登録日:2021/02/08 Mon 22:00:00
更新日:2025/04/26 Sat 18:58:45
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【概要】
銀河の金融を司るインターギャラクティック銀行グループ傘下の企業が開発した、高性能バトルドロイド。
(開発企業名は微妙に変わっており、レジェンズ設定では「フラット・デザインシステム社」、カノン設定では「ホロワン・メカニカルズ社」。ただカノンに移っても
IG-88の異名に「フラットドロイド」という名前が残っており、面影は残っている模様)
表向きは警備用・歩哨用・護衛用として流通しているが、あまりの高性能から暗殺・テロ・犯罪などの戦力として使用されることが多い。
おかげで「アサシンドロイド」と区分されることも多いが、暗殺を前提としないタイプ(
マグナガードなど)も多いことや、いずれも戦闘用に用いられることは共通していることから、
本稿ではタイトルを「バトルドロイド」としている。
【基本性能】
バトルドロイドというと、一個体あたりの弱さと引き換えにして、安さと汎用性を突き詰めた「
Bシリーズ・バトルドロイド」が有名だが、
こちらのIGシリーズは同じく歩兵型バトルドロイドでありながらも、高性能を突き詰めた設計となっている。
同じく戦闘力に長けたバトルドロイドとしては「
ドロイディカ」も有名だが、ドロイディカが高性能と引き換えに汎用性を犠牲にしたのに対し、
IGシリーズはヒト型を維持し、Bシリーズ並みの汎用性と、それとは比較にならないほどの運動性・機動力を備えている。
(たださすがにドロイディカのような小型シールドを搭載した機体は確認されていない)
人間型ゆえの汎用性、細い四肢からは信じられないような高い機動力、意外な頑強さ、豊富な武器のコントロールなど、歩兵型バトルドロイドとしては破格の性能を持っている高品質モデルである。
ただしこれほどの性能を持たされたため、コストもドロイディカと同様に跳ね上がっており、必然として生産台数・配備数は少ない。
IGシリーズの外観上の特徴としてとくに有名なのは、多数のカメラ・センサー類が周回する、円筒型の頭部。
頭部を動かさずして360℃全方位を見渡すことができ、また複数のカメラやセンサーを同時に機能させられるため、索敵能力が非常に高い。
この頭部を搭載したドロイドはIGシリーズだとすぐに分かるほど独特。
ただし、この頭部モデルを採用していない機種も存在する。
この円筒型の頭部は、銀行グループを支配するエイリアン種族
ムウンがモデルらしい。
手足が非常に細いことや、胴体があまり装甲化されておらず内部機構がむき出しに見えるのも特徴。
しかし見た目の割に強靭で、細身の手足で大ジャンプや壁のぼりを披露したり、細いボディで意外な頑丈さを見せる場面がたびたびある。
【種類】
便宜上、活躍時期によって区分する。
また戦車タイプなども存在し、それは最後に「非人間型」としてまとめる。
◆旧共和国時代~クローン大戦期
・IGコンバットドロイド
IGシリーズでもやや大柄な機種。
頭頂部や両肩が、先端に向けて円錐状に大きく尖っているのが外見上の特徴。足部も非常に大きい。
正式な形式番号は不明。
「IGランサードロイド」とも呼ばれるが、これはクローン大戦中に突撃槍(ランス)を装備したことからの呼び名。
しかしランスを運用しない場合ももちろんあるため、これを正式名称とするのはやや微妙か。
いつ製造されたのかはやや不明瞭。
レジェンズ分類となった当初の設定では
「IGシリーズでも初期のモデルで、当初は通商連合に売りつけようとしたが、
その通商連合がナブーで敗戦して軍縮を課せられたため売れなくなり、経営が傾いて銀行グルーブに差し押さえられた」
というもので、開発時期がナブー危機よりも少し前、という風な感じだった。
その後CGアニメ版クローン・ウォーズにて「クローン大戦以前からIG-86などが普及していた」と設定が加わり、
さらにカノン分化後に「ナブー危機の前年にはすでにIGコンバットドロイドもIG-86も存在していた」と変更された。
ただ、今のところ「ナブー危機以前から存在したこと」は変わっていない。
クローン大戦中は、銀行グループ所属の正規品が
独立星系連合に参加。
二千年を生きる超生物の
賞金稼ぎ、
ダージの配下につけられ、スピーダーバイクと突撃槍(ランス)を装備し、
オビ=ワン・ケノービとクローントルーパー相手に激しく渡り合った。
そのエピソードを描いた「
クローン大戦」がレジェンズ枠に分類され、一時はダージともども曖昧な立場に立たされていたが、
ナブー危機の一年前を舞台とするカノン分類コミック「ダース・モール」にて
再登場。
銀河から集まった賞金稼ぎやギャングたちに混ざって、本機種が一機登場。隊長格なのか、IG-86を二機従えていた。
背景事情は語られていないため、どこかの犯罪組織が差し向けてきたのか、自分たちで行動しているのかは不明。
今回はランスを使っておらず、マシンガンのような武器を所持。したがってランサードロイドとはもはや呼べない。
ジェダイ狩りに参加し、
ダース・モールとも交戦するが、破壊されている。
・IG-1
レジェンズの情報書「ニュー・エッセンシャルガイド・トゥ・ドロイド」に記述のみ登場。
ランサードロイドの成功を受けて研究が開始された、IG-86・IG-88系統のドロイドを製造する「フラットドロイド計画」の最初の個体。おそらくは外観も彼らと同等と思われる。
・IG-86
クローン大戦よりずっと以前から生産・配備されていたIGシリーズの主力商品。
上記のIGコンバットドロイドと同様、ナブー危機の一年前にはすでに確認される。
出回った規模では最大級で、銀行グループの警備部門・傘下企業、銀行グループが参加した独立星系連合はもとより、
ハットクランや
ブラックサンといった犯罪組織、
キャド・ベイン一味などの
賞金稼ぎにも広く流通した。
運動性は極めて高く、かなりの重量がありながら壁の棚を跳躍しながら駆け上ることが可能。
高度な戦闘プログラムを組んでいるため、銃火器の扱いにも長け、あらゆる武器を使いこなしながら縦横無尽の攻撃を仕掛けてくる。
機体強度も相当なもので、ブラスターの数発ぐらいでは喰らってもまるでこたえない。
その
運動性や頭脳・防御力は一流のジェダイでも容易ならぬ相手で、
アナキン・スカイウォーカーと
アソーカ・タノのタッグでも、二機のIG-86にはかなり苦戦した。
またアナキンはライトセイバーなしでIG-86と渡り合ったこともあるが、この際の「アナキンがIG-86の銃を掴んだかと思うと、
その銃を飴細工のようにひん曲げるIG-86」の姿にはアナキンも驚愕した。
・クロノス327
コルサント旧市街を牛耳るジャバの叔父ズィロ・デシリジク・ティウレによって運用されていたIG-86。
装備自体は通常のIG-86とほぼ変わらないが、カラーリングはズィロと同じ紫色に紋章の入ったものに塗り替えられている。
ズィロの意向でメモリー消去を行わずに暗殺任務をこなしていたため、暗殺ドロイドには珍しく独自の個性を身に着けた…ハズなのだが、初登場の直後に暗殺任務失敗の罰としてスクラップ送りにされ退場したかわいそうなヤツ。
ただし、その際のズィロの口ぶりからこれまで任務を失敗したことがないようで、主であるズィロと同じ色に塗られていることを考えると、暗殺の腕はかなり高かったようだ。
IGシリーズでは珍しい、円筒状の頭部を持たないタイプ。
独立星系連合の軍事指導者
グリーヴァス将軍の依頼で開発された、対ジェダイ用高性能モデル。
頭部の違いや胸部の装甲など、一見してIGシリーズとは違うように見えるが、細身の腕やそれに見合わぬ頑丈さとパワー、ヒト型ゆえの汎用性などにその面影を見出せる。
詳細は項目を参照。
・マグナガード似のドロイド
詳細は不明だが、上記のコンバットドロイドが参加した暗黒街のパーティにおいて、マグナガードに似た旧式ドロイドの姿がある。
・IG-110 ライトセイバー・ドロイド
レジェンズのみの登場。
マグナガードをベースに、
ライトセーバーを装備したタイプ。独立星系連合が対ジェダイ用に開発した。
本機種の使うライトセイバーは人工クリスタルを採用しているとのことなので、出どころは
ジェダイから奪ったものではなく、工業生産品と思われる。
ドゥークーやアサージやソーラたちがいちいち作ってあげるとは思えないし
・IG-97
レジェンズのみの登場。
マグナガードらと共にクローン戦争中に製造されたドロイド。
基礎設計があのB1バトルドロイドをベースとしているせいか耐久性に難があり、他のIGシリーズに劣ると見做されて生産は早期に打ち切られた。
◆帝国期
クローン大戦後、銀河帝国の時代に開発された、IGシリーズの最高機種。
ハード性能のみならずソフト性能においても過去のIGシリーズの集大成として開発されたが、思考プログラム入力時に開発陣がミスを起こしたため、起動直後に「野心」を抱いて暴走。
自信を含めた四機の兄弟機を束ねて独立行動を開始し、暗黒街で大暴れした。
詳細は項目を参照。
・IG-72
レジェンズのみの登場。
IG-88開発過程で制作されたプロトタイプ的機体。
基本仕様はIG-88とほぼ同等だが、プロトタイプというだけあってセンサー類や武器制御プログラムなどにはやや粗がある。
とはいえ機体性能は相当なもので、また実験機ゆえに
経験値ではIG-88よりも豊富だった。
あまりに豊富なゆえに疑似的な人格まで形成しており、生物に死を与えることを
「楽しい」と感じる始末。
基本的には単独行動を好み、弟たちIG-88が帝国から離反して独立行動を開始しても協力せず、一時は帝国軍に帰属して反帝国勢力の暗殺を行っていたが、
やはりIG-88の「兄」なだけあり、帝国がIG-72の回収および記録消去を図っていると悟ると、たちまち自立行動を開始。帝国の目が届きにくい辺境域で、暗殺請負業務を開始した。
最終的に、
反乱同盟軍の将校を狙った暗殺で自爆テロを起こして消失する。
・IG-RMドロイド
IGシリーズでも珍しく、全身に装甲が施されたタイプ。
頭部は円筒型ではなく小さな円錐形で、装甲化されて太ましく見える胴体に比べて頭や腕が貧相に見える。
どちらかというと暗殺などの攻撃的任務よりも護衛などに向いた設計だが、それでもIGシリーズであり、破壊などの荒事にも十分活用可能。
辺境域の惑星ロザルで、犯罪組織の元締めシカトロ・ヴィザーゴの配下として相当数の本機種が運用されていた。略奪のような荒事から主人の護衛、果ては荷物の運搬まで、幅広く利用される。
一時ホンドー・オナカーに奪われたりもした。
呼び名について「IG-RM護衛及び執行ドロイド」というのもあるが、「護衛および執行ドロイド」という長ったらしく曖昧な区分は、
「高性能バトルドロイドを作って売りたいホロワン社」と「高性能バトルドロイドが欲しい帝国&各組織」と「そもそもバトルドロイドの生産を禁止している帝国」の立場が絡み合った結果の、
「これはバトルドロイドじゃありませんよ、護衛と職務執行用のドロイドなんですよ」と言い逃れるための
大人の事情的な措置なんだとか。
……まあ正直、バトルドロイドであるかそうでないかはプログラム次第なので、帝国のバトルドロイド規制も穴だらけだったそうだが。
当の帝国だってドロイディカの新型開発とかしてるし、「セキュリティドロイド」名義でバトルドロイドを採用してるし、そもそもIG-88自体が帝国発注品だし。
実はIG-88の没デザインの流用である。
・IG-90
カノンのコミック「スター・ウォーズ:ダース・ベイダー シュー=トラン戦役」に登場。
簡単に言い表すと真っ赤なIG-88。別に
スピードは三倍ではない。
ボスクと一時的に行動を共にしたこともある。
・IG-106
2003年にサービス開始したレジェンズのMMORPG「スターウォーズ:ギャラクシーズ」に登場。
ブラスターを腕部に直結しているというやや汎用性に欠ける改造が特徴。
惑星ロクのスライサー(プログラミング集団)によって管理運用され、彼らの本拠地を防衛していた。
◆新共和国時代
新作ドラマ「
マンダロリアン」に登場。
かつてのIG-88と同じく、自立して賞金稼ぎとして活動していたが、どういう経緯でそうなったのかは不明。開発経緯も明かされていない。
ヨーダ族の赤子(通称チャイルド)を暗殺する任務を請け負ったが、「獲物」を他者にとられる事態を避けるべく、主人公の
マンダロリアン、ディン・ジャリンと一時協力。
チャイルド回収直後に、赤子の保護を決めたディンに破壊されるが、ややあって修復、プログラム変更の果てにディン側についてチャイルドを守るようになる。
なお、このキャラクターが発表された際に「IG-88が登場するのか!?」と一時騒ぎになった。
たすき掛けにしたベルトと、オレンジ色の一部塗装がIG-88との相違点。
詳細は項目を参照。
◆非人間型
・IG-227 ヘイルファイヤー級ドロイドタンク
SW界の
パンジャンドラム。「ホイールドロイド」とも言われるが、それだとドロイディカと紛らわしい。
ドロイドスターファイターと同じく、人間が乗り込むコックピットを廃して人工知能により自立駆動する
ドロイド戦車の一種。
直系8.5mの巨大な車輪で、時速45kmを出して戦場を駆けまわる
ミサイル戦車。
理想は整地の駆動だが、ドロイディカやパンジャンドラムと違ってある程度なら険しい地形でも運用できる。
理由はいくつかあり、サイズの割に機体や車輪が軽量なこと(ただし引き換えとして装甲が薄くなった)、車輪がフレキシブルに角度を変えられたこと、車輪に磁気パルス駆動装置が仕込まれてバランスを取れたこと、搭載しているコンピューターがなかなか優秀だったこと、などがあげられる。
搭載するミサイルは非常に強力で、共和国の六脚型戦車を一撃で破壊し、シールドを装備したガンシップも撃墜可能なほど。
またこのミサイルにも高度な誘導プログラムが仕込まれており、障害を回避しながら目標に当たるという芸当さえ可能。
ただしミサイルは装填数に限りがあるのが問題で、そのミサイルを撃ち尽くした場合、機体下部の機銃しか火器がない。そしてこの機銃は火力に乏しいため、ミサイル装填のため基地に戻ることが多い。
しかしそれはやはり隙になるため、ここで撃墜されることも多いようだ。
大戦後の「
反乱同盟軍」も、発展型のヘイルファイヤー級ドロイドタンクを使用している。
・IG-2000
IG-88が独立行動を開始した後、占領した惑星メキスⅢにて開発・製造したスターファイター。
全長約20メートル。スターファイターとしてはかなりの大型機だが、それだけに火力は高い。
反乱同盟軍でも使用される「ネビュロンBフリゲート艦」から流用したイオンエンジンを搭載し、三つのパワーコアから電力を引き出したその馬力は十分高く、そのスピードは
ボバ・フェットの愛機スレーブIにも匹敵する。
上から見るとVの字のようなデザインをしている。さらに機体左右には展開式のアームがあり、機体の重心を移動させて柔軟な駆動をもたらしたり、アームに搭載したスラスターを使って急激な方向転換をしたり、はたまた仕込んだ火器で砲撃したりできる。
パイロットのIG-88は重力の影響を受けないため、人間では死ぬような極端な飛行も可能。
賞金稼ぎ
専用機らしく、機体中央には捕虜収納庫もある。
ここまでいくと大型スターファイターというよりは小型スターシップに近いかもしれない。比較対象として、
ドゥークーのソーラーセイラーはより小さい全長15mである。
長らくレジェンズ作品のみの登場だったが、2021年のコミック作品でカノン分類として再登場した。
・IGドローン
レジェンズのTPS「
スター・ウォーズ 帝国の影」に登場。
登場するのはオード・マンテルのスクラップ処理場で、ボバ・フェット追跡に向かうダッシュ・レンダーに向けてIG-88が複数体を迎撃用に放った。
空中を飛行し、ホバートレインに乗ったダッシュにレーザーで攻撃を加える。
本当にフラットデザインシステムズ社のIGシリーズに属するドロイドなのか、IG-88が脱走後に作った「IG-88の」ドローンなのかは不明。
依頼内容:追記・修正の執行
- 次はバトルドロイドから少し離れて、ジェダイマスターでも癖の強い、シン・ドローリグやサシー・ティンなどに移ります。 -- 名無しさん (2021-02-08 22:17:13)
- IG-2000は未邦訳のコミックで一応正史入りしたらしい -- 名無しさん (2021-02-21 00:44:04)
- 「バトルドロイドであるかそうでないかはプログラム次第」は流石におかしいと思います。人工物である以上は元の設計思想の段階で兵器かそうでないかの区別のようなものが基本的にある。設計思想そのものがグレーなIGと注釈にあるような「殺傷にも使える」という例は全く次元の違う話です。 -- 名無しさん (2022-10-11 21:18:46)
- 「包丁は武器か」と「包丁は武器になるか」では似て非なる話だと言えばわかりやすいでしょうか。“刀剣のような包丁”でもないかぎり「この刃物(包丁)は武器じゃない」という区別はあるのです。 -- 名無しさん (2022-10-11 21:26:43)
- ↑ どうだろう? 包丁も銃刀法で規制される対象だしなあ。SW世界の法規制はまた別かも知れんよ。 -- 名無しさん (2022-10-11 22:11:58)
- ↑ごめんなさい、自分がしたかったのは法規制上の扱いの話じゃないんです(包丁の例えは余計だったかな…法の話としては元が武器じゃないものでも武器として使ったり使えるようにしたら違法になるのでしょう)。文章表現としてさすがに語弊がないか?改造で殺傷力を付与する例はまた次元の違う話ではないか?という話をしたかったのです。 -- 名無しさん (2022-10-11 23:47:48)
最終更新:2025年04月26日 18:58