虹村形兆(ジョジョの奇妙な冒険)

登録日:2012/07/18 Wed 22:43:18
更新日:2024/04/22 Mon 03:26:48
所要時間:約 9 分で読めます





「スタンド」というのは車やバイクを運転するのと同じなのだ……
能力と根性のないウスラボケはどんなモンスターマシンに乗っても
ビビってしまってみみっちい運転するよなあ



虹村形兆はジョジョの奇妙な冒険第4部『ダイヤモンドは砕けない』の登場人物。

CV.志村知幸(アニメ版)/東内マリ子(アニメ版:少年期)
演.岡田将生(実写映画版)

【概要】

年齢18歳。東京都出身。虹村億泰の2歳年上の兄。
弟の億泰と同じ型の『兆』『TRILLION』等の装飾を施した改造学ランを着ている。
筋肉質な長身は弟と共通しているが、顔立ちは端正であまり似ていない(作中仗助が復元した家族写真から見るに形兆は母親似で億泰は父親似らしい)。
後述の理由からどこか荒んだ表情をしており10代の若者とは思えないほど老成した雰囲気を醸し出している。

性格は極めて神経質で、自分でも認める程の几帳面。その性質を表した、


おまえは一枚のCDを聞き終わったら
キチッとケースにしまってから次のCDを聞くだろう?
誰だってそーする おれもそーする


というセリフは、ジョジョファンの中では彼の名台詞として認識されている。
計算高く物事を進める一方で目的のためには手段を選ばない強引かつ冷酷な面がある。
人生哲学は『人は成長してこそ生きる価値あり』で、スタンド能力はそれを生かすも殺すも本体の精神力次第であるという事実に独力で到達している。

その目的はDIOの死と共に植え付けられた肉の芽が暴走し、不死身の怪物となってしまった父親を殺すこと。
スタンド使いを増やしていたのも、父に死を与えられる能力者が現れることを期待してのことだった。
父親を容赦無く虐待しており、億泰に対しては辛辣な物言いをした上で攻撃に巻き込んでも意に介さなかったが、
父を死なせて楽にしてやりたいという言葉や、憎まれ口を叩きながらも億泰を守り散っていった最期から、内心では彼なりに家族を愛していたものと思われる。

なお、杜王町の事も「ステキな町」と彼なりに気に入っていた様子である。

【スタンド】



ほ~~~ら

我が軍隊の美しい幾何学模様が出来てるだろう~~~?


スタンド名:『バッド・カンパニー(極悪中隊)』
破壊力-B
スピード-B
射程距離-C
持続力-B
精密動作性-C
成長性-C

歩兵60名、戦車(話数が進むにつれ、デザインがM1エイブラムスからT-55に変化している)7台、
AH-64 アパッチ攻撃ヘリ4機で構成されているミニチュア軍隊のスタンド。
シリーズ内では『スタンドはひとりにつき一体』という3部から続く固定観念を拡張し、
『群隊型』というヴィジョンの表現を確立した最初のスタンドでもある。

操縦士はいるが、戦車やヘリの縮尺が歩兵と合っていないため、戦車は戦車、ヘリはヘリで独立したヴィジョンなのだろう。
TVアニメ版では本体ともども蒼いスタンドエネルギーに包まれている。
一応独自の意思を持つタイプのスタンドであるようでショッカー戦闘員を髣髴とさせる「イー」という奇声を上げる事がある。

◆能力

本体である形兆、あるいは隊長格の個体の号令に合わせ、一糸乱れぬ規律正しい動きで陣形を展開、作戦行動を遂行する。
『クレイジー・ダイヤモンド』が投擲した釘をピンポイントな狙撃で撃ち落とすなど、攻撃の精度や反応速度もかなり高い。

群体型スタンドであるため、数体倒されたところで本体にはダメージはほとんどない。高所から飛び降りる際には落下傘を展開する。

スタンド軍隊の武器のサイズは小さいが威力は本物であり、歩兵のカービンライフルに地雷、戦車の砲撃、
ヘリのミサイルでの攻撃は建物の壁程度なら容易に貫通し、直撃すれば手足は吹き飛ぶ殺傷力を誇る。
おそらく弾切れや空気抵抗による命中率の誤差や射程の減衰も無いと思われる。
また、ナイフを使うグリーンベレーもおり、アンジェロの監房への侵入にもこれらの工作を利用した可能性がある。

複数のスタンドで構成されていることから、本体へのダメージフィードバックの希薄さやシンプルな破壊力を目的に合わせた形で自由に運用できる汎用性など、
形兆の計算高い用兵術も相まってかなり高性能かつ強力なスタンド。
劇中のように物陰が豊富な暗室内での防衛戦は『バッド・カンパニー』にとってはまさに独擅場といえる。

その一方で、仗助の復元ミサイル攻撃や『チリ・ペッパー』の出現のような、形兆の想定外の奇襲に対しては充分な反応速度を発揮できないのが最大の弱点。

なお、原作では仗助がそのヴィジョンを形容する際に「G.I.ジョー」と言っていたが、TVアニメでは商標の問題か「おもちゃの軍隊」と言っている。

スタンド名の由来はイギリスのバンド「バッド・カンパニー」。


【劇中の活躍】

第4部最初の敵スタンド使い『アンジェロ』こと片桐安十郎仗助承太郎が追い詰めた際、
彼にスタンド『アクア・ネックレス』を発現させた黒幕として回想の中で登場。

若いようにも年寄りのようにも見える学生服を着た男であり、アンジェロが収監されていた獄内に忽然と出現。
謎の弓と矢によってアンジェロを射貫きスタンド使いにした後、脱獄後杜王町に来るようそそのかすような発言と共に去っていった。

この時のイメージは鷹揚な態度や金髪にも見える髪、影で隠れた素顔など、かなり第3部序盤のDIOを彷彿とさせるものとなっている*1

この時期に前後して杜王町で多くの住民を矢によりスタンド使いにしており、
以降登場するスタンド使いが形兆の手によるものだった、と判明するケースも少なくない。
この過程で不適合者を既に何人か殺害してしまっている。
その後、無人と思われた東方家の近所にある洋館に好奇心から近付いた仗助&康一を弟の億泰が敵視し攻撃を仕掛けた事がきっかけで本格的に彼等と敵対。
上階の窓から康一を矢で射て致命傷を与える。

億泰を退けた仗助の前に姿を現し、彼と億泰との戦いの最中に回収していた瀕死の康一を人質に、仗助を館内に誘き出す。
この際、出血が激しくなるにもかかわらず瀕死の康一から矢を引き抜いたり、自身のスタンド攻撃に億泰が巻き込まれても一切の情けも見せず射線に割り込んできた彼を罵倒するなどの冷酷さを見せた。
その後、億泰の助けもあって康一を奪還し、『治す』ことに成功した仗助を殺すため、彼と康一に接触。
規律正しい群体(軍隊)型スタンド『バッド・カンパニー』の猛攻で仗助を追い詰めるも、
一旦炸裂したスタンドのミサイルを『直し』、本体である形兆の元に戻らせるという仗助の奇策に敗れた。

自身を倒した後、仗助たちが上階で『弓と矢』『飼われていた』虹村兄弟の父親を発見してしまったことから、
自らの過去と矢を使って杜王町でスタンド使いを増やしていた目的を吐露。
仗助の協力で父が未だに過去の人格を保っていることが判明し、弟の億泰が改心する中、既に罪を犯していることもあってか頑なに矢を手放すことを拒む。
しかし、突如乱入してきた『レッド・ホット・チリ・ペッパー』の奇襲から億泰を庇ったことで反応が遅れ、致命傷を負ってしまう。


億泰ゥーッ!ボケッとしてんじゃあねーぞッ!
兄貴ィーッ

その最期は弓と矢を『チリ・ペッパー』に強奪され、自身は高圧電線内で感電死させられて電信柱に架けられるという無残なものだった。

億泰は兄の死を「自業自得」と言いながらも、最後に庇ってくれた兄の「優しさ」と、それを踏みにじった『チリ・ペッパー』に怒りを隠せないでいた…。


【余談】

◎ファンの間では冷徹ながら筋の通った信念や億泰に対する秘めた愛情から、
プロシュートエルメェス(ヘイッ!)と並ぶ『ジョジョ三大兄貴』として尊敬を集めている。

◎彼のスタンド『バッド・カンパニー』の書き込みの細かさは尋常ではなく、歩兵の装備などはミリタリー漫画さながらである。
彼の早期退場の理由も、『群体型のスタンドを描くのが面倒だったからではないか?』という説があったり……

◎スティーブン・キングの小説『戦場』に『バッド・カンパニー』と類似した描写がある。

◎舞城王太郎の公式二次創作小説「JORGE JOESTAR」では虹村兄弟のパラレル的存在として虹村不可思議無量大数なる兄弟が登場(なんつー名前だ……)
しかし、2人はよく似た双子の兄弟でなおかつベースとなっているのは億泰。形兆に相当するキャラクターは登場していない。

◎なお、第4部が連載されていた後にはハリウッド映画で「おもちゃの兵隊」が活躍する映画が公開しており、1995年(日本では1996年)に公開された「トイ・ストーリー」ではグリーン・アーミーメンなるキャラクターが登場しており、1998年には後にドリーム・ワークス制作による映画「スモール・ソルジャーズ」が公開されているため、事実ある意味でハリウッドよりも先駆けていたと言える。



【そして……】



吉良吉影との最終決戦で致命傷を負い、死亡したかと思われた億泰。

だが、彼は帰ってきた。
そして、彼は奇妙な「夢」を見たと言う。

その「夢」…臨死体験の中で、形兆が登場した。


オレ……変な「夢」を見たぜ…
オレ…夢の中で暗闇を歩いてるとよぉーー、
光が見えて、おれの死んだ兄貴に会ったんだ。「形兆」の兄貴さ……。

『どこへ行くんだ、億泰』
…って……兄貴が、オレに聞くんだ。

オレは…
『兄貴について行くよ』
…って言った…
だって、形兆兄貴は、いつだって頼りになったし…
兄貴の決断には、間違いがねえから安心だからな…

そしたら、兄貴は…

『おまえが決めろ』

って言うんだよ……
『億泰…行き先を決めるのは、おまえだ』
ってな…

…オレは、ちょっと考えてよ…
『杜王町に行く』
って答えたら、目が醒めたんだ… とてもさびしい夢だったよ。


…かくして億泰は九死に一生を得、生還を果たした。

物事を決断するのが苦手で、常に自分の指示を仰いでばかりいた弟が、自分の意志で進むべき道を決めた。

それを見届けた彼は、生前見せることの無かった「兄」としての優しい微笑みを浮かべていた…






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誰だってそーする おれもそーする

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最終更新:2024年04月22日 03:26

*1 また、この後のVS虹村兄弟篇自体が第3部におけるDIOの館戦のミニチュア版という側面を持っている。