サム・ドルマヤン(ACVI)

登録日:2024/10/14 Mon 12:02:57
更新日:2025/05/29 Thu 23:35:57
所要時間:約 16 分で読めます






その警句の…何を知っていると言うのだ…?
全ては…消えゆく余燼に過ぎない…


サム・ドルマヤン(Thumb Dolmayan)とは『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』の登場人物。



プロフィール


所属:ルビコン解放戦線
肩書:ルビコン解放戦線総司令「帥父」
搭乗機:AC「アストヒク」、男娼「リング・フレディ」

アリーナランク:04/A

CV:ふくまつ進紗*1

  • アリーナテキスト
ルビコン解放戦線の帥父と称される
歴戦の軍事指導者にしてコーラル神秘主義思想家

青年期を流浪のドーザーとして過ごしたドルマヤンは
アイビスの火を生き残った後 コーラルとの共生を
強く志向するようになる

彼の思想はやがて解放戦線の支柱となり
多くの戦士がそれに殉じた

人物

ルビコン解放戦線の思想的リーダー。組織内では「帥父(すいふ)*2と呼ばれ、歴戦の軍事的指導者でもある。
嘗ての大災害「アイビスの火」の生存者である事からも相応の高齢であると目される。

青年期は流浪のドーザーとして過ごしていた過去があり、
アイビスの火を乗り越えた後でルビコンの重要物質であるコーラルとの共生を提唱。
その思想に多くの賛同者が集い、やがてルビコン解放戦線という巨大な抵抗組織が形作られていくことになった。

しかし実際に本編中に初めて登場した際の姿はそういったプロフィールからは程遠く、まるで擦れ切った果てにこの世の全てを諦めた老人のような、別の意味で衝撃的なもの。
口を開いたかと思えば「全ては消えゆく余燼に過ぎない」などと曖昧で要領を得ない発言を繰り返すのみであり、とても抵抗組織の指導者が務まるとは思えない有り様。

実際に本編時点の戦線内でも今の彼の在り方を疑問視するメンバーが散見されるうえ、本来はNo.2であるはずの帥淑ミドル・フラットウェルが組織運営を担い、外部からも「事実上の指導者」と見做されている状況にある。
このためドルマヤン自身は最早帥父とは名ばかりの宗教的象徴…悪く言えば権威だけはあるお飾り状態だったと言える。

主要勢力のトップという立場ながら実質的な出番は少ないが、それでもAC6の世界観やストーリーに密接に関わる存在の1人であることに違いはなく、
彼が各地に残した情報ログの数々も合わせ、プレイヤー間では色々と考察が捗るキャラでもある。

組織内での存在感の無さに反して…というべきか、アリーナでは4位に位置するかなりの上位ランカーであり特例上位3人という特別戦力を除いた「常人」の枠組では事実上最強という、過去の経歴に恥じない歴戦の古強者でもある。
後述するように、ゲーム中での強さもその格付けに恥じないだけのものは備えている。

文書データ:ドルマヤンの随想録

ゲーム内の収集要素であり様々な勢力の会話や背景事情が断片的に描かれている情報ログの1種として、過去にドルマヤン自身が残した随想録が計5つ存在している。
ここからは若き日のドルマヤンの体験や彼が断念したある計画、今の彼が諦観に浸るに至った経緯、後述する最終ルートにおける彼の行動の理由を読み解くことが出来る。

ゲーム1周目~2周目時点で拾えるのは(4)を除いた4種類で、
本編進行時系列とは関係なく拾える順番はバラバラである。

以下、詳細を記すためネタバレ注意。

随想録(1)

コーラルはルビコンの祝福である

この痩せた大地は しかし内より無限の恵みをもたらし
雫ひとつで我らの血肉を成す

コーラルよ ルビコンと共にあれ!

チャプター1のミッション「壁越え」で拾うことができる。
時系列的にもドルマヤンの最も若かりし頃、恐らくドーザー時代に書かれたもの。

彼も他のルビコニアンと同じ様にコーラルの恩恵を享受しており、
ドーザーらしく一般的に危険とされるコーラルの直接摂取(所謂コーラルドラッグ)をも行っていたらしい。
その上で発せられたのが、後に解放戦線のスローガンとなる「コーラルよ ルビコンと共にあれ」である。

この頃の文章はプロフィールに違わぬ情熱的な活動家というイメージを感じさせるものだったのだが…

随想録(2)

「声」を見るようになってどれほど経つだろうか

「尽きることはないから心配は要らない」
いつものように恵みを摂る私に 彼女はそう言った

「私が君なら許さないだろう」
私はそう言って それから己の欺瞞を恥じた

チャプター3のミッション「旧時代データ回収」にてストーリーの流れ上必ず入手することになる。

思うがままにコーラルを貪っていた(1)の時代から打って変わり、記されているのは衝撃的な内容。
「声」…つまりはドルマヤンも主人公である621と同様にコーラル変異波形、即ちエアと同質の存在と交信していたということが読み取れる。

ただ単にコーラルをキメるだけならその他のドーザーたちも日常的に行っていることなので、
恐らく何かしらの特異な素養を持ったドルマヤンが多量のコーラルを摂取することで交信に至ったと考えられる。

ドルマヤンに語りかけていた「声」は多くのルビコニアンがコーラルを天然資源として消費することについて全く気にしていなかったようだが、ドルマヤンは自分が同じ立場なら許せないとして、しかし消費を続けている自分を強く恥じるようになった。

随想録(3)

「共生」
彼女はその言葉の意味を考えているようだった

私たちの幸福な時間は
彼女の同胞の犠牲の上に成り立っている

こんなものが共生で良いはずがない…

チャプター3のミッション「無人洋上都市調査」で拾うことができる。

交信を続けていく内にドルマヤンは「声」に対する思い入れがますます強まり、「声」とその同胞たるコーラルを好き勝手に浪費する人々の在り方に強い抵抗を抱くようになった。

そんな彼を目にした「声」も、人とコーラルの真の「共生」について考えるようになったらしい。

随想録(5)

彼女は私の意志を尊重するという
ここを渡れば人間世界の悲惨
渡らなければ…

賽を投げる覚悟が 私にはできずにいる

チャプター1のミッション「BAWS第2工廠調査」で拾うことができる…のだが最短だと(1)の次に入手できる随想録のため、何も知らない状態で両方を読んだプレイヤーはチンプンカンプンだったことだろう。

どの道入手段階では随想録(4)が欠けているため、決定的な情報を得ることはできない。
これまでの流れから察するに、若きドルマヤンはコーラルとの共生のため何か大きな決断を迫られていたことがわかる。
「声」は決断をドルマヤンの意志に任せたらしいが、何やら人類の世に悲劇をもたらす内容だった様で、彼は終に決断を下せなかった模様。

「ここを渡れば人間世界の悲惨」というフレーズは、このゲームで折に触れて言及されるカエサルの「賽は投げられた」の故事によるものだが、その中でもギリシャ人の歴史家であるアレクサンドリアのアッピアノスが著した『ローマ史』の一部『内乱記』が由来である。

作中での動向

チャプター1

ミッション「捕虜救出」

そんなこんなで随想録で彼の過去に触れつつ、2周目以降に選べるようになるミッション。
ルビコン解放戦線の依頼でヘリ単機での捕虜救出を目的とする電撃作戦の護衛を任されることになるのだが、
その救出対象の1人としてドルマヤンが本編中で初めて姿を現す。*3

ミッション内で同様に救出されたツィイーはその無事に安堵すると共に先のスローガンを唱えるも、当のドルマヤンは疲れ切ったかのような声で項目冒頭の言葉を発するのみ。

その後、レッドガン副長のG2ナイル率いるベイラム部隊の襲撃も退け、無事に解放戦線のヘリは宙域離脱に成功するも、

「レイヴン」…
意志の表象…

だが全ては…
消えゆく余燼に過ぎないのだ…!

仮にも命の恩人であるレイヴン=621に対して去り際にこの物言い。
既に自分の命含めた万物全てに諦観し、ルビコンの火になぞらえてか消えゆく余燼と称しているようだ。
おかげでプレイヤーの間では余燼おじさんとか呼ばれたり、ドルマヤン構文なるものが流行ったりとネタ的な広がり方も見せている。

結局2周目でもこのミッションを最後に姿を消し、彼が内に抱える物については何もわからないままだったが…



搭乗機体


AC アストヒク


画像出典:ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON ゲーム画面 アセンブリ
© フロム・ソフトウェア 2023年8月25日発売

  • 機体構成
部位 パーツ名 製造元
頭部 AH-J-124 BASHO BAWS
コア AC-J-120 BASHO
腕部 AA-J-123 BASHO
脚部 AL-J-121 BASHO
右手武器 MA-J-200 RANSETSU-RF
左手武器 HI-32: BU-TT/A タキガワ・ハーモニクス
右肩武器 MA-T-222 KYORAI BAWS
左肩武器 HML-G2/P19MLT-04 ファーロン・ダイナミクス
ブースター AB-J-137 KIKAKU BAWS
FCS FCS-G2 P05 ファーロン
ジェネレータ IA-C01G:AORTA ルビコン調査技研
コア拡張 アサルトアーマー

またの名をヨジンガーZ
エンブレムは「天の川と天秤」
他の解放戦線所属ACと同じ、BAWS製旧型フレームである「BASHO」シリーズをベースにした機体。
武装はバーストライフル、ハンドミサイル、ナパーム弾ランチャー、そしてパルスブレードに切り札のアサルトアーマー。
AC6でも珍しい、背部兵装を全く持たずに4種の腕部兵装をハンガーから巧みに切り替える戦闘スタイル。

特筆すべきは左腕のパルスブレードで、基本的に射撃兵装で固められている解放戦線のBASHOフレームACで唯一、BASHO腕部が誇る作中最高の近接武器適性を十全に活かせる装備となっている。
ブースターのKIKAKUも総合性能は微妙ながら最高の近接推力を持つため、それらを組み合わせた本機は凄まじい速度の踏み込みから高威力のブレードによる連撃を繰り出してくる。
まともに食らうと瞬時にAPを削り取られるため、不用意にブレードの間合いに入らず離れていても最大限の警戒を保つこと。
残りの武装についてもBASHO腕の弱点を上手に踏み倒したうえで周りに障害物の多いエリアである程力を発揮する構成であり、ミッションで対峙する時は高層ビルが密集した市街地でナパームを的確に撒いてこちらの行動を制限しつつ、物陰から不意を突いて来たりと、大ベテランらしい老獪な戦術でこちらを翻弄してこようとするので気が抜けない。ある意味ではこの機体そのものが、ゲリラたるルビコン解放戦線の戦い方を象徴する存在と言えるかもしれない。

それ以外の戦闘機動に関しても流石はトップクラスのランカーであり隙が少なく、特にミサイルの回避技術に関しては恐らく全ランカー中最も対処が上手くただロックして垂れ流すだけでは尽く避けられる程。
対人シーンを想定してアセンを組み練習を行うなら同じくロジックの優秀さで名高いコールドコールと並ぶ最適の相手と言え、トレーナーACからのステップアップとしてアリーナで胸を借りる621は多い。

加えて本作のNPCが駆るACには「強化段階」という、防御力やブースター効率等への補正が掛けられているが、アストヒクはその中でも最高ランクの補正を有しておりスタッガー中にBASHO腕+チャージパイルorチェーンソーの一撃を受けても耐える事があるという、異常な耐久性を誇る。*5




関連人物

リング・フレディ
ドルマヤンの側近。「ドルマヤンに近侍する男娼」で、他の解放戦線の同志とは一定の距離を保っているとのこと。
お陰で一部の脳がコーラルに焼かれ過ぎた621からはドルマヤンが男色orバイセクシャル扱いされる原因となっている
詳細は個別項目へ。

・アーシル
「捕虜救出」でドルマヤンを救出しに向かった解放戦線メンバー。ドルマヤンに対して敬意を払いつつも、ミッション後のメッセージでは現在の態度に対して何か言いたげであった。
彼が用意した戦力がヘリ1機に護衛のAC1機と、お飾りとはいえ名目上の指導者を救出に向かうにはあまりに貧弱だったことから、解放戦線内部でもドルマヤンを救出することに消極的な意見が強かったのではないか?と言われることも多い。
ついでに言うとアーシルが無茶な作戦を強行したのは同じく捕虜にされていたリトル・ツィイーの存在も大きかったようなので、尚更ドルマヤンの立ち位置が疑問視される形になっている。



余談及び考察

名前の「サム」は他の人物との共通点から、「親指」に由来すると思われる。

ACシリーズでは基本的にパイロットの姿形は描かれないが、ミッション「執行部隊殲滅」で入手できる画像データ:STVの画稿(1)に描かれた「一番凄そうに見える」座っているお爺さんがドルマヤンだと思われる。
しかし、この人物に限っては肝心の顔がノイズで見えないので、どのような風貌であるのかは分からず仕舞いであるが……









ルビコンの脅威よ…ここで追記・修正するがよい…

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  • 全ては消えゆく余燼に過ぎない
  • サム・ドルマヤン
  • 親指
  • ACVI
  • AC
  • 621のif
最終更新:2025年05月29日 23:35
添付ファイル

*1 ちなみにACfAでは「銀翁」ことネオニダスやヴァオー、ドン・カーネル、リリアナのモブ戦闘員といった多彩なキャラを演じていた

*2 師父(しふ)ではない。読み方もちゃんと異なるので、意図した造語だと思われる。「帥」は「元帥」など軍事的な指導者のニュアンスがあるため、軍事組織である解放戦線の主という点で筋は通っている。

*3 1周目では全く現れないことから「既に故人なのでは?」と思っていたプレイヤーもいたとか

*4 唯一の例外が「執行部隊殲滅」に登場する側近のリング・フレディなのだが、彼以外の解放戦線メンバーには伝わってない可能性も考えられる

*5 アストヒク以外でこの最高ランクの強化段階補正を有しているのはラスティや真レイヴン等といった重要キャラの機体のみ