トイ・ストーリー2
原題:Toy Story 2
公開:1999年11月24日
時間:92分
監督:
ジョン・ラセター
ストーリー
とある8月14日。
アンディの母親がヤードセールに歌うペンギン人形の
ウィージーを出品してしまう。ウィージーはホコリをかぶって喉が弱っていたが、古い友人を見捨てきれないウッディはウィージーを救出するも、自分がおもちゃマニアの
アル・マクウィギンに捕まってしまう。
一方、ウッディを盗んだ犯人アルは玩具コレクターだった。実はウッディは往年の人気番組「
ウッディのラウンドアップ」の主人公であり、アルは番組のキャラクターであるウッディ、
ジェシー、
ブルズアイ、
プロスペクターをセットにして日本の博物館に高額で売ろうとしていたのだった。最初はアンディの元に戻ろうとするウッディだったが、かつての持ち主に捨てられたジェシーの過去を知り、揺れ動く…。
概要
『
トイ・ストーリー』(1995年)の続編。当初はビデオソフト用続編として制作が進められたが、出来の良さから劇場公開作品に昇格した。しかし、このことで「この続編を当初の劇場公開契約本数に含めるべきかどうか」という問題が生じ、一時ディズニーとピクサーとの関係が悪化した一因となった。
日本で初めてデジタル上映方式DLPにて公開された映画である。
制作はピクサー・アニメーション・スタジオ。監督ジョン・ラセター(ピクサー)。長編フルCGの作品を生み出した制作チーム統括の業績に対し、監督ラセターはアカデミー特別業績賞を受賞した。他にアカデミー賞候補として、脚本賞ノミネート(アンドリュー・スタントン)、オリジナル主題歌賞ノミネート("You've Got a Friend in Me")、作曲賞(コメディ部門)ノミネート(ランディ・ニューマン)。
2011年にはアメリカのTotal Film誌で行われた「史上最高のアニメ映画50」にて第1位に選ばれた。
歴史
ラセターは本作の製作に際し、「おもちゃは子供に遊んでもらえなくなり、最悪捨てられた場合にどう感じるのか」と考えた。ブランノンは「コレクターがヤード・セールでウッディがレアアイテムだと気付く展開はどうか」と提案した。このアイディアは1990年に製作中止となった『
Tin Toy Christmas*』が基になっている。このおもちゃコレクター、
アル・マクウィギンは途中脚本から姿を消したが、結局採用されることとなった。アルのキャラクターはラセターに影響を受けているという。
ウッディを1950年代の人形劇番組のコレクターズ・アイテムという設定にするため、『ウエスタン・マリオネット 魔法のけん銃』『ホパロング・キャシディ』『ハウディ・ドゥーディ』を参考に「
ウッディのラウンドアップ」という劇中劇が考案された。番組のヒロインとして活発なカウガール・
ジェシーが新キャラクターとして加えられた。彼女はラセターの妻ナンシーが「続編には
ボー・ピープとは違った強い女性を出すべき」というアイディアによって性格付けされた。
本作がビデオ用から劇場公開用へと昇格すると、ラセターは上映時間を12分ほど増やさざるを得なくなった。既に完成していたストーリーに余分な要素とならないようにシナリオを追加するため、ラセターは週末に
アンドリュー・スタントン*、
ピート・ドクター*、
ジョー・ランフト*やディズニーのストーリー作家を自宅へ招いた。ラセターが追加しようと決めたシーンは前作のオープニングでカットとなった、
バズ・ライトイヤーの劇中劇であった。(本作では
レックスがプレイするTVゲームとして組み込まれている。)また、ウッディが捨てられる悪夢を見るシーンや、壊れたペンギン人形の
ウィージーなど前作で没になったアイディアも陽の目を見ることとなった。
1997年6月、ディズニーは製作のペースに不満を持ち、グッゲンハイムをプロデューサーに据えることを要求した。また、
カレン・ジャクソン*と
ヘレン・プロットキン*をアシスタントから共同プロデューサーへと昇格させた。ラセターは秋まで『バグズ・ライフ』にかかりっきりだったが、その後は監督として合流。
リー・アンクリッチ*も新メンバーとして加わることになった。
1997年11月、ディズニーの重役ロスと
ピート・シュナイダー*がピクサーのスタジオでストーリーを確認した。彼らは出来を見て劇場公開するべきだと考えた。ディズニーとピクサーの間には5本の長編映画を製作するという契約が結ばれており、本作をその本数に含めるのかが争点となった。ロスとジョブズの交渉の末、1998年2月5日、ジョブズはスタッフに『トイ・ストーリー2』を劇場公開することを伝えた。
1998年、スタッフの一人がキャラクターモデルが消えていることに気付く。実はファイルの整理をしていたアニメーターが誤って『トイ・ストーリー2』のプロジェクトファイルごと削除してしまっていたのだ。急いでファイルサーバをシャットダウンしたが、2年間で作成したデータのほとんどは消えてしまっており、社内にもバックアップは見つからなかった。幸いにも、
ガリン・ズースマン*という女性スタッフが赤ちゃんの世話をするために在宅勤務をしており、ほぼ全データを自宅のパソコンに所持していたため、データの損失は直近2週間の作成分のみに抑えることができたという。
データの復元には成功したが、ピクサーの首脳部は本作の出来に満足していなかった。ヨーロッパでの『バグズ・ライフ』のプロモーションから戻ったラセターはその意見に同意した。ピクサーはディズニーに作り直したい旨を伝えたが、前作のヒットによっておもちゃのタイアップなども決まっていたことからディズニーは公開時期をずらすことを拒否した。そのため、ラセターはわずか9ヶ月で映画を完成させなければならなかった。
ブランノンとアンクリッチがリーダーとなり、彼らは認識の齟齬を防ぐために毎日進捗を報告し合った。作業は日に日に複雑になっていった。キャットマルによると、スタッフの3分の1がRSIになっていたという。ピクサーは長時間残業を防ぐ仕組みを整えていたが、若いスタッフは自主的に残業をするのが一般的だった。また、託児所で子供を降ろし忘れ、そのままピクサーの駐車場で車を停めて後部座席に子供を置き去りにするアニメーターが出ることもあった。救急隊員の迅速な行動によって大事には至らなかったが、スタッフはそれだけ疲弊していたという。
アニメーション
1997年初頭、ピクサーの映画製作のチームの300名は『
バグズ・ライフ』(1998年)の製作に追われていた。
スティーブ・ジョブズ*は、1996年に『トイ・ストーリー』のCD-ROMタイトル2作品を成功させたインタラクティブ・プロダクツ・グループの実績が十分なものだと判断し、『トイ・ストーリー2』のキックオフメンバーとして採用した。
本作は続編であるため、前作のキャラクターのモデルなどを使い回して短期間で製作できると考えていたが、CG技術の向上に合わせてほとんどを作り直した。また、前作の製作時には新しい場所を描く際、現在の技術で実現できるのか慎重に検討されたほど制約があったが、本作では技術の向上によってカメラワークの自由度も向上した。
ピクサーは続編を作るからには前作と変わり映えしない映像は避けたかった。アニメーション製作のためにソフトウェアをいくつか開発し、その中の一つがホコリを描画するものであった。ウッディが置かれる棚のシーンには約200万のホコリが描かれている。
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最終更新:2024年09月08日 17:18