メビウス・ネットワーク
[解説]
聖華暦830年代に於いて、アルカディア帝国、カーライル王朝・聖王国、自由都市同盟の三大国の少なくとも大都市や重要都市に設置されている、都市単位の情報ネットワーク機構。
基本的に都市の中央地下に設置されたメビウス結晶と情報を伝達するケーブル、そして地上にある都市政庁など重要な建物に配置されたクライアント端末により構成される。
メビウス結晶は各クライアント端末より入力された様々な情報を記録、蓄積する能力があり、そして各クライアント端末からの要求に従って必要な情報を出力する。
更にこのネットワークは都市単位であるため、都市間でデータをやりとりする必要性から、メビウス結晶を封入した手のひら大の小さなカートリッジが開発される。
各都市間の情報のやり取りは、このデータ記録用カートリッジを都市間連絡船などで輸送、運搬する事で、成り立っているのだ。
このメビウス・ネットワークの発達により、情報を盗み取ったり偽情報を流したりという情報犯罪が、近年新たに発生している。
基本的に都市の中央地下に設置されたメビウス結晶と情報を伝達するケーブル、そして地上にある都市政庁など重要な建物に配置されたクライアント端末により構成される。
メビウス結晶は各クライアント端末より入力された様々な情報を記録、蓄積する能力があり、そして各クライアント端末からの要求に従って必要な情報を出力する。
更にこのネットワークは都市単位であるため、都市間でデータをやりとりする必要性から、メビウス結晶を封入した手のひら大の小さなカートリッジが開発される。
各都市間の情報のやり取りは、このデータ記録用カートリッジを都市間連絡船などで輸送、運搬する事で、成り立っているのだ。
このメビウス・ネットワークの発達により、情報を盗み取ったり偽情報を流したりという情報犯罪が、近年新たに発生している。
[開発史]
聖華暦601年:
帝国にて機装兵レギオン開発開始。同時に、第五世代機兵用のトワル・スフィアを造るための、呪紋原盤記述装置が開発される。これは入力装置としてキーボードと、機兵操縦槽の映像盤と同等の情報出力装置、および呪紋原盤に呪紋の記述を書き込むプリンターの様な機械の組み合わせであった。ただしこれはスフィアに刻む呪紋の原盤を作る事しかできなかった。
なおこれ以前は手作業で呪紋原盤を造り、それをエーテライト球の内部に魔導士が転写していた。しかし原盤を機械的に作る事で、記述の精度と緻密さは桁外れに上がり、性能も一足飛びに向上。
この時代の呪紋原盤記述装置は、小さな家一軒より若干大きいほどの巨大さであった。この装置は、間諜(スパイ)により聖王国へ、そして聖王国を通じて自由都市同盟へももたらされる。
帝国にて機装兵レギオン開発開始。同時に、第五世代機兵用のトワル・スフィアを造るための、呪紋原盤記述装置が開発される。これは入力装置としてキーボードと、機兵操縦槽の映像盤と同等の情報出力装置、および呪紋原盤に呪紋の記述を書き込むプリンターの様な機械の組み合わせであった。ただしこれはスフィアに刻む呪紋の原盤を作る事しかできなかった。
なおこれ以前は手作業で呪紋原盤を造り、それをエーテライト球の内部に魔導士が転写していた。しかし原盤を機械的に作る事で、記述の精度と緻密さは桁外れに上がり、性能も一足飛びに向上。
この時代の呪紋原盤記述装置は、小さな家一軒より若干大きいほどの巨大さであった。この装置は、間諜(スパイ)により聖王国へ、そして聖王国を通じて自由都市同盟へももたらされる。
聖華暦717年:
シリウス戦役勃発。この頃にはなんとか呪紋原盤の記述データ(プログラムのソースファイルにあたる)を特殊な処理をした記録用スフィアにコピーする事で、それを手で運んで別の呪紋原盤記述装置に移す事が可能になる。
この技術は、後に操手データ移殖カートリッジシステムにも応用されることとなる。
しかしながら、シリウス戦役の拡大によって、またも研究は停滞する事になった。
シリウス戦役勃発。この頃にはなんとか呪紋原盤の記述データ(プログラムのソースファイルにあたる)を特殊な処理をした記録用スフィアにコピーする事で、それを手で運んで別の呪紋原盤記述装置に移す事が可能になる。
この技術は、後に操手データ移殖カートリッジシステムにも応用されることとなる。
しかしながら、シリウス戦役の拡大によって、またも研究は停滞する事になった。
聖華暦719年:
ラシック・フォン・シュヴァーケリンの戦死とシリウス船団が降伏した事により、シリウス戦役は終わる。
ここで技術を接収したアイオライト・プロダクションが技術の一部を三大国の政府に売り渡した事で、サーバー・クライアント式情報システムの概念が知られる様になった。
この概念を、呪紋原盤記述装置と組み合わせる事を思いついたのが、聖王国の魔導学園都市インテリオルに本部を持つ、聖王国錬金学会である。
ラシック・フォン・シュヴァーケリンの戦死とシリウス船団が降伏した事により、シリウス戦役は終わる。
ここで技術を接収したアイオライト・プロダクションが技術の一部を三大国の政府に売り渡した事で、サーバー・クライアント式情報システムの概念が知られる様になった。
この概念を、呪紋原盤記述装置と組み合わせる事を思いついたのが、聖王国の魔導学園都市インテリオルに本部を持つ、聖王国錬金学会である。
聖華暦727年:
最初の、そして最大のメビウス結晶が聖王国錬金学会によって開発される。この特殊な錬金結晶は、クライアント端末から送られる情報の記録と蓄積、端末からの要請により情報をその端末へ送り出す情報サーバー機能を持っていた。
メビウス結晶の外観はメビウスの輪の形をした、虹色に輝く透明な結晶体。そしてクライアント端末には、呪紋原盤記述装置が用いられる事になる。この時期には、呪紋原盤記述装置も更なる小型化が為され、四畳半一室程度になる。
最初の、そして最大のメビウス結晶が聖王国錬金学会によって開発される。この特殊な錬金結晶は、クライアント端末から送られる情報の記録と蓄積、端末からの要請により情報をその端末へ送り出す情報サーバー機能を持っていた。
メビウス結晶の外観はメビウスの輪の形をした、虹色に輝く透明な結晶体。そしてクライアント端末には、呪紋原盤記述装置が用いられる事になる。この時期には、呪紋原盤記述装置も更なる小型化が為され、四畳半一室程度になる。
聖華暦741年:
各国の錬金学会を通じて、メビウス結晶とクライアント端末の技術が三大国に流れる。これにより、各国でメビウス結晶とクライアント端末(この時期には呪紋原盤記述装置とは呼ばれないが、呪紋原盤の記述機能は持っている)が運用される様になる。
ただしこれは、聖王国の政庁には寝耳に水の事態だった様で、このあとしばらく聖王国錬金学会は聖王国政庁から睨まれる事になる。
各国の錬金学会を通じて、メビウス結晶とクライアント端末の技術が三大国に流れる。これにより、各国でメビウス結晶とクライアント端末(この時期には呪紋原盤記述装置とは呼ばれないが、呪紋原盤の記述機能は持っている)が運用される様になる。
ただしこれは、聖王国の政庁には寝耳に水の事態だった様で、このあとしばらく聖王国錬金学会は聖王国政庁から睨まれる事になる。
聖華暦792年:
自由都市同盟で、初期の魔導計算機が開発される。自由都市同盟はこの技術を使い、呪紋原盤記述装置に応用。呪紋原盤記述装置は一気に小型化し、学習机1個分のスペースがあれば設置できる様になる。当然ながらクライアント端末も同様。
ただしこの時点では、この装置は振動に弱く、陸上艦に搭載して弾道計算に使う事はできなかった。計算性能は良くてワンボードマイコンほど。なお後年に本格的な、しかもデスクトップパソコンサイズの魔導計算機(性能はAppl○Ⅱレベル)が開発され、都市同盟軍の陸上艦に搭載されるが、それは余談である。
自由都市同盟で、初期の魔導計算機が開発される。自由都市同盟はこの技術を使い、呪紋原盤記述装置に応用。呪紋原盤記述装置は一気に小型化し、学習机1個分のスペースがあれば設置できる様になる。当然ながらクライアント端末も同様。
ただしこの時点では、この装置は振動に弱く、陸上艦に搭載して弾道計算に使う事はできなかった。計算性能は良くてワンボードマイコンほど。なお後年に本格的な、しかもデスクトップパソコンサイズの魔導計算機(性能はAppl○Ⅱレベル)が開発され、都市同盟軍の陸上艦に搭載されるが、それは余談である。
聖華暦793年:
自由都市同盟より、間諜(スパイ)の手により学習机サイズのクライアント端末が盗まれる。何処の間諜かは記録に残っていない。同盟政府は間諜の逃走を防げなかった事を知ると、帝国と聖王国に端末の技術ライセンスを売却する事に決定。
この決定により、帝国と聖王国どちらの間諜だったかはわからないが、盗んでいない方は高額でその技術を買い、盗んだ方もやむなく同額で技術を買った。
小型の端末と、サーバーたるメビウス結晶が揃った事により、三大国で一気に普及が始まる。1つのネットワークの範囲は1都市内。都市ネットワーク間の通信は無く、月刊少年ジ〇ンプを2冊重ねたほどの大きさの音録用カセットを転用した記録媒体で、それを人間が運ぶ事でデータをやり取りする。
自由都市同盟より、間諜(スパイ)の手により学習机サイズのクライアント端末が盗まれる。何処の間諜かは記録に残っていない。同盟政府は間諜の逃走を防げなかった事を知ると、帝国と聖王国に端末の技術ライセンスを売却する事に決定。
この決定により、帝国と聖王国どちらの間諜だったかはわからないが、盗んでいない方は高額でその技術を買い、盗んだ方もやむなく同額で技術を買った。
小型の端末と、サーバーたるメビウス結晶が揃った事により、三大国で一気に普及が始まる。1つのネットワークの範囲は1都市内。都市ネットワーク間の通信は無く、月刊少年ジ〇ンプを2冊重ねたほどの大きさの音録用カセットを転用した記録媒体で、それを人間が運ぶ事でデータをやり取りする。
聖華暦811年:
この頃には、ネットワークからの情報盗難に備え、様々な試みがなされる様になっている。
しかし間諜や犯罪者もさるもの。手を変え品を変え、データ盗難を試みている。
中にはメビウス結晶の安置場所に潜入し、端末ではなく本体から直接データを抜き取る強者も。
ちなみにネットワークの基本性能は各国ごとに変わらないが、各々の国に於いて独自の改良は試みられている。
帝国では比較的近隣の都市の間だけではあるが、ネットワークを接続する工事に着手。
聖王国では複数のメビウス結晶をレイド(Raid)として稼働させる事で、安定性の担保と不慮のデータ消失事故に備える。
自由都市同盟では自前の魔導計算機によるネットワークを開発、それとの二重化により安全性を高めると共に、軍用データは魔導計算機ネット、民生用データはメビウス結晶ネットと言う様に分割している。
この頃には、ネットワークからの情報盗難に備え、様々な試みがなされる様になっている。
しかし間諜や犯罪者もさるもの。手を変え品を変え、データ盗難を試みている。
中にはメビウス結晶の安置場所に潜入し、端末ではなく本体から直接データを抜き取る強者も。
ちなみにネットワークの基本性能は各国ごとに変わらないが、各々の国に於いて独自の改良は試みられている。
帝国では比較的近隣の都市の間だけではあるが、ネットワークを接続する工事に着手。
聖王国では複数のメビウス結晶をレイド(Raid)として稼働させる事で、安定性の担保と不慮のデータ消失事故に備える。
自由都市同盟では自前の魔導計算機によるネットワークを開発、それとの二重化により安全性を高めると共に、軍用データは魔導計算機ネット、民生用データはメビウス結晶ネットと言う様に分割している。
聖華暦820年:
これまで都市間のメビウス・ネットワーク同士の情報やり取りは、793年時点における月刊少年ジャ○プ2冊分の大きさからは格段に小さくなったとは言え、データ転送速度の遅い音録用カセットの転用でまかなわれていた。
しかしながらこの年の半ば、もっとずっとデータ転送速度の速いデータカートリッジが開発される。
これは手のひら大のサイズの黒い樹脂製ケースに、直径3cmほどの環状のメビウス結晶を封入した物だった。
これによって以前よりも高速に、データの読み取りや移行ができる様になった。
もっともこれを使う事で、データ泥棒にとっても、仕事がやり易くなったのであるが……。
これまで都市間のメビウス・ネットワーク同士の情報やり取りは、793年時点における月刊少年ジャ○プ2冊分の大きさからは格段に小さくなったとは言え、データ転送速度の遅い音録用カセットの転用でまかなわれていた。
しかしながらこの年の半ば、もっとずっとデータ転送速度の速いデータカートリッジが開発される。
これは手のひら大のサイズの黒い樹脂製ケースに、直径3cmほどの環状のメビウス結晶を封入した物だった。
これによって以前よりも高速に、データの読み取りや移行ができる様になった。
もっともこれを使う事で、データ泥棒にとっても、仕事がやり易くなったのであるが……。