ガンダリウム合金

登録日:2025/10/05 (Sun) 11:38:00
更新日:2025/10/19 Sun 13:54:55
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ガンダリウム合金とは『機動戦士ガンダム』をはじめとした宇宙世紀を舞台とするガンダムシリーズにおいて度々登場する仮想の複合金属である。
作中設定としては、宇宙世紀においてモビルスーツ(MS)やモビルアーマー(MA)の装甲および内部フレームとして広く用いられる高性能合金とされている。

ちなみに『新機動戦記ガンダムW』に登場するのは「ガンダニュウム合金」であり、別物である。


概要

ガンダリウム合金は、高純度のチタンを用いたチタン合金である。
また、放射線を遮断する特性を持つ磁性を帯びているのも特徴。
そのチタンを低重力下である月面で還元精錬することでガンダリウム合金が完成する。
このガンダリウムは硬すぎるが故に加工性に欠け、さらに特殊な製造方法故に高価で量産性に欠けるという欠点があった。
ただし後述するように、原初のガンダリウムが抱えていた課題は後の改良型で改善されていくこととなる。

なお制作当初は「ルナ・チタニウム合金」と呼ばれていたが、一年戦争で活躍したガンダムにあやかって「ガンダリウム合金」と名称を変更し、以降の改良合金もガンダリウム〇〇という名称になっている。


ガンダリウム合金の種類

ガンダリウムα

ガンダリウム合金の初期型。
高剛性・高耐熱を誇る一方で硬度が高過ぎるので加工が難しく、原料として高純度チタンや希少金属を必要とするため量産には不向きだった。
ルナ・チタニウムという名称の通り月 または 資源衛星ルナツーで採れる高純度のチタン金属が必要で、量産は難しかった。
実際にガンダムには採用されているがその量産機であるジムには採用されていない。
というかRX-78等に使われたルナ・チタニウム合金をこう呼ぶとも、ルナ・チタニウムとガンダリウムαは別に存在するとも書かれていたり、
月でしか原料は採れないとか、原料はさておき月の重力下でないと精錬ができないとか設定が混在しまくっていた。
いずれにせよ月でしか作れないというなら一年戦争でずっと月を支配していたジオンよりも連邦が先に実用化できるのはおかしい。

ガンダリウムβ

詳細不明。ガンダリウムαとγの中間地点という以上の確たる情報が存在しない。
ネモマラサイなどの量産機に使用されていたという記述もあるが、『機動戦士Ζガンダム』内では言及がなくムック本での解説もまちまちである。
現状で明確なのはガンダムMk-Ⅲ“ハーピュレイ”の装甲材質として採用されたという位。ただし「既にγがあるのに今更βを使ったせいでしょっぱい性能になった」というネガティブな設定である。

ガンダリウムγ

原初のガンダリウムαのデッドコピーに成功したアクシズの技術者がαを更に改良し完成させた合金。
ガンダリウムαよりも軽く硬い一方で瞬間的には柔軟性にも長ける、その上でガンダリウムαの課題だった加工性と量産性も希少金属をケイ素やマグネシウムで代用することで改善・向上しているという夢のような金属である。
クワトロ・バジーナという謎の人物によってアクシズからエゥーゴへガンダリウムγの情報が提供され、エゥーゴ初の新型MSに使用される事となった。
エゥーゴの指導者ブレックスは合金の名前にあやかって新型機を「γガンダム」と名付けようとしたが、クワトロに思い留まるよう説得されリック・ディアスの名で完成した。
このガンダリウムγとガンダムMk-Ⅱがもたらした優れたムーバブルフレーム技術の融合が、後に高度な可変MSであるΖガンダムを実現させる事となる。

実のところ、コレが作品として(『Ζ』で)初めて言及された「ガンダリウム合金」であり、γから遡及してβやαの設定が作られ、それ以前から存在したルナ・チタニウム合金の設定と辻褄を合わせて統合されたといった形になる。
『Ζ』の企画書の段階で冒頭に示したルナ・チタニウム合金の特性はガンダリウムの特性として設定され、
今作ではさらなる性能向上によって軽くて硬く稼働部は柔軟性を発揮するとされていた。

この時期になると上述した月でしか作れない設定については「地球連邦軍の月面工廠」というよりも「アナハイム・エレクトロニクスの(民営の)月面工場」と言った方が正確であるため、AE社の協力を取り付ける政治力や、軍事的に地域としての月を実効支配できるだけの武力があることは「ガンダリウムγの安定供給、も手に入る」として非常に大きな意味を持つ
…はずだったんだが、実際にはそのAE社が「エゥーゴともティターンズとも、なんならハマーンのネオ・ジオンとも実態としては商取引を持つ*1」という一言頼まれれば誰にでも股を開くような真似いろんな意味で終戦から遠ざかるような行為を当然のように働いていたため、実際には全勢力にガンダリウムγを前提とする技術や機種はバラまかれていた。

メッサーラ(MA)の装甲材質

劇中ではパプテマス・シロッコが開発した以上の描写が無く、ガンプラではガンダリウム合金としか書かれていないが、
一部の書籍で「独自の研究によりγ型に近いガンダリウム合金を開発」という説もある。

ガンダリウム・コンポジット

ゾディ・アックドーベン・ウルフザクⅢ改等のネオ・ジオンの兵器に使用されている合金。
しかし、ガンダリウム合金としか記載のない機体も多々ある上、劇中や関連雑誌でも何も触れられないので詳細は不明。
なおコンポジットとは複合材料という意味で複数の素材を組み合わせて新たな効果を狙って作り上げた物質を指す。
金属を組み合わせた合金(alloy)も定義的にはコンポジットなのだが、あえて表記を変えている以上は
従来のガンダリウムに何か新しい素材や技術を組み合わせて性能を高めたものと思われる。

ガンダリウムε

ガンダリウムγを更に改良した金属。
イプシィガンダムへ採用することを目的とし、核パルス推進機構ブロッサムの負荷に耐えうる強度を求められ開発されている。
しかしイプシィガンダム共々実際に生産されたかは怪しく、試作機までしか確認されていない。

ガンダリウム合金セラミック複合材

ガンダリウム合金ハイセラミック複合材

ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材

フォーミュラ計画以降の小型化されたMS群に採用された装甲。
上からガンダムF91クロスボーンガンダムVガンダムおよび同時期の連邦軍モビルスーツの装甲に用いられている。
UC0120年代以降のMSと言えばマルチプル・コンストラクション・アーマー構造が特徴だが、関連があるかは不明。
またガンイージ・プロトタイプの設定によればガンダリウム合金の地肌の色は白とのことだが、どの時代のどのバージョンでも同じ色なのかは定かではない。

ガンマン・マグネット

Gのレコンギスタ』の制作段階で構想されていた架空の金属。
金属組成の中に活性化したプラズマ磁力を封じ込めた金属ガンマン・マグネット。
このガンマン・マグネットが進歩した結果がガンダリウム合金と呼ばれた。
ガンダムという呼称はこのガンダリウム合金から来ているとされている。

……これまでに語ってきた宇宙世紀の歴史と真っ向から矛盾する、命名の因果関係が真逆の設定である。*2
こうなったのもGレコにおけるR.G.は既存の宇宙世紀からの繋がりではなく、宇宙世紀の歴史を部分修正したいという意向の現れだろうか。
『Gレコ』本編ではガンダリウム共々、名前が出ていないのでどこまで採用された設定なのかは不明。
ただし後に『F90FF』にてガンダリウム合金の材料としてガンマン・マグネットという名称は登場した。


未来世紀におけるガンダリウム合金

正式名称は「ガンマ・ユニフィケイショナル・ディマリウム合金」であり、ガンダムという呼称そのものがこの素材名の略称から生まれたという。
ディマリウム合金そのものが精神波・感情エネルギー・重力子制御・自己進化など、サイコフレーム的な超常性質を多数備えており、DG細胞デビルガンダムのような“暴走する技術”の根幹にもこの素材が関与しているとされる*3
ガンダリウム合金は、ガンダムファイト用モビルファイターにのみ使用が許可されており、ガンダムファイト実行委員会による配給制が敷かれている。
その装甲は2000倍の重力下でも微塵も変形せず、爆心地にあっても原形を保つほどの耐久性を誇る。
さらに、精神波を受けることで金色に輝き、性能が飛躍的に向上する“ハイパーモード”を発現するなど、パイロットの感情と連動して機体性能が変化するという、もはや“魔法”の領域に突入している。


ギガンダリウム合金

SDコマンド戦記のガンダム達の装甲材質。
後のシリーズで以下のような派生も登場。

ギガンダリウムα

キャプテンガンダムFF、スターガンダムGP01、スターガンセイヴァー、スターガンパンツァー、ガンキラーIIの装甲材質。
多分連邦宇宙軍の金属と思われる。

ギガンダリウムZ

海賊騎士キャプテンレッドの装甲材質。

ギガンダリウムΩ

キャプテンF91とコマンドF90の装甲材質。
多分太古の戦神の金属と思われる。

ギガトロニウム

フューラーコマンダーの装甲材質。
多分マスクコマンダー時代のギガンダリウム合金とザタリオン系のザクトロニュームの合成と思われる。



ガンプラ

過去にはガンダリウム合金を再現したチタン合金装甲のガンプラが発売されている。
1/144サイズのRX-78-02ガンダムを装甲部分は金属、関節部分はプラスチックを組み合わせて制作されており、コーティングでは出せない実際の金属らしさが特徴的。
なおガンダリウム合金製のパーツはニッパーでは切れないため予めカット、ゲート処理されたものが封入されている。
なおその価格はなんと220,000円である。


追記・修正はガンダリウム合金を装甲に採用した機体にお願いします。

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最終更新:2025年10月19日 13:54

*1 一応「支社や工場の派閥と異なる勢力」については裏取引や闇取引を主とはしていたとされる

*2 ちなみに、前述のガンダニュウム合金とW系ガンダムも同じく「ガンダニュウム合金製だからガンダム」の因果関係である。

*3 ちなみに、未来世紀では地球がスラム街化しているにもかかわらず、こんな代物が反重力椅子から盗賊団の龍型マシン、果ては一般車両にまで使用されている可能性がある