※本スレ投下時より修正してある部分があります。




―1940年、カールスラント防衛戦―

エーリカ「次から次へとネウロイが……!」ズドドドド!!

俺「ハルトマン!もっと後方に下がれ、他の部隊と合流するんだ!」ズドドドド!

エーリカ「でもトゥルーデがまだ前線に……!」

俺「くっ……他の皆はどうした!?」

エーリカ「……もう此処にはいないよ、戦線は壊滅状態だし指示系統も混乱してる。多分ガリア方面に撤退してるとは思うけど……」

俺「なら俺達も撤退を開始しないと……、トゥルーデ!」

ゲルト「まだだ!私達が退けばそれだけ民間人に被害が出る!」ズドドドド!!

俺「しかし、このままじゃ俺達が先にやられるぞ!戦線を維持するにしても他の部隊と連携を取らないと!」ズドドドド!!ズドドドド!!

エーリカ「俺さん!トゥルーデ!あれは……!」

俺「巨大な雲……?いや……あれは!」

ゲルト「ネウロイの巣か!」

エーリカ「見て!あそこからネウロイが次々と!」

俺「トゥルーデ!撤退だ!巣があっては俺達だけでどうこう出来る問題じゃない!」

ゲルト「しかし……!」

俺「……、ハルトマン少尉。」

エーリカ「……はい。」

俺「バルクホルン中尉を連れて此処から撤退しろ。此処は俺が死守する。」

エーリカ「……!だけど!」

俺「命令だハルトマン……、此処からならミーナ中尉の部隊が一番近い筈だ其処に合流してくれ。」

ゲルト「ふざけるな俺!私達はまだ……!」

俺「たった3人で巣を相手にするのか?無謀にも程があるぞバルクホルン中尉。お前が死んだらクリスはどうなる!」

ゲルト「!!」

エーリカ「なら俺さんも一緒に逃げようよ!1人で残ったら死んじゃうよ!」

俺「無理だ、この数のネウロイを逃げながらじゃいずれ追い付かれる。大丈夫さ、俺の固有魔法なら撤退するまでの時間稼ぎにはなる。頼んだぞハルトマン……!」キィィィィィ

エーリカ&ゲルト「……!」

俺「行けぇぇぇぇ!」キィィィィィ!




―1945年、ロマーニャ―




ゲルト「行くなぁ!俺!」

エーリカ「トゥルーデ…!」

ゲルト「はぁ……はぁ……?ハルトマン?」

エーリカ「凄くうなされてたよトゥルーデ……大丈夫?」

ゲルト「あぁ…大丈夫だ…」

エーリカ「トゥルーデ、俺さんの事呼んでた。……そっか、今日は……」

ゲルト「あぁ、アイツが死んだ日だ。そしてクリスが倒れた……あの日だ。」

エーリカ「あれからもう五年なんだね……」

ゲルト「アイツが残してくれた命は無駄にしないさ……何としてもカールスラントを奪還しなければ……!」

エーリカ「あんまり熱くならないでよトゥルーデ?焦って前みたいに宮藤に助けられるような事になったら本末転倒だよ?」

ゲルト「分かっている。無駄死にするつもりはない!」


ウゥーーーーーーン!ウゥーーーーーーン!


ゲルト「警報!?こんな時間にネウロイか!」

ミーナ「敵襲よ!ヴェネツィア方面からこの基地に向かって来るネウロイが……一機だけ?」

坂本「一機だけか……よし、私と宮藤、それからリーネとペリーヌで出撃して出方を探る。ミーナ達は基地で待機して他のネウロイの奇襲がないか調べてくれ。」

ミーナ「分かったわ、それでは――

ゲルト「待ってくれミーナ!私も出撃させてくれ!」

ミーナ「駄目よ、バルクホルン大尉、ハルトマン中尉は基地で待機。これは命令です。」

ゲルト「くっ……了解……」

リーネ「坂本少佐!ネウロイ見えました!」

坂本「大きさはトゥーバリェフ級か……しかし妙だな……」

ペリーヌ「この距離から攻撃を仕掛けて来ないなんて不自然ですわ……」

坂本「考えていても仕方がない!攻撃を開始する!」

全員「了解!」

ズドドドド!!ズドン!ズドドドド!!

坂本「強度は並以上か、だがやはりおかしい何故攻撃しない……」

宮藤「坂本さん!このままじゃネウロイが基地に!」

坂本「何かされる前に対処するしかないか、下がれ皆!私が仕留める!―――烈風斬!」

パリーン!

ペリーヌ「やりましたわ少佐!お見事です!」

坂本「何だ……この手応えの無さは……外殻の硬さに比べて中身はほぼ空洞に近かったみたいだが……」

宮藤「坂本さん!破壊したネウロイの破片から人が!」

坂本「何……いかん!このままでは海に落下するぞ!」

宮藤「私が行きます!間に合って震電!」

ブゥゥゥン!ガシッ!

リーネ「大丈夫、芳佳ちゃん!」

宮藤「うん何とか間に合った……、この人も大丈夫……男の人?」

ペリーヌ「ネウロイの中から人が出てくるなんて聞いたことありませんわ。」

坂本「……?この顔、何処かで……。」

宮藤「坂本さん、早く基地に戻ってこの人を治療してあげないと!」

坂本「そうだな、こちら坂本!任務は終了した、救助者を連れて帰還する!」

ミーナ「救助者?他のウィッチがいたの?」

坂本「いや……にわかには信じられないが破壊したネウロイの中から人が出てきた。」

ミーナ「ネウロイの中から人ですって?」

坂本「あぁ、放っておく訳にも行かないからな、ひとまず基地に連れて帰る。」

ミーナ「分かりました。救助者は基地到着後、すぐに医務室に運んでください。」

坂本「了解した。全機、基地に戻るぞ!」





―501基地内―

ミーナ「ネウロイは撃墜されたわ。」

エーリカ「やけに呆気ないね?陽動か何かだったのかな。」

ゲルト「出撃して数十分もしない内に倒されるのは陽動とは言い難いな、だが何か裏がありそうなのは確かだ。」

ミーナ「それなんだけどね、倒したネウロイの中から人が出てきたらしいわ。」

エーリカ&ゲルト「人?」

ミーナ「気を失ってるみたいだから詳しい事は分からないみたい。戻り次第基地の医務室に運ぶように指示はしてあるけど……」

ゲルト「怪しいな……ネウロイの中から人なんて話は聞いた事がない。」

エーリカ「それに真っ直ぐ基地に向かって人を運んで来るなんて、まるで速達便みたいだね?」

ゲルト「言い方が不謹慎だぞハルトマン、だが……まだ中にいたのが本当に『人』なのか分からないのか。」

エーリカ「…?どういう事?」

ゲルト「以前スオムスでウィッチがネウロイに捕縛され洗脳されたという事件を聞いた事がある。」

ミーナ「そうね……仮にネウロイの尖兵だとしたら目覚めた途端に暴れる可能性もあるわね。」

エーリカ「どっちにしても目が覚めなきゃ分からない事なんでしょ?なら起きるまで待つしかないじゃん。」

ゲルト「お前みたいにいつ目覚めるか分からんがなハルトマン。」

エーリカ「うっ……痛い所を突くねトゥルーデ……」



坂本『こちら坂本、基地に到着した。今医師と共に医務室に向かっている。』

ミーナ「容体は?」

坂本『脈拍は正常、体は目立った外傷はないが古傷と思われる傷痕がかなり残っているな。この状態なら宮藤の治癒魔法だけで問題無さそうだ。』

ミーナ「今の所目覚める様子はある?」

坂本『……いや、死んだ様に眠っている、が念の為手足は拘束させている。』

ミーナ「妥当な判断だと思うわ、仮にもネウロイの中から現れたのだから何かあるかもしれないし…。」

坂本『ところでミーナ、この救助者の男なんだが以前何処かで見た記憶があるんだ。確認の為にお前にも来てもらいたいんだが。』

ミーナ「分かったわ、それから他のネウロイが現れるかもしれないから念の為リーネさんとペリーヌさんは待機させておいて。」

坂本『了解した。』



ゲルト「何か分かったのかミーナ?」

ミーナ「詳しい事はまだ分からないけど少佐が以前何処かで見たと言っているから私も確認の為に医務室に向かうわ。あとトゥルーデ、今リーネさん達を待機させてあるから有事の際には貴方が指揮を執ってちょうだい。」

ゲルト「分かった。」

エーリカ「ねぇー私もミーナと一緒に行っても良い?」

ゲルト「こらハルトマン!まだネウロイが何処かに潜んでいるかも知れないのに何を悠長な事を言っている!」

エーリカ「現れたら現れた時に倒せば良いじゃーん。」

ゲルト「貴様と言う奴は……!」

ミーナ「仕方が無いわね……フラウの代わりにエイラさんを待機させておきます。」

ゲルト「……了解した。くれぐれも問題を起こすなよハルトマン!」

エーリカ「はーい。」




―基地内、医務室―

宮藤「ふぅ……」キィィィィィ

坂本「大丈夫か宮藤?」

宮藤「はい、もう大丈夫だと思いますけど……やっぱり起きないですね。」

坂本「今までネウロイの体内に人が入っていたと言う例が無いからな。瘴気に汚染されている可能性もある。いや、もし運良く目覚めたとしても……」

宮藤「坂本さん?」

坂本「いや、何でもない……。ひとまずはミーナ中佐が来ない事には何も分からないな。」

宮藤「ミーナ中佐はこの人の事が分かるんですか?」

坂本「それは分からないが、この男……以前会ったような記憶があってな。もしも軍に関係していたら中佐なら何か分かるだろうと思ったんだ。」

宮藤「そうですか。」

トントン

坂本「噂をすれば何とやらだな。開いているぞ中佐。」

ガチャ

エーリカ「いっちばーん!」

宮藤「ハルトマンさん!?」

ミーナ「フラウ!病室では静かにしなさい。」

エーリカ「あっそうだった…でもこれで目が覚めるかもしれないよ?」

ミーナ「はぁ…、ところで坂本少佐、救助者はどちらに?」

坂本「あぁ、今はそこのベッドで寝ている、だがどうにも気になってな。」

ミーナ「今確認する……わ……え?……嘘、どうして彼が……?」

エーリカ「誰か知ってる人なのミーナ?」

ミーナ「……見た方が早いわ、貴方も来てフラウ……!」

エーリカ「ミーナ?…………え……?」

坂本「誰か分かったのかミーナ!?」

ミーナ「えぇ……間違っていなければだけど……。」

坂本「それで……コイツは誰なんだ?」

エーリカ「死んだ筈の人だよ……」

宮藤「えっ?」

ミーナ「JG52第2飛行隊副司令だった人……俺大尉よ。」

坂本「JG52第2飛行隊……?確かバルクホルンとハルトマンと同じカールスラントの―――

エーリカ「俺さん!俺さん!」

ミーナ「エーリカ!?」

エーリカ「起きてよ俺さん!私だよエーリカだよ!」

坂本「落ち着けハルトマン!」

エーリカ「でも……!そうだ、トゥルーデ……!トゥルーデ呼ばないと!」

ミーナ「落ち着きなさいエーリカ・ハルトマン中尉!まだ彼が本当に俺大尉か分からないのよ。今、事を荒げればネウロイの奇襲に備えられなくなります。現時点でのバルクホルン大尉に対する救助者の報告は禁止します。」

エーリカ「でも……!」

ミーナ「これは命令ですハルトマン中尉!」

エーリカ「……はい。」




慌ただしい声が聞こえる、だが別に慌ただしいのは今に始まった物ではない。
此処は戦場なのだ、ウィッチ、ネウロイ、民間人、様々な声が混じり合う。悲鳴、嘆き、怒号、叫び、狂気……まさに地獄絵図だ。

逃げられるなら逃げたい、誰だって死にたくない。でも……俺は逃げない。守りたい、守りたい大事な人の為に、まだ戦える戦わなくちゃ行けないから。




――――――――――――





俺「これで約40くらいか?」

途中から撃墜数を数えるのも面倒になってきた。生きて帰れたら勲章くらい貰えそうなのにな。

襲ってくるネウロイの質も変わってきている、ラロス級からケファラス級、トゥーパリェフ級へと移行されていく。

ラロス級ならある程度は行かせても後方のウィッチに任せれば問題無いがトゥーパリェフ級は通せば現状では大問題になる……

幸いまだ弾は残っている、後は魔法力さえ持ってくれれば……

キィィィィィ!

俺を察知したケファラス級の群が一斉に襲い掛かっててくる。だがビームの軌道は直線的、大丈夫だこれなら苦もなく避けられる。
問題なのは更に後方で構えているトゥーパリェフ級だろう。
今の所は静観を保っているがいつ襲って来るか分からない……なら先手を打ち何かされる前に撃破しなければ。
俺はケファラス級の群を砲撃をかいくぐりながらトゥーパリェフ級まで接近しようとした、弾丸も魔法力もギリギリまで蓄えていなければならない。シールドも攻撃もせず、ただ前へ。

集中、集中、今まで の訓練を、経験を生かせ、前を見ろ、集中しろ、最低限の動きで避け、無駄な弾は一切使うな。



何分経ったか。ケファラス級の群を引き離し、ようやくトゥーパリェフ級の目前まで近づいた。すぐ近くには巨大なネウロイの巣が禍々しく視線に写る。
ネウロイの巣からは無尽蔵かと疑いたくなる程のネウロイの群が出現している……悔しいがカールスラントは恐らく保たないだろう……。

俺「それでも……!」

俺が目前に立っても未だに静観しているトゥーパリェフ級に向かい俺は残っている弾をありったけ撃った。
弾丸はトゥーパリェフ級の装甲を貫きはするが再生速度の前にすぐ装甲は修復される。

俺「たった1人のウィッチ程度なら何もしなくても大丈夫だと思っていやがる……だが学習はしているようだが、もっと慎重になった方が良かったな。」

賭けには勝った、最初からトゥーパリェフ級のネウロイに銃だけで勝てるとは流石に思っていない。肝心なのは俺の魔法力が詰め込まれた弾丸がネウロイの中に入ること、それだけだ。

俺「一気に片付けさせてもらう!」キィィィィィ!

俺は残された魔法力を全て開放した。トゥーパリェフ級はケファラス級の群の中に突っ込み縦横無尽に駆け回る。
その巨体からの突撃にケファラス級のコアは次々と破壊される、そしてあらかた片付いた時に俺はトゥーパリェフ級に詰め込まれた魔法力を弾けさせた。


其処から先は、何も覚えていない。ただ、ネウロイの破片から放たれる光だけが広がっていった




――――――――――――



俺「うぅ……」

エーリカ「俺さん!?」

俺「み……水……」

宮藤「水ですか!?慌てないでゆっくり飲んでくださいね。」

俺「……」ゴクゴク

俺「……?クリス?」

宮藤「え?」

エーリカ「……俺さん大丈夫!?私が誰か分かる?」

俺「ハルトマン……それにミーナ中尉?」

ミーナ「本当に俺大尉なの……?」

俺「…………!そうだ!カールスラントは!ネウロイはどうなったんだ!」ギシギシ!

坂本「落ち着くんだ大尉!君は今手足を拘束されているんだ!」

俺「カールスラントは……!?トゥルーデは……?」

ミーナ「落ち着いて聞いてちょうだい俺大尉、カールスラントは……五年も前に陥落しています。」

俺「……五年も前……?」

ミーナ「それと……貴方は今日、ネウロイの体内から発見されました。何か覚えている事はありますか?」

俺「ネウロイの体内…?俺が最後に覚えているのはカールスラントでトゥーパリェフ級を撃墜した所までです。」

坂本「その後の五年間は何も覚えていないのか?」

俺「と言うより俺には五年が経っていると言われる方が信じられないですよ、坂本……少尉でしたよね?」

坂本「今は少佐だがな、私を知っているのか?」

俺「以前カールスラントに補給をされに来た時に何度かお会いした事があります……。」

坂本「……そうか、だから見覚えがあった訳だな。どうするミーナ、現時点では大尉にカールスラント防衛戦以降の五年間の記憶が無い以外は何も問題は無いように思えるし拘束する必要は無いと思うが……」

ミーナ「そうね……確かに不安はあるけれど私やエーリカからすれば大尉が生きていてくれた事の方が大切だわ。坂本少佐、バルクホルン大尉に代わりネウロイの奇襲が無いか待機してもらって良いかしら?」

坂本「ふっ、無論だ。今すぐバルクホルンを呼んでくるとしよう。行くぞ宮藤。」

宮藤「はい!」




ゲルト「何があったんだミーナ?坂本少佐にミーナが呼んでいるからと言われて来たが。」

ミーナ「トゥルーデ、信じられないかもしれないけど報告したい事があるわ。」

エーリカ「ものすっごーい朗報だよ!」

ゲルト「病室で騒ぐなハルトマン、それで何なんだ?」

俺「あれ、トゥルーデ……?」

ゲルト「」パクパク

俺「背が伸びたか?少し見違えてしまったよ。」

ゲルト「おま……!なん……!?え…!?」

ミーナ「信じられないかもしれないけど、今日出現したネウロイの中から発見された救助者、それが俺大尉だったのよ。詳しい事はまだ分からないけどカールスラント防衛戦から今までの記憶が無いみたい。」

俺「と言うより自分にとってはネウロイの体内にいた事も五年も月日が経ってる事の方が信じられないですけどね。」

ゲルト「貴様が生きている事の方が信じられんわぁぁぁー!」バキッ!

俺「ぐはっ!?」

ミーナ「トゥルーデ!?」

ゲルト「お前……!私がどれだけあの時の事を後悔していたと思っている!あの時お前の言う通りにもっと早く戦線を離脱していたらお前を死なせる事もなかったのにってずっと……!」ドンドン!

俺「やめ……!痛い!叩かれて分かったけど全身が筋肉痛みたいになってて痛い!」

ゲルト「なのにお前ときたら何だ!何も無かったかの様にピンピンしながら今更現れて!お前はカールスラント軍人の恥だ!お前なんて!お前なんて……!」ボロボロ

俺「トゥルーデ……」

ゲルト「本当に……本当に俺なのか……?」

俺「ネウロイに何かされてなきゃな、俺はお前の知ってる俺で間違いないよ。」

ゲルト「俺……」

エーリカ「ノロケるのは良いけど2人っきりの時にしてよー!せっかく俺さんに会えたのにトゥルーデ独り占めしてずるいー!」

ゲルト「なっ!?」

ミーナ「まあまあエーリカ、今は私達がお邪魔みたいだからしばらく席を外しておきましょう。」

エーリカ「えぇー!?」

ゲルト「なっ……!邪魔なんかじゃないぞミーナ!」

ミーナ「上層部にもこの事を報告しておかないといけないわね……。もしかしたら大尉が拘束されてしまう可能性もあるけれど……。」

俺「自分の事ならお気になさらず、ネウロイから出て来た人間に用心するのは当たり前です。」

エーリカ「大丈夫!もしも俺さんを拘束なんてするようなら私がそんな連中追い返すよ。」

俺「ははっ、あんまり無茶な事はするなよハルトマン。」

ゲルト「人の話しを聞けぇ!」

ミーナ「もうトゥルーデったら、そんなに怒鳴るなんて俺大尉とそんなに2人きりになりたいの?」

エーリカ「おーお熱いお熱いー、じゃあ行こうかミーナー。俺さんまたねー!」

バタン

ゲルト「全くミーナとハルトマンときたら……わざとらし過ぎるぞ……。」

俺「気遣ってくれたんだよ。何せトゥルーデにとっては五年ぶりの再会になる訳だし。」

ゲルト「お前だってそうだろ……」

俺「でも俺にとっては本当に1日くらいしか経ってないように感じるよ。未だに信じられないからな。」

ゲルト「だが本当に現実だ。お前がいなくなってから色々あったんだぞ……カールスラントは陥落してクリスはネウロイの瘴気によって意識不明になって……」

俺「クリスが…!?」

ゲルト「あぁだが心配するな、今は回復して元気でいるよ。」

俺「そうか……」

ゲルト「そう言えば体の方はまだ痛むか?さっきは悪かったな……つい手が出てしまった。」

俺「まだ体が軋むみたいに痛いな……筋肉が固まってるような感じだ。けどさっきよりは全然動け―――

ウゥーーーーン!ウゥーーーーン!

ゲルト「警報!?ネウロイか!」

ミーナ「敵襲!アドリア海上空から敵ネウロイが多数出現したわ!」

坂本「こちら坂本だ!待機させていた宮藤、リーネ、ペリーヌ、エイラと共に現在進行中の敵に接近している。敵は真っ直ぐこの基地に向かっているぞ、数は約100…!?どれも小型のネウロイだが移動速度が今までとは違う!」

坂本「このままでは数十分もしない内にこの基地まで到着されるぞ!今から迎撃を開始する!」

ミーナ「了解、他の4人は少佐の指示に従って行動、迎撃してください。残りのウィッチ隊も順次出撃させます!」



ゲルト「私も出撃する、お前は此処で休んでいろ。」

俺「待てトゥルーデ!俺も出撃し――痛ッ!」

ゲルト「馬鹿を言うな!まともに動けないお前が行っても役に立つ訳がないだろ!ネウロイは私達に任せてお前は休め!」

俺「く……了解……!」







―アドリア海上空―

坂本「各機散開!各個撃破するぞ!」

ペリーヌ「何てすばしっこいネウロイですの!」ズドドドド!

エイラ「しかもコイツらバラバラに動いて上手く狙えないぞ!」ズドドドド!

宮藤「……何かおかしい?坂本さん!」

坂本「攻撃してこない……!私達を完全に無視しているだと!?」

リーネ「少佐!撃ち漏らしたネウロイ達が次々と基地の方向に向かってます!」

坂本「いかん!このまま数で圧倒して基地まで強襲するつもりだ!このまま追撃するぞ!」

キュィィィィィン!

宮藤「えっ!?」

エイラ「なんだ!?いきなり攻撃をしだして来たゾ!」

坂本「しまった……!私達をこのまま足止めさせるつもりだ!全力で叩くぞ!」

全員『了解!』




ミーナ「敵ネウロイが基地周辺海域まで接近!シャーリー大尉、バルクホルン大尉!何としてもネウロイを基地に到達させないで!」

シャーリー「了解!行くぞルッキーニ!」

ルッキーニ「うん!」

ゲルト「私達も行くぞハルトマン!この基地を守るんだ!」

エーリカ「分かってるよー!」

ミーナ(おかしい……先程のネウロイは攻撃行為が無く、私達を陽動する為か何かかと思っていたのにまた基地を狙ってくるなんて、それにこの異常な数は……)

坂本『こちら坂本だ!敵の何体かが攻撃を仕掛けてきて足止めされている、コイツらの目的は明らかに基地だ。コアを持った本命はそちらに向かった群の中にいる筈だ!何とか叩いてくれ!』

ミーナ「了解、……厄介になってきたわね……少佐が足止めされれば固有魔法でネウロイ本体を見分ける事が出来なくなる……そしてこの異常な数で有無を言わさず攻撃されたら……」

シャーリー「いっけぇー!ルッキーニー!」ズドォーン!

ルッキーニ「おりゃぁぁぁ~!」ズドドドド!

パリーン!パリーン!

ゲルト「勲章のオンパレードと言いたい所だがこの速度は……!」ズドドドド!ズドドドド!

エーリカ「今まで戦ってきたネウロイとはかなり違うね……シュトルム!」キィィィィィ!ズドォーン!

シャーリー「くそっ…全然数が減らないぞ…!」ズドドドド!

グジュルグジュグジュ……

ルッキーニ「シャーリー!ネウロイが!集まってくよ!」

ゲルト「なんだ……!?合体してるだと?」

シャーリー「今の内に叩くぞ!」ズドドドド!

ピキピキ

ゲルト「弾かれた!?ならこれで!」ズドドドド!ズドドドド!

ピキピキ、……ズドォーン!

シャーリー「なっ!?ぶっ飛んで行きやがった!」

ゲルト「しまった……!このままでは基地が!追うぞ!」

ゲルト「ミーナ!敵のネウロイが合体、槍のような形になって基地まで突撃した!」

シャーリー「くそっ……私が追いつかないだと……!」



ミーナ「このままじゃ基地が……サーニャさんは夜間哨戒が終わってまだ休んでいるし……私も出撃して迎撃しないと。」

『待ってくださいミーナ中佐。』

ミーナ「……!?この声は俺大尉!?」

俺『現在ハンガーから敵ネウロイを視認しました、恐らくものの数分で此処に到着します。多分今中佐がハンガーに向かっても間に合いません、俺が行きます。』

ミーナ「無茶よ!貴方の体は動ける状態じゃないのでしょう!?」

俺『確かに全身が軋んであんまり思うように動きませんが飛ぶくらいなら何とかなります。』

ミーナ「そんな状態で戦える筈ありません!私が行くまで待ち――

俺『おっ、これは30mm機関砲?4門もあるな……』

ミーナ「大尉!それはジェットストライカー専用の武装よ!普通のストライカーユニットじゃ重くて飛べなくなるわ!」

俺『御安心を、俺の固有魔法は覚えてますか?』

ミーナ「大尉の固有魔法……?まさか!?」

俺『魔法力はまだまだ衰えてないみたいなんでこれくらいなら連れて飛ぶのも問題ないと思います。』

ミーナ「これくらいって……はぁ、流石『カールスラントの飛ぶ武器庫』と言われただけはあるわね。分かりました、大尉に敵ネウロイの迎撃を任せます。お願いだから無茶はしないでくださいね……!」

俺『了解!』

俺は目前に置かれている30mm機関砲にゆっくりと手を触れる、五年経っていれば魔法力も枯渇していそうだったが全くそんな様子はない。逆に五年休んだ分の魔法力が溜まっているくらいに感じる。

キィィィィィ

機関砲に魔法力を詰め込みそのまま浮遊させる。
俺の固有魔法は対象に魔法力を詰め込み操作させるという念動系に分類されている。

体はまだ重いがそうも言ってられないか、俺は機関砲を浮かせてそのまま追尾させながらストライカーユニットの所でまで行く。

俺「上手く飛んでくれよ……!」

ブゥゥゥーン!

そう遠くない位置にネウロイが見える、今まで戦って事のあるネウロイと違いかなりの速さだ。

ミーナ『聞こえますか大尉、敵のネウロイは従来のネウロイとは違い槍のような形で接近しています、移動速度もほぼ音速に近いわ。』

俺「コアの位置は!?」

坂本『こちら坂本だ!コアは柄の先端、槍頭から正反対の場所だ!』

俺「って事はこの場合一番奥を狙わなきゃならないのか……。」ガチャ

機関砲を空中に固定させて牽制射撃を開始する、速さに比べて装甲は並と言った所かこれなら撃ち続けていればいずれは……!

ズドドドド!ズドドドド!ズドドドド!

先端からネウロイを装甲を剥いでいく、だが再生速度は少し高いみたいだ……基地に到着するまで間に合うのか……!?

ズドドドド!ズドドドド!

槍頭を完全に破壊、槍頭と柄の間を撃ち抜いていく。このままなら!

ズドドドド!

後少し……!後少し……!

ズドドドド!

キュィィィィン!

俺「なっ!」

分離した!そうか…合体したならその逆も……!
分離したネウロイは各方向に分散する、追撃をするが数が半端じゃない……
このままでは反撃が間に合わなく……!

ゲルト「うぉぉぉりゃぁぁぁぁ!!」ズドドドド!ズドドドド!

パリーン!

エーリカ「シュトルムー!」キィィィィィ!

パリーン!パリーン!


俺「ハルトマン!トゥルーデ!?」

ゲルト「全く……あれほど休んでいろと言っただろ!」ズドドドド!

エーリカ「俺さんもトゥルーデで同じでよく無茶するよねー。」ズドドドド!

ゲルト「俺と一緒にするな、私は常に部隊の事を考えてだな!」ズドドドド!

俺「愚痴は後で聞く、今はコアのあるネウロイを叩くぞ!」ズドドドド!ズドドドド!

ゲルト&エーリカ「了解!」



シャーリー「うわっ……何だあれ。」

ルッキーニ「すっごーい!ネウロイがどんどん落ちてくよー!?」


坂本「流石だな。あれがカールスラントの小さな英雄と言われた俺大尉か……」

宮藤「小さな英雄?」

坂本「齢8歳で大型のネウロイを1人で撃破したウィッチ……それが俺大尉だ。」

宮藤「ひ…1人で大型のネウロイを倒したんですか!?」

坂本「あぁ、しかもまだストライカーの実戦配備があまり進んでいない時代での記録だ。当時の新聞では大々的に取り上げられていたな。以後は固有魔法を活かした戦闘から飛ぶ武器庫とも言われてたな。」

ペリーヌ「俺大尉……確かカールスラント防衛戦の折に戦死したと言われていた筈ですが。あのネウロイの中から出て来た人がそんな人だったなんて……」


ゲルト「残機2!」ズドドドド!

エーリカ「1!後は任せたよ俺さん!」ズドドドド!

俺「あいよ。コイツで最後だ!」ズドドドド!

パリーン!

シャーリー「すごっ……あっと言う間に全部片付けちまったぞ!」

ルッキーニ「うじゅー!すっごーい!でもねぇシャーリー、あの男の人だれー?」

シャーリー「いや、私は分からないな。ただバルクホルンやハルトマンが血の気を変えてネウロイに突っ込んでくんだから多分2人の知り合いだろ。」


ゲルト「この大馬鹿者がぁー!」バキッ!

俺「ぐはっ!?ちょ、いきなり何するんだよ!」

ゲルト「それはこっちの台詞だ!休んでいる筈のお前が出撃したとミーナから聞かされた時どれだけ心配したと思っている!」

エーリカ「トゥルーデってば顔真っ青にさせてネウロイまで全速力で行くんだもん、追いかけるのキツかったんだよ?」

俺「まぁネウロイは倒した事だし一件落着って事で見逃し―――」クラッ…

ゲルト「俺!?」

俺「流石にちょっと疲れたか……すまんトゥルーデ、肩貸してくれ。」

ゲルト「全く仕方ないな……今回だけだからな!」





―数日後、501基地―

ミーナ「今日は皆さんにお知らせする事があります。この501統合航空戦闘団に新しい仲間が増える事になりました。…と言っても大体の人は予想が付くとは思いますが。入ってください。」

俺「えっと、この501統合航空戦闘団に予備兵扱いとして配置される事になりました俺と言います。以前はカールスラント空軍JG52の第2飛行隊に所属していました。原隊での階級は大尉、使い魔は鷹、固有魔法は……簡単に言えば物質操作です。」

シャーリー「おっ、あの時ネウロイをやっつけた人か。バルクホルンとヤケに仲が良さそうだったけど、どんな関係なんだ?」ニヤニヤ

ゲルト「なっ……!別に怪しい関係なんかじゃないぞ!俺は私と同じ隊にいた同僚だ!あと……幼なじみなだけだ(ボソッ)」

ミーナ「はいはい皆、大尉が気になるのは分かりますが連絡事項が終わってからにしてね。」

ミーナ「大尉はネウロイから発見された事もあり、現時点では何も無いのですがもしも不可解な行動があるようなら拘束せよと上層部から通達がありました。」

ゲルト「なんだと!?ネウロイに操られているならあの時ネウロイを迎撃などしない筈だ!」

ミーナ「落ち着いてトゥルーデ、一応そういう命令にはなっているけれど上層部も大尉の能力は高く評価しています。何事も無ければこのまま501に正式に配属される事になるわ。」

ゲルト「だが…!」

俺「落ち着けよトゥルーデ、ネウロイの体内から出て来た人間なんてそうそういないんだから仕方ないだろ。」

ゲルト「当の本人が随分悠長だな……」

俺「まぁ何も無ければ大丈夫らしいからな。」

ミーナ「と言う訳で、現在俺大尉は軍曹扱いとしてこの501統合戦闘航空団に配置されます。」

俺「このまま何も無ければ再び大尉相当として配置されるらしいですが、まぁこの501じゃ俺が一番後輩なんで気兼ねなく扱ってください。」

ゲルト「……なんて情けない姿だ……」

エーリカ「良いんじゃない?何も無ければ問題ないんだし。」

ミーナ「じゃあこれにて解散。あと俺軍曹、部隊名は分かってますか?」

俺「えっと確かストライクウィッチーズですよね?」


続く
最終更新:2013年01月28日 01:34