サン・ヒル

登録日:2024/07/30 Tue 17:00:00
更新日:2024/08/02 Fri 20:12:08
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「銀行グループも、協定にサイン致します」


【概要】

サン・ヒル(San Hill)とは、スターウォーズ・シリーズの登場キャラクター。
映画本編ではエピソードⅡからエピソードⅢの時期に登場。
インターギャラクティック銀行グループの会長を務め、分離主義勢力/独立星系連合の主要な幹部のひとりでもあった。
彼が会長を務めるインターギャラクティック銀行グループについても触れる。

言語版の担当声優はコーリー・バートン。日本語版では水野龍司が担当。

▽目次


【種族】

「ただの銀行家です。どうかお慈悲を……」

種族は惑星ムウニリンストを起源とするムウン(Muun)。
基本的なスタイルは人間に近いのだが、体毛が一切ないのと、人間の姿を縦方向にぐっと引き延ばしたような姿をしているのが大きな相違点。
手足は細くてひょろ長く、頭は縦方向に長い。種族全体の平均身長は二メートルちょっととのこと。
この大きな頭は伊達ではなく、数学的な計算能力が非常に高い。大抵の計算をコンピューター無しで暗算処理してしまえるとのことで、おかげでムウンは銀行・金融関係の職業に就くことが多かった。
さらに万事を計算によって解決する傾向から、怒りや憎しみと言った感情的な激発を軽蔑する傾向にあり、多くのムウンが冷静・冷淡な言動を執ることでも知られる。
一方、あまりにも計算ばかりに特化してしまう弊害か、他種族を平気で見下したり、法律は守るがその精神は守らずすぐ抜け道に走ったりと、無意識な傲慢さを見せることも多い。

実は心臓が三つある。訓練次第では、二つの心臓の動きをコントロールして、極度に低温の環境においては血流を激しくして体温を保ったり、逆に大量出血に見舞われた場合には心臓の動きをあえて弱めることでできるだけ血液流出を抑えたりという芸当もできる。
(もっとも、これは一流のフォース使いにして医学にも造詣の深いダース・プレイガスだからこそできる芸当かも知れないが)
寿命も人間に比べるとかなり長く、二倍以上の平均寿命を持つという。


【インターギャラクティック銀行グループ】

「諸君、銀行グループも通商連合もビジネスが本業。暴力は専門外だ。」

英語表記は「Inter Galactic Banking Clan」
頭文字を取って「IGBC」または「IBC」と表記されることも多い。
日本語訳では「銀行グループ」と呼ばれることのほうが多い。

その名の通り、全銀河規模の銀行・金融組織
本部は、カノン設定では惑星スキピオ、レジェンズ設定では惑星ムウニリンスト。植民惑星では、地表を高価なクリスタルに覆われた極寒の星であるマイギートーが特に有名。

「銀行グループ評議会」という合議制を執っており、「クローンウォーズ」ではその代表が「コアファイブ」という名前で登場した。

銀河中の多くの銀行・金融機関を傘下に収める巨大組織で、共和国の公式通貨クレジットに限らず、投資用のデータや各星系独自の通貨の価値なども保証する。
銀河共和国が誕生した時期から存在していた、ジェダイ騎士団と並ぶもっとも長寿な組織の一つで、全銀河でももっとも影響力の強い組織とまで言われている。
実際、宇宙船の一隻、ビルの一棟でも建てようと思えば、銀行グループからの融資はまず避けられないという。
通商連合なども強大な組織ではあるものの、彼らもまた宇宙船や燃料を必須としており、銀行グループの影響を無視することはできない。

とはいえ、それは悪いことばかりではない。
むしろ強大な融資を受けられると言うことでは、借り入れる事業者にとってもメリットは大きかった。
たとえ優れた経営手腕やアイディアがあっても、元手がなければ事業など興せるわけがない。
そういうときに全銀河規模の金融を得られるのならば頼もしいし、それを非難するのなら、生まれつき裕福でない人間はなんの事業も興せなくなる。
融資を受けた上で開いた事業が難航するようならば、銀行グループはすぐ取り立てに踏み切ったり、はたまた人員を投入して会社を乗っ取ったりもするが、それは事業主の手腕に問題があるので、銀行グルーブの搾取とまでは言えまい。
資本主義とは本来、そういうものである。


ただ、共和国末期の銀行グループの権力はいささか暴走気味であった。
惑星政府や銀河共和国への介入はもとより、金利をとんでもないレベルで設定したり、「警備部門」という名目で強力なドロイド軍団や精強な傭兵を派遣して取り立てをしたりと、さながら高利貸しマフィアのように振舞っていった。
実際に彼らは「IGシリーズ」と称する高性能バトルドロイドを独自開発しており、さらに賞金稼ぎや傭兵を雇い入れて、借金取りにもけしかけていた。
さらに元老院に籍を置いていることを良い事に、同じくなぜか籍を置いている通商連合・テクノユニオンと結託し
多くの票を獲得しながら、共和国への融資限度撤廃に動いていた。
銀河共和国と分離主義勢力/独立星系連合が和平条約締結に向けて動いている時にはドゥークー伯爵に相談。
和平を結ばないよう依頼し、結果コルサントでドロイドによる爆破テロ事件が発生。
軍備増強の為、銀行の融資限度の撤廃が元老院で可決されることになる。
規制緩和前の時点では融資金額に対しての利子は10%だったが、規制撤廃後の利子は25%とぼったくりも真っ青な金額を提示している。
※この時の担当者は分離主義勢力側は今回の利子引き上げに同意しており、300万体のドロイド製造費用として融資を受けている事を告げている。
中立とはいえ融資対象国の敵国側の情報をさらっと告げてよいのだろうか・・・

一方で内部衰退も相応に進んでおり、クローン大戦後期にはまともな手持ち資金が残っておらず、
接収した資金をそのまま他に横流ししてなんとか破産を防いでいるという自転車操業状態にも陥っていた。
それをラッシュ・クローヴィスに突き止められ破産寸前だったが、ダースシディアスとドゥークー伯爵の介入により
ラッシュ・クローヴィスをスケープゴートにし、銀行グループの全権を共和国最高議長に委任する事に成功する。
つまり銀行グループの全権をパルパティーン(シディアス)が持った結果、いくらでも隠し財産の保有や金銭の横流しができるようになったのである。
クローン戦争終結後に銀行グループの信頼を取り戻すことを元老院にて宣言、銀行グループ万歳の掛け声とともにこの事件は幕を閉じた。
レジェンズでは通商連合と共に銀河帝国に接収され国有化されることになる。


組織面では、多数の金融機関が連合しているという都合上、さまざまな権力構造ができていた。
レジェンズ小説「ダース・プレイガス」では特に詳しく、代々強い影響力を持つ氏族「トニス家」、ヒーゴ・ダマスクが経営する持株会社「ダマスク・ホールディングス」、軍事部門に強い影響力を持つ「イオトラン・ガード」などが権力闘争と組織構成を行っていた。


【性格】

「砲撃で我が方の前線が崩された。共和国軍が来るぞ!!」

かつてはヒーゴ・ダマスクという一流の投資家に養育されていたこともあって、投資家としては優秀らしい。とはいえ経済映画ではないので、その辺の活躍はほとんど描写されない。

また立場的には文官、もっと言うと投資家に過ぎないため、戦場で指揮を執ったり戦ったりと言うことは全くできない。
闘志自体に乏しく、戦時における臆病っぷりは他の独立星系連合の幹部メンバーとしても特に強かった。
(なんだかんだで腹を括ると勇敢な指揮振りを見せるヌート・ガンレイメイス・ウィンドゥを目の前にしながら相討ちの覚悟を決めるワット・タンバー、かつて武闘派の戦士だった経験から戦機を見るに敏感で、戦力の一斉投入も惜しまないポグル・ザ・レッサーなど、度胸を見せる幹部は少なくない)
ダージに向かって当たり散らしたあげくに首を締め上げられ、慌てて出動を依頼するあたりも、腰の定まらない弱さが露わになっていた。

実は登場作品自体も少なく、例えばCG版「クローンウォーズ」では一切登場していない。
登場するのはもっぱら配下のムウン数名程度。
映画本編でもいちおう明確なセリフがあったり、父親がかつてシス卿の右腕だったりしたのに、意外と影が薄い。
まあ彼の来歴やシス卿との云々は後付け設定ですし・・・


【生涯】

◆前歴

サン・ヒルの情報は、ほとんどがレジェンズ分類のままとなっており、カノン設定に継承されたものは少ない。

出身惑星は、カノンでは惑星スキピオ、レジェンズでは惑星ムウニリンスト。
父親はラーシュ・ヒルという名で、ダマスク・ホールディングスの最高幹部のひとりで、社長ヒーゴ・ダマスクの右腕だった。
このヒーゴ・ダマスクこそ、当時潜伏していたシスの暗黒卿ダース・プレイガスで、プレイガスがシスの修行や計画遂行のため暗黒街を駆け回っているとき、このラーシュ・ヒルがダマスク・ホールディングスを切り盛りしていた。
実際、ラーシュはヒーゴの父親、カー・ダマスクからの付き合いという古参で、信頼も厚い。ヒーゴが闇社会の極秘の社交界として活用していた、惑星ソウジャンの饗宴の場にも立ち入ることができた。
ダマスク社が惑星ナブーに注目した際には下調べを行うなど、幹部として大きな役割を果たしている。
ただし、もちろんヒル親子は、ダマスク会長の正体が伝説のシス卿だとは知らない。

ラーシュ・ヒルは52 BBY(EP1の20年前)、惑星マラステアの代表議員パックス・ティーム*1がヒーゴ・ダマスク暗殺のため差し向けた殺し屋に襲われ、殺されてしまう。
同じ場所にいたヒーゴも重傷を負ったが、間一髪駆けつけた弟子のダース・シディアスと協力者となったセイト・ペスタージュによって助かった。

ラーシュ死後、残されたサン・ヒルはヒーゴ・ダマスクに引き取られ、銀行グループの会長になるべく指導を受けた(もちろんシスとしての指導ではなく、あくまで投資家としてのみである)。
ナブー危機が始まるまでの時期には、サン・ヒルは銀行グループの重鎮としての立場を確立していた。
つまり、ある意味でダース・シディアスことシーヴ・パルパティーンとは兄弟弟子と言うことになる。


◆分離主義時代

「我々はジオノーシアンのバイオテクノロジーに資金を提供している。そして偉大な将軍である君は、この実験の候補者としてはまさにうってつけの逸材なのだ。この実験は君を再び戦場に戻してくれるだろう……」

ナブー危機(この最中にヒーゴ・ダマスクは急逝した)に対して銀河共和国が主体となって解決できず、むしろナブー独自の軍事力が主体となって危機を克服したことから、それ以前から銀河全域に広まっていた「分離主義」が具体化。激化の一途をたどるようになる。

銀河共和国が崩壊するかというこの時期、銀行グループは大いに躍進した
共和国からの分離独立を目指す各星系は、それぞれが独自の通貨を発行・流通させはじめ、さらにその裏打ちとして銀行グループに支援を求めたからである。
しかし、それは同時にさまざまなトラブルに銀行グループが巻き込まれることも意味した。融資を必ずしも回収できるとは限らず、また分離主義者は武力による独立も視野に入れて行動する者が多かったからである。

この時期、銀行グループはより強力な「徴収人」を探していた。
借金回収を拒む債務者から、腕尽くでもむしり取る、強力な借金取りが必要になったのだ。
兵器開発会社「フルート・デザイン・システム社」が、銀行グループからの融資を返済できないとなったために、彼らが開発していた新型バトルドロイドを接収ホロワン・メカニカル社に引き渡して完成させ「IGランサー・コンバットドロイド」として採用したのもこの時期である。
時期はやや遅れるが、数千年を生きる伝説の賞金稼ぎ、ダージも銀行グループに雇われた。

そしてサン・ヒルは、辺境の惑星カリーの将軍、カイメイン・ジャイ・シーラルを見いだした。
シーラルの母星カリーは隣の惑星ハクに侵略を受けていた。シーラルは奮戦してこれを撃退したものの、劣勢となったハクは自らが侵略戦争を仕掛けたことを隠蔽して銀河共和国に「カリーシュの暴虐」を訴え、結果としてジェダイ騎士団の討伐と銀河共和国の経済制裁を受けてしまい、多くのカリーシュが餓死・死亡する事態となっていた。
サン・ヒルはここに目を付け、惑星カリーに課せられていた負債を銀行グループで引き受けて補填。共和国からの禁輸措置も解除させた。
それと引き換えに、ハク戦争で優れた采配を見せたシーラルを、銀行グループの警備部門(実際は債務徴収部門)の前線指揮官として雇い入れた

しかし、もともとシーラルは気性が荒く、かつ種族の誇りが強すぎる男であった。
彼はやがて借金取りの仕事に嫌気がさし、さらにハクがまたもカリーシュの霊廟に破壊工作をしたこと、しかも銀河共和国はこの動きに全く気付かなかったことを知ると、ついに我慢できなくなり無許可で帰郷。同胞たちを集めて、今度はハクに向けた軍事侵攻の準備を開始した。

ヒルは怒った。彼には、結んだ契約を勝手に破毀して、種族の人々のために戦うなどというシーラルの考えが理解できなかったのである。
というか契約を勝手に破って無許可除隊したシーラルが悪い。あれだけ投資してもらったのに。
しかし、なまじ彼を雇っていただけに、そう簡単に暗殺できる相手ではないことも、ヒルには分かっていた。


この時期、サン・ヒルに接触を掛けてきたのが、惑星セレノーの君主にして、当時水面下で分離主義運動を指導していたドゥークー伯爵、および彼に合力する惑星ジオノーシスの大公ポグル・ザ・レッサーであった。
ドゥークーとポグルは、シーラルの件で頭を悩ませていたヒルに協力。
シーラルが乗っている宇宙船に密かにイオン爆弾を仕掛けて、わざと爆破・墜落させる。
そして瀕死の重傷を負ったシーラルをドゥークーとヒルが回収し、肉体のサイボーグ化と脳への手術を行って、彼の精神を「カリーシュ種族の誇り高き将軍シーラル」から「破壊と戦闘を好む残忍な将軍グリーヴァス」へと変貌させてしまった。
これは同時に、いずれ来たるドゥークー伯爵主導の戦争において、戦争を指揮する軍事指導者が必要になることを見越してのことでもあった。

なお、「グリーヴァスのサイボーグ化を主導したのはヒルとポグル」というのは現在のカノン設定にもそのまま引用されている。


◆独立星系連合の発足

グリーヴァス将軍改造の一件から、サン・ヒルはドゥークーと親交を結ぶようになった。
自然、彼も分離主義勢力に参加
テクノユニオンの代表ワット・タンバー、コマースギルドの重鎮シュ・マーイらとも親しくなった彼は、ドゥークーが正式に同盟を求めたときも快く応じ、銀行グループを分離主義勢力に引き込むことに大いに貢献した。
もっとも、銀行グループは抜け目ないことに、裏では分離主義勢力に注力していながらも、表向きは銀河共和国に協力し続け、双方に資金提供と金融調整を行っていた。
とはいえ、その巨額の融資に加えて銀行グループが誇る高性能バトルドロイドIGシリーズの提供、グリーヴァス将軍やダージの参加など、軍事力を出したのは分離主義勢力に対してのみであったことからも、スタンスは明らかであった。

22BBY、惑星ジオノーシスで行われた独立星系連合の発足会議においても、サン・ヒルは銀行グループを代表して参加を表明
通商連合に続く二番目の資金提供者となった。
その後はクローントルーパーを採用した銀河共和国軍に襲撃されるが、サン・ヒルは他の幹部ともども脱出に成功した。


◆クローン戦争

「どうすればいい!? え!? どうすればいいのだ!! ドゥークーがなぜお前らのような役立たずを寄こしたのかわからんわ!!」
「…………!!!」
「!? ……いつでも、出動してくれ」

クローン戦争の時期には、ヒルは独立星系連合の「評議会」のメンバーとなった。これはドゥークー直属の十人の幹部により構成される行政機関であり、惑星ラクサスにある「元老院」(議会)が終わらない議論を繰り返すのに対して、独立星系連合の実際の運営をつかさどる重要機関であった。

ヒルは独立星系連合における重役として、さまざまな組織に融資や交渉などを行っていたという。
同じく評議会メンバーを務めるポ・ヌードを、ハイパーコミュニケーションカルテルの長になるよう工作したのはサン・ヒルとテクノユニオンのワット・タンバーである。

戦争中期には彼の本部があったムウニリンストが共和国軍に攻められる。
サン・ヒルは司令室に籠もったが、根が投資家の彼には軍事知識はなく、ドゥークー伯爵から増援として派遣された賞金稼ぎダージ、および彼が率いるドロイド軍に任せて本人は嘆いてばかりだった。
結局、ダージはジェダイマスター・オビ=ワン・ケノービに敗れ、サン・ヒルは共和国軍に捕縛される。

……が、どういう取引があったのか、やがてヒルは解放され、独立星系連合に帰還。
とはいえムウニリンスト奪還まではできず、グリーヴァスに庇護下におかれる状態であった。


なおCGアニメ版「クローンウォーズ」では銀行グループについて
「コアファイブという最高決定機関がある」「クーデターによりラッシュ・クローヴィスの支配下におかれる」「その背後にはドゥークー伯爵もいる」
など、設定変更を含めた多くの描写があったが、サン・ヒルはこれらのエピソードに一切登場しなかった。


◆戦争末期

EP3では、まず惑星ウータパウの会議シーンに登場。画面の一番手前の席に座っている。
これに先立つ「惑星コルサントの奇襲攻撃」にて、独立星系連合の指導者ドゥークー伯爵戦死してしまったため、連合指導者はグリーヴァス将軍に交替となっていた。
グリーヴァスは評議会メンバーに「火山の惑星ムスタファーに移動せよ」と命令。通商連合の代表ヌート・ガンレイが噛みつく一幕もあったが、共和国軍の侵攻があったことも加わり、ヒルたちはムスタファーへと移動した。

EP3も終盤の差し掛かる頃、ムスタファーの司令部にダース・シディアスが通信を入れる。
そこで明らかになったのが、これまでも裏から姿を見せていたダース・シディアスこそが銀河共和国の最高議長にして、たったいま皇帝となったシーヴ・パルパティーンであることだった。
シディアスは戦争が終結したことと、これより新たな弟子ダース・ヴェイダーが、褒美の使者としてそちらに向かうことを伝えた。
この場面まで、サン・ヒルはヌート・ガンレイの左手側にいる。


……しかし、その「褒美の使者」として贈られたダース・ヴェイダー、旧名アナキン・スカイウォーカーは、ライトセイバーを抜くとその場にいた者たちを全員殺戮してしまった
シディアス卿の真意は、この戦争を通じて権力を最高議長ひとりに掌握させることにこそあった。それが済んだ以上、独立星系連合の幹部たちはすでに用済みであり、かつまた、シディアス卿の真の立場を知り、暴くこともできる彼らは、シディアスにとって危険な存在ともなっていたのである。
さらに「独立星系連合を崩壊させ、クローン戦争を勝利に導いた」という実績も、皇帝となったシディアスには必要であった。
独立星系連合の幹部たちの死は、シディアスにとって大きな利益となり得たのである。


◆帝国時代の銀行グループ

独立星系連合の敗戦とムスタファーの惨劇を経たものの、独立星系連合に参加した多くの組織が国有化されたのに対して、インターギャラクティック銀行グループは帝国に解体・国有化されることなく存続した
いかに銀河帝国といえども、通貨・経済体制を管理運営するには銀行グループなしではどうにもならなかったのである。おかげで、日常業務と言うべき金融業も取り上げられることなく存続した。本部も引き続き、スキピオやムウニリンストにあるという。

もちろんペナルティ無しとは行かず、銀河帝国の監視員が常駐し、帝国に都合のいいように経済を回すようになった。
とはいえ、完全に帝国の管理下となったわけではなく、投資に対してはある程度の独立性や柔軟さを維持できていた。
元老院における議席も確保したままで、18 BBYには銀行グループ選出の元老院議員が、クローントルーパーの廃止とストームトルーパーに関する法案に賛成するという場面がある。
同場面ではコマースギルドの上院議員も同じく登場していて、こちらも存続している模様。
さらに「反乱者たち」では反乱同盟軍の構成員が「自分は企業(コーポレート)同盟(アライアンス)の人間」と名乗る場面もあって、独立星系連合の参加組織もそれなりに生き残っていたようだ。


一方、かつてほど強大な権力はふるえなくなったようで、ハットカルテルとの経済戦争に苦戦するという事件も起きた。


【余談】

……実はサン・ヒルは、映画本編で死亡シーンが描かれていない唯一の評議会メンバーである。
シディアス卿がムスタファーの会議室に通信を入れた場面では、ガンレイの左側に立っていた。
しかし、アナキンが会議室に入ってくる場面からは姿がない。
(ワット・タンバーも斬られる直接のシーンはないが、アナキンが暴れる場面で奥の部屋に逃げこむも、そこからの逃げ場がないことを悟ってアナキンを睨む場面があり、ガンレイが死ぬまでに殺されたようだと察せられる描写になっている)
EP3のコミックでは、ポ・ヌード、ポグル・ザ・レッサーと同じコマでアナキンによって首をはねられるシーンがある。
小説版では、ダース・ヴェイダーに最初に挨拶をしようと駆け寄るが、そのフードの下がアナキン・スカイウォーカーであることに驚愕した直後、胸にライトセイバーを突き刺されるという描写である(映画本編で最初に声を掛けるのはヌート・ガンレイで、かつガンレイはアナキンの顔を見ても特に驚いていなかった)。
しかし、やはり映画本編ではサン・ヒルの姿がない。

いちおう、各資料では「他の幹部ともども殺された」となっているのだが、明確に死んでいない以上、実は生きているのではないか、またひょっこり登場するのではないか、という生存説もある。


  • 名前の由来
「サン・ヒル(San Hill)」という名前は、サム・ヒル(Sam Hill)のもじりだという。
これは英語圏の俗語で「地獄」「悪魔」などの婉曲表現で、「サム・ヒルには何があるんだ?/What in Sam Hill is that?」というのは有名な慣用句であるとのこと。
正直名前負けしてる気がする。


  • もうひとりのサン・ヒル
現在はレジェンズ設定に分類されているが、2006年10月発売のゲーム『Star Wars: Empire at War: Forces of Corruption』では、サン・ヒルというキャラクターが登場する。
時系列としてはEP4~EP6の銀河帝国反乱同盟軍の「銀河内戦」の時代であり、クローン大戦からは相当な年数が経過している。

しかしこちらのサン・ヒルは、種族はムウンではなく人間でありながら、やはりインターギャラクティック銀行グループの会長であり、住居もムウニリンストにあるという、たまたま同姓同名の他人というには似過ぎた設定をしている。
おそらくはスタッフのミスだったと思われるのだが(公式にはサン・ヒルはEP3で死んでいるわけだし)、もともと映画EP3で死亡シーンのない男であるだけに、またひょっこり拾われるかも知れない。
なお、こちらの人間サン・ヒルのゲームにおける役割は、IG-88に襲われて銀行グループのメインコンピューターにアクセスする暗証番号を吐かされ、犯罪組織に売られる、というもの。




「我々はアニヲタwikiの追記・修正プログラムに資金を提供している。そして偉大な引き籠もりである君は、この実験の候補者としてはまさにうってつけの逸材なのだ。この実験は君を再び戦場に戻してくれるだろう……」

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  • コーリー・バートン
最終更新:2024年08月02日 20:12

*1 種族はグラン。三つの触角の先に目玉が飛び出し、草食動物的な口の形をした種族。同族にはEP2で《議論は終わった。クローン軍団が必要だ》とベイル・オーガナ相手に口論していたアクス・アックがいる。