48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/18(月) 01:05:28.39 ID:gRoMF6zQ0 [2/8]
戦場の主役が女子になって久しい。赫々たる戦果を挙げるウィッチ対抗できる兵器のない現状では
それも致し方ないことである。
 しかしこの場を覗くものがあれば男子もまた共に戦っているのだと、認識を改めたに違いない。
 1945年7月初旬、連合軍第501戦闘統合航空団基地。
 ヴェネチア上空に居座るネウロイの巣に対する一大反攻作戦を翌日に控え、この地ではウィッチを
万全の状態で作戦に送り込むために整備兵共による最後の調整が行われていた。
「バッキャロウ!!艦隊の護衛任務なんだから出力優先でいいんだよ!」
「弾丸も全弾確認しろよ!万が一ジャムったら俺がネウロイより先に貴様らをぶっ潰すぞ!」
 とある事情からカールスラント人でもあるにもかかわらず、扶桑の紫電改の整備担当になっている俺も、
班長たちの怒号に追われながら最後の調整を行っていた。しかし見るものが見ればその調整がおざなりのものに過ぎず、
最善とは言えないことにすぐ気づいただろう。



50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/18(月) 01:09:01.58 ID:gRoMF6zQ0 [3/8]
ウィッチとしての魔力を失いかけている坂本のための、飛行能力と瞬間的な魔力増幅以外の全てを犠牲にした気狂いじみたセッティング。
これを俺は毎夜基地が寝静まってから秘かに紫電改に施していた。
 こんなんで誰も何も言わないなんて、やっぱり班長気づいてるんだろうな。
大体、全身に目が付いてるようなヴェテランの班長が気付かないわけ無いんだ。
怒声を撒き散らす鬼共を尻目に俺はそう独りごちた。ユニットの無断改造は軍規違反であるし、
ましてやウィッチを直接危険に晒すようなこの改造が許されるわけがない。
基地司令官が坂本にただの部下に向ける以上の感情を抱いていることは明らかであるから、
もし坂本が墜ちるようなことになれば責任は俺だけでは済まず、
整備の責任者にまで及ぶに違いなかった。それでも何も言わずにいる班長に対して俺は心中で深く頭を下げた。



51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/18(月) 01:19:51.62 ID:gRoMF6zQ0 [4/8]

「遅いな、もうそろそろ戻らないと魔力が持たないはず……」
 今夜中に真烈風斬を完成させる。そう強い決意を秘めた目で俺に告げて、坂本少佐が飛び立ってから
既にかなりの時が経っていた。これ以上帰還が遅れるようでは、十分な回復時間が取れずに明日の作戦に影響を及ぼす恐れがあった。さらに幾らかの時間の後漸く、誉21型エンジンの特徴的な音が聞こえてきた。俺がハンガーを飛び出ると坂本は既に着陸態勢に入っていた。
 難しい夜間着陸を月明かりだけで……、流石少佐だな。俺がそう思った次の瞬間、エンジンの灯が突如消えて坂本の身体は大きく前に投げ出された。
 受け止めることができたのは僥倖としか言いようがなかった。命があったことを考えれば奇跡と同義語だ。たまたま坂本が飛んでいった先に俺がいただけだ。全身の痛みを無視して俺は腕の中に抱えたの坂本に声をかける。
「大丈夫ですか少佐っ!?」



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/18(月) 01:24:30.36 ID:gRoMF6zQ0 [5/8]
「……った…何度……っ……」
 俺の胸に顔を埋め弱々しく呻くだけの坂本を、俺は判断能力を喪失していると判断した。救護を呼ぶため駆け出そうとするが、坂本は俺の服を頑なに離そうとはしなかった。
「少佐、少し離してください。救護を呼んできます。怪我をなさっているのです」
俺の言葉を理解しているのかいないのか、坂本はふるふると頭を振って否定する。
目を凝らすと確かに大きな怪我は無いようだった。代わりに気付いた。
「少佐……何があったのですか?」
坂本は泣いていたのだった。
「…ぅ撃てなっ…かったっ……。何度っ…試してもっ……烈風斬がっ……撃てっ…かった…」
自分の言葉で箍が外れたのか、貯めていた想いを吐き出すように坂本の独白が続く。
「11人ならっ…絶対っ……なのにっ」
言葉を切り、抱きしめる力が強まる。全身打撲の身体からとは別の痛みが俺の精神を刺激した。
「私はっもうっ……」
 坂本が俺を見上げる。その目は絶望に溢れていて、俺は心のどこかの冷静な部分で似合わないと思った。
搾り出すように最後の一言を言う。

「っ戦えない!!」


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/18(月) 01:29:05.99 ID:gRoMF6zQ0 [6/8]
 そう言うと坂本は再び俺の胸に顔を埋め、大きく慟哭の声を上げた。親と逸れてしまった子供のように周りを憚らず泣くその姿に、俺は大きな決意を固めた。ちくしょう、ここで意地をはれずに何が男だ。泣き疲れたのか、少し落ち着いた坂本に声をかける。
「少佐。昔のことになりますが、リバウの航空隊の活躍は欧州中に響きわたっていました。
その中でも少佐の噂は今でも覚えています。」
「……」
「いや、噂というより言葉ですな。『ウィッチに不可能はない!』」
坂本が身体を強ばらせる。
「っ…だがそれはっ!」
反論を無視して言う。
「ここではあえてその言葉を借りていいましょう。『整備兵に不可能はない』と」
「なっ!?」
泣き腫らした目で俺を見上げる坂本に、俺はある整備案を伝えていく。
泣き顔から次第に輝いていく坂本の表情に、俺はやっぱり少佐はこうじゃないとななんて、のんきなことを考えていた。
しかしそう思う一方で俺は確かに気づいていたのだ。これで俺は少佐を殺すことになる、と。


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/18(月) 01:31:16.47 ID:gRoMF6zQ0 [7/8]
俺「ついに来るネウロイとの最終決戦。空を駆け戦う少女たちに対して、俺はなにができたのか。行ってください少佐。戦いに終止符を打ちましょう。貴女の全てを掛けた真烈風斬で。次週ストライクウィッチーズ2最終回『永遠に共に』」


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/18(月) 01:34:22.19 ID:gRoMF6zQ0 [8/8]
ここまで!
完全に中佐の出番を奪ってしまった。最終話は俺なりにこうだったらよかったのにって感じでまとめる。



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最終更新:2013年03月31日 01:00