アンドロス級巡航艦


[解説]
聖王国がヘッドハントした自由都市同盟の天才技師ニコラウス・テレスタインとの共同研究の末、聖華暦578年にメシュラム重工が開発した世界初のホバー推進装置搭載型陸上巡航艦で、区分としては重巡航艦に当たる。
アンドロス級は、前部甲板直下に1基、後部両舷に船体を挟むように2基の合計3基の大型のホバー推進装置が配置される構造となっており、船体中央最後部には主推進器として大型の噴射式推進装置が配置されている。
聖王国において、時勢に合わせた改修や設計の見直しが行われつつも非常に長い間運用され続けた艦であるため、時代や製造ロットにより、艤装の構成は変わるものの、いずれにおいてもこの基本構造は共通している。
聖王国において、時勢に合わせた改修や設計の見直しが行われつつも非常に長い間運用され続けた艦であるため、時代や製造ロットにより、艤装の構成は変わるものの、いずれにおいてもこの基本構造は共通している。
積載量の関係で従来の履帯式陸上巡航艦よりも小型の方位限定型の魔導障壁発生装置を搭載しているため、耐久性ではやや劣る。その一方で、3基搭載された大型のホバー推進装置により、最初期型の時点でも82km/hに達するほどの船速を実現しており、機動性では履帯式陸上巡航艦とは一線を画する性能となっている。
聖華暦578年の開発後、メシュラム重工はこれらの成果と戦術ドクトリンをもって聖騎士団に提案。
結果としてロードス級戦艦と共に極めて好意的に受け止められ、メシュラム重工は聖騎士団の保有する艦隊を聖華暦580年までの2年でこれらホバー推進装置搭載艦に置き換えるという大規模な受注の獲得に成功する。
結果としてロードス級戦艦と共に極めて好意的に受け止められ、メシュラム重工は聖騎士団の保有する艦隊を聖華暦580年までの2年でこれらホバー推進装置搭載艦に置き換えるという大規模な受注の獲得に成功する。
この量産計画は聖騎士団、ひいては聖王国の旗振りのもと、極めて大規模に行われており、メシュラム重工は多額の資金提供と引き換えに、社外秘となるホバー推進装置の設計上のブラックボックスを除く基礎設計を各所艦船製造業社に公開、国を挙げての生産体制が整えられることとなった。
こうして、聖華暦580年のラマー平原の戦いにおいて、ロードス級戦艦と共に初めて実戦に投入されると、その圧倒的な速力を生かして履帯式艦船で構成された帝国の艦隊を翻弄、壊滅させるという戦果をあげており、その後の陸上艦のあり方を大きく変えた艦船としても知られている。
[艦性能の変遷]
[最初期型]
聖華暦578年に開発された当初の仕様がこの最初期型である。
この当時は、いずれ帝国も実用化することになるだろうホバー推進装置搭載艦同士による艦隊戦の高速化が予測されており、アンドロス級巡航艦自身、あるいはロードス級戦艦を仮想敵として艤装構成が研究されていた。
つまり、この時点では陸上をただ走ることしかできない機兵はホバー推進装置搭載艦にとって的にはなっても脅威にはなり得ないと判断されていたのだ。
このため、対機兵用となる魔導機関砲などの兵装は搭載されておらず、あくまで主砲と副砲のみに絞った艤装構成となっている。
聖華暦578年に開発された当初の仕様がこの最初期型である。
この当時は、いずれ帝国も実用化することになるだろうホバー推進装置搭載艦同士による艦隊戦の高速化が予測されており、アンドロス級巡航艦自身、あるいはロードス級戦艦を仮想敵として艤装構成が研究されていた。
つまり、この時点では陸上をただ走ることしかできない機兵はホバー推進装置搭載艦にとって的にはなっても脅威にはなり得ないと判断されていたのだ。
このため、対機兵用となる魔導機関砲などの兵装は搭載されておらず、あくまで主砲と副砲のみに絞った艤装構成となっている。
主砲としては12.7cm2連装魔導砲が採用されており、船体中央線上、前部甲板に2門、後部甲板に1門の合計3門搭載されている。
また、副砲としては10.5cm2連装広角魔導砲が採用されており、後部大型ホバー推進装置の壁面に両舷1門ずつの合計2門搭載されている。
この副砲は90度横向きになった状態で壁面に設置される都合上、仰角が120度近く取れるようになっており、砲塔を旋回させずに、前方からやや後方までを斜角に捉えることが可能となっている。
また、副砲としては10.5cm2連装広角魔導砲が採用されており、後部大型ホバー推進装置の壁面に両舷1門ずつの合計2門搭載されている。
この副砲は90度横向きになった状態で壁面に設置される都合上、仰角が120度近く取れるようになっており、砲塔を旋回させずに、前方からやや後方までを斜角に捉えることが可能となっている。
このような構造のため、特に船体側面に対して広い射角が確保されており、3門の主砲全てと、片舷の副砲が側面の敵艦を射角に捉えられるようになっている。
これは先に述べたように、アンドロス級は高速航行を行いながらの対艦、対拠点戦闘を基本のドクトリンとしていることが影響している。
つまり、船体側面を相手艦隊に向け、その船速の効果が最大限に活かせる状況下において、最大の火力が発揮できる艤装構成となっているのだ。
これは先に述べたように、アンドロス級は高速航行を行いながらの対艦、対拠点戦闘を基本のドクトリンとしていることが影響している。
つまり、船体側面を相手艦隊に向け、その船速の効果が最大限に活かせる状況下において、最大の火力が発揮できる艤装構成となっているのだ。
[スペック]
- 対艦攻撃兵装
- 対人・対機兵迎撃用兵装群
なし
- 船体性能
ラマー平原の戦いの圧倒的勝利と言っていい結果に大いに満足した聖騎士団上層部、および聖王国首脳部はアンドロス級巡航艦およびロードス級戦艦のさらなる増産を決定。
これに加えて、同時期に開発され、増産が決まっていた砲撃能力に特化した従機、サルファガスが主砲および副砲として採用されることが半ば決定事項として通達される。
これに加えて、同時期に開発され、増産が決まっていた砲撃能力に特化した従機、サルファガスが主砲および副砲として採用されることが半ば決定事項として通達される。
これを受けてメシュラム重工は一部設計を見直した、後に改Ⅰ型と呼ばれることになる改修案を発表する。
なお、この改Ⅰ型以降のアンドロス級巡航艦の製造にあたってはメシュラム重工はライセンス販売方式を採用しており、先の半ば強引とも言える最初期型の量産計画において、船体の製造に関わった各所艦船製造業社を中心に聖王国内での流通を条件として生産ライセンスを販売している。
なお、この改Ⅰ型以降のアンドロス級巡航艦の製造にあたってはメシュラム重工はライセンス販売方式を採用しており、先の半ば強引とも言える最初期型の量産計画において、船体の製造に関わった各所艦船製造業社を中心に聖王国内での流通を条件として生産ライセンスを販売している。
こうして製造された改Ⅰ型アンドロス級巡航艦の特徴としては、旋回砲塔式の主砲を廃止し、代わりとして砲撃支援従機サルファガスを採用していることが挙げられる。
また、甲板上には旋回砲塔の技術を応用した回転板に装甲板が配置された砲撃台座が配置されており、基本的にサルファガスはこの回転板の上に脚部を固定して、砲撃を行うこととなる。
このほか、旋回砲塔を外したことで空いた船体内部の空間は、予備となるサルファガスの格納庫へと改装されており、甲板上のサルファガスが破壊された際などにエレベーターで甲板に供給できるようになっている。
また、甲板上には旋回砲塔の技術を応用した回転板に装甲板が配置された砲撃台座が配置されており、基本的にサルファガスはこの回転板の上に脚部を固定して、砲撃を行うこととなる。
このほか、旋回砲塔を外したことで空いた船体内部の空間は、予備となるサルファガスの格納庫へと改装されており、甲板上のサルファガスが破壊された際などにエレベーターで甲板に供給できるようになっている。
これらの変更点は、すでに竣工済みの既存艦についても前部甲板上にある主砲のうち1つを取り外し、サルファガス用の砲撃台座を増設するという形で反映されており、聖華暦600年ごろまでに順次改修が行われていった。
[スペック]
- 対艦攻撃兵装
- 対人・対機兵迎撃用兵装群
[新造型]
なし
なし
[改修型]
なし
なし
- 船体性能
[改Ⅱ型(後期型)]
聖華暦612年から聖華暦720年の製造終了までの間に製造され続けた仕様がこの改Ⅱ型(後期型)である。
この改Ⅱ型はラマー平原の戦いとは真逆に、歴史的な大敗北を喫することになったルウアンの戦いを受け、仮想敵としてファルコネット級軽巡航艦を設定して再設計が行われたもので、対艦巨砲主義的な考えに陥りやすい対艦能力至上主義思想から脱却することに比重が置かれた設計となっている。
特に機兵運用能力の付与と、対機兵迎撃用の魔導機関砲の実装は外せない要点として盛り込まれることになった。
聖華暦612年から聖華暦720年の製造終了までの間に製造され続けた仕様がこの改Ⅱ型(後期型)である。
この改Ⅱ型はラマー平原の戦いとは真逆に、歴史的な大敗北を喫することになったルウアンの戦いを受け、仮想敵としてファルコネット級軽巡航艦を設定して再設計が行われたもので、対艦巨砲主義的な考えに陥りやすい対艦能力至上主義思想から脱却することに比重が置かれた設計となっている。
特に機兵運用能力の付与と、対機兵迎撃用の魔導機関砲の実装は外せない要点として盛り込まれることになった。
この設計見直しの過程で、前部上部甲板は機兵発艦用の丸ごとカタパルトデッキに改修されており、改Ⅰ型において甲板上に主砲として搭載されていたサルファガスの採用も砲撃陣地ごと廃止され、旋回砲塔式の主砲と側面配置型の広角砲が改めて採用されている。
このサルファガス採用見送りの最大の原因としては、やはりルウアンの戦いにおいて、聖騎士団上層部がサルファガスという従機にこめていた期待が完膚なきまでに打ち砕かれたことが影響している。
当初、メシュラム重工側が改Ⅰ型アンドロス級巡航艦のさらなる改装型として提案していた、サルファガスの採用を取りやめ、通常の火砲に戻した改Ⅱ型設計案を聖騎士団上層部は否決し、突き返して「引き続きサルファガス搭載艦として設計すべし」と押し切るつもりでいた。
これは、あまりにも過剰に作り過ぎてしまったサルファガスのいわば在庫処分先として、アンドロス級巡航艦、およびロードス級戦艦を使用したいという思惑もあってのことだったのだが、メシュラム重工側から、ルウアンの戦いの散々たる結果を根拠として示され、帝国の傑作、ファルコネット級軽巡航艦と相対することができるだけの性能を持った巡航艦や戦艦からなる艦隊の必要性を説かれては、聖騎士団側もサルファガスの採用を見送るという提案に同意せざるをえなかったのだ。
このサルファガス採用見送りの最大の原因としては、やはりルウアンの戦いにおいて、聖騎士団上層部がサルファガスという従機にこめていた期待が完膚なきまでに打ち砕かれたことが影響している。
当初、メシュラム重工側が改Ⅰ型アンドロス級巡航艦のさらなる改装型として提案していた、サルファガスの採用を取りやめ、通常の火砲に戻した改Ⅱ型設計案を聖騎士団上層部は否決し、突き返して「引き続きサルファガス搭載艦として設計すべし」と押し切るつもりでいた。
これは、あまりにも過剰に作り過ぎてしまったサルファガスのいわば在庫処分先として、アンドロス級巡航艦、およびロードス級戦艦を使用したいという思惑もあってのことだったのだが、メシュラム重工側から、ルウアンの戦いの散々たる結果を根拠として示され、帝国の傑作、ファルコネット級軽巡航艦と相対することができるだけの性能を持った巡航艦や戦艦からなる艦隊の必要性を説かれては、聖騎士団側もサルファガスの採用を見送るという提案に同意せざるをえなかったのだ。
なお、余談ではあるがこの際、メシュラム重工は、聖騎士団上層部に対し、余剰のサルファガスの在庫処分先として、自社製が聖騎士団に納入している主力輸送艦、ミコノス級輸送艦を改装し、仮装巡航艦を製造することを提案しており、受注に成功している。いやはや、ちゃっかりしているというか、なんというか、である。
このほか、船体の各部には対機兵を念頭においた魔導機関砲や高角砲が数種搭載されている。
この魔導砲群は、いずれも俯角と仰角を大きく取れるようになっており、噴射式推進装置を用いた立体機動を駆使して接近する機兵にも対応可能となっている。
この魔導砲群は、いずれも俯角と仰角を大きく取れるようになっており、噴射式推進装置を用いた立体機動を駆使して接近する機兵にも対応可能となっている。
これに加えて、これまでの型では方位限定型が採用されていた魔導障壁は全方位型に変更されており、防御性能も飛躍的な向上を果たしている。
この改Ⅱ型への改修プランは大きく分けて2つ存在しており、ひとつは従来の陸上巡航艦の役割を踏襲しつつ、機兵への対応力を高めた、純巡航艦型、もうひとつは機兵運用能力を高め、強襲揚陸艦に近い運用を前提とする強襲揚陸艦型である。
外見上の差異は少ないものの、純巡航艦型は側面に配置された15.5cm2連装広角魔導砲に加えて、前部甲板上にも2門の15.5cm2連装魔導砲が搭載されたことで対艦戦闘能力が高くなっており、一方の強襲揚陸艦型は、前部甲板下が片舷2mほど肥大化させ、前部の機兵格納庫の容量拡大が図られているなど運用思想に合わせた違いが存在している。
外見上の差異は少ないものの、純巡航艦型は側面に配置された15.5cm2連装広角魔導砲に加えて、前部甲板上にも2門の15.5cm2連装魔導砲が搭載されたことで対艦戦闘能力が高くなっており、一方の強襲揚陸艦型は、前部甲板下が片舷2mほど肥大化させ、前部の機兵格納庫の容量拡大が図られているなど運用思想に合わせた違いが存在している。
既存艦についても、順次このいずれかの型に改修されており、のちに、後継艦であるフリッパー級軽巡航艦が開発されるまで、細かな改修が繰り返されながらも非常に長きにわたって運用が続けられた。そのため、アンドロス級の長い歴史の中でも最も多く製造され、長く運用された型と言えるだろう。
- 対艦攻撃兵装
- 対人・対機兵迎撃用兵装群
[純巡航艦型]
80mm対機兵連装魔導高角砲×2門
40mm 対機兵連装魔導機関砲×6門
内蔵式15.5mm対人/対機兵魔導機関銃×10門
80mm対機兵連装魔導高角砲×2門
40mm 対機兵連装魔導機関砲×6門
内蔵式15.5mm対人/対機兵魔導機関銃×10門
- 船体性能
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