バツガルフ

登録日:2024/07/07 Sun 17:36:29
更新日:2024/09/16 Mon 20:44:35
所要時間:約 7 分で読めます





あのチカラを手に入れたあかつきには世界をきょうふのドンゾコにおとしいれてくれよう

もうダレもわたしをとめられぬ

すべてのものはメガバッテンの前にひざまずくのだ!

そしてこのバツガルフがあたらしい世界をきずくのだ!

わたしのわたしによるわたしのための すばらしい、りそうてきなパーフェクトな世界を!



バツガルフ(Sir Grodus)とは、ゲーム『ペーパーマリオRPG』に登場するキャラクターである。


×概要

秘密組織「メガバッテン」の総統。
機械が詰まった頭部から分かる通り全身のほとんどが機械化された黒装束の人物*1であり、魔法使いとして杖を携えている。この杖もまた機械仕掛けである。

彼の目的は、ゴロツキタウン地下に存在する「1000年のトビラ」に封印されている魔物の魂を復活させ、世界を征服すること。
そのために必要となる7つのスターストーンを集めるべく部下達と共に様々な悪事を働いている。

当初は、誘拐したピーチ姫を乱暴に扱わぬよう部下に度々言い聞かせたりと紳士的にも見えるような振る舞いを見せていたが、これは後述の利用法のために彼女の身を傷付けるわけにはいかなかったからに過ぎない。
また幹部のペケダーを始めとする部下達は彼に忠誠を誓っているものの、当の本人は策略のためならば平然と部下を捨て駒にすることも辞さない非情さの持ち主である。
そうした冷酷かつ狡猾な本性故にマリオの仲間達も彼と言葉を交えた際に「こいつは危険だ」「こいつはヤバい感じがする」などと恐怖を抱くほど。

一方、観賞魚の飼育という意外な趣味を持っており、メガバッテンのアジトにある彼の私室の巨大な水槽には大量のガジガジが飼われている。クリスチーヌからは「あまりいい趣味とは言えない」とバッサリ酷評される。
このゲーム内のどこの深い水場にも金持ちの邸宅のプールにも生息する魚であるため、あまり希少価値が高くないはずだが、並外れた凶暴性を気に入ったのだろうか?
他にも彼の部屋には、額縁に入れられた絵画のような物や観葉植物も見受けられる。

コンピューター技術にも長けているらしく、テック(正式名称:TEC-XX)という高度*2な人工知能を製作し、アジトを管理するメインコンピューターとして運用している。
このテックは様々な機能を持つだけでなく、人間と同等の複雑な思考能力を有しており、バツガルフの高い技術力がうかがえる。もっとも作中では皮肉にもそれが仇になってしまうのだが…。


×活躍

本編開始前にカゲ三人組のマジョリンから1000年のトビラの奥に眠る魔物の魂の話を聞かされ、それを世界征服に利用するためスターストーンを探し始める。
ゴロツキタウンの地下にてスターストーンの一つクリスタルスターを発掘した後は、ゴンババ城やふしぎの森の大樹にもスターストーンが隠されていることを調査で突き止めた。
ガンスの例を見るにスターストーンは科学的に活用すれば、それ単体でも非常に有用なようだが、バツガルフがクリスタルスターを活用していたのかどうかは不明。

更に他のスターストーンの在り処も調べるべく、マジョリンが持っていた「心の清らかな者にしか開けられない箱」に入っている魔法の地図を手に入れようとする。
露天商に化けたマジョリンの差し金によってその箱をピーチ姫に開けさせることに成功し、後に彼女を部下に誘拐させる。しかし魔法の地図はギリギリの所でマリオの手に渡ってしまう。
それでも、ある理由によりピーチ姫は計画に必要不可欠な存在だったので、引き続きアジトの一室に監禁し続けたのだった。

本編では序盤から終盤に至るまでピーチ姫パートでしか出番が無く、アジトの司令室からペケダーやカゲ三人組に指示を出す役目に徹していたが、
マリオが6つのスターストーン(バツガルフが持つ物以外全て)を入手したのを機に行動を開始する。
部下の報告によりテックが自分を裏切ってピーチ姫に情報を与えていたことを知ると、容赦無く全てのデータ…即ちテックに芽生えた自我を消去。悲しみに暮れるピーチ姫を無理矢理連れ出してアジトを後にした。

そして物語が大詰めに入った所で、やみのきゅうでん最奥の玉座の間にてマリオ達とついに対面する。

はじめまして マリオくん

オマエには いちど あいたいとおもっていたよ

そこでバツガルフは自身の真の思惑を公言する。
自分がいなくなった後のアジトを任せてスターストーンの番人をさせていたペケダーは、実は敗北前提の捨て駒でしかなく、
マリオがそこでペケダーを倒して全てのスターストーンを揃えた場合でも、敢えてマリオに封印を解かせることで自分の計画に利用する算段であったのだという。
そうとも知らず忠実に命令を守ったペケダーやマリオの足止めに失敗したカゲ三人組を嘲笑しつつ、こちらに戦いを挑んでくる。


×戦闘


ジャマを するものは ここで はいじょしてくれる

わたしの チカラを おもいしるがいい


戦闘における彼の最大の特徴として、自身のターン終了時にバツバリアンという魔法装置を一度に2体生み出し、その数だけ防御力を上げてくるという行動が挙げられる。
しかもこのバツバリアン達もそれぞれ攻撃してくるというオマケ付きである。
更にバツバリアンが4体揃う*3と、バツガルフはバリアに守られた無敵状態になってしまうので、バツバリアンを倒しながら戦わなければならない。こうした戦い方は、バツバリアンにものしりをした際クリスチーヌから推奨される。
バツバリアンのステータスはHP3・攻撃力4・防御力0となっている。幸い全体攻撃であれば簡単に一掃出来る程度のHPと防御力しか無いが、空中に浮いているので一部の攻撃は当たらない。

バツガルフが杖で使用する魔法は、クリスチーヌがものしりで語った物以外には氷のビームのような技もある他、様々な補助効果を自分にもたらす物も存在する。
しかえし状態(直接攻撃ダメージの半分を返す)やヨケヨケ状態になられると少しばかり面倒。
なお彼の杖に幾らかダメージを与えると、バツガルフの魔法を一度不発にすることが出来る。

ちなみにこのバトルにおいては観客全員が必ずぐんだんいんとなるのだが、スターパワーはちゃんとくれる。
まあ先に部下を切り捨てたのはバツガルフだし因果応報か。

ここまで来れた実力ならばバツガルフ自体はそこまで恐ろしい強敵ではないが、勝利後はそのままとあるキャラクターとの連戦になるためマリオの残りのHP・FP・スターパワーには注意しておきたい。
おまけにその戦いでは敵が2体もいる上にHPも70&50と非常に高く、事前予告無しに始まる戦闘のため、完全な初見殺しと化している。
スターポイントを調整してバツガルフを倒した際にレベルアップできるようにすれば、次の戦闘ではステータスが全快の状態で挑める。厳しいようなら予めレベルアップに近くなるまでスターポイントを集めておこう。レベルにもよるが、80程度まで集めておけば安心だ。


×末路

敗北したバツガルフは、部屋の中に隠していたピーチ姫を引きずり出してマリオに降伏を迫る。
彼女を人質に取られてマリオ達が動けないのを良いことに魔法を何発も浴びせ、彼らを始末しようと痛め付ける。

そこでとどめを刺そうとした瞬間、激しくその場が揺れたかと思いきや、
クッパが上の階*4の床を突き破って落ちてきて、バツガルフは下敷きになってしまう。

突然の乱入者に押し潰されたバツガルフは一時身動きが取れなくなるものの、何とかマリオ達とクッパ&カメックババが戦っている合間にピーチ姫を連れて玉座裏の祭壇に侵入。
そこで彼女を依り代にして、千年前に世界を滅ぼしかけた魔物たるカゲの女王を復活させることについに成功する。
ところが……

どういうことだ!?

よみがえらせたものの めいれいを きくはずではなかったのか?

バツガルフが事前に聞いていた話と異なり、カゲの女王は彼の言葉に全く従う様子を見せない。
そして不遜にも命令を吐いてくる彼に苛立った女王は、魔法の雷でバツガルフを消し飛ばしてしまったのであった……。

要するにバツガルフは、魔物は蘇らせた者の命令を聞くというマジョリンの虚言を鵜呑みにして掌の上で踊らされていたのだ。
役立たずのクズと見下していたマジョリンには、カゲの女王復活のためまんまと利用されていたのである。



……こうして死亡したかのように思えたバツガルフだが、エンディングでのクリスチーヌの語りによれば、なんと彼はまだ生き延びているらしい。
どういうわけか首から下が無くなった頭部だけの状態になってもまだ生存しており、ピカリーヒルズの一角で元気にピョンピョン飛び跳ねる姿が見られる。一見コミカルな絵面だが、中々のホラーである。
主君に見捨てられていたことを知ってか知らずかペケダーは未だ彼に付き従っている様子。ペケダーを含む数人の部下*5しかバツガルフの周りにはいなかったので、彼の下に残った人員はたったそれだけなのかもしれない。
メガバッテンのその後の動向は不明だが、クリスチーヌは「今回のことで懲りたらしいので、もう悪さはしないでしょう」と語っている。

リメイク版にて新しく作られたエンディングでは全身が揃った姿で出演するものの、
そこでまたしても上から降ってきたクッパの下敷きになった挙げ句カゲの女王の雷で頭だけにされてしまい、とぼとぼと舞台から退場することに……。


×漫画版

スーパーマリオくん』では、原作と違ってピーチ姫パートが存在しないため物語の最終盤でようやく初登場する。そのためペケダーやカゲ三人組と絡むシーンは無い。
35巻にて登場し、クッパに変装した状態でマリオを唆して1000年のトビラを開けさせる*6。更に軍団員にピーチ姫を中へ運ばせた。
目的はやはり世界征服なのだが「せいふく」繋がりで女子校の制服を着る*7など、原作では終始やたらシリアスなキャラだった彼もボケまくっている。もえ〜〜
時間をストップさせるだけでなく巻き戻したり早送りにしたり、予約設定をしたりと原作以上に多彩な魔法を使いこなす。
ピーチ姫を人質として利用するような手段は取らず自力でマリオ達を苦しめるも、マリオを追いかけてきた本物のクッパがクラウンごと落ちてきたことであっさり倒れる。
その後は自ら頭部を分離してカゲの女王の復活の場に現れ*8、マリオ達の苦戦ぶりを眺めて歓喜するものの、カゲの女王の怒りを買ったために一瞬で叩きのめされた挙句、見せしめとしててるてる坊主にされてしまうのであった。
マリオ達がカゲの女王を撃破した後は軍団員に回収されたが威厳は失墜してしまったようで、軍団員からもてるてる坊主扱いされ「総統、明日天気にしてくださいね」と拝まれていた……。


×余談

  • 彼の自室にあるコンピューターはファミリーコンピュータのディスクシステム。
    作中視点ではテックという最新鋭コンピューターを持っているバツガルフが、メタ的には同じようにディスクを用いる*9ゲームキューブで発売されたゲームのキャラクターが、既に古の時代の骨董品と化したファミコンを使っているのはなんともアンバランスで滑稽なものである。
    ちなみにピーチ姫が透明化するイベントで彼のコンピューターを起動させた時、音声付きで画面に流れるのもファミコンディスクシステムのオープニングだったりする。

  • 次作『スーパーペーパーマリオ』のカメレゴンはアンナを捕らえた際に「今日は『魔女っ娘プリニャン』を見なきゃいけない」と語っているのだが、
    英語版では彼の口にするアニメのタイトルが『The Grodus Chronicles』(直訳すると『バツガルフ年代記』)となっている。

  • リメイク前の各キャラがシルエットで表示されるエンディングでは、ガジガジはバツガルフの背後にピッタリと着いている。
    両者のシルエットが重なっていることやガジガジが口を激しく開閉させていることもあって、一見バツガルフが食われている最中にしか見えない。


わたしが世界を追記・修正するのだ!!


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最終更新:2024年09月16日 20:44

*1 作中では「黒いマントの男」と言及される場面もある。

*2 テック曰く「世界最高の頭脳を持つパーフェクトなコンピューターとしてバツガルフ様に作られました」とのこと。

*3 戦闘開始時もこの最多状態でスタートする。

*4 没データによれば、ブンババの部屋の奥から入れる隠し部屋のようだ

*5 内訳はエリートぐんだんいん二人、けんきゅういん一人、ぐんだんいん一人。

*6 原作においてはランペルがフランクリに化けて行ったこと。

*7 カゲの女王とマリオも学ランとナース服を着て同じネタを披露している。

*8 首周りのパーツをプロペラのように回転させ飛行していた。

*9 ディスクシステムは磁気ディスクの中でも安価なクイックディスク、GCは専用規格の光ディスクというそれぞれの違いはあるが。