ハーレムエンド

登録日:2010/02/14(日) 18:41:54
更新日:2025/02/19 Wed 11:58:39
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ハーレムエンド(HAREM END)


ギャル(エロ)ゲーに用いられるエンディングの一つ。

主人公とヒロイン全てが結ばれるEDで、要は一夫多妻状態。
全員妊娠したり、同じ家に住み込んだり、一斉にHをする等々……の内容が多い。
一部ヒロイン間での百合が絡むケースもある。


漫画やアニメでもハーレムエンドとファンから呼ばれることもあるが、実際のところは誰も選ばない内に終わっただけのことも多い。
これは似て非なるものでありハーレムエンドとは言い難い。
アニメ化の際には無難を重視してか、本来ハーレムエンドなどない原作でもハーレムエンドやこういう感じのものになったりすることがある。


基本は全クリ後やファンディスクのifシナリオに収録される等「おまけ」扱いされている。
稀にTrue√として締めくくりに使用される事もあるが、基本的には少ない。


大抵はハッピーエンドの一つとして扱われるが、バッドエンド扱いされる稀な例もある。


これがないとマイナスの評価をする極端な人もいるが、ぶっちゃけゲーム内容・プレイヤー次第。
特にエロよりシナリオをある程度重視しているゲームの場合はほとんど見かけないし、あまり気にもされない。
また、RPGやSLGなどでは諸々の事情からハーレムエンドがある場合が多い。


ご都合主義的なものなのと、似たり寄ったりな展開(流されるだけ)が多いので嫌っているプレイヤーも多い。
ここらもやはりゲーム内容次第と言えるだろう。
極端な話、通常の純愛ゲーかと思っていたらいきなりハーレムルートのみ…なんて変化球をぶっこんできたら嫌いじゃなくても驚く。


また、ハーレムエンドと言いつつも一部のヒロインがいてもいなくても同じような状態になっていることもある。



尚、日本では重婚罪として規制されているので絶対に真似してはいけない……籍を入れなければ愛人扱いなので法律面だけは問題なし。
でもリアルには女同士が同じ男をめぐって仲良くなんて無理な話。最悪の場合nice boat.な事になる可能性もある。
あくまで「フィクション」として楽しむもの。

ただし日本でも江戸時代には側室制度という物が存在しており、夫が複数の妻を娶る事が法的に認められていた。
女好きの部下の家庭の夫婦喧嘩に巻き込まれて、「お前ほどの妻はハゲネズミの奴には勿体無いと書いているこの手紙を見せてやれ」と仲裁に腐心した主君の苦労話も伝わっている。

人間は哺乳類としては珍しく、雄が雌と我が子の護衛や世話をする本能が有るので、女が大事な雑用係兼護衛である夫をホイホイ他人に譲る訳がない。
その一方で、集団で子育てを行う、適材適所の概念が有る等の社会性も高いので、ライオンの様に「我が子に有益なら雌同士の共存も有り」と自制する可能性も無くも無い。
生まれた時から支配階層として自制する教育を受けて来た貴族階級なら「国益や夫&我が子の利益の為に自分以上の美人を紹介するのも我慢しなければ」と打算主眼で共存していると主張した王妃が史実上に存在しているし、戦争で男が大量に戦死した結果、男女比が女余りに振れて一夫多妻を認めざるを得なくなったり、不妊に悩んだ末に、妾を認めざるを得なくなったと言う実例も存在している*1*2
結局は、「強い自制心を持った女性が利害の一致と相手の人柄を認めた上で共存を我慢した実例は存在しているが、普通の女性が喜んで一夫多妻を認めるとは考え辛い」と言うのが実情か。

因みに「複数のヒロインと結ばれる」ので、二人でもハーレムエンド扱いされる事も稀にある。


本項のハーレムエンドと真逆に、乙女ゲームにおいて女性主人公イケメン勢に囲まれる「逆ハーレムエンド(逆ハー)」というものもある。
妻子の雑用兼護衛として働く習性が有る人間の男にとっては、「受精から出産まで1年近くかかる同族の女」の世話をする負担は大きく、我が子なら兎も角、血縁も無い子供の養育に十数年の時間と労力を費やすのはハイリスクであるので、ハーレム以上に敷居が大きいと言える。
ただ、古代のスパルタの様に兄弟で妻を共有する文化も有ったので、実例が無い訳でも無し、妻の連れ子を厚遇した例も有る。

特徴的な作品


君のことが大大大大大好きな100人の彼女

この項目名にタイトルがつり下がっているのを見て目眩でも起きただろうか。大丈夫、だいたいそんな作品である。
まさしくハーレムを題材にした作品でもあり、ジャンルは一応ラブコメ。一応ね。

「100回目の告白に散った主人公が、雷に撃たれたような衝撃と共に二人の美少女と互いに一目惚れ。たまたま寄った神社に降臨した自称・恋愛の神いわく、なんとこれから100人の“運命の相手”と出会うというじゃないか! 滂沱の涙の日々から一転、幸せに震えながらもバラ色の青春を――」
「――“選ばれなかった人はなんやかんやで死ぬ”!?!??!?!? ええいそんなクソシナリオ、俺が変えてやる!」

というのが本作のあらまし。うん、胸焼けしそうになっても耐えてほしい。だいたいそんな作品だから

さて、ハーレムものにはいくつかの課題があるとされる。
多くのヒロインが一堂に会するほど魅力的な人物なのか
■そうだとして今度は「周りが惚れない理由」はなんなのか
そもそもハーレムを容認するヒロインって人格的にどうなのか
■属性の噛み合わせ
媒体の都合上どうやっても出番の偏りは生まれてしまわないか
■ギスギス、女の子同士の仲

これらを、
100回目の失恋ということからうっすら分かる通り、主人公は恋愛モンスター。先生がコンタクトを落としてると見れば四時間かかっても共に探し頼まれなくても100個のダンボールを運ぶ好青年でもある。ヒロインのピンチとあらば失血死しかかっても復活し、決して助けの声を聞き逃さない。常に彼女を宇宙一幸せにすることを考え続け、そのための鍛錬も対策も欠かさない。発端からして一途で誠実な彼が選ばなくて死なせるぐらいなら100人全員と幸せになってみせるとの決意である。
■担当の神が誤って“運命の相手”欄の桁を二つ間違えてしまったことで恋愛運が全てそこに集束。結果、“人物としては非常に好印象なのに恋愛対象として考えるとゲロ吐きそう”というある種の怪人物となってしまった。主人公は“運命の相手”以外には恋愛的に見向きされなくなったのである。
上記の通りの人物なため、どれだけ濃い彼女が出てこようと主人公・愛城恋太郎がぶっちぎりで狂人物であり些細な問題は霞む。“運命の相手”は神的な超常存在によるマッチングシステムゆえ、おそらく相性のいい相手と出会う仕組みになっている。なのでハーレムを大真面目にやり遂げようとする恋太郎とノリが合わない子はそもそも彼女にならない。狂気の求愛にキュン!!!となる破れ鍋に綴じ蓋お似合いさん同士なのだ。また、ヒロインは皆優しい子たちばかりなものの、非常にクセが強く一般的なコミュニケーションに難ありの子もいるため、「恋太郎ファミリー」と称されるグループがその受け皿としても機能している。彼氏と同時に(彼女)仲間・友人も獲得するという仕組みになっているのだ。
■一口にハーレムと言えど規模の大小はあるが、人数が増えるにあたりメジャー(※諸説あります)な属性とハーレム形態そのものの相性の悪さはどうしても生じてくる。例としては未亡人(≒人妻)。ただでさえ大人がハーレムに加わるって社会人的にどうよと言われかねないのに、貞操を重んじられやすい未亡人とあってはよりそこらが際立つ。やはり彼女の母が加わる際(!?)、夫への想いが捨てきれず二つの愛に葛藤し涙を流すも、受け止めた恋太郎が「忘れる必要なんてどこにもない」と思いの丈をぶつける。また、心配で留まっていた夫の霊(!?)にもその誠実さから恋太郎のみとコンタクトし、母娘ともども任されるという形で前進。夫への想いを持ち続ける未亡人を軽視することも否定するもことなく真正面から向き合い、新たな幸せを掴む姿勢を両立させた。
邂逅編・個別回を除き(それでも割と出てくる)、ほぼ毎話ほぼ現行の全員を出すという狂気のメソッド出番の偏りを解決。当然10人を超えたあたりでもうコマ内がギッチギチだが、それでも貫いている。また、独自の手法として「主筋の後ろでやり取り(コント)させる」ことで行動回数を増やしている。おかげで毎コマネタまみれの忙しなさ。さらにちょくちょく全員の服装を髪型ごと変えるという、作業量と描き分け的に漫画連載およびキャラクターものとしてある種のタブーを――何度も行っているなどという気合の入れっぷり手を抜いてる等の邪推を捻じ伏せている
■必然、物理的にどうやっても恋太郎が介在できない際もある。そんな時は仲のいい女の子同士でイチャイチャすることも多く、またこれは前述した登場頻度にも影響し積極的な登場に一役買っている。無論、恋太郎がキッカケかつ中心に形成されているコミュニティのため空気化しそっちばかりになる、ということもない。彼氏大好きモンスター彼女大好きモンスターだから成り立っている説得力。

等々の描写で――ああ帰らないでお願い。こんな感じの作品だからマジで
ともかく、ハーレム系というジャンルをさらに無理難題にしたうえで解決する斜め上の発想で、この作品はジャンルそのものに付随しがちな従来の懸念点をクリアしていると言われている。
この項目的には副次的な要素だが、恋愛要素が入った連載作品に発生しがちな、いわゆるヒロインレースも腕力で握り潰している。彼女になった時点で全員正ヒロインだからね。
……なに? ロジックが通っているようでだいたいパワープレイ?
大丈夫、だいたいその通りの――(以下略)

・がぁ~でぃあんHearts

変身ヒロインバトル&ラブコメものという2000年代の空気を濃い作品。
主人公の家にあがりこんだヒロインの秘密を知ってしまうラブコメ物からだんだんと
バトル路線に移っていった。
ヒロインとの仲が進展していき出生や運命を乗り越えた後主人公がとった決断とは……

なんと全員と結婚すると言う選択肢だった。

常住戦陣!!ムシブギョー

江戸時代を舞台に、「蟲」と呼ばれる巨大な凶悪昆虫から人々を守るため、熱血直情型主人公月島仁兵衛が「蟲奉行所」に所属して戦う、バトルあり・人情あり・お色気あり・インフレありのセオリーを抑えた王道少年漫画。
週刊少年サンデー連載の全32巻で、2013年にはアニメ化され夕方に4クールにわたって放送された*3
あくまでもメインストーリーは「蟲」との闘いを中心に展開されており、あくまでも恋愛要素は添え物なのだが、
  • 戦いを終えた後の仁兵衛の「帰ってくる場を提供するヒロイン」として色々と豊満な肉体を生かしてありがたい読者サービスを提供してくれる健気で優しい性格の、茶屋の看板娘の「お春」
  • 当初は仁兵衛をライバル視していたものの、次第に彼に心を許していく「共に戦うヒロイン」である同じ蟲奉行所所属の「火鉢」
  • その出自故に長く孤独な生涯を送っていたものの、仁兵衛によって心を救われる「物語のカギを握るヒロイン」である「蟲奉行
と、ものの見事に役割も魅力もそれぞれ全く異なる3人のヒロインがいた。
連載中は「3人とも魅力的だしいったい誰とくっつくんだろう?」などと話題にされていた*4
そして本編の7年後を描いた最終回ではなんと3人とも仁兵衛と結婚してそれぞれ3人の子供を授かっていることが発覚。
妾をとることが珍しくもない江戸時代の話なので別におかしなことをしているわけではなく、
元がそこまで恋愛要素を重視している作品でもなかったため、読者からの反発の声もあまり聞かれなかったのだが、
少年誌で3人のヒロインが主人公との間に生まれた9人の子供と仲良く戯れている絵面のインパクトはすさまじく
作品自体が上記の通り週刊少年サンデーで長期連載、尚且つアニメ化を果たしていることでそれなりに知名度のある作品だったため、
連載終了後もハーレムエンドの一例として名前を引き合いに出されることも多い。
なお立派すぎる所帯を持った大人になった仁兵衛は今でも蟲の脅威にさらされる人々を助けるべく異国で戦っているとのこと。
成長しても志を失わない心構えはあっぱれだが、帰ってきたら健気に待つ嫁3人の相手をするのがいろいろと大変そうである。

現実主義勇者の王国再建記

異世界に勇者として召喚された少年が、召喚した国の王位を継承し頭脳派の王として活躍していくライトノベル。
元々舞台となる国に「高位階級の一夫多妻」風習があり(なので部下にも2人くらい嫁を持つ者達が後に登場)、主人公の正妻となった前国王の娘から「自分含め8人までなら妻を持つ事を許す」という許可が出たため、
本人自身は積極的に嫁を探したりはしなかったものの、「彼の手料理」に惹かれる者、彼の国に敗北した自国を維持するため自ら嫁入りを選んだ者、彼に助けられ恩義を感じた者等、時間をかけて彼の元に嫁入りする実力のある女性が増えていき、後日談の表紙では8人の妻に囲まれる事になった
そして彼に能力と人柄を買われ義妹となった少女が、成長し結婚した後女官として彼が妻の部屋を巡る順番を管理している。
なお最後の妻は子供と一緒に城の外の街に住んでおり公的には結婚関係は機密なのだが、プライベートでは普通に城に住む他の妻達から家族として扱われており、結果8番目の妻の子供は『8人の「母」がいる』という認識から意外な力に目覚める事に…。


ゼノブレイド2

雲海を泳ぐ巨神獣(アルス)と呼ばれる超巨大生物が生息し、人々は巨神獣に住み国を作る世界『アルスト』を舞台に、争いのない『楽園』を目指してレックスと言う少年が『天の聖杯』の少女ホムラと共に冒険する「ジュブナイル&ボーイミーツガール」をコンセプトにしたNintendo Switch専用RPG。
まず本作はコアクリスタルという物質から顕現する亜種生命体である「ブレイド」とそのコアクリスタルからブレイドを顕現させて同調して共に戦う「ドライバー」とにあたるキャラクターがいる。
そしてドライバーは複数名のブレイドと同調して臨機応変に戦うことが求められ、更にブレイドとドライバーは深い信頼関係を結んだ対等なパートナーであることが求められ、
主人公の少年レックスも新米ドライバーとして、多くのブレイドと同調することになるのだが、

  • 伝説の天の聖杯にして献身的かつ母性あふれるヒロインであるホムラ
  • ホムラと同じ身体を共有した二重人格で、天の聖杯の本来の姿で、一見クールでとっつきづらいように見えて情が深く甘えん坊なヒカリ
  • 気兼ねなく接することが出来る喧嘩友達のニア

という三名の女性ブレイドとドライバーとしてパートナー関係になる。
一見するとミドルティーンの少年がやたらと露出度の高い美女3名を侍らせるというなんだかとんでもない絵面になってしまっているが、
前述した通りドライバーは「複数名のブレイドを対等なパートナーとして掛け持ちして戦う」という特殊な立場にあるため、世界観的に見ればそうおかしなものでもなく、
作中でも「そういうもの」としてあまり突っ込まれることはない。
詳しい説明は省くが、エンディングでは無事にたどり着いた楽園でレックスがホムラとヒカリの二人と手を取り合って空を見上げ、
二週目の真エンドではそこにニアも加わって4名で手を取り合うという、楽園で仲睦まじく過ごすレックス達の姿を示唆する姿を描いている。
この時点ではあくまでも匂わせる程度の物だったのだが……

+ ゼノブレイド3のネタバレが含まれます。
エンディングにて、世界が再構築される直前にニアがゼノブレイド2のメインメンバーの記念写真を眺めるシーンが一瞬だけ映るのだが、
そこに映っていたのは無事成年へと成長したレックスと、

  • 赤髪の赤ん坊を抱きかかえるホムラ
  • 金髪の赤ん坊を抱きかかえるヒカリ
  • 銀髪で猫耳の赤ん坊を抱きかかえるニア

の三人……いや六人が彼の側に座る姿であった。
要するに、ヒロイン三名と重婚・妊娠・出産したガチハーレムを形成していたことが発覚。
前作の時点では「ブレイドとドライバーという関係なら……」となぁなぁで流されるとばかり思っていたユーザーが殆どだったため、
このような強烈且つ明確な解答をあろうことか任天堂作品で出すとは思われず、多くのファンが初見でエンディングの余韻を吹き飛ばすレベルで面食らったのだった。

2でもホムラはレックスの子供を欲しがるなど伏線がないでもなかったが……ともあれ続編でハーレムエンドが確定した珍しい例と言えるだろう。

ともあれ賛否は分かれがちなハーレムエンドである者の、多くのユーザーに好意的に受け止められている。

さよなら絶望先生

作者自らハーレム作品(正確には、ヒロイン多数のラブコメというべきか)に対する皮肉というコンセプトが秘められていた漫画。
連載最終回でこそその毒は控えめだったが、最終巻に描き下ろされたもう一つの最終話は「ハーレムエンド」というものに一石を投じる話となった。


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最終更新:2025年02月19日 11:58

*1 秦の始皇帝の太皇太后が二人居る例が有名。祖父の正妻が跡取りとなる男の子を産めなかったので、側室の息子の中で自分と手を組む意思を明確にした始皇帝の父を養子にして、始皇帝の実内祖母と共に太后として後宮の実権を握った。

*2 不妊を理由に離婚されて護衛役である夫を失うより、妾や愛人の子の指導役や後見役として存在価値を認めさせた方がマシと言う打算が働いた例も多いだろう

*3 終わり方自体はアニオリで締めてコンパクトに完結させている

*4 強いて言うならバトル漫画の宿命として後期は共闘型ヒロインである火鉢の出番が非常に多く、くっつくなら彼女では?という声がやや多かった