ですし

ちさととまひろのマネージャーを務める眼鏡の男。
仕事の依頼から、書類の確認・説明、各種部署との折衝、賃貸契約に至るまで何かと2人の世話を焼いている。
年下の2人にも敬語で接するなど基本的に丁寧だが、2人のあまりの適当さにしばしば強めにツッコミを入れることも。
ちさまひは何度説明しても話を聞かず、田坂からのクレームも受け付けるなど役割は完全に中間管理職。
それでも不満な様子はおくびも出さず仕事に励む辺り、本作では貴重なちゃんとした大人。他人に何かと辛辣なちさまひも、彼に対しては特に悪く言わない。

  • 田坂守
演:水石亜飛夢

あの……拳銃使う時、頭狙わないでもらっていいですか?

死体の処理や現場の隠ぺいを担当する清掃員の青年。青いキャップがトレードマーク。フルネームはBD特典のスピンオフから。
一見爽やかなイケメンで基本的ににこやかで丁寧口調だが、非常にねちっこく仕事にうるさい。
特に殺し方についてよく注文をつけてきて説教してくるため、ちさととまひろから嫌われている。苛つくと手にしたメジャーを激しく出し入れする癖がある。
BDの特典映像では主役を務めており、部下の宮内茉奈(演:中井友望)に指導を行いつつ、突然の監査を乗り切るためにいっぱいいっぱいになっていた。彼は彼で大変なのだ。


浜岡組

親子3人が主体となって活動しているヤクザ。
麻薬のルートを担当していた構成員をちさまひに殺されたことで彼女たちの行方を追うようになる。

  • 浜岡一平
演:本宮泰風

今の時代、多様性だ。ヤクザも女性にとって働きやすい環境を整えないとな
『オーシャンズ8』とか観てねェのか

浜岡組の組長。一目で堅気ではないとわかる風貌で黒のロングコートを愛用。
家族と仁義を重んじる古風なヤクザだが、同時に「価値観をアップデートさせないといけない」と考えており女性活躍推進にも理解を示す。しかし、その結果始めようとするシノギがメイドカフェな辺り根本的にズレている。
また、冗談が全く通じない上に一度キレると豹変して手がつけられなくなる悪癖がある。しかも沸点がわかりづらく、鷹揚な態度から急変して暴力に走るため非常に危険。劇中では
  • お釣りが200万円という和菓子屋店主の冗談を真に受けて金銭を要求。払えないとわかるや否や串を耳に突き刺して脅しつける。
  • それを見たかずきの「こんなところで油売ってる場合じゃねえよ」の呼びかけに対して「油なんか売ってねえぞ!」マジレス
  • メイドカフェでオムライスにケチャップで「仁義」と書くのを要求。失敗した途端に豹変して「本当の冥途に送ってやろうか?」と恫喝
  • その後、女性主体のビジネスもどこへやら、店のメイド全員を浚おうとする。
といった暴挙に及んでいる。
しかし、ちさとによってかずきは射殺され、突然の事態に動揺している隙を突かれて自身も撃ち殺された。
メイドカフェでは「ひよこのぴよぴよぽんぽこオムライス」を注文。ネオVシネ四天王の一角たる強面で、至って真面目に注文する姿は必見。

  • 浜岡かずき
演:うえきやサトシ

女性主体のビジネスはどうなったんだよ親父!?
あー!もうッたくよォ!!オイ!!お前ら言う事聞けェ!!

浜岡家の長男。金髪モヒカンに髭面のいかにもないでたちのヤカラ。
見た目通り粗暴ではあるが、これでも一家の中では比較的常識人。突飛な思い付きで行動する父親や、エキセントリックな妹に挟まれたツッコミ役苦労人気質で、しょっちゅう家族に振り回されている。
そんな父親が女性主体のビジネスとして目をつけたメイドカフェに親子で来店。最初は難色を示していたが次第にハマっていき、上述のメイドの失敗にも和気藹々とした反応で楽しんでいた。
とはいえ、根っこの部分はヤクザであり、突如キレだした父親に困惑しつつも最終的には開き直ってメイド達を恫喝。しかし、ちさとによって拳銃を奪われあえなく射殺された。
メイドカフェでは「えーんえんえんえん、子供が飲んだらメッ!大人の飲み物苦いアイスコーヒー」を注文。

「はい、かしこまりましたアイスコーヒーひとつですね」
「お前はアイスコーヒーって言うのかよ!」

  • 浜岡ひまり
演:秋谷百音

意外と可愛い顔してるね!殺し屋さん♡
お名前なんて言うんでちゅか♪

かずきの妹。パパ活斡旋などをシノギにしている。
言動が軽薄な上にテンションが常時高く、その場しのぎのノリと勢いで行動しがち。
オマケにアルコール中毒で、手持ちの水筒は酒で満たされており常に酒臭い。
兄のかずきとは反目しあっているが、父親との仲は良好で可愛がられている。
構成員暗殺事件を追う過程で実行犯であるちさとに接触するも「一緒に楽しいことできそう」という理由でLINEを交換し、拳銃を奪う程度に留めてあえて泳がせた。
しかしその後、父と兄が殺害され、遺体から漂う匂いで殺害犯がちさとだと確信。一転して激高し、ちさとに殺し合いを申し込む。

「なんでわかったの?えっ何?ドルチェ&ガッバーナの香水のせい?」

荒事に関しては配下の渡部に任せているが、ちさとから銃を奪ったことで父親から射撃の手ほどきを受けている。とはいえトリガーハッピー気質の素人であり、ちさととの戦いでは専らイカれたテンションで乱射していた。

  • 渡部
演:三元雅芸

なんだよ、コイツもクソザコじゃねえか
こんなんで殺し屋やれんのか?大丈夫か、殺し屋業界

ひまりと行動を共にしているヤクザ側の殺し屋的存在。背中に十字架が入ったジャケットを羽織る。実質的な本作のラスボス
ヤクザ嫌いを公言するように正確にはヤクザではなく、外部の裏事業者らしい。荒事になれば動員可能な大勢の部下を従えている。
戦闘狂のきらいがあり、殺し屋を探し求めるのも強者との死闘を求めるがゆえ。その強さは尋常じゃなく、ちさと程度であれば何もさせないまま無力化することが可能。
まひろをして「ヤベー奴」「なんだよ強すぎるだろ」とまで言わしめる格闘技の使い手で、至近距離であれば拳銃相手でも体術のみで対応可能など軽く人間を辞めている。

演者の三元雅芸は『龍が如く』シリーズなどのゲームでモーションキャプチャも担当するスタントマン兼アクション俳優で、同じスタント出身の伊澤との最終決戦は本作屈指のベストバウトとなっている。

  • 「おいで」の人
演:伊能昌幸

お嬢ちゃんたち、よくこんなとこ来たね……
109(マルキュー)に帰りな

渡部の部下の中で実力派らしき男。
渡部同様にヤクザ嫌いらしく、ヤクザの依頼を受けることに難色を示していた。
素手での戦闘に絶対の自信を持ち、殺し合いにおいても銃器を一切持ち込まない。
アジトに突入したちさまひと最初に遭遇。戦闘体勢を整え「おいで(クイクイ」と挑発するが、まひろの体術で軽くあしらわれた挙句、ちさとに射殺された。

「なんだったの、コイツ…」

演者は阪元監督の『最強殺し屋伝説 国岡』シリーズで京都最強の殺し屋国岡を演じているのだが、本作においては口ばかりのかませ犬となってしまった。たまに勘違いされるそうだが、この人物は国岡とは無関係。


堅気の人々

  • コンビニ店長
演:大水洋介(ラバーガール)

野原ひろしの名言でね「夢は逃げない。逃げるのはいつも自分だ」って
俺、めっちゃ感動して。深いな~って

それ多分、野原ひろし言ってないですよ…

まひろが面接を受けたコンビニ「ハピネスマート」の店長。
バイトや配信などで生計を立てる今時の若者を蔑視する傾向にあり、面接中もまひろを小馬鹿にしながら野原ひろしの(言ってない)名言を引用して諭すなど説教くさい。
家庭でも同じ調子なようで、子供からゲームを取り上げて捨てたことを武勇伝のように語る典型的なモラハラ毒親。
面接中にストレスが限界に来てフリーズしたまひろをこずき、反射的に技を極められたことでまひろは不採用となった。

  • 凪子
演:辻凪子

目の前!違う!マンゴー!!マンゴーって知りません!?

ちさとのバイト先の喫茶店の先輩。眼鏡で関西弁の女性。
ぶっきらぼうで高圧的、ちさとに対しても厳しくあたるが、デザートの盛り付けに何度も失敗するちさとに根気よく付き合ったりとなんやかんや面倒見は良い。
だが突如キレて客を殴ったちさとを前に狂乱。そのまま詰め寄ったところで首をコキャられた。その後も、かろうじて動いていたので死んではいない。多分…

  • 姫子
演:福島雪菜

結局お金ってなんなん言うたら生活やから、金=生活?

バイト初日のちさまひの研修を担当したメイドカフェの店員。関西弁で喋るお姉さんで初日からちさとと打ち解ける。大阪出身。
ちなみに店ではおこりんぼ星人のちゃむちゃむという設定。
家が貧乏らしく、生活や大学の奨学金返済のために節約しながら働く苦労人。
浜岡親子が来店した時には、怖がる他のメイドを気遣って接客。
途中までは特にトラブルもなく、和やかに進めていたがオムライスに「仁義」と書くのに失敗したことで一平の怒りを買い浚われかける。
その後、ちさとによって浜岡親子は射殺され、他のメイドと共に逃走した。

  • 和菓子屋店主
演:仁科貴

はい、お釣り300万円ね~!

お釣りを渡す時に昔ながらのくだらない冗談をいちいちかますにこやかで髭面の店主。
ちさまひに芋羊羹をサービスしてくれたりと気さくで親切。
しかし、その次に訪れたのが冗談の一切通じない一平だったのが運の尽き。耳に串を突き刺された上に200万円の借金を背負わされてしまう。
本作で一番可哀想な人物。


◆余談

  • 本作に登場する「関東殺し屋協会」に対して、阪元監督のもう一つの殺し屋シリーズ『最強殺し屋伝説 国岡』には「関西殺し屋協会」が登場しており、本作でも「関西の殺し屋」「京都から移籍してきた殺し屋」といった形で言及されている。
    そちらでは殺し屋のシステムとして、協会に勤めてシフト制で働く“リーマン”と、協会と依頼ごとに仕事をする“フリー”に分かれていることが説明されている。“リーマン”は基本的に表に出ない存在で殺し以外の死体処理やマネジメントを担当するため、須佐野や田坂が該当すると思われる。
    ただし、本作と国岡の世界線が同一なのかは現状不明瞭であり、設定が異なる可能性もある。

  • 前述通り、阪元監督の前作である『ある用務員』には、本作のちさととまひろの前身となるリカとシホというJK殺し屋コンビが登場している。ラッシュを観た関係者の間でこの2人が大好評を博したことからスピンオフの話が持ち上がり、そこから演者は同じままに全く新しいキャラにリボーンする形で企画が練り直された。
    そのためキャラクターとしての共通点は多いものの「常時テンションが高いリカに比べて、ちさとは達観している部分もある」、「シホはクールキャラだが、まひろのようにコミュ障というわけではない」などの差異がある。
    この違いは、阪元監督によると遊びがないノワールだった『ある用務員』に対して、『ベイビーわるきゅーれ』は遊びしかない映画にしたいと思っていたからだと言う。
    そういう意味で、本作は『ある用務員』の世界観の犠牲になった2人の女の子の救済になっているとも解釈できる。実際、両作品ともに2組は決戦の地に自転車の2人乗りで赴いているが、その帰路に関しては見事に明暗が分かれている。



この記事は…本質じゃないよね…

何…急に…怖いんだけど…何?本質って?

作品の本質じゃないって言ってんだよ。何が悪かったかわかってる?この記事に誤魔化されてる気がするんだけど

何そのアニヲタの裏垢みたいな……じゃあ追記・修正しなよ


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最終更新:2024年04月24日 23:18

*1 本作の翌年に始まったリコリコを観てベビわるを連想した人も少なからずいた模様。阪元監督も意識したのか、2023年公開の続編の予告にはリコリコのOPオマージュのシーン(『スタンド・バイ・ミー』パロのとこ)が仕込まれている。

*2 余談だが、本作公開日の前夜の『ひぐらしのなく頃に 卒』でちょうど該当箇所が偶然にも放映された。前作で詩音が爪を剥いでいた場面で今度は魅音が爪を剥いだため、この答えは「両方」となった。

*3 裏方としてなら伊澤彩織は『ジョン・ウィック:コンセクエンス』に参加済み。

*4 これまでの仕事の積立金だけで2200万円はあったらしい。