とあるグリッドに潜伏していた身元不明の強化人間。
かつて「灰被り」が花火を撃ち込み、半壊状態となったグリッドを新たに拠点化すべく、カルメンらが
同地を探索していた際に遭遇した正体不明機。非常に腕の立つ狙撃手で、数日間に渡るゲリラ戦の応酬の
末にようやくカルメンと真っ向から対峙し、その腕前を気に入った彼女の説得でRaDに加わった。
本人は死人のような雰囲気をまとった寡黙な男で、手製らしい粗末な作りの義肢と全身に及ぶ瘢痕は、
彼が過去に瀕死の重傷を負ってなお生き延びてきたことをうかがわせる。しかしその過去が本人の口から
語られたことはなく、現在の識別名や機体名も、すべてカルメンが名付けたものである。
平時はカルメンとガズデンの映画趣味に付き合わされており、感想を口にすることこそないが、どんな
映画を見るときも画面をじつと凝視し続けているため、彼なりに楽しんではいるようだ。
搭乗機体は、性能自体は劣悪ながら市街戦での狙撃に特化した構成になっており、逆関節型の跳躍力を
駆使して地形を自在に移動し、決して敵機と正対することなく、遮蔽物やパルスシールド越しに一方的に
攻撃を加えるゲリラ戦術を得意とする。機体の性能に頼ることなく八面六臂の活躍を見せる戦いぶりは、
彼がかつて優秀な主のもとに仕えた戦士であったことの証左である。