フォーミュラ計画

登録日:2021-06-30(水) 00:55:17
更新日:2025/04/27 Sun 19:57:17
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フォーミュラ計画機動戦士ガンダムF91を中心とした関連作品で登場するモビルスーツ開発計画である。

+ 目次

前史

フォーミュラ計画の立ち上がりには、まず前提としてモビルスーツの小型化の流れが存在している。

一年戦争以来、モビルスーツの進化は際限なく続いていた。
だが、それに伴ってサイズの大型化と構造の複雑化も進み、整備面の確保や運用するための艦艇の改修、あるいは新造も求められた。
こういった、いわゆるモビルスーツの恐竜的進化ジオンという仮想敵が居た頃には有用だったが、
そのジオンという仮想敵が失われたシャアの反乱を境に、膨大な運用コストという負の面が浮き彫りとなってしまったのである。

宇宙世紀0102年頃、連邦軍はそんな恐竜的進化に危機感を抱き、このままでは量産機ですらさらに大型、複雑化し、
それに伴う運用環境の更新も求められる(=さらにお金がかかる)のではと危惧していた。
そんな中、連邦系企業のサナリィが独自の研究を基にモビルスーツの小型かつ高性能化は充分に可能であるとの提言を連邦軍に行い、
連邦軍もこれを受け入れ、アナハイム・エレクトロニクス社(AE社)に小型モビルスーツの開発と生産を依頼する。
これがモビルスーツの小型化の始まりである。

しかし、AE社はモビルスーツの小型化に対して乗り気ではなかった。
これについては諸説あるものの、一般的にはモビルスーツ事業が生み出す利益が小型化により減ってしまう事を危惧しての反応だったと言われている。
とはいえ、連邦軍の依頼を無視することも出来ないので、AE社は5年の歳月をかけて初の連邦系小型MSであるヘビーガンの開発に成功する。

そうして連邦軍に渡されたヘビーガンは、確かに機動力と運動性こそ現行機のジェガンより優れていたものの、
他の部分はほぼジェガンと変わらない、小さくなっただけのジェガンと言われてしまうようなものだった。
一応はジェガンより優れていたのでつなぎとして採用はされたものの、連邦軍はこれに満足せずコンペを行い、新たな小型MSを求めた。
連邦だけではなくサナリィも同様にヘビーガンの性能に不満を抱き、次世代小型MSの開発計画であるフォーミュラ計画を連邦の承認の下スタートする。
AE社も流石にまずい状況であることに気付いており、挽回のためジオニック事業部によってコンペ用MSの開発を加速させた。

そして、コンペの最終審査にはAE社のMSA-0120とサナリィのF9が残り、第二次試験の模擬戦でF9がMSA-0120を圧倒。
この結果、小型MS開発の主導権はサナリィが握る事となった。


フォーミュラ計画のモビルスーツ

フォーミュラ計画に属するモビルスーツはいずれも15m前後の小型であり、前時代のモビルスーツよりも優れた性能を発揮している。

型式番号はいずれもFから始まり、Fに続く数字がその機体が属するカテゴリを表している。
番号 意味
F5 AFV(装甲戦闘車両)型MS
F6 局地戦機
F7 支援機
F8 量産汎用機
F9 試作、主力機
F0 ナンバーのみ存在し不明
この番号にさらに続く数字がそのカテゴリ内での開発順となる。
ただし、F6シリーズはナンバーが用意されたものの後に廃止され、またF0シリーズはこれに属するモビルスーツが存在せず、有名無実のナンバーと化している。


F5シリーズ

F50D

サナリィが以前に開発したロトの流れを汲むモビルスーツとされているが、資料が少ないため詳細は不明。
一説には『F91』に登場したガンタンクR-44がこれの改造機や後継機であるとされる。


F7シリーズ

F70 キャノンガンダム

F90 Sタイプをベースに開発された火力支援機
支援機としてブラッシュアップしたことで、一部で原形機以上の優れた性能を出せるようになった。

F71 Gキャノン

キャノンガンダムをAE社でデチューンした量産仕様。
(当時の)連邦にとってキャノンガンダムの性能はまず間違いなく持て余してしまうものであったため、
価格を抑えるのと整備性の向上を兼ねて、AE社でキャノンガンダムをベースに再設計、生産された。
しかし、この裏には連邦内の親AE派が糸を引いていたという説もある。

F8シリーズ

F80 ガンレイド

F90の汎用量産機の原型として開発された機体。本格的な活躍は漫画「機動戦士ガンダムF90クラスター」が初出。
ミッションパックに対応しており、死神三銃士の機体も使用していた。


F9シリーズ

F90

サナリィ躍進のきっかけとなったフォーミュラ計画の中心機。コンペ時はF9という名前だった。
最大の特徴は換装によって大きく姿を変えるミッションパック機能である。
このミッションパックを装備した形態をベースとして、様々なモビルスーツが生まれた。
逆に、ミッションパックを装備していない状態ではシンプルな武装しか無い、非常にオーソドックスな機体である。

  • F90 1号機
と白のF90-1。アムロモチーフの疑似人格OSを搭載。
多くのミッションパックをテストし、またイレギュラーも含めて多くの実戦へと参加し、デフやベルフといったパイロットと共に伝説を打ち立てた、輝かしい経歴を持つ機体である。また、時期によってカラーリングや形態が異なる2号機および3号機とは異なり、大破しても元の形態に修復されている。

  • F90 2号機
ロールアウト時はと白のトリコロールカラーのF90-2。
だが後にと白をベースとした怪しい色合いに塗り替えられた。
シャアモチーフの疑似人格OSを搭載。
こちらも多くのミッションパックをテストし、またイレギュラーも含めて多くの実戦へと参加。
だが、事故で機体が大破しパイロットも行方不明になる、闇のガンダムおじさんに奪われ魔改造された挙句おじさんごと再び大破、パイロットが死なないと思ったらその父親が死ぬ…と、散々な目に遭っている機体でもある。
オールズモビルに奪われた際にダサい改造を施されたり、修復された際に後発機の新技術で強化されたりと、1号機と比べて大きく改修されてきた。

火星ジオンはこの機体をコピーしてもう1機F90を開発していた。

  • F90 3号機
白を基調に肩と脚の一部がのF90-3。カミーユモチーフの疑似人格OSを搭載。
当初は未完成という設定だったが、実験用の機体として完成していたことに設定変更された。
こちらも戦闘で大破、パイロットも行方不明となり、回収された本機はクラスターガンダムに改修される。クラスターガンダムとしてのロールアウトはF91完成後となる。
クラスターガンダムはミッションパックのYタイプを組み込まれたため、他のF90が持たないコア・ブロックシステムを持ち、F90ⅢYという異名も持っている。
さらに発展形としてF90Y改という機体も存在しているが、資料が非常に少ないため詳細は不明。

  • F90 4号機(予備機)
1号機と同じ若しくはを主体としたカラーとされるF90-4。
1号機と2号機のパーツ取り用の予備機として増産、製造された。
現在判明している5機のF90の中で唯一疑似人格OSを搭載してないという仲間外れ。おまけに搭載する予定だった疑似人格OSは盗まれた上に最近出てきた5号機の方に乗せられ、予備機扱いであるが故に1号機の修理に利用され、挙句の果てに敵のスパイに盗まれて撃墜されるという2号機以上に散々な目に・・・

  • F90 5号機
と白のF90-5。別名マルスガンダム。表向きはサナリィの増加実験機。
その実態は火星ジオンが2号機をもとに複製した機体であり、4号機に搭載する筈だったモデル不明の疑似人格OSを搭載している。

F91

F90のVタイプとNタイプをベースとして開発された高性能機*1
Vタイプ譲りのヴェスバーとNタイプ譲りのサイコミュ、さらにサナリィの最新技術バイオ・コンピュータも搭載される等、かなり盛り盛りである。
0110年代後半にロールアウトしたとされるが、バイオ・コンピュータの調整が上手くいかなかったため真なる完成は0123年まで待つことに。
コスモ・バビロニア建国戦争中にガンダムF91の名前を与えられ、その後はその名で通っている模様。

  • F91 1号機/2号機
サナリィでテストに使われていた2機のF91。ガンプラでは便宜的に「ヴァイタル」と呼ばれている。
違いはカラーリングのがそれぞれで入れ替わっているくらいで、性能的にも全く同一。
主にバイオ・コンピュータのテスト機として使い倒され、その甲斐あって最終的には完成したバイオ・コンピュータの搭載にまでこぎつけた。
しかし、コンペ中にクロスボーン・バンガードの襲撃を受け、彼らの手に渡ってしまう。

  • F91 3号機
先の2機と共に作られた3号機。胸部やヴェスバーの先端が青く塗られており兄たちよりカラフル。
開発途中のバイオ・コンピュータとの相性の悪さからテストにはほぼ参加できず、留守番ばかりであった。
コンペにも完成したバイオ・コンピュータの調整時間が足りなかったため出場できなかったが、おかげで難を逃れる形に。
その後、コスモ・バビロニア建国戦争で大戦果を挙げ、0130年代には地球圏の教科書でパイロットと共に紹介されるほどの大スターとなった。

コスモ・バビロニア建国戦争の後に、連邦軍でハイ・ローミックス運用されたF91の量産タイプ。
バイオ・コンピュータにリミッターがかけられているのと、冷却機能の改良で金属剥離現象が起こらないこと以外はオリジナルと変わっておらず、
量産機としては驚異的な性能を持つが、値段も高くついたため安価な133式ボールと組んでいた。


F97

サナリィが宇宙海賊クロスボーン・バンガードに供給する試作機。通称クロスボーン・ガンダム
表向きは旧CV系MSから続くXM-X〇のナンバーに偽装されているが、紛れもなくフォーミュラ計画の一部である。
当然ながら宇宙海賊にモビルスーツを供給するのはご法度だが、貴重な木星圏での運用データ収集の面からこっそり与えている。
木星圏での運用に耐えうるための珍しいスラスター配置や、接近戦に強い武装と装甲厚、クラスターガンダムから受け継がれたコア・ブロックシステムなど、
他では見ない珍しい仕様が見られ、乗り手も選ぶ試作高性能機らしいスペック。

と白のXM-X1。4機の中ではもっともオーソドックスなF97と言えるか。
何度も改修を重ねながら宇宙世紀130年代を戦い抜いた、宇宙海賊の象徴とも言えるガンダム。木星のトラウマでもある。

全身をく染めたXM-X2。多少見た目は異なるがX1とスペックは変わらない。
パイロットに合わせてベルガ・ギロスのショットランサーを持ち、またV字アンテナには羽の様な意匠が組み込まれている。
後にパイロット共々木星へと寝返り、このせいで木星にフォーミュラ計画の最新技術が渡ることに。

明るい青が爽やかなXM-X3。
両腕部にIフィールド発生器が仕込まれ、ビーム兵器に対して無類の強さを発揮するが、制限時間と冷却時間のせいで無防備になる時間が存在する無責任仕様。
胸部にガトリングが仕込まれたりと、実験機としての色が濃い。

本来ならF97-3の番号を持つはずだったのF97にしてXM-X0。
輸送船が難破してそのまま宇宙を彷徨い続け、ザンスカール戦争の頃に木星共和国によってようやく拾われた。
かつての最新鋭機も20年という歳月により陳腐化しているが、機動性だけは未だに光るものがある。

サナリィが連邦軍に売り込もうとしていた、F97の地球圏仕様。
木星帝国との戦いが地球圏まで飛び火したことでおじゃんとなり、仕方なく宇宙海賊に与えられた。


F99 レコードブレイカー

次世代推進システム、ミノフスキー・ドライブユニットを搭載した実験モビルスーツ。
フレームの7割がF97-Eから流用されており、性能的にはミノフスキー・ドライブの搭載以外に特筆すべき点はないが、
その速さは既存のあらゆるモビルスーツを置き去りにする。
しかし、木星帝国によって実験機3機と予備パーツ、全てのデータが破壊され歴史の闇へと消えた。


番外機

F89

サナリィがF90を作るにあたり、たたき台として生み出した18m級の大型モビルスーツ。
この機体からダウンサイジングする形でF90が生み出され、F90の完成後もF90と並んでテストに投入された。
F90の前身なのでF89というネーミングのため、F8シリーズに属しているわけではない。


フォーミュラ計画のその後

宇宙世紀0136年以降のサナリィの足跡が定かではないため、フォーミュラ計画がどうなったのかも定かではない。
しかし、フォーミュラ計画で培われた技術に関しては、その足跡をある程度見出すことが出来る。

ザンスカール帝国のモビルスーツは、サイド2にあったサナリィの支社を吸収した軍事部門のベスパが開発しており、フォーミュラ計画の血が流れているとされている。

ザンスカールに対するリガ・ミリティアにもサナリィに所属していたメンバーの参加が確認されており、
ミノフスキー・ドライブの実戦投入に成功したのはサナリィの元研究員だったミューラらの手によるものとされる。
また、リガ・ミリティアの主力MSであるヴィクトリータイプはF90Y改によく似た変形、分割方式を採用しており、F90Y改の直系であるともされる。

木星帝国は手に入れたF97-2のデータを取り入れ、自国産モビルスーツの性能を大きく向上させた。
また、F99のデータも破壊時に持ち出しており、木星共和国時代にミノフスキー・ドライブ搭載機を開発するなど、手に入れたデータを余すところなく活用している。
その後も、共和国で運用されたXM-X0をベースとして量産化に取り組むなど、サナリィ様様のモビルスーツ開発を続けている。





追記、修正は悪魔の力を感じてからF92~96、F98の詳細を知る方によってお願いします。

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最終更新:2025年04月27日 19:57

*1 Nタイプに関しては情報が錯綜しているためベースとされたのかが不明瞭だが、本項ではNタイプもベースとなった説を元にして記述する