ドヴァシュカ
Xasca
生誕 phil.1999?
ラネーメ大陸北方?
居住 特殊収容施設
"倫理の地平面"
国籍 なし*1
種族 シェメン・ヴュコット
詳細な種不明
主食 生肉・生魚
特殊能力 ヒトと会話できる
好きなこと 昼寝、食事、水浴び、
人間との会話
嫌いなこと 暴力、戦争、注射

 ドヴァシュカ(里:Xasca)はリナエスト・オルス共和国に現れたシェメン・ヴュコット
 シェメン・ヴュコット(変性動物)の中では例外的にヒト(悠里人類)の子ども程度の知能を有し、友好的に振る舞う個体として知られており、「世界で一番人類に愛された変性動物」と言われている。


概要

 ドヴァシュカは友好的なシェメン・ヴュコットとして現在はリナエスト・オルス共和国政府によって保護されている。
 「ドヴァシュカ」という名前は「おデブちゃん」という意味。誰がつけたかは不明だが、最初に発見したウードヴャクツィ半島の市民のいずれかだと言われている。

 彼の収容を管轄する省庁はオルス国民省移民・難民庁。国民省によって特注の大きな国民カードが発行されている。
 10歳程度の知能を持ち、普段は人間の仕事の補助や災害救助に従事している。
 心理学的調査では若い個体のため人格(獣格?)に未成熟な部分があるとされており、たまに仕事をボイコットしたり寝坊したりすることがある。
 年齢は150~200歳程度と予測されているが、シェメン・ヴュコット種の特定ができず元の動物種も断定できないため寿命に関しては不明である。

生理学的特徴

 体高5m前後。表皮の体色は淡青色。腹部や四肢の地面側は白っぽい。体毛はなく、分厚く弾力のある皮膚を持つ。やや短い尻尾を持ち、鱗のない二足歩行のイグアナのようなシルエットをしている。後頭部から尻尾にかけてとさかのような突起がある。
 肺呼吸。血液は青く、おそらくヘモシアニンが含まれている。砂嚢を持つ。
 ほぼ完全な肉食であり、生肉や生魚を好む。稀に青草を食むことがあるが、医学的な理由は良く分かっていない。

 泳ぎが上手く、海面に横たわって浮かびながら寝ることができる。
 手は物を掴むことができるが、人間ほど器用ではない。繁殖のメカニズムに関しては現在研究が急がれている。

 おそらく個体差とされている特徴として、彼は肉の食べ過ぎのため肥満気味である点が挙げられる。また、肝臓の数値が好ましくなく、おそらく脂肪肝になりかかっている可能性がある。ヴァルカーザ花粉の花粉症の疑いがある。

性格

 シェメン・ヴュコットであるにも関わらず、性格は極めて友好的。人間との会話を楽しみ、相手の受け答えに対して様々な反応をする。
 社交的で多くの人と知り合うことを望んでいるが、少人数との会話を好む。群衆は少し怖いようである。

 採食目的以外の暴力や殺傷はあまり好きではなく、特に人間とシェメン・ヴュコットが戦っているところや暴動・デモ、戦争等を嫌う。

 捕獲時に麻酔銃で眠らされたため注射が苦手。

経歴

発見までの経緯

 彼が証言することには、幼獣だった頃のドヴァシュカはシェメン・ヴュコット化してまもなく、他のシェメン・ヴュコットに自分の母親を食べられてしまったらしい。
 その後長い間単独で暮らしていたらしく、他のシェメン・ヴュコットや動物を狩って食べていたという。
 何度か人間(おそらく大陸から逃げ遅れた人々)と遭遇したが、ドヴァシュカを目撃すると逃げ回ったとされる。

 しかしある日、好奇心旺盛な中央リナエスト人の少年と出会い、やりとりを続けるうちに簡単な会話を覚えた。
 その少年は母親と二人暮らしであり、母親には最初恐れられたが、獣肉や木の実を贈ることで親しくなった。だが、半年もしないうちに、母子の行方がわからなくなり、ドヴァシュカは随分探し回ったらしいがついに見つけることはできなかった。

 以前のように人間と会ってコミュニケーションを交わすことを懐かしんだドヴァシュカは大陸を南に進み、歩いて旅をすることに決めた。
 しかし歩いても歩いても人間に会うことはできず、ついに南端の海岸まで来てしまった。

 海を渡れば違う大陸があることを期待して泳ぐことにしたのだが、やはり泳いでも泳いでも陸地は見えない。途方に暮れたドヴァシュカは考えることを諦めて海面に浮かんで昼寝をしていた。うっかり昼寝しすぎて目が覚めた頃には、ウードヴャクツィ半島に流れ着いていたという。

収容に至る経緯

 phil.2018年4月19日ウードヴャクツィ半島東岸に正体不明のシェメン・ヴュコットが漂着。地元住民が集まって騒ぎになったのを陸軍憲兵隊が発見。半島要塞化庁に通報される。
 半島要塞化庁長官【ここに名前を入力】はシェメン・ヴュコットの生体サンプル採取の絶好の好機と捉え、生きたまま捕獲するためリナエスト・オルス海軍海兵隊特殊戦コマンド部隊の派遣を決定した。
 同日夕刻、コマンド部隊がウードヴャクツィ半島に到着し、周辺を厳重に封鎖した上で捕獲作戦を開始。
 縄で拘束を試みる最中怪獣が目を覚まし暴れたため、コマンド部隊が麻酔銃数十発を撃ち込み沈静化させた。

 怪獣は本島のそばにある岩礁のヘリポートに引き揚げられ、仮設の囲いが設置された。
 半島要塞化庁長官からの知らせを受けてドヴァツィェードヘ・ウーレネウ総統は怪獣の視察のためヘリポートに赴いた。
 怪獣は目を覚ましても逃げようとはせず、現代中央リナエスト語を喋ることができたためコンタクトの試みが行われた。

 最初の彼の要求は「新鮮な生肉または生魚」であった。ウーレネウ総統はオルス海洋資源省長官に緊急用電話を使って連絡し、すぐに本島の海産物市場で買い漁らせて約4.5sty相当の新鮮な生魚を提供した。この要求を迅速に満たしたウーレネウ総統はドヴァシュカの信頼を得ることに成功した。
 ウーレネウ総統は「あなたを保護させて欲しい」と申し出、ドヴァシュカは承諾したため、収容は平和裏に成功した。

収容成功後

 ドヴァシュカの収容のため、引き揚げられたヘリポートは閉鎖されそのまま海上収容施設として改装された。施設名はウーレネウ総統の発案で「特殊収容施設"倫理の地平面"」と名付けられた。
 国立図書館大学附属生命総合研究所とリナエスト・オルス共和国国民省による官学共同の収容プロジェクトが実施された。

 最初に担当したスタッフの女性に懐いている。その女性が飲酒トラブル(泥酔状態のまま収容セル内で号泣しドヴァシュカに抱きつく等した)を起こしたため懲戒解雇処分となったが、ドヴァシュカの希望により復職した。

 現在では担当収容員を二人体制で収容しているが、"倫理の地平面"の様々な職員や生命総合研究所の研究員、国民省等の政府高官、ウーレネウ総統、メディアの取材班等とコンタクトする機会も少なくない。

 運動不足解消のため、平日15時~17時頃までジンヒヤ市郊外を散歩していることがある。

評価

 リナエスト・オルス共和国では可愛らしい顔つきと体躯ゆえ女性を中心に人気がある。その一方で、シェメン・ヴュコットに対する抵抗感・嫌悪感を示す人や安全保障上のリスクを懸念する人も少なくない。
 しかし、コミュニケーション能力を持ち、一般に社会活動を行うことのできるシェメン・ヴュコットは前例がなく様々な場面で活躍を期待されており、また生物学分野の興味深い研究対象として重要視されていることから、社会面・科学面の双方で価値のある試みであるとして政府は安全な収容に注力している。

実績

広報活動

 可愛らしい外見を活かして、リナエスト・オルス共和国観光文化省やリナエスト関連企業でのPR活動を行った。

災害救助

 家屋や構造物を破壊したり、重量物を持ち上げたりすることができるので各地の災害現場に派遣されている。

防衛任務

 ウードヴャクツィ半島でシェメン・ヴュコットと対峙して戦闘する任務に就いていたことがある。
 ウーレネウ総統主導のウードヴャクツィ半島政策の一つ「シュチェロシュカ計画」において、対シェメン・ヴュコット用兵器戦略級擲弾槌投射器"オルソン・ウドショフ"の建造プロジェクト最終盤の護衛任務で活躍した。

 しかし、ウードヴャクツィ防衛隊が侵入してきたシェメン・ヴュコットをオルソン・ウドショフで殺害したことでドヴァシュカが精神的ショックを受けて以降、防衛任務を拒否し続けている。
最終更新:2024年12月21日 15:55

*1 ただしリナエスト・オルス共和国市民としては認められている。