のりものスタジオ/のりスタ!

登録日:2025/01/29 Wed 21:59:50
更新日:2025/04/23 Wed 17:47:22
所要時間:7ふんほどでよめマッチョ!




概要

「のりものスタジオ」は、2000年4月から2015年3月まで、テレビ東京系列で毎週水曜の朝7時半より放送されていた子供向け、乗り物を題材にした教育番組である。
製作会社は小学館プロダクション(現 小学館集英社プロダクション)で、製作が同じで本番組の前の放送枠を得ていた小学生を対象とした番組、「おはスタ」の弟分的な位置付けでもあり、主に幼稚園の年長組をターゲットにしている。
1997年から2000年まで、同じく乗り物を題材とした「のりもの王国ブーブーカンカン」が放送されており、同じ放送枠で近い内容の教育番組が放送されていた……はずだった。

2000年代中盤までは乗り物を主軸にした、番組タイトルに相応しい番組内容であったが、2000年代終盤以降、テコ入れが思わぬ方向へと進んでしまい、番組は15年の歴史に幕を閉じた。

「のりスタ」シリーズの歴史

本項目以降、放送時期は年度で表記を行う。

のりものスタジオ(第1期)

2000年度~2002年度。この時点で略称は「のりスタ」とされていた。
『ブルースワット』ムッシュ役、後に『逃走中』でハンターも務める笠原さんに500系新幹線のコスプレとオネエ口調キャラをお願いする*1など、キャラクターや放送内容の癖は強いものの、前番組と同じく正統派の乗り物教育番組として快調な滑り出しを見せた。

のりスタ!(第2期)

2003年度~2005年度。第1期時点でつけられた略称が正式な番組名に変更され、その後も「のりスタ」のタイトルを基に改変が行われるようになる。
CGキャラクターの刷新が行われ、メットくんやダッシュなどといったキャラクターへと交代。
しかし、前期に引き続いて、乗り物教育番組としては正統派な内容であった。

のりスタは~い!(第3期)

2006年度~2007年度。前年度まで30分アニメで放送されていた「とっとこハム太郎」のキャラクターたちが本番組に登場。
ドン・ファンが登場した最後のシーズン。

のりスタ1・2・3!(第4期)

2008年度。
本シーズンより、番組内アニメとして「きかんしゃトーマス」の放送が開始。脱・乗り物化が進むのりスタに歯止めがかかるかと思ったが、ダンスコーナーなどが削除されアニメのみの番組となった。
この「トーマス」放送に合わせ、第4期からハイビジョン政策へと切り替わった。
また、これ以降毎年番組タイトルが変更されるようになった。

のりスタ100%(第5期)

2009年度。のりスタ1期以来残ってきた、海外アニメ「ボブとはたらくブーブーズ」の放送は今季限りとなる。ついに「のりものスタジオ」であることを忘れてしまう時が来てしまったのか。

のりスタピッピー!(第6期)

2010年度。まさかの「きかんしゃトーマス」も今期で放送を終了。放送開始10周年を迎えたシリーズであるが、開始当初と近しい内容には戻れなかった。

のりのり♪のりスタ(第7期)

2011年度。トーマスが消えた後も乗り物要素を残そうと、「のりものたんけんたい」というコーナーが始まった。*2
しかし、女児向け作品が主軸のラインナップとなり、乗り物コーナーの方が居心地が悪かっただろう。

のりスタMax(第8期)

2012年度。ハム太郎が登板した最後のシーズン。

のりスタNEO(第9期)

2013年度。

のりスタE-ネ!(第10期、最終シーズン)

2014年度。英語教室「イーコラボ」とのタイアップのため、英語教育メインの番組になってしまう。
それでも、海外で製作された乗り物関連のアニメ「ロボカーポリー」がシーズン前半は放送され、何とかタイトルに合わせた内容が含まれていたが、打ち切られてしまい、後半期は吉本芸人の出演するバラエティーコーナー「でぃおげねす騎士団」が始まり、完全にタイトルと番組内容があっていない状況になってしまった。そのまま、平日朝7:30〜8:15の45分枠に生放送の情報ワイド『チャージ730!』を立ち上げる事が決まったため、シリーズも終了し、「終わらせるためにわざと乗り物と関係ない内容にしたのではないか」という邪推もされている。
本家Wikipediaにも「乗り物に全く関係ない番組になってしまった」とまで書かれている。
後に「複数のミニアニメをまとめた」というコンセプトの番組は2025年同局で現在放送中の「イニミニマニモ」、幼児向けの教育番組は同じく放送中の「シナぷしゅ」とかに受け継がれているが、残念ながらのりスタの場合はそうしたコンセプトが元々の当初のコンセプトとぶつかりあってしまった結果、どっちつかずの迷走した内容となってしまったのである。

主な番組内コーナー

YouTubeで配信されているものを中心に、記述する。

ハンドルじいさんののりもの大百科

第1期においての乗り物紹介コーナー。ハンドルじいさんやひゃっぽ、ハンドルくん乗り物を紹介しながら、ひゃっぽの故郷である「のりーぽん星」を目指すストーリーも展開された。定期的にコーナータイトルが変更され、へにょろうと女優の活躍する「のりものメガ百科」、ストーリーが撤廃され、実写出演者も登場しない「のりもの55G」、「のりものGOGOGO」と続いた。

のりものブックのりブー

第2期における乗り物紹介コーナー。「のりもの55G」以降のフォーマットに近いが、2択クイズを行う場合がある。
また、通常はエンジンくんが紹介するが、鉄道関係はダッシュが紹介することもあった。

おもちゃ大陸プトラパトラ

第1期初期に放送されたドラマ。トミカ・プラレールの販促作品で、それら構築された世界を旅する作品。前番組で放送された冒険アスファル島の系譜を継ぐ作品であり、アスファル島に登場した乗り物のキャラクターも一部登場しているため、一部ファンからは続編扱いを受けることもある。
また一部オリジナルキャラクターやストラクチャーは製品化されている。

スーパートレインがんばりダッシュ

第2期初期に放送。当時のスポンサーであるタカラが出していた玩具、ポケトレインの販促アニメでもあり、見習いトレインドクター、ダッシュの活躍を描くショートアニメ。実在の鉄道車両が登場人物として登場する。
なお、ダッシュは第2期から第3期前期まで、番組のレギュラーキャラとして扱われていた。

ダッシュののりものチェック/ダッシュののりものチャレンジ

第3期初期の乗り物紹介コーナー。「チェック」は「55G」の系譜を継いだ、乗り物を紹介するコーナーで、特筆事項として、放送当時開業から1年経過する直前ごろのつくばエクスプレスを数週間にわたって特集したことも。「チャレンジ」は「のりブー」の2択クイズを引き継いだ作品で、乗り物のサイズなどのデータを、動物と比較するクイズを出している。

N-1グランプリ

第4期の乗り物コーナー。「のりものチャレンジ」が好評だったのか、今回は乗り物同士の比較クイズ。

冒険!でぃーボーイ

タカラの知育玩具『おはなしせんせい』*3の販促作品。
本の世界をでぃーボーイとマナブくんが冒険し、指令に挑むアニメ。
『のりスタ!』仕様品としてでぃーボーイ型の本体とカートリッジの『おはなしせんせい』も発売された。

主要なキャラクター

ドン・ファン

(演:笠原竜司)
新幹線のパワーを込めた、愛の舞踏家。オネエ口調で喋り、語尾には「マッチョ」がつく。牛乳を飲めば、いかなる時でも元気が戻る(画面には元気量に相当するゲージが表示され、ドン・ファンが飲み干すと満タンになったのを一緒に見せてくれる親切仕様)。
第1期から第3期まで長い間活躍しており、番組の顔と言うべき存在だった。

簡単に言えば、500系新幹線電車の筋肉質な擬人化。あまりに濃いため当時の500系人気の説明に「こういうキャラデザが成立したし、毎週朝に児童番組に登場していた」として彼に言及する鉄オタが珍しくないほど当時ののりものキッズたちからの知名度は高かった。
ガオガイガーにせよ、ヒカリアンにせよ、やはり500系新幹線をモチーフにしたキャラは人気を得てきたという証でもあろう。

また先述したように笠原竜司さんが中の人故か、マッチョなだけではなく動きは全般的にキレキレなのは他の出演番組同様。
無表情なアンドロイドというキャラである『逃走中』のハンターと真逆のキャラ故に、その辺が疎い元キッズ達に同じ人だと聞かせたら驚くだろう。

視聴者企画の「観てくれているみんなの幼稚園を訪問する」を担当しているのも彼で、このシーズンののりスタは原則「ドン・ファンと訪問先の幼稚園のみんなによる主題歌「世界はピーポー」を踊るダンス(といってもなかば体操に近いかも?)」から始まる。
余談だが、この「世界はピーポー」は2000年代らしいユーロビート調のハイテンポなダンス曲でもあったが、非常に早いテンポ故に、番組開始当初は踊りについていけない子供達が多かったので、後に踊りやすいスローなテンポのバージョンが使われるようになった。
また、後に70〜80年代前半のディスコミュージック風にアレンジされた「フィーバーバージョン」も制作されたりしており、2007年12月5日放送分でドン・ファンと一緒に踊った子供の数は7万人を超えたという記録が残っている程。
それ以外でも、この頃のお遊戯会や運動会などでも使われていたりする程の人気だった。これを見ているであろう元のりスタキッズの人は一度はこの曲で踊った事は無いだろうか?

べいやん

(CV:並木伸一)
ブルドーザー型のロボット。ドンファンの弟子。好物はお米。
語尾に「~べい」を付ける田舎者キャラ。
食品メーカー桃屋がスポンサーだったため存在していたキャラクターで、べいやんが登場する桃屋のCMも放送されていたが桃屋のスポンサー撤退によりドン・ファンより1年程早い2007年3月に降板した。

ひゃっぽ

(CV:千葉千恵巳)
のりーぽん星の王子。オレンジ色の全身タイツを着たような見た目をしている男の子で、地球に来た時、バスの時間を守らなかったことで乗り遅れ、母と別れてしまった。
上述ののりもの大百科では、母を探して奮闘するシーンがあちこちに見られる。
彼もおおむね番組のメインキャラ格に相当し、番組内楽曲の公式CDなどではセンターを務めているものも。

じゅっぽ

ひゃっぽの弟。赤ちゃんながら天才的な頭脳を持ち、のりーぽん星と地球を行き来するバスの改良を行なったものの、諸事情で地球から帰れなくなる。ただし、ひゃっぽとは再開できた模様。

のりーぽん星女王

ひゃっぽ・じゅっぽの母。ひゃっぽを探して地球のあちこちを移動するも、なかなか会えないことも。特急小江戸号の車窓に見えたのが一番のニアミスか。

ハンドルくん

地球にいた、ハンドル族の少年。紫色の体に、初心者マークがついている。
語尾に「らせら」をつけ、興奮すると「パラリラパラリラ」と暴走族のクラクションのような雄叫びを上げる。
父親(通称:ハンドルとうちゃん)はレーサー。

ハンドルじいさん

ハンドルくんの祖父。乗り物大学教授。「だのだ」と言う語尾でしゃべる。物知りなのだが、時折ジョークを交えて喋り、ひゃっぽやハンドルくんにツッコミを入れられることも多い。
ハゲを気にして、頭にワカメをかぶっていたこともある。孫もハゲてるけど。

ブロンコ

(CV:ミック・ボンド)
のりスタ初期の英語コーナーを担当していたキャラクター。
モチーフは往年のプロレスラーのスタン・ハンセンで、子供にはわかる訳が無い。
元ネタの人物と典型的なアメリカ人キャラを合わさってか(?)アメリカンな車に乗っていつも騒がしく乱暴運転しては事故を起こしている。
まぁ、元ネタが「ブレーキが壊れたダンプカー」と呼ばれていたけど、乗り物を扱った番組でいつも車で乱暴に運転して事故るのは流石に不味いだろ。
ひゃっぽに質問されると出鱈目な答えをし、場を去る時にはいつも「この刈り上げー!」や「この稲荷寿司ー!」と叫んで車を発進させていたが、ブロンコさんのガールフレンドの「キャンディちゃん」が彼女になってからはいつもの騒がしさから丸くなった。

その後の展開

末期の2013年まで放送されていた新幹線コーナーが好評だったことを受けJR東日本協力の元「E5系が変形するロボット作品」の計画が始動。『Project E5』という名で2014年の東京おもちゃショーで出展。
最終的に『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』としてシリーズ化した。

2023年7月、youtubeにて本番組シリーズの乗り物に関係するコーナーを公式でアーカイブ配信する「のりスタチャンネル」が開設された。
現在は毎週金・土・日曜日に動画が更新されている。
なお、諸事情により一部内容をカット・変更していたり、公開されていない回もあるため、完全なものを見たい場合は当時の録画しかないことには注意が必要。
アニメ類については版権が自社内で完結しているもの*4のみ公開されている*5。尚チャンネルのヘッダーと一部のMVにはでぃーボーイの姿を確認出来ることから『冒険!でぃーボーイ』の公開は可能なはずだが現状配信が始っておらず、理由は不明。
ともあれ、あの頃の懐かしい気持ちに浸りたい人は是非とも見てはいかがだろうか。

2025年1月21日には本作の事実上の後継番組『トミプラワールド のりのりタイムズ!!』の放送が決定。同年4月7日から放送開始され、司会役には今なお子供達にも絶大な人気を誇る芸人、小島よしおが務める。
放送局は同じテレビ東京系列で、タイトルの通りトミカとプラレールの販促がメイン。
『のりスタ!』同様の実車映像コーナーでは主に自動車を『カーグラフィックTV』風に紹介する「カーッコイーTV」、鉄道では『いい旅夢気分』風に紹介する「いい旅鉄気分」というまさかの「のりスタ!」初期の時代を彷彿とさせる(?)癖のあるパロディーを見せている。「いい旅夢気分」は同じテレビ東京なのだが、テレ朝系の「カーグラTV」をパロっても大丈夫だろうか
もちろん『シンカリオン』含むアニメコーナーも併せて放送されている。


追記・修正はドンファンと踊ったことがある方にお願いします。

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最終更新:2025年04月23日 17:47

*1 本番組のエース格にして名物ダンサー、ドン・ファンの外見に関してはこうとしか説明しようがない。一応直前の他局番組のゴーイエロー/ダイモンと共に子供たちへの牛乳普及に活躍したなど決してイロモノに終わったわけではないが

*2 バンダイビジュアルが1995年から2005年まで「のりもの探検隊」というタイトルの、乗り物を題材にした教育ビデオを製作・販売していたが、こちらとはただ名前が被っただけである。「探検隊」の方はNHKが製作に関与している

*3 本体にカートリッジをセット、ソフト別のシートをタッチペンでタッチすることでタッチ箇所に応じたサウンドが出る。

*4 『おもちゃ大陸プトラパトラ』『スーパートレインがんばりダッシュ』。

*5 但し『スーパートレインがんばりダッシュ』内で『ボブとはたらくブーブズ』について言及するシーンがそのまま公開されている。