redEyes[レッドアイズ]

登録日:2009/06/04 Thu 02:37:09
更新日:2025/02/25 Tue 08:47:35
所要時間:約 120 分で読めます


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この巨大な行為の中で

一人の兵士の生命に

何の意味があるだろう…




【概要】


redEyesは神堂 潤の青年漫画作品。
近未来の黒海西岸部を舞台にした国家間の戦争と、それに纏わる激動の時代を描くSF戦記である。
マガジンGREATにて連載を開始し、同誌が休刊後はマガジンイーノ、それがまた廃刊になって以降はマガジンプラス、そして20巻以降は単行本描き下ろし掲載となっている。
単行本は26巻まで刊行*1。また1~26巻を5冊にまとめた「超合本版」が電子書籍限定で販売されている。


◆あらすじ
統合暦182年7月7日、レギウム共和国軍はドラグノフ連邦軍に対して和議を申し入れ、2年8ヶ月余りに渡って続いたレギウム・ドラグノフ間の戦争はレギウム共和国の実質的な敗北で終結した。
終戦から3ヵ月後、レギウム軍最強の特殊部隊ジャッカル隊長であったかつての英雄グラハルト・ミルズは、死刑執行の日を迎えていた。
最後の戦場で部下の裏切りにより、敵国に内通した反逆者の汚名を着せられ拘束されたミルズだったが、護送の為にきた海兵隊を殺害して脱走、汚名を着せたクレイズに復讐するべくたった1人の戦争を開始した。




【特徴】


本作品でまず目を引くのが、パワードスーツを含めた地上戦主体の戦闘である。
高度電子戦の破綻と制御不能な過去の遺産によって戦争形態が有視界戦闘・白兵戦へと退化しており、戦車などの旧来兵器とともに『SAA』と呼ばれるパワードスーツが新たに戦争の花形として登場、様々な場面で活躍している。

細かく設定された世界設定や巻末の戦記も濃密で、これだけでも読みごたえがある。
やられ役の一般兵がこの作品では生き生きとした人間味のある存在なのも特徴で、リアルな戦場模様も見所。*2
冗談言って場を和ませたり一生懸命必死で戦っているのが分かったり、そのおかげで本作のエースの化け物度合いがより強調されいい塩梅に仕上がっている。
SAAにも後述するバルメのように量産機ながら様々なバリエーション、両軍のエース級が身に纏うカスタム機…決して兵器にも手を抜かない。

また「軍隊は行政組織、戦争は政治の一形態」という点を描写している作品で、「公的な手順と法的な根拠」を重視する様子が度々あり、
師団法務官の存在や参謀による指揮権にも言及されたり、後述するように「正式な軍隊の降伏」も描かれたりとかなり細かい。

映画を含めた戦争ものを好きな皆様が喜びそうな描写・ネタも多い。
また、人間ドラマやさり気ない心理描写、戦闘も後から読み返すと深い部分が多く、気付きにくい隠し要素のようなもの*3もあり、スルメ作品要素がある。
SF戦記マンガ好きな人には是非一度読んで頂きたい作品である。


難点は執筆速度の遅さ。掲載雑誌が刊行の遅いもの(ほぼ季刊状態)に留まっていた理由の一つである。
というのも神堂先生は他の漫画家のアシとかの経験を経ず独学我流*4で描いており、他の漫画描きが一般的に用いる早く描く(悪く言えば早さの為に手を抜く)手法を使っていない為、アシも簡単に足せない(先に述べた通りアシスタントは後々自分が連載する為の経験を積む場でもある為あまり応用が利かない手法を採る先生の元へ行きたがるアシ志望は少ない)とされる。

…15刊表紙がガンダムのラストシューティングにしか見えない。

余談だが作者がモータースポーツ好きらしく、登場人物にもたびたびレーサーの名前が使われている。
今からすると一昔前の選手が多いが、古いレースを観るとそのまんまの名前が出て来たりするので、興味がある方は調べてみるのも良いかもしれない。




【用語】



「─大義なき争いを求めるものは、業火に焼かれる運命にある」

<多目的軍事衛星群『オービターアイズ』>

戦争が有視界戦闘に退化する原因、舞台の根幹をなす設定の一つ。
かつて地球の大半を統一した超大国サーカム(C.P.D.U.)が所有していた24基の衛星群で、極めて高度な情報収集・解析能力と地表を焼き尽くす超高出力のレーザー兵器を併せ持った究極の衛星兵器である。
特にレーザーによる「地球上のどこにも逃げ場のない」圧倒的な破壊力はもはや既存の軍事的抵抗を完全に無意味にし、サーカムの成立と世界統一に貢献した。

しかし、サーカムの支配は傲慢で独善的であり、世界中の人々の不満は蓄積する一方だった。
何しろ、サーカムの許可なく成層圏に存在するものは気象衛星すら一切許さないというあんまりな横暴ぶりで、地上のほとんどの情報を掌握・独占まで行う始末。
やがて人々の不満は頂点に達し、「二十年戦争」と呼ばれる反乱によってサーカムは崩壊してしまう。

ところが、サーカムは滅んでもオービターアイズは残ったままだった。
それどころか、混乱のさなかに制御方法が失われてしまった事で、オービターアイズは「許可なく成層圏を脱するものは全て撃墜」というかつて与えられた命令をひたすら実行するだけの存在になり果ててしまったのだ。
オービターアイズは最悪な形で残り続け、今も人類を地球に押し留めるくびきとなったのである。
こうして衛星情報が使えなくなった当世界において戦闘は有視界に退化し、技術は歩兵の強化に舵を切り、下記の『SAA』へと派生していくこととなる。

性能自体は各衛星とも同等のようだが、個別に固有番号と名称が設定されている。
作中で判明しているのは以下の通り。

  • 1番機:ダイアモンド
  • 2番機:キーストーン
  • 3番機:ガーデン
  • 12番機:ターペンタイン
  • 13番機:オーシャン
  • 14番機:グリーンマウンテン
  • 15番機:ブルーグラス
  • 16番機:バターナット
  • 17番機:バックアイ
  • 19番機:フージャー
  • 21番機:プレイリー
  • 22番機:カメリア
  • 23番機:パインツリー
  • 24番機:ブリオン

なお24基は赤道を境に南北半球へ交互に配置されており、線で繋ぐとジグザグを描くように浮かんでいる。
これは、極地を除いた地球全土を観測及び攻撃の範囲内に収める為と考えられる。


<SAA>

歩兵の対弾用装備から発展・進化したSpecial Assault Armor(特殊強襲用装甲)(スペシャルアサルトアーマー)の略称。
本作のメカにおける主役。

白兵戦が主になるにつれ、各国は自然と歩兵の強化を目指すようになり、歩兵に耐弾装甲を持たせる設計思想から生まれた。
白兵戦に退化した当世界に於ける戦場の花形で、歩兵を機甲車両と同等にして連携運用できるようにするものとも言える。
本装備を装着(クラッド化)する兵士は「機装兵(クラダー)」という兵科に属する。


◆基本設計

細かい仕様は各国によって異なるが、概ね共通して以下の特徴がある。
  • 伸縮式のフレームとアジャスト式装甲板を持ち、文字通りクラダーはSAAを「装着」する
  • フレームの伸縮によりクラダーの身長は170-210cmまで対応可
  • 機体の駆動は各部に分散配置された大容量バッテリーとモーターを使用
  • 各部の筋反応センサーとそれらの情報を処理するOS・プロセッサの働きによって「SAA側が人体の動きに追従する」事で動作
というまさしく歩兵の強化版である。
高性能なSAAとクラダーに合わせた設定が正確になされていれば、「SAAを装着している感覚がない」と言わしめるほどに人体の動きを再現可能で、
通常の格闘戦は元より、機体や使い手次第では脚を高く振り上げての蹴りなども繰り出せるほど柔軟である。

◆背部

バックパックのような装置を背負ったタイプが多い。
ここには主にブースターや主電源などが内蔵されており、脚部にも備わった同様の噴射による推進機構を併せ、滑るように高速移動ができる。
その最高速度は鈍足とされるバルメですら60km/hを超え、総じて戦車や歩兵より優れた機動力を持っている。
さらに、このブースターは出力を全開にする事でリミッター解除に近い挙動も可能で、人体では考えられない大ジャンプや、
急激な戦闘機動といった行動を短時間の条件つきで行える(使用後は負荷を解放するために緊急冷却とシステムリブートを必要とする)。

◆頭部

頭から顔まで覆うヘルメット形状が主流。
顔を覆う範囲は機体によって異なるが、目の位置にはスコープがくるよう配置されているのが普通。
このスコープは特殊カメラやズームなどの視界の補助のほか、視線入力によるOSの制御や、
ミサイルのロックオンなど各種兵装との連携もしており、火器管制をもつかさどる総合システムと言える。
特に赤外線スコープはほとんどの量産タイプに標準搭載されており、状況に応じて切り替えを行う。


◆武装

標準装備は徹甲重機か対人機銃が主だが、電動モーターのパワーアシストにより、歩兵では持ち運べない重火器を携行できる。
また、携行火器を固定でなくオプション装備にすることで、作戦や用途に適したカスタマイズによる高い汎用性も備えている。
中には標準の銃すらオプションの機体もある。

オプション装備は以下のような種類が登場している。
  • 背部バックパックに装着する大型火器(ミサイルポッド、小口径砲等)
  • 使用時はその都度手に持つ火器(対機甲ライフル、ロングレンジライフル、対戦車ロケット等)
  • 内臓もしくは格納する接近戦用武器(熱伝振動(TCV)ブレード、ハンドガン等)

これに加え「アームガン」の普及率も高い。
アームガンはSAAの前腕部と火器を一体化させた固定武装の総称で、火器の重量を腕部パーツに負わせる事で常に保持する状態にしている。
武器を持ち替える必要がないのと、手がフリーなので追加で銃やナイフを携行したり、そのまま格闘戦に移行することができる。
アームガンの外側はシールドを兼ねている事も多い。
採用されている武装は、徹甲重機、機銃、レールガン、グレネードランチャー、火炎放射器、ブレードなどがある。
その在り方も、トンファーをぶら下げる形に近いもの、手の甲側に装着するもの、一見普通の腕部に小火器を内蔵しているものなど多種多様。

また、モーターのパワーアシストは武装のない「素手」の状態ですら強力なパワーを提供する。
人間の胴体を貫手で打ち抜いたり、手刀で首を刎ねる事も容易く行うほど。
量産タイプのバルディッシュですら、フルパワー時は10トンは下らないであろう装甲車の突進をブーストで食い止めている。



◆性能と運用

装甲を纏っている事から分かるだろうが、歩兵装備ではSAAに対抗するのは至難。というかほぼ不可能である。

SAAの持つ特殊複合装甲の防御力は圧倒的で、20mm以下の重機に対してほぼ完璧な防御力を有するとされるほど強固。
専用の重金属徹甲弾(対SAA用徹甲弾)ならば有効だが、それでも小口径弾で致命傷を与えるのは容易ではない。
さすがにミサイルやアンチマテリアルライフル等の強力な対機甲車両用の兵器であれば吹き飛ばせるが、
歩兵に持たせるには、よくてRPGのようなロケットランチャーがせいぜいで、それですら機敏に動き回るSAAに命中させるのは極めて難しい。
(劇中でも、気付いていない相手に撃ち込むといった形でしか命中させられていない)。
まさに歩兵にとっては絶望といえよう。

一方でSAAもまた、戦車などの強固な兵器を相手にするのは専用装備を必要とする。
少なくとも、戦車が相手では機銃など役に立たない。別途携行するグレネードランチャーやミサイルポッド、対戦車ロケットの出番となる。
装甲の薄い戦車上部を狙うトップアタックという戦法もあるが、それでもやはり火力は必要で、しかも戦車の火線を潜り抜けつつ飛び乗らねばならず、非常に危険である。

また、技術革新が進んだとはいえ、大容量バッテリーの持続時間は標準タイプでも7時間がせいぜい。
当然、フル稼働すると持続時間は半分未満である。
このため常に装着を維持し続ける事はできず、無駄な電力消費を抑えるため臨機応変に着脱していると思しき場面もみられる。
一応、SAAを装着したままでも各所のバッテリーの充電は可能だが、装着し続けるクラダーの疲労もあり、緊急時に限られる。

装甲も完全に人体を覆っている訳ではなく、関節部分などの可動域はどうしても装甲を薄くせざるを得ないし、
頭部も露出している口周辺やスコープ部分は小口径の拳銃でも貫ける弱点となっている。
もっとも、動き回るSAAのそんな所を平気でバンバン狙えるのは一握りの化け物だけだが…。


以上の点から、SAAによって既存の機甲車両兵器や攻撃ヘリなどが淘汰されるといった事はない。
地形や専用装備、装着者の技量などの補正があって初めて対等になるレベルに留まっている。
逆に言えば、装備の拡張性によって凌駕しうるという点こそがSAAの最大の特徴と言えるかもしれない。

劇中の実際の運用では、主に機甲車輛と同じく企図した戦略に沿って比較的短い期間に投入されている。
機甲部隊では戦車や装甲車と連携しているシーンが多い事から、その意味でも「歩兵の強化版」である。

他に、一部の機体はある程度の水中戦も想定されている。
特にバルディッシュは口に咥えて水中呼吸できる装置を左肩部の収納スペースに搭載しており、
元から上陸作戦や水中活動も視野に入れている事が窺える(さすがに専門の水陸両用機には及ばないが)。




 この先には本作のネタバレが含まれます。

【国家勢力】


〈レギウム共和国〉

本作の主舞台となる国家。主人公らが属する。
冒頭で記した通り、プロローグにてドラグノフ連邦との戦争に敗れ、首都を占領された所から物語が始まる。

歴史的には強大な軍事力・経済力・発言力を併せ持つ世界で五指に数えられる程の強国だったが、
時代の流れと国際社会から領土の返還と軍縮を迫られて弱体化した過去を持つ。
このため政府は腑抜けた状態になっており、後にドラグノフ連邦から領土外縁に侵略を受けた際も、当初は弱腰で黙認する構えだった。
しかし、レグトスの英雄とされるクルサード大佐の叛乱など、紆余曲折を経てレギウムは戦いを選択することとなる。

結果だけを見ればレギウムの敗北だが、戦争が2年以上も続いたところからも分かる通りドラグノフも予想外の損害を受けて疲弊し、
その戦争目標であるレギウムの併呑を諦めるに至った。
ただ、目標が達成されずとも敗北に違いはなく、事実上の降伏と、治安維持を名目としたドラグノフ軍の駐留、
さらに治安維持目的で駐留する遠征軍のトップに「内政干渉に抵触せず政策提言できる」権限を付与され、実質的に植民地状態にされてしまう。
ドラグノフに追従する傀儡政権が発足した事で国内には怨嗟が渦巻いている。


国家としての人口は約5700万、首都はソルグレン。
憲法で三権分立を謳う民主共和国だが、不文律により国会議長(立法府)が最高執政委員長(行政府)を兼ねるため、この辺りは曖昧で有名無実化している。
起源は後述するルーミス王国で、主要民族「レグトス人」のナショナリズムによる革命によって瓦解・分裂した後、領土南部一帯がレギウムとして成立した。
なお王国の残りは三国に分裂、後に合併し、これがドラグノフ連邦となっている。
領土外縁にはエストン人やベール人も居住する。
これまた余談になるが、本作における民族は過去の超大国によって人種がまぜこぜになっており、見た目で人種の区別はつかない。
このため民族は国家という枠から形作られるという普通と逆の成立過程を持っている。

地政学的には領土中央を「>」の字で走る2つの峻険な山脈(上半分=ハーパシア山脈、下半分=ランスバール山脈)によって分けられ、東部に首都ソルグレンがある。
西部はかなり広いオルフェルド平野があり、今次大戦の第二の激戦区となった。

現実世界に比定するとおおむね黒海の西岸部、現在のルーマニアにモルドバ南部とブルガリア北部を合わせたような領域を有している。
河川を除けば山脈地形も大雑把には似ており、作中でレギウム国民軍が拠点を構えるアルバ・ユーリアや、要衝オラテア(オラデア)、オクシャニ市(フォクシャニ)、設定資料集や補足で触れられる黒海に面した港町・コンスタンツァなど、実在する地名がしばしば見られる。


◆レギウム国民軍(第3軍)

レギウム国防陸軍第3軍。西方のオルフェルド戦線を担当していた軍団。
ドラグノフとレギウムの戦争は前述の通り和平調印の『トーラスの和約』によってドラグノフの勝利に終わったのだが、
一方で第3軍は開戦から終戦に至るまで決定的な敗北を喫しておらず、本国からの降伏・武装解除命令には不服だった。

第3軍は議論の末、戦線を縮小して要衝アルバ・ユーリアにこもり、「降伏拒否」「徹底抗戦」を掲げ『レギウム国民軍』を自称、ドラグノフへの抵抗を継続する。

この選択に、レギウム本国もドラグノフも驚愕し、対処に苦慮することとなる。
何しろドラグノフ側の損害も戦勝国としては絶望的なものがあり、相当な兵力を保持している第3軍を覆滅しうる戦力を改めて編成しなければならない上に、
勝って終わったはずなのにまだ戦争を続けなければならない現場の兵士の士気はダダ下がり状態、おまけに本国では厭戦感情が最高潮。
物量差によって圧殺しようにも、第3軍が籠っているのはベホル山地とランスバール山脈に挟まれた天然の要害であり、大軍は展開できない。
結局、ドラグノフは消極的な包囲で第3軍のリソース枯渇を待つ事になるのだが、莫大な戦費からくる再編成・兵員削減によって包囲網もおろそかになっており、
降伏を良しとしないレギウム兵や補給などが第3軍へ到達してしまう事件が頻発するという有り様。
こうした要素が重なり、第3軍の残存戦力でもなんとかドラグノフと拮抗できている状況となる。

組織としては戦時中からの第7軍団・第15軍団と、残存部隊から新たに再編成したベホル軍団で構成される。
また同じく戦時中からオルフェルド戦線を共に支えてきたレギウム空軍の第11戦術航空団も国民軍に参加している。
空軍に関しては描写が少なく、形式的には国民軍からの要請の立場をとっているため司令であるザウケン中将も名前以上の出番はないが、作中に見られる範囲でも重要な偵察など大きな役割を果たしている。

後に主人公グラハルト・ミルズらエース級クラダーの人材が集結。
ドラグノフの委託駐留軍から首都を奪還すべく、一大作戦が開始される…。


◆ジャッカル隊

本作のメインキャラが所属する精鋭部隊。
作中では戦中までのレギウム国防軍時代と、戦後のレギウム国民軍時代でメンバーなどが分かれる。

最初期、物語冒頭のレギウム国防軍時代では、第1軍麾下、機甲教導師団司令部直属のSAA特殊部隊として活躍している。
リーダス大佐の元「レントの奇跡」を実演した護衛のSAA部隊8人で構成。
「不可能を可能にする」を合言葉に戦場を駆け巡り、ドラグノフ軍に抵抗し続けた。
量産が見送られた高性能なSAA"スワッシュバックラー"の改修機を用いて高い野戦打撃力を発揮したが、戦後は解体。
グラハルト・ミルズは濡れ衣を着せられて極刑を言い渡され、他の隊員も様々な経緯を経て各地に散っていった。
現在判明しているメンバーは以下の通り。

1:グラハルト・ミルズ 隊長
2:ユリアン・クレイズ 副隊長
3:レイニー・クルーガー
4:バロス・ウォード
5:ミハイル・ウォルドマン
6:クラウス・ガードナー
7:ロッシ・セリオーニ

間違いなく作中最強の部隊であったが、ミルズが手綱を緩めたためにクレイズの専横を許した事、
また彼らでさえ雪崩を打つドラグノフの大軍には抗し得なかった事などから、良い結末にはならなかった。
なお、8人目の隊員は最新巻現在も明らかにされていないが、
3巻収録の「エース・クラダーズ」にてジャッカル隊員の集合写真と思しきコマがあり、
レイニーの隣、右端に写っている仏頂面の人物が或いは…?

+ ネタバレ注意
  • 第2期・レギウム国民軍時代(首都奪還作戦時)
国民軍司令部直属・第1特殊機装兵大隊(第1特機)で新たに編成された第2期ジャッカル隊。
実質はエンブレムや名前を使っているのみであり、第1期のような部隊単位で運用する編成ではなく、
大隊そのもの、又は首都奪還作戦における強襲α・β・γ・ωチームの便宜的な総称と思われる。
とは言え隊員達の戦果は絶大で、「不可能を可能にする」という枕詞に相応しい活躍をする。
首都奪還作戦後もメンバーが各隊に分散して国民軍を支えているため、部隊というより称号、英雄達と言った方が近い。
メンバーは下記第3期のリスト上位四名+リーダス大佐。


  • 第3期・レギウム国民軍時代(ルーミス宣言直前)
ド軍バルシア軍団・マルタフ軍団の統合軍団との決戦のために再編成された第3期「新生ジャッカル隊」。
フォルクス・カイルやレジスタンスの合流により、新たなメンバーが正式に加入した。
リーダス大佐が思い描いた「新生ジャッカル隊」のメンバーは以下の通り。
なお太字は第1期より続投の隊員。

1:グラハルト・ミルズ 隊長(第1特機)
2:レイニー・クルーガー
3:ゼップ・ジベルノウ
4:クラウス・ガードナー
5:イグナチオ・クリヴィーレ
6:ヘイデン
7:ロビン・ストーナー
8:ラウール・マルケス

元囚人3名・黒幕からの離反者2名・黒幕との内通者1名・命令違反のゲリラ1名・レジスタンス1名と、
第1期よりも更に寄せ集め感が強いメンバー構成となっており、もはや愚連隊状態と化しているが、
クレイズやウォルドマンなど、部隊に致命的な不和を齎していたメンバーが軒並み脱退した事、
また本質的な部分で根が善良な者達が揃ったためなのか、隊内の空気も劇的に改善された。
それで居ながら総合的な練度も第1期に劣っておらず、「ジャッカル」の名に恥じない部隊になった。


即応部隊(GIGN)

レギウム内国治安維持部隷下の国家憲兵隊に属する即応部隊。GIGN(ジジン)と呼ばれる。
総合的な治安維持部隊と思われ、対テロ特殊部隊なども擁する。
中でも特別機装隊第1班は屋内対人用に製造されたSAA"ブラックバード"を運用し、特機1班そのものがSAAと同じ名前を冠している。
これらは作中序盤にて蹴散らされた強襲3班に代わりグラハルト・ミルズを仕留めるべく展開したが、隊長ウォルドマンは死亡、部隊は全滅。

その後は武装蜂起時に鎮圧すべく投入されていたようだが、詳しい活躍は不明。*5
首都奪還後は国民軍に合流する。


陸軍技術研究所(ATLAC)

レギウムのSAAや戦車、弾薬から電子機器まで、ほとんどの兵器の技術研究及び試験を行う機関及び施設。
研究所のあるコバーン陸軍基地内には広大で様々な試験施設が存在し、AGI社など民間軍需企業も籍を置いて共同で兵器開発を行っている。
技術研究本部隷下の機関であり、試験はおそらく陸軍教育総監部の「レギウム機甲教導団」から出向した将兵と共に担当していると思われる。

なお機甲教導団はSAA・戦車の基礎訓練や錬成を担当する機関で、在籍する士官候補生、教官、テスターは戦力的には最新鋭に等しく、
戦時中は師団に改編されて多大な戦果を挙げている。ジャッカル隊はこの師団直属の特殊部隊。
兵器試験の性質からかATLACのメインラボは並みのセキュリティサービスを遥かに超える高度なシステムを持っており、
多数の監視カメラや観測機器を総合的に管理している様子が見られる。

戦後、ドラグノフ陸軍がAGI社とGAF社に次期主力量産SAAを競作させ、傑作機Mk-54とゼブラを生む事となる。
だがミルズの襲撃とレイニーの離反により基地の防衛小隊*6と、駐屯していた教導団の混成部隊及び増援は全滅。奇しくも元ジャッカル隊の実力とMk-54とゼブラの性能を見せつける結果となった。


統合レインジャー連隊(JRR)

回想編にて登場。レギウムの陸海空のエリートを集めた戦略強襲部隊。
3個大隊という大規模な戦力かつ、今次大戦以前から国外での活動により実戦経験を持つ唯一の正規軍でもある。
陸海空という三軍統合の性格からトップは准将が務める。
戦争が勃発するとJRRは単なる戦力の一翼として投入される事となり、訓練生も養成期間を待たずに第6軍の各中隊へ編入された。


国民突撃梯団(フォルクス・カイル)

極右政党-レグトス人民戦線 (LPF) の私兵組織。
狂信的な民族主義者による組織でその思想は極めて過激な一方、愛国心の深さも本物であり心酔している部下も多い。
部隊長はイグナチオ・クリヴィーレ少佐。
当然ながらドラグノフへの追従を続ける現傀儡政権に強く反発しており、後にレギウム国民軍へ合流する。


8個師団

事実上の降伏文書である『トーラスの和約』で規定された、敗戦後のレギウム陸軍。
この調印により、レギウム陸軍は兵員数10万人を上限として定められた上、砲兵、SAA、戦車といった重火器類の保有が禁止された。
8個師団とは、このあまりに屈辱的な内容と、そんな政策に従うしかない惨状を自嘲する言葉でもある。
加えて各大隊には親ドラグノフ派(というよりエストン人)将校が強制的に据えられ、事実上連邦の支配下にあるといってよい。
ちなみに派遣された将校は政治委員と呼ばれている。

ドラグノフの司令部はこうして掌握した8個師団を対第3軍に充てようとしたり、暴徒鎮圧に投入したりしたが、(当たり前だが)これ程まで虚仮(コケ)にされてレギウム兵の怒りが爆発しない訳がなく、武装蜂起時には数多くの部隊が離反しレジスタンス側についた。
その際エストン人将校がどうなったかは言うまでもない。




〈ドラグノフ連邦〉

エストン人の住むアクライア・パルセン・スロータルの三国からなる連邦。
首都はアクライアのガイエ・ボリスパル。人口は1億2千万とレギウムの倍以上で、国力もそれに見合って強大。
三国にレギウムを加えた四国はルーミス王国を起源としており、ドラグノフ連邦はこの旧ルーミス領の再統一政策(つまり事実上の併合宣言)を決議したために、レギウムから猛反発を受ける事となる。
その後、エストン人の保護を名目にレギウム領に進駐し、大戦が勃発する。
後はレギウムの項で記した通りである。

旧ルーミス領再統一政策の決議によってレギウムを警戒させて準備期間を与え、進軍の足並みに悪影響が出る冬季を開戦時期に選び、さらにレギウムを併合せず直前で停戦、第3軍に余力を残させてしまい抵抗され続ける……後世で暗に愚策と言われているも同然のドラグノフ首脳陣の行動は、実は全てディヴァンの思惑通りであった。

現実世界に比定すると、アクライアがウクライナ西部、パルセンがポーランド、スロータルがおおむねチェコ・スロバキア・ハンガリー・オーストリアの領域を有している。
ドラグノフという国号はロシア系の名前が由来であると思われ、スラブ系・旧ソ連系をイメージした国家だろうか。


◆委託駐留軍

元は遠征軍総司令パウエル上級大将(戦後元帥)率いる軍団。
今次大戦の和平調印はレギウムの首都目前で行われており、当時遠征軍は首都まで攻め入っていなかったのだが、
その後、レギウムの臨時内閣(=傀儡政権)による自作自演に近い「治安維持・対外安全保障の要請」を受けて首都進駐が行われ、
提言の権利などが付与された結果、遠征軍による事実上の軍政が開始、以後「委託駐留軍」となる。
軍政本部は首都に、駐留軍司令部は首都郊外にそれぞれ置かれている。

駐留軍は首都に進駐した遠征軍の総称であると共に、それとは別にレギウム各地の州名からとった名称で(例えばバルシア州ならバルシア駐留軍という風に)区別された個別の駐留軍としての意味を持つ。これらは各駐留軍司令部がある訳ではなく実際は軍団司令部と軍団で編成され、作中でも(バルシア駐留軍なら)バルシア軍団と呼ばれる事の方が多い。一部は戦力が師団規模しかなく軍団司令部のない各州駐留軍もある。
ちなみにレギウムの首都ソルグレンはバルシア州にあるため、作中ではただ駐留軍司令部と呼ぶとバルシア軍団司令部を指している事が多い。

なお、第3軍を担当している戦争継続中の「オルフェルド駐留軍」は上記とは異なり、第2機甲軍・第8軍・第15軍を束ねる方面軍そのものである。展開している戦線も実際にはオルフェルド州ではない。
これは要するに戦時中のオルフェルド戦線を担当していた方面軍がそのまま地名を引き継いでいるだけである。


◆COBRA

ドラグノフ連邦軍最高司令部直属の特殊部隊。全軍の精鋭から選抜された、事実上の連邦最強の部隊。
1-7(101-107)戦隊が存在し、市街戦を得意とする107戦隊はカーレル・シュワンツ大尉が率いている。
Commanndo of Braves(勇士達の突撃隊)の略だが、激戦地に投入される事で人員の損耗率が異常に高い事から、Commanndo of Bloody Replaceable Arms(血塗られた取替えのきく人間兵器達の突撃隊)とも畏怖をもって揶揄される。
隊員の損耗率が異常に高いので部隊の質の低下を招いた事も重なり、終戦後はオルフェルド州でレギウム第3軍に対処するオルフェルド駐留軍直属となり、一時的に102・107戦隊が投入された。


◆ジン機甲旅団

委託駐留軍政司令部直属の旅団。国民軍の首都奪還作戦における実質的な敵役。
レギウム首都ソルグレンには、同じくドラグノフのバルシア軍団(3個師団)が駐留していたが、元帥暗殺後の武装蜂起と国民軍の欺瞞作戦によりまんまと武装蜂起鎮圧のため各地に分散させてしまい、軍政司令部を防衛する兵力がこのジン機甲旅団のみとなっていた。
そんな訳で、首都奪還編では同旅団に属するネームドキャラが(主にやられ役として)多く登場する。




〈ルーミス・ディヴァン〉

サーカム崩壊後、世界にいくつもの国家の隆盛する中、現在のレギウム・ドラグノフ両国の存在する東ルミラン一帯を治めていた『シルバイン朝ルーミス王国』という国家があった。王朝はやがて滅び、4国に分裂し現在のレギウム・ドラグノフの形に推移していく。
ディヴァンとはそのルーミス王朝の貴族の末裔達で構成される秘密結社のような存在。

元を辿ればシルバインはステイツ*7時代にオービターアイズの製造・運用に莫大な資金を出資した一族で、実は失われたと思われていたオービターアイズの制御コードを秘密裏に回収しており、世界動乱に乗じて衛星群の情報収集能力のみを使って王国を築いていた。
ディヴァンこと「ルーミス王朝の貴族の末裔たち」とは、このルーミス王朝建国の際に功あった貴族らの事。
その配下はレギウム・ドラグノフ両国の様々な階層に軍人・在野問わず扶植されており、とある計画のために今次大戦を引き起こして両国を疲弊させる。


◆ルーミス騎士団

シルバインに忠誠を誓う狂瀾の軍団。クレイズの配下で秘匿され、騎士団長はルドルフ・チェカが務める。
ディヴァン以上に秘密裏に両国の社会に身を沈めており、ディヴァンの評議員でも一人を除きその事実を知らない。
その全兵員数は1個師団に届くが、病的なまでに徹底した選抜と過酷な修練、その成果を子に伝え代々ルーミスに仕えてきた精兵で構成されており、戦力的には1個軍に匹敵するという。



〈その他〉


◆ザンテダル社会共和国

東レリア大陸にある歴代軍事独裁政権。主な財源は麻薬と軍需産業。


◆東ルミラン地方

作中では設定のみ、戦略上の解説に記述されている。
レギウム南方に接するディナ・セルバル国とマウーラ連邦共和国、ドラグノフ北部に接するラントル王国とルーシャス国が存在している。
レギウムは今次大戦勃発前にラントル王国などにドラグノフの後背を突くよう参戦要請を行っていた。




【登場人物】


<レギウム国民軍>


「俺の戦争は──まだ終わっていない!」
●グラハルト・ミルズ
本作の主人公。階級は大尉、後に少佐。
元・レギウム軍最強の特殊部隊『ジャッカル』の隊長にして、戦場の死神(ジェノサイド)と恐れられるレグトス民族の英雄。

物語冒頭にて、隊を掌握した副隊長クレイズの裏切りに遭い、祖国を売った反逆者の汚名を着せられてしまう。
直後にレギウムはドラグノフに降伏し、ミルズは罪人として特別刑務所で死刑を待つ身となる。
だが、ミルズは処刑当日に護送の海兵隊を皆殺しにし脱走。
裏切りの真相を知るため、そしてクレイズに復讐するために、かつてのジャッカル隊のメンバーらを追う。

+ ネタバレ注意
ある者には復讐し、ある者とは和解を経て事件の真相に近付いていくが、
指名手配された首都近辺ではこれ以上行動できず、レギウム国民軍(第3軍)に身を寄せる事となる。
国民軍もまた、本国の命令を蹴ってドラグノフ連邦と交戦を続ける「お尋ね者」であり、ミルズの合流を受け入れた。
国民軍の(本国から離反しているため正式には無効であるが)少佐に昇進し、第1特殊機装兵大隊 大隊長を拝命。
クレイズの復讐を諦めた訳ではないが、国民軍の同僚を見捨てててまで孤独な復讐者を続ける事はできず、
祖国を取り戻すために尽力し、その結果再びレギウムの英雄へと戻っていく。

このように当初はクレイズに復讐する事が目的だったが、自身と周囲の状況、特に国民軍の窮状やレギウム首都奪還というかつて果たせなかった戦争に注力するようになり、首都奪還後は英雄としての復活、反逆者の汚名が完全に濯がれた事もあってクレイズへの執着は薄れている。
また冷酷非情な殺戮兵器の仮面の下に、自分を表現する事が苦手な優しさを持っており、本人が思っているより遥かに部下からの人望が厚い。
祖国を取り戻すために命を懸けた兵士の亡骸を守る等、死者に対する行為を見ても優しい人間である事が窺えるし、ジャッカル隊員達にはモロバレな模様。つまりツンデレ

綽名にたがわぬ、並外れた超人が乱舞する本作においても屈指の実力者。
生身でも精鋭機装一個小隊、完全武装なら機甲一個中隊をも単身で撃破するなど、もはやワンマンアーミー状態であり「ジェノサイドが現れた!」と悲鳴のような入電の後に連絡が途絶するドラグノフ軍部隊が後を断たない。
このためドラグノフ軍では凄まじい悪名雷名が轟いており、現場の兵士達にも「悪魔の方がマシな死神」「味方ごと撃て!その程度安い犠牲だ!」などと言われる始末。*8
将官級にすら「化け物」「奴が居るだけで兵の士気が下がる」「(部隊が壊滅した事について)ジェノサイドの仕業か?」などと素で言われてしまうほど。

回想編では生まれ持った潜在能力が桁外れに高いと指摘され、特に鍛えていた様子のない素人時代でも異常に高い身体能力や勝負勘を発揮し、レギウム軍の猛者が集まるレインジャー訓練でも異色にして出色の訓練生として名を馳せる。
その力は覚醒するに至ってもはや手がつけられない領域に達し、素手の打撃で人間を宙に浮かせたり、車に撥ねられたかのように吹き飛ばしたり、完全武装の兵士を片手で首を吊り上げて持ち上げて喉を握り潰したり、それを文字通り人間の盾として扱うなど異常な怪力も発揮。
数人がかりで射撃を行なっても弾がかすりもせず、走ってミサイルから逃げ切ってしまうという人外の反射神経と機動力さえ見せつける、などなど挙げればキリがない。
もはや人の形をした魔獣か何か

機装兵としても活躍するが、上位のように生身でも恐ろしく強いためそれにも拘泥せず、SAAを脱ぎ捨てて囮に使う事も躊躇わない。
銃火器から爆弾、車両やナイフに至るまで器用に使いこなし、慢心もほぼ無く逃走や不意打ちも全く厭わないので微塵も隙がないという有様である。
こんなヤツと戦う敵モブ諸君は泣いていい

ただし、作中では同じく化け物クラスがゴロゴロいるため、勝利を掴んでも重傷を負ったりなども珍しくない。
相手が相手であるだけに無敵や不死身というわけではなく、不覚を取りかけるシーンもしばしば。


難点は指揮官としては問題があること。
作中でも隊長格として遇され、指揮権限も与えられてはいるのだが、実際に指揮を取る事は殆どない。
確かに彼の実力なら、単騎での殲滅・撹乱も悪い手ではないのだが、指揮官としてはやはり問題のある在り方と言え、
実際に第一話ではクレイズ曰く「一匹狼気取り」が仇となって彼にジャッカル隊を掌握され裏切られる羽目になっている。
とはいえミルズも不器用な男のため、それ以降も無理に指揮を執る事はせず、国民軍合流後はリーダス大佐に監督を、信頼できるレイニーに指揮を任せて割り切っている模様。

使用するSAAはスワッシュバックラー→Mk-54と、完全に専用機
それらが整備中には汎用SAAも使うが、「(ミルズの身体能力が高すぎて相対的にだが)反応が鈍い」とぼやいたり、ハカセに整備を急かしたりと、使用機体には拘りがあるようでMk-54の事も気に入っている様子。



「私は…どうしても貴方を斃さねばなりません!」
●レイニー・クルーガー
元ジャッカル隊員。戦場の死神に最も近いと目される男。
統合レインジャー連隊時代から既に『ブレード使いのレイニー』と呼ばれており、接近戦ではミルズを凌駕する。

穏やかで仲間想いだが、礼儀正しく、規律にはしっかりした性格。*9
本来はミルズを裏切るような人物ではないのだが、クレイズに妹を人質に取られてしまい、苦悩の末加担する事となる。
裏切り事件の後、クレイズの指示でドラグノフの新型SAA”FR-A12 ゼブラ”のテストをしていた。

+ ネタバレ注意
基地を強襲したミルズと戦闘の末に和解し、クレイズから離反。強力な協力者として再びミルズに付き従う。
元はミルズ、バロスとレインジャー連隊での同僚であると同時に親友だったが、ミルズが先に指揮官になった後は、上官として、兵士として絶大な信頼を寄せる。
国民軍に身を寄せて以降は隊長役が得意ではないミルズに代わって部隊指揮を務めている。

実力面では、近接戦闘のみならず、銃撃戦でも部隊指揮でも手腕を発揮しており、部下からの信頼も篤い。
国民軍合流後は司令部からも基本的に最強の鉄砲玉以外は出来ないミルズより野戦将校としての能力は遥かに高いと評価され重宝されている。
射撃能力も破格であり、特に不意打ち気味な戦車の砲弾を迎撃して誘爆させた際には「なんだ今のは?!」「まともではない」と敵兵を驚愕させている。
戦闘では慌てたり焦ったりする描写も殆ど無く、動揺したのは不本意だったミルズ戦位で、それ以外ではザナルディ相手に軽口を叩く事がある程度であり、終始冷静に事を運ぶ。

欠点らしい欠点といえば、情が篤すぎるせいでたまに疎まれる事があるぐらい。*10
妹のレイラに関してはシスコン過干渉したせいなのか決定的に嫌われてしまっており、それも一因なのかレイラはクレイズに洗脳されてしまっている。
また、若干だが自己評価が低いような節も散見され、ミルズと戦った際には「隊長を裏切り、妹も守れない私は生きる価値のない人間です!殺して下さい!」と涙ながらに懇願したり、戦時中にスナイパーに撃たれて仲間を誘き寄せる餌にされた時も即座に自害しようとしたりと、良くも悪くも他人思いが過ぎるきらいがある。
とはいえ、それらも突き詰めれば彼の優しさから生じるものであり、大抵の場合はむしろ人を惹きつけ好かれる事に繋がっている。
加えて邪悪な敵にさえ慈悲を以って苦しめずに殺すという、兵士としての情けも有しており、根本的には人殺しに向かない程穏健で温和な人物である。


「少佐が戻られるまで…死んでもこの地を離れるつもりはない!」
●ゼップ・ジベルノウ
終戦後も山脈南方の戦線ブレハン・ゲベアにて独りで戦い続けていた、通称『亡霊』。ゲリラ戦のプロ。
上官であり育ての親でもあるファビオ・マセッティ少佐(物語開始時点で故人)を尊敬しており、最後に受けた命令を守り続けている。
その服従ぶりは凄まじく、ミルズがマセッティ少佐当人の遺書を持ってくるまで自陣営の戦争終結の報すら信じず、そればかりか使者をボコボコにして返却するなど、狂犬と呼ばれるにふさわしいヤバイ人。
元々戦場で戦う事が全てという信条で、上官の行おうとした叙勲や昇進を蹴り続けている。
ミルズと同じく上層部が苦手とするタイプの人物と言える。

+ ネタバレ注意
国民軍の首都奪還作戦のための部隊長不足から白羽の矢が立ち、紆余曲折を経て国民軍に参加。
ハワードがAGIから逃亡時に持って来たSAA「鬼神(キシン)」のクラダーとなる。
以後はこのSAAの日本刀型TCVブレードで「軍用の強構造の建造物の天井をキレイに丸く切り抜く」「戦車の主砲を鉄パイプか何かのように両断」「ブレードを振り回して迫りくる銃弾を全て弾いて防ぎきる」などミルズと同等の人外っぷりを発揮する。
かつてはジャッカルの隊長候補だったというのは伊達ではない。

上官の命令に忠実な一方、容赦なく敵を蹴散らし、攻撃してきた相手は命乞いもスルーしてあっさり絶命させるといった無慈悲な面もある。
その様子は部下からも「敵でなかったことを神に感謝する」と冷や汗混じりに言われてしまうほど。

とはいえ、公私ともに誰彼構わず噛みつくほどの狂犬というわけでもない。
軽武装の基地要員相手には降伏を勧告したり、非武装で降伏しにきた敵兵にはハイファ条約(ハーグ陸戦条約のように捕虜の人道的な扱いを規定したもの)に基づき丁重に扱うなど、きちんと見境いや分別はある。
要は敵と定めた者、歯向かうものには欠片も容赦がないという方が正しいだろう。

なおゲリラ戦の達人であるためか、廃棄された装備から武装をでっち上げたり、投槍や弓矢、投げナイフといった動力を使わない飛び道具の扱いにも長けている。
とりわけバルディッシュやバルメのパーツをつなぎ合わせて、自分でSAAを自作し整備・運用するという技能も持ち合わせており、技術者としても中々の腕前だと言える。


「その先に理想世界があるのなら、喜んで…罰を受けよう」
●クラウス・ガードナー
元ジャッカル隊員。電子戦のエキスパート。情報収集・操作の天才。
終戦後に国民軍に合流し、司令部にて補給を担っており、同軍への水面下での補給物資の指揮を執っている。
本作では珍しく、レグトス人やエストン人などいわゆるルミランシアの出身ではない。

かつてミルズを裏切った理由は「自分の戦争を終わらせる」ため。
これは終戦間際の勝つ見込みのない、いわば意味のない戦争を恐れたと説明している。
終戦後は前述した通り正規軍から脱走して第3軍に合流し、国民軍の抵抗に尽力しているが、本人曰くこちらは「勝つ見込みのある戦争」との事。
裏でクレイズと繋がっているなど目的に謎が多い人物だが、能力は本物で、第3軍へ尽力している。

+ ネタバレ注意
その実力はジャッカル隊の屋台骨といっても過言ではないことが示唆されている。
数多くの無人兵器を同時に操ったり、最後は誘いこんだホテルビルごと爆破する事で機装中隊を壊滅させるなど、ジャッカル隊員の本気を見せ、
この際の説教*11からの全員爆殺はビル内外が地獄絵図と化し、大勢のド軍兵士がとても気の毒な事になっていた。

ルミランシア出身ではないと前述したとおり、元は東の小さな独裁国家の側近一族として安穏と暮らしていた。
だが、父と一族が奸計に嵌められて処刑され、その復讐も兼ねた反政府活動と民主化運動に従事する。
しかしそれが遠因となって祖国が破綻してしまい、正義も平和も見失った彼は、「英雄」クルサードに興味を抱いてレギウムに流れ着き、ミルズの「義」に惹かれる。
後にクレイズと通じて「平和な世界」を目指すが、それによって彼が最悪の独裁者と化した事を後悔することとなる。
最終的に選んだのは、ミルズとレイニーに真実と本音を告白し、謝罪と感謝を伝えながら自害することであった。

なおこの自害は「自分が情に流されクレイズの脅しに屈しないため」と言う作戦の一部であり、オービターアイズを連鎖自滅させ、クレイズの潜む拠点を攻撃させる事でミルズ達を援護する「置き土産」を遺した。この行動はレギウム国民軍の幕僚を戦慄させ「死してなお戦う恐るべき男」「私の知る限り最も勇敢な軍人」と畏怖を以て讃えられる。

こうしたミルズ及び英雄への思いを知ったうえで5巻でのミルズとのやり取りを見ると味わい深い。
初読ではミルズを威嚇・牽制したり、悪い事企んでそうな表情してるなーとか思ってましたごめんなさい
また、5巻時点(現実時間で12年以上前)で既にガードナーの心情面などの設定がしっかりしていた事が窺える)

なおメイン回のタイトルは「ピースフル・ワールド」。彼が今まで抱えていた秘めた願いが偲ばれる。


「こちらレイピア…聞こえるよ。…あの…死なないで」
●サヤ・ハミルトン
ミルズに付き従う戦災孤児。彼の事は戦時中の戦意高揚番組で知り、英雄に憧れを持つようになる。
しかし同時に確かな見る目の持ち主でもあり、ミルズの冷酷非情な仮面に隠された優しさを見抜いて好意を抱く。

戦災孤児と説明した通りその経歴は悲惨で、協定を無視したド軍に民間人の避難車列を爆撃されて家族と知人を丸ごと失っている。
一方でおそらく10代前半から半ば程度だと思われるが凄まじい気骨の持ち主であり、ミルズに置いていかれるのが嫌なあまり去ろうとする彼の車に発砲しタイヤをパンクさせたり
ミルズが罠を仕掛けたとはいえ、自分が引き金を引いて兵士達を殺害した後もあまり問題なく立ち直って見えたり、
屈強な兵士達でも恐れるヘイデンを化け物扱いするどころか工具を駆使して躾けるなど、武力行使にも躊躇いがない。
数少ない女性レギュラーキャラ。
初期は絵柄が微妙に安定していなかったので話によっては別人のように見えたが最近は安定してきた

+ ネタバレ注意
ミルズらと共に第3軍に合流後、ミルズの役に立ちたいと、SAAの整備の手伝い(ハワードの助手)をする事になる。
恐らくこの時点で正式にレギウム国民軍所属になったと思われ、以後整備スタッフとして尽力する。
専門的な訓練を受けた形跡はないものの、飲み込みが早いのか才能があるのかハワードによると意外と役に立つそうで、
最終的には(ヘイデンから助けてもらったおべっかもあっただろうが)「我が助手」と言われる程度には貢献している。
実際に最終盤ではハワードが忙しい事もあり、彼が息子と呼ぶMk-54の調整まで任される程の目覚ましい成長を遂げている。




「GAFのゼブラより私のMk-54の方が優れている事を証明してくれ!」
●アンソニー・ハワード
AGI社SAA設計開発主任、通称『ハカセ』
レギウムはもちろん、作中ではレギウム国民軍を技術力で支えた縁の下の力持ち。
自他ともに認めるSAAの専門家であり、疑いようのない天才である。
が、マッドサイエンティストとまではいかずとも、自身の兵器研究が全てというろくでもない人物で、かつては兵士をSAAの部品としか思っていない節があった。

作中では、レギウムの敗戦後、AGI社とGAF社で次期ドラグノフ主力量産SAAの競作に参加するシーンで初登場。
しかし彼は量産という大事な部分をすっとばして高性能を追求しまくったせいで屈辱的な敗北を味わう。*12
ちなみにAGIはレギウム、GAFはドラグノフの軍需企業であり、この二社にドラグノフ用の次期主力量産機を競作させるというのは、
戦時中、何かとAGIの兵器に劣っていたGAFに、AGIの技術力を取り込ませるという目論みもあったらしいのだが、
ハワード自身はこれといって戦勝国・敗戦国のわだかまりを持っていたわけではなかった……つまり競作に対する嫌がらせでもなんでもなく、素で自身の最高傑作が主力量産機に採用されると信じていた。筋金入りである。

屈辱的な評定結果が下された直後、元ジャッカル隊員を探しにミルズが基地を強襲した事で、彼の人生が大きく転換することとなる。

+ ネタバレ注意
何を考えたかハワードは競作に負けて失敗作扱いされた自作の最高傑作Mk-54を、これ幸いとばかりにミルズに渡すという暴挙に。
腕のいいクラダーであればGAFのゼブラなんかに負けるわけがねえんだ!、と言わんばかりの行動であった。
(ちなみにこの時ミルズに諭された事で態度姿勢を改めており、以後人間臭い発言をして呆れた顔をされたりするようになっている)。

当然ながら、当時重犯罪人扱いだったミルズに最新鋭の兵器を渡した事は国家への裏切り行為である。
「ミルズに襲われて強奪された」という言い訳こそあったものの、片足の負傷だけですんだという怪しさに加え、ミルズの絶体絶命に思わず「逃げろ大尉!」と声を上げてしまったり*13、お茶目なミスをやらかしてしまう。
結局、事件の後AGI社から脱走するハメになり、そのまま別の部隊に拾われて国民軍へ合流を果たす。

……が、本人によれば逮捕そのものよりもミルズに渡したMk-54が心配だった様子であった。やはり筋金入りである。
オマケにこの時、会社の備品だったSAA"鬼神"をちゃっかり盗んで持ってきている。

国民軍に合流後はミルズに銃(45口径)で脅迫されたり、レイニーに絡まれ、ジベルノウには髪を斬られ、挙げ句の果てにサヤにすら雑に扱われるというイジられ役としても活躍(?)
ハワード本人は「ここにはマトモなクラダーはいないのか?!」と嘆いているが、むしろこれらは彼自身の無自覚な悪口雑言や初期対応の不味さが尾を引いている
具体的に例を挙げると、
  • ミルズ:本人も認めるモルモット扱いの報い。なおミルズが銃で脅すのは他にはヘイデンだけという事実で、ミルズからの扱いの程が分かるだろう。
  • レイニー:レイニーが「Mk-54のついでにゼブラもカスタムしてくれないか?」と明るく頼んだものをハカセが「GAFのSAAなんて触りたくもない!絶対に嫌だね!」と頑なに拒んだせいで拗れる事になる。本人によるとレイニーがMk-54のテストを断った件は根に持っていないとの事だが、それとは別にこのハカセの態度が後々まで悪影響を及ぼしている。なおレイニーもやはりというかハカセより雑に扱うのはヘイデンだけという…。
  • ジベルノウ:よせばいいのに「「いい加減な仕事をするくらいなら死んだ方がマシ」「あんたらみたいな野蛮人にはわからないだろうな」などと挑発&嘲笑のコンボをかました結果、試し斬りの巻藁代わりにされた。とは言えこの件に関してはジベルノウの苛烈さも大きいが…。*14
  • サヤ:最初、彼女が手伝いたいと申し出た時に「子どもにできることはない!帰って寝ろ!」と一蹴し一笑に付した直後、ミルズに銃で脅され屈したために底を見抜かれ付け込まれる。サヤの頼みを断る事自体はマトモな判断*15なのだが、その断り方が悪すぎたのが不味かった。おかげで後にメガネを貫通するスプレー攻撃などでボコられるハメに。
  • ヘイデン:彼からの暴力は珍しくハワードにそこまで落ち度がない。口が悪いとは言え、理のあるお説教や皮肉にすぐキレて暴力に走るヘイデンの方に問題があり、流石に彼からの理不尽な暴力はミルズやサヤに止めてもらえている。

…と、こんな感じで(ヘイデン以外は)大体ハカセ自身に衝突を誘発する原因があると言って良い。
但し彼も相手が誰だろうと衝突する訳ではないようで、好青年のロビンとは真っ当な会話が成立しており、剰えハカセの方からロビンを気遣う一幕すらある。
他にも率直に仕事の話が通じるリーダスやマルケスとも揉めている様子はないため、第一印象がアレだった人以外とは上手くやれる事もあるようだ。

レギウム国民軍への合流直後にMk-54を息子と呼ぶなど危ない一面を人目も憚らずに見せるが、国民軍からはメインスタッフとして重用されており、Mk-54だけでなくエースクラダーのために様々なSAAやパーツを用意、まさに天才と呼ぶにふさわしい縁の下の力持ちとして活躍。
国が違えば開発に至る設計なども違うのだが、それらをひっくるめてエース達のSAAをカスタマイズできる程の腕の持ち主であるためその頭脳と技術は本物と言える。


「神は神でも死神の加護とはな…」
●レオン・リーダス
レギウム国民軍の作戦課長。階級は大佐。
知略に長けた天才軍師で、第3軍の心臓部にあたる最重要人物。
第3軍が国民軍に改称した後も司令部の頭脳として軍を支え続けており、その知略はレギウム軍始まって以来とまで称されるほど。
国民軍にスポットが当たる回ではほぼ主人公の一人として活躍する。
ミルズとは顔なじみであり、階級差の割にちょっとした友人関係のような間柄。

ちなみに僅か26歳という若さで参謀本部付大佐になっている。
自衛隊の1等陸佐(旧軍および諸外国での大佐相当)の平均年齢が40代過ぎと言えば、その昇進速度が理解できるだろう。

性格は変人気味で、身形にかなり無頓着で常に軍服をだらしなく着崩し、小説「犬神家の一族」等に出て来る名探偵・金田一耕助の如くボサボサの長い髪を何時もボリボリ掻いている。
ただ(本人は文句タラタラだが)身形を整え正式な場に出る事は可能である。
また敵将にも誠心誠意を尽くし、敬意を以って接するなど心根もしっかりしており、多少の「成功」にも浮かれずに先を見据える事ができる冷静さも併せ持つ。

彼の天才的な偉業として記録されているのが「レントの奇跡」と呼ばれる戦時中の出来事で、かいつまんで話すと、
  1. 苦肉の策で戦線を広げていた師団に敵主力が殺到
  2. 師団は各地で敗走し、司令部と連絡がつかず
  3. これは非常にまずいと思ったリーダスがたった8機のSAAを護衛に自ら偵察に赴く
  4. 情報をまとめた結果、自分達がいる最前線の村「レント」が敵に抑えられると決定的敗北と判断
  5. 指揮権もないのに8機のSAAを指揮し、大隊規模の敵を実に2日間に渡って阻止
  6. 得た情報により司令部に戻って即座に対応、敵の作戦を完全に阻止
というウルトラCである。
そしてその指揮した8機のSAAこそが後のジャッカルとなる。
化け物戦力が悪魔的な頭脳を得るととんでもない結果をもたらすという例であった。

彼の初登場である4巻巻末に詳細な経歴と「レントの奇跡」を含めた戦記があるので是非とも読んでおく事をお勧めする。
本作では創作界隈でも非常に珍しい「正規の軍隊の正式な降伏手順」が描写されており、リーダス達が行政としての降伏手続きを行っている描写も注目ポイントの一つ。



「本作戦の成否で祖国の命運が決する。が、それを司るのは神ではない。君たち兵士だ。レギウムを頼む」
●エドワード・ハメル
第3軍およびレギウム国民軍司令官。大将。禿頭で体格の良い初老の男性。
元国防陸軍大学校長を務め、慎重で思慮深い性格でありながら必要な時には大胆にも勇猛にもなれる。
またリーダスの身なりを咎めたパールマン中将から彼を庇って見逃す柔軟さなど、*16人格的魅力による高い統率力を持つ。
クリヴィーレも一目置いており、国民突撃梯団の国民軍への合流を検討するきっかけの1つとなった。
陸軍大学校長時代、在学中のリーダスを目に留め、後に前参謀長キャラダイン中将にその詳細を伝えた事が、リーダス作戦参謀転属の決め手となり、第3軍、ひいてはレギウムの運命を左右する事となる。

「私はもう戦死する兵士を見たくない」など、平時は犠牲が出る事に特に心を痛めている様子だが、戦死者が出てリーダス含め司令部全体が大きく動揺し始めた際は「まだ戦闘中だ。我々は感傷に浸っている暇はない」と一瞬で場を引き締め、即座に前を向くよう発破をかけた。
普段はどっしりと構えて部下達に任せ(必要最低限の意見は述べつつ)、いざという時はリーダーシップを発揮する。身なりが酷くても笑顔で許し、「惰弱な政府」等、言う時は言う。素晴らしい上司もとい司令官。



「しかし…貴官のその身形はなんとかならんのか」
●ホルスト・パールマン
国民軍参謀長。中将。禿げた頭に恰幅のいい小柄なおじいちゃん。
だが参謀としての能力はかなり低く、間違った提案、空気の読めていない会話、あまり部下から信頼されてなさそうな人柄などなど、美点がほとんど見られない。
的を射ている発言も数えるほどしかない。
設定資料には前任の参謀長と比べて著しく見劣りするとまで書かれているほどで*17、何かあれば事あるごとにリーダスに問題を丸投げしている。
とにかく感情的になりやすく、常に冷静に状況を把握しなければならない参謀としてはかなり問題のある人物と言えよう。

だが、まったく美点が見当たらないかというと、そうでもないのがミソ。
自分自身に能力がない事は自覚しており、その上で一般的な軍知識とそれなりの良識を備えているため、こういったタイプにありがちな裏切りや私利私欲に走って自滅といったような事はしていない。
参謀にしては凡庸とはいえ、人柄を見抜く目は割とあるようで、ハメル大将が揺れ動く中でもリーダスと共にルーミスの悪性をきちんと見抜いていた。
保身の面は見られるにせよ、リーダスの作戦案を握り潰したりはしないし、むしろ積極的にリーダスに頼りながら責任転嫁などもしないので、むしろ話の分かる人物とも言える。*18
リーダスに全てを投げるがケツは持ってくれるという点で「出来る部下に仕事を任せまくる無能な怠け者の上司」と言えようか。実際リーダスも、彼とハメル大将が甘えさせてくれてこそ作中の働きが出来ている。

隊長級の戦死者が出た際もきちんと人柄を理解して悼んだり、最も感情を露わにして悔やんでいたりと、根は意外と良いおじいちゃんかも知れない。
よく焦ったり慌てたりしており、上記の能力の無さも併せて普通の人間視点を担当する味方側のリアクション役・ガヤという立ち位置と言える。
だいたい「どうなってるのリーダス?」「どうにかしてリーダス!」に終始する愉快なお方
但し某場面ではクレイズ殿下の方がずっと慌てていたりするが。



「死神の降臨を援護する!」
●トニオ・ザナルディ
レイニーと同期。国民軍の歩兵小隊長を務める。
初登場はいきなり戦闘の真っただ中、負傷した部下を味方陣地に引っ張って行こうとしていたものの、
その部下の口から「生きて帰ったら女房の世界一美味い手料理をご馳走する」というこの手の作品で絶対に言ってはいけないセリフが飛び出してしまい、
直後に迫撃砲を受けて部下は戦死。
ザナルディ自身も砲弾落下の衝撃で意識が混濁し、そのまま接近してきたドラグノフの機装兵に殺されそうになる。
…が、あわやという所で戦場に乱入したレイニーに救われ、彼らの合流を歓迎した。

立ち位置としては準レギュラーの脇役。
さすがに化け物のような強敵相手には歯が立たないものの、一般兵として隊長の役割をしっかり果たしている。
首都奪還作戦やルーミス強襲作戦ではクラダーとなって機装兵隊を率いる。
他のエースクラダーのような特殊なSAAこそ与えられていないものの、装着しているバルディッシュはきちんと隊長機仕様。
またジャッカル隊員の隔絶した力に戦慄する部下を諭したり、彼らを全力で援護するなど燻し銀な立ち回りも多い。

親友と時折交わす戦争モノで見かけるような掛け合いや憎まれ口は、その系のやり取りが好きな読者におススメ。
JRR時代のレイニーとナイフトレーニングしていた人物と容姿が若干似ている。まさか?



「頼めるか?曹長…」
●カーリー・ホプキンス
国民軍の部隊長の一人。階級は少尉。
部下からの信頼が厚く「カーリーの旦那」と呼ばれるなど親しまれている。
戦闘力についてはザナルディと同じく(おかしな表現だが)「一般的な精鋭」という範疇に留まるものの、
司令部からは模範的な若い将校として評価が高く、窮地に陥っても冷静さと合理性を失わない傑物である。




<レギウム共和国>

国民軍やその協力者を除くレギウムの軍人・職員・国民など。


「俺はどんな手を使ってでも生き残る!アンタに反逆者の汚名を着せてでもな!」
●ミハイル・ウォルドマン
元ジャッカル隊。他の隊員と異なり単純な権力欲によってミルズを裏切った数少ない人物。
おかげで終戦後にレギウム国家憲兵隊即応部隊(GIGN)の特機1班隊長となる。
脱走したミルズへの最初の刺客で、サヤに爆弾をくくりつける作戦を容認したりと外道な事も平然と行う。
ミルズとは開戦初期からの古い仲間だが、その頃から彼に嫉妬していたようで裏で排除しようとしていた。
その反面、ミルズをリスペクトしている節も垣間見えており、激戦の末に敗れた際には、
「流石はジェノサイド」とミルズを称賛し「どんな手を使ってもアンタには勝てなかった」と自嘲気味に語っていた。
最終的に敗れたものの、流石にジャッカル隊員だけはあって技量も観察眼も優れており、
装備の優位があったとは言えミルズを相当に追い込む程の手練手管を披露している。

最序盤で退場するキャラクターだが、前述の通りミルズとは長い付き合いであり、共に死線を潜り抜けた戦友でもあった。
そのため最終的に対立し不幸な結末を迎えたとは言え、お互いの間には負の側面だけでは語れない感情も抱えていた事が窺え、
特にミルズの回想ではクルサード大佐やバロスと共に度々登場する。彼もまたミルズにとっては「忘れることの出来ない人物」なのだろう。



「俺は…俺の戦争にケリを着ける!」
●バロス・ウォード
元ジャッカル隊員。『審判の矢を射る者(ジャッジメント・アーチャー)』の異名を持つ凄腕スナイパー。
JRR時代(海軍出身)から狙撃に定評のあるエリートで、レイニーとは親友の間柄。

+ ネタバレ注意
訓練兵時代のミルズとも仲が良かったが、幸か不幸か彼の「覚醒」を目の当たりにし、「ジェノサイド」の事件の顛末を見届ける事になってしまうが、
その後は上官と部下として極めて良好な関係を築いており、本来ならレイニーと同じくミルズを裏切るような人物ではなかった。
しかし、唯一の肉親である弟に病死が迫ると、やむなく最先端の治療を受けさせる事を条件にクレイズに加担する事となる。
…ところが、弟の病状はもはや人の手にはどうしようもない状態であった。

戦後は退役し、誰とも関わらず山奥で静かに暮らすようになる。
その後、脱走したミルズとレイニーに訪ねられたのち、二人の第3軍合流を援護した際に帰らぬ人となった。*19
回想編ではレイニーと共にJRRでのミルズとの経緯が描かれている。
余談だが、バロスを見て生き残ったドラグノフ兵がいないので、ド軍サイドは一部の者が噂だけでジャッジメントアーチャー*20を知るのみである。



「ミルズ… 『生きろ』」
●アラン・クルサード
回想編で登場した初代『戦場の死神』(物語開始時点で故人)。当時のレギウム国防軍の英雄。
利権に傾く事のない信念と圧倒的なカリスマを備え、レギウムの軍人でありながら世界中の戦争や紛争に「傭兵」として参加する事を許され、世界が認める偉大な武勲を挙げ続けた破格の人物。
その戦闘力も功績に見合って作中屈指であり、老境時でさえ覚醒前とは言え並みの兵士を遥かに超えるミルズですら手も足も出ない程の戦闘力を誇る。
ミルズの潜在能力を見出し、軍務経験ゼロの彼をいきなり精鋭JRRに入隊させた人物。*21

+ ネタバレ注意
若かりし頃の「強国レギウム」を愛しているため、内心では惰弱になったレギウムで英雄と呼ばれる事を嫌忌しており、レギウム政府と軍の現状の体制に反感を持っていた。
後に惰弱な外交政策を続ける当時のレギウム政府に対し反乱を起こす。
だが本当の目的はミルズを「覚醒」させる事であり、計画通りミルズによって倒される。
ミルズにとっては、初めて殺した人物でもあり、決して忘れる事の出来ない存在となった。
「間違っても儂に銃を向けるな」と警告こそするものの、銃を向けた者は民間人であっても容赦しない。(それ以外の暴力には寛容なのか、自分を車で轢き殺そうとした事を咎めなかった)
対し、ミルズが非殺を貫こうとする事に大きな不満を抱く。

なお作中での指摘によれば、レギウムの強国化はあくまで周辺国に対する軍事的抑止とそれによる平和が最終目的である。
しかしそれを完遂する前にドラグノフの侵攻が始まる事を悟ったがために、ミルズを覚醒させレギウムを護らせようとしたとの事。
また本人も「さんざん戦争の悍ましい面を見てきた」と苦々しく語っているため、戦場に身を投じ続けはしたが根っからの戦争狂という訳では無い。

余談だが「陰の英雄」との対比がクリヴィーレ少佐の場面でさり気なく描かれる事があるので、後から見比べてみると面白い。
「どうした揉め事か・・・・?」からの民間人とのやり取りなど、全く同じ台詞や同じようなシチュエーションからの行動が色々と対照的である。*22



「糞虫の分際でいい度胸だ!この俺をナメやがって!」
●ダン・チャップマン
ミルズ達が統合レインジャー連隊の訓練生時代の鬼教官。階級は軍曹(後に准尉に昇進)。
役割やセリフなどからおそらくモデルはこの人(外見は小太りであり、元ネタの人とは似てないが)。
回想編のキャラクターだが、後に本編にも少しだけ登場した。
教官キャラとして特に良い所はなく、ミルズに原隊を聞いた時は「ガソリン・スタンド」と馬鹿正直に答えられたのをからかわれたと勘違いしてミルズを殴りつけたり、真っ赤な顔をタコ・チャップマンと言われて話のネタにされたりしている。
クルサード大佐の反乱が鎮圧された時には「俺は最初から、英雄気取りの怪しい奴だと思ってたんだ!」などと失言したせいでミルズの逆鱗に触れ、強烈な殺意をくらって失禁し出番終了。

+ ネタバレ注意
…かと思われたが、時が経ち、レギウム国民軍が駐留ドラグノフ軍と戦ってる時期に再登場。
内国治安維持部の集積庫の防衛に付いていた。
ジャッカルの部隊とジェノサイドのミルズが、反乱軍に居る事に怯える部下達に、

「フッ…あのクソ虫が怖いだと…?あいつ(ミルズ)に戦い方を教えたのはこの俺だ!」
「世間じゃ『戦場の死神』と恐れられてるが、あんなものは噂が独り歩きしてるだけだ。」
「本当のあいつは俺が一睨みいれて怒鳴りつければ、小便漏らしてひっくり返るようなチキン野郎だった!」
「ジェノサイドもジャッカルも恐れる足らん、もし奴らが来やがったらこの俺が軽く捻ってやるまでだ!」

などと大法螺をぶっこいて、部下を安心させたのだが、その虚勢はテレビでミルズの姿を見た瞬間に崩れてしまった。*23
またもや失禁。部下から衛生兵を呼ばれる羽目に。そしてミルズ達が反乱に成功した後は、何かに絶望して*24便所で拳銃を頭の横に突き付けている姿を最後に、今度こそ出番終了。

しかし、彼の人間的な小ささはともかく、やっている事には間違いはなかったりする。
  • ミルズが軍役もない完全一般人だと分かれと言う方が無理、ふざけているととってもおかしくない(むしろクルサード大佐はなぜチャップマンが聞いた時にフォローしなかったのだろうか…)
  • クルサード大佐は反逆者の大罪人(最初から怪しいと分かっていたとの嘘や、死者を愚弄する発言は頂けないが)
  • 見栄は多分にある大嘘とは言え、部下の動揺を鎮めるために付いた(実際にこの説明で部下は安堵したり、チャップマンが居ない時にも部下は陰口を叩いたりしてなかったので、最低でも嫌悪されている事は無い模様)



「ヤツは常識を遥かに超えている…!」
●マックス・ヴェルナー
回想編に登場。クルサード大佐に追従するJRRの中隊長。階級は大尉。
目元に傷があるいかつい顔をしており、JRRの中隊長らしい歴戦の風貌と実力を持つ。

+ ネタバレ注意
クルサード大佐が命を贖って造り上げた、つまり化け物として覚醒したミルズが最初に交戦した部隊の隊長である。
他の「訓練だけは一人前」の叛乱レインジャー隊員が、生身のミルズ相手にSAAや装甲車ごと八つ裂きにされていく中、
ただひとり重野戦仕様のバルディッシュを駆る事で、まともな戦いを展開できた。
気迫や気骨も凄まじく、圧倒的な戦力で窮地に陥ってもなお戦意を失わず、目前の死も恐れない猛者である。

大佐の死とその真意を悟るも、「自分が新兵(ミルズ)を殺し戦場の死神の名を継承する!」と意気込むが、覚醒したミルズの力はもはや人外の者と化しており、最終的にはヴェルナー大尉も圧倒され完敗。結果としてレインジャー1個小隊は丸ごと化け物の贄となってしまった。
登場する7-8巻の回想編は『戦場の死神(ジェノサイド)』誕生の秘話、その強さの理由をこれでもかと見せつけられる名エピソードの一つである。



「もし…再び生きて会うことが出来たらその時は…父と呼んでもらえないか?」
●ファビオ・マセッティ
レギウム国防軍。少佐。本編開始時では故人。
孤児だったジベルノウを引き取り、戦いのノウハウを叩き込んだ親代わりの人物で、
戦争ではマセッティの名を冠した独立大隊や支隊を率いて、ドラグノフの侵略に抗った熟練の古参兵。
「部下は誰もが彼と共にあることを誇りに思う」と称される程の人気と人望の持ち主で、
そのカリスマたるやジベルノウを心酔させ、部下達も彼に感化されて死兵と化す程のもの。
狂犬扱いのジベルノウを唯一制御できる人物だったが、ドラグノフとの死闘の末、ジャッカルの救援も僅かに間に合わず戦死してしまう。

立場的には師匠・上官として上下関係を以てジベルノウに接していたが、
内心では彼を息子のように想っており、戦中にジベルノウと別れる際に「この戦線を護れ」と命令し、「再会できたら父と呼んで欲しい」と命令ではない約束を交わす。
しかし少佐は戦争の敗北と今生の別れを悟っており、遺書を衛生兵に託して壮絶な戦死を遂げたため、それが現世で果たされる事はなかった。



「あんたみたいな人殺しがいるから世界は平和にならないのよ!」
●マリチカ・バデア
平和団体「権力と暴力に抗い続ける市民の会」代表。
作中で語られる範囲では戦争反対派として活動しているが、団体の理念はともかく*25マリチカ自身は言葉を選ばず、
口汚い罵声を平然と行う上に大本営のプロパガンダにまんまと踊らされている側であるため、サヤやハワードからも「クソババア」「わかっていないババア」と蔑まれる。
各専門家を集めたTV番組内の対談討論では、クレイズを希望と未来と愛に溢れる平和の使者であると支持していたが、
真っ先に暴言および放送禁止用語を吐き始め、ピー音連発で放送が中断されるハメになった。
平和を騙り火種となる辺りはクレイズと似ている。(服装の趣味もある意味近い)



「フッ…これだから素人は…」
●マシュー・ペック
軍事評論家の壮年の男性。レギウム国民軍が駐留ドラグノフ軍と戦っていた時期に、テレビに初登場した。
解説に呼ばれるだけはあり、軍事知識は豊富。不鮮明な映像と状況から的確に事実を見抜いたり、
世間では余り意識されていないオービターアイズの危険性を理解しているなど能力自体は優秀である。
しかし、冒頭台詞に代表される上から目線の言葉が多く、出演のたびにほぼ毎回アナウンサーの女性をムッとさせている。
上記の対談討論では、お花畑発言を連発するマリチカに激怒し、売り言葉に買い言葉でピー音連発の暴言を連発する放送事故も起こしてしまった。



「情報を制する者が戦を制すると言ってもいいでしょう」
●セルジュ・ティトゥレスク
レギウム共和国・元国防委員長(国防大臣)。
専門家を集めた緊急生対談に呼ばれ、軍事面からの意見を行う。
戦前のレギウム政権(つまり対ドラグノフ追従の派閥)に連なる人物のようで、
述べている事自体は真っ当であるが、現状だとあまり立場が芳しくない事から、
マシュー・ペック氏に皮肉られて汗を流すなど良くも悪くも普通の人である。



「愛や希望などという曖昧な言葉を使い、人を巧みに誘導してゆくのが…詐欺師と独裁者の手口です」
●チャールズ・ハワード
レギウム共和国の社会学者。
冒頭にもある通り率直に正論を述べるなど、分析自体は妥当なのだが口がとにかく悪い。
マリチカ・バデア氏に当て擦りをして怒らせても涼しい顔をするなど確信犯である。
余談だがファミリーネームでも察せられるようにハワード博士に非常によく似ており、
容姿から性格から何から何までそっくりなため、おそらく近親者であると推測される。




<レギウム国内勢力>

ここではレギウム側の私兵組織やレジスタンスなど、正規軍や市民でない人物をまとめる。
なおレジスタンスは単なるパルチザンの寄せ集めではなく、大部分が国民軍の首都奪還作戦のために長い準備を経て指揮系統も一本化されており、中には復員兵や正規軍すら混じっている。
組織の性質上、作戦成功後は幾つかの人員が国民軍に合流している。


「言っておくが…彼らは弱者などではない!」
●イグナチオ・クリヴィーレ
国民突撃梯団(フォルクス・カイル)部隊長。少佐。
熟練の老兵を思わせる風貌とそれに見合った驚異的な戦闘力を持つ。
クルサード大佐との対比で、決して表に出る事の無い極秘任務を数多く遂行してきた「陰の英雄」と呼ばれている。
性格は紳士的だが、ミルズをクルサード大佐の後継者と知るなり実力を試そうとするなど脳筋な面も見られる。*26
キャリアが長いためか、歩兵戦闘のみならず砲兵を率いたり、部隊訓練の指揮を行なったりと他の若い隊員とは一線を画す多ような技能や経験をも持つ。

+ ネタバレ注意
実力はミルズにも引けを取らず、首都奪還作戦ではハンドガンで敵SAAを軽々と連続撃破する程の、正真正銘の化け物クラス。
レギウムでは、SAA非装着の単独歩兵が複数機のSAAを撃破した実戦記録を持つのはミルズとロビンの二人だけとされ、クリヴィーレが含まれていない事から様々な事実が秘匿されている様子が窺える。
それ故か、クレイズもその実力を把握できていなかった。

極右政党の私兵団というヤバい組織に所属している割には真っ当な対応や合理的な判断もできる常識的な面も強く、
国家愛*27の熱弁は特に印象的で、メンバーからの篤い信頼も頷ける。
対となるクルサード大佐辺りと比較すると、自国民であればチンピラ相手にすら手心を加えるような慈悲も持ち合わせている。
また、かつてJRRこと統合レインジャー連隊(ミルズ達一部ジャッカルメンバーも所属)の創設期のメンバーで天才と称された過去も持つ。
クルサード大佐と出会ったのはその際に模擬屋内戦であり、この時に慢心していた己を殺されたという。
過去の回想を見た後、首都奪還作戦時の市民達(老夫婦、若い女性、ヒャッハー)とのやり取りを読み返すと違った視点で見れ、もっとオヤジを好きになる…かも知れない。

なお、「私より上の人間なら戦場にゴロゴロいる」と謙虚な発言をしているが、この発言が事実の場合、作中のパワーバランスがあまりにおかしな事になったり、ルーミスの盾(笑)になってしまいかねないと評判である。(但し、とある理由でオヤジと呼ぶと殺気あるいは凄みのある怒気を放ちつつ怒る)




「オイオイ、俺のいない所でドデカイ花火上げてるじゃねえか!」
●ヘイデン
「兵士としての誇りも倫理も規律も何も持っていない野獣(ビースト)」と呼ばれる男。
粗暴で、言葉遣いが荒く、すぐに熱くなりやすい性格と、狂犬のような要素が揃っている。
しかも高い身体能力に加え、悲鳴を上げて敵を誘き寄せたり、優位な敵に不意打ちを仕掛けたりする狡猾さも持ち合わせており、
敵から奪った武器を割と器用に使いこなすなど、混沌とする戦場に適応する卓越した技量の持ち主でもある。
顔の右側には特徴的な火傷の跡があり、強面に拍車を掛けている。
実年齢は比較的若年であるらしいのだが…。*28

初登場時は刑務所に入れられており、かつて衝動のまま殺戮を続け、最後には悪態をついた上官をも殺害したことで収監された過去を持つ。
軍内でも恐れられており、化け物と呼ばれまともな扱いをされていなかった。

+ ネタバレ注意
前述の通り、ミルズやクリヴィーレと同じ、ソルグレン郊外メルヴィル軍刑務所に収監されていたが、
武装蜂起の混乱に乗じてクリヴィーレ少佐に解き放たれ、その際の「躾」によって服従、粗暴ながらも一応兵士として働き始める。
しかし、弾を無駄に消費するわ、カッとなりやすいわで脳筋単細胞な面は変わらなかった。

とはいえ、一般兵士相手には滅法強いのだが、相手がエース級になると終始圧倒されている。超人の中では最下位、といった所であろうか。
実際に作中の対ネームド戦績(軽いものも含めて)は惨憺たるものがあり
  • VSクリヴィーレ少佐:上記の通り余裕でボコられ躾けられる。
  • VSミルズ:何度も噛み付くが、あっさり返り討ちに。なお部下の非礼を詫びたクリヴィーレに「上官の方が迷惑だった」とミルズが苦言を呈していた。
  • VSロビン:アンブローズ空軍基地でエース級と合流後「殴れば誰がジャッカルか分かる」と殴りかかるも軽く転ばされあしらわれる。
  • VSレイニー:ロビンに転ばされた姿をザナルディに笑われ殴りかかるも、レイニーに軽く止められ蹴り飛ばされて尻もちを付く。
  • VSジベルノウ:レイニーに尻もちをつかされた後、自分を見下ろすジベルノウに因縁を付けるも即顔面を蹴られ、立ち上がって襲い掛かるが片手ポケインのままのジベルノウに金的→顎への膝蹴り→首掴みの舐めプコンボで戦闘不能にされた挙句「コイツ殺していいか?」と吐き捨てられる。ついには「オ…オヤジィ…」と情けなく助けを求める羽目に
    また記念の食事会でみっともない暴食をした際にもシメられている。このおしおきタイムでジベルノウが見せた凄い笑顔は必見
  • VSサヤ:上述のミサイル使い過ぎの件でハワードに詰められるも逆ギレし「メガネをブチ割ってやる!」と殴りかかるが割って入ったサヤの高電圧攻撃で戦意喪失し「くっ…来るな暴力女!」と背を向けて逃走。
…とこんな具合で弄られまくっている。
周りが人外の化け物ばかりのため、ある種の癒し系ともいえるポジションに収まってしまったほどで、
弄られ役だったハカセからその座を奪い、一部読者から萌えキャラ扱いされたりもしている。


ただ、国民軍に合流後、バカ者扱いはされても化け物扱いはされなかった事が、後に彼の精神に重大な変化を齎す事となる。
「クスリなんてやっても無意味。苦しい現実から逃げているだけ」「自分はレグトス人だがロクデナシ、自分たちを助けようとしてくれている人はエストン人だがいい人。どの人種・民族もいい奴と悪い奴がいる」と言う趣旨の発言をしており、根底では真っ当な感性を持っている事が窺える。
基本的に強い者にしか従わず、己の暴力性を制御できない「野獣」のような男に成り果ててはいるが、そこに至る経緯や人間性の根本には複雑なものがある人物。




「彼らに再び未来や希望…笑顔を取り戻す事ができるのなら、喜んで命を預けよう」
●ロビン・ストーナー
レギウム軍の退役大尉(敗戦後レギウムの軍人の多くは兵員削減を名目に強制退役させられていた)。
イケメン。レジスタンスとして登場し、レギウム首都奪還後は国民軍に合流した。
パルスアーム を唯一使いこなした人物でもあり、『ゴッドハンド』の異名を持つ。

生身でもミルズやジベルノウと同じく化け物じみた戦闘能力の持ち主だが、性格は至って正義感の強い紳士。
また可能な限り不殺を心掛けており、彼が「殺さずでは済まない」と判断したのは今の所ルーミス騎士団の小隊長のみである。

なお初登場時にはカウルが防弾仕様のバイクに乗っているが、これはおそらく名前元の方がバイクレーサーだからだと思われる。
本作ではキャラにレーサーの名前を付けているらしいというのは前述通りだが、実際に元ネタよろしく車やバイクに乗るシーンは地味に珍しい。

+ ネタバレ注意
出自にはルーミス騎士団が関係し、その正体は最強最悪のルーミス騎士団長ルドルフ・チェカの関係者とみられる。
本人の弁からは、ルーミス騎士団には嫌気が差していた事も示唆されている。

いざとなれば容赦はないが、それでも可能なら殺さずに敵を制圧したいようで、パルスアームで行動不能にだけするのはもちろん、
たびたび敵兵にも投降するよう告げるシーンが描かれる。{その裏でジベルノウが無慈悲に敵をブチ殺しているので余計に目立つ。

本人は未来も希望もない世界に生きていたと語っている。その際、騎士団の部分をパルスアーム部隊に差し替えても違和感ない程にパルスアームでの戦闘も大概*29で、案の定ロビン以外全滅した。だがロビンはハカセにSAAを勧められた際も「長年同じスタイルでいるとその方が楽になるものさ」と発言。(そんな装備で大丈夫か? 大丈夫だ、問題ない)
そして通常より遥かに高性能なSAAと対峙するも、舐めプの末フルボッコ(不殺狙いのため翻弄するような動きをしていた。密着間合い含めて)。相手の方が「こんな装甲(SAA)に守られていても意味がない」と思い知らされていた(色々とおかしい)。体術やハンドガンの技量が卓越しておりCQCでは圧倒的な強さを誇る。
恐らく、装備を減らした方が強くなるタイプ。某裸忍者や某モンクのように




「それでも、やるしかねぇんだ!」
●ミック・シマオカ
元レギウム陸軍所属の退役曹長。パルチザンを率いてレジスタンス活動を行う腕利きの元兵士。
暴徒鎮圧に投入されたレギウム正規軍*30に押されていた所をロビン・ストーナー退役大尉に仲裁され、以後まとめて彼の指揮下に入る。
通称シマさん。



「グスタフ、あれは味方だ。…が、それ以上に攻撃するな」
●レナード・ヒギンズJr
レジスタンスグループの一つを束ねるリーダー。恐らくは国民軍の指揮下で動いていると思われる。
親のヒギンズ大尉は回想編で登場し、クルサード大佐が最も信頼していた部下*31だった。
息子であるJrもその遺伝子を受け継いでいる。



「ジャッカルは解体されたらしいが、彼らのことだ。どこかで戦っているに違いない」
●ラウール・マルケス
元レギウム正規軍。性格は謙虚で我慢強く、狙撃を得意としている腕利きの兵士。
かつてはミルズらと同時期のJRR訓練生であり、階級は国民軍所属時に曹長。

+ ネタバレ注意
スナイパーとしてバロスの足元にも及ばないと謙遜はするものの、元JRRだけあって実力は確かで機装兵化への順応も早く、
実際、敵戦闘ヘリの索敵範囲外に隠れて対空砲撃を行ったり、その後に出てきた敵スナイパーにカウンターを叩き込んだりとエース級である。*32
初登場時はレジスタンスに参加しており、国民軍の指示によって駐留軍司令部の思惑を打破、その後国民軍に合流しルーミス強襲のとある重要作戦の中核を担う。

「自分がジャッカルの面々に勝る要素があるとすれば、それは我慢強いこと」と自己申告するのは伊達ではなく、作中でしぶとさを随所で発揮。*33
後に新生ジャッカル隊に所属する事となる。



「砲塔も旋回できないような路地で待ち伏せしている余所者め!」
●ロルフ・ヒューベル
レギウム国防軍第1師団第1戦車連隊C中隊長。少佐。
軍政本部のあるシルバイン区にて国防軍より離反し、強固な防衛線に苦戦するレイニーとザナルディを支援した。
制式戦車に搭乗しており、対第3軍用に重火器を再装備した部隊でそのまま暴徒鎮圧の任に就いていたと思われるが、第4戦車(エーメタリー)連隊よりもいち早く離反している事から独力で区内に突入した模様。
熱い魂と整った髭のナイスミドルである。
しかし街中を熟知しているのはともかく戦車で俺の庭はどうかと思います少佐殿。



「軍人として恥じる事ない戦争を始めよう」
●ファーガス・ヘイルウッド
レギウム国防軍第1師団第5戦車連隊付中佐。
正規軍人だが、武装蜂起の混乱に伴い国防軍より離反。国民軍を支援した。
代々軍人の家系であり「国益と国民、おまえ達を守りたいから戦う」という父の心意気を受け継ぎ、叛逆者と罵られようが国民のために戦い死なんと、志願兵を募る。



「志願兵なら既に1名ここにおります」
●ケニー・ウォーデン
レギウム国防軍第1師団第5戦車連隊本部総務。大尉。
クールな外見だが熱い男。上官同様、家族や守るべき者のために命を懸けられるなら本望とする。ヘイルウッド中佐が志願兵を募った際も即答した。




<ドラグノフ連邦>


「この戦いの中に全ての答えが在る…私にはそう思えるのです」
●カーレル・シュワンツ
ドラグノフ軍最強の特殊部隊『COBRA』の第7(107)戦隊の隊長。大尉。
その戦闘能力は元ジャッカル隊員であるレイニーを圧倒する程で、作中ではミルズに匹敵する強さを見せつける。
ミルズとシュワンツの戦闘は殺し合いにもかかわらず双方楽しそうというファン必見のバトルである。

そのあまりの強さから味方であるドラグノフ軍からも恐れられている存在であり、友軍殺しなどのあらぬ噂すら流されている*34が、
部下など実際に出会っている兵士からはそれが誤解であるとしっかり知られており、今なお厚い信頼を寄せられている。
性格はいかなる時も冷静沈着で、敵であるミルズにすら敬語を使うなど強敵には敬意を払う。*35
また治療しようとした相手に「ラナック(エストン人の蔑称)」と面と向かって罵倒されても怒る様子は全くないなど、懐も深い人物。

本人は戦場で身を置くうちに、「まるで弾丸が自分を避けている」ような感覚を覚えるなど生の実感を感じられずに悩んでいたが、
当時相対した『人の形をした悪魔』と表現する兵士によって自分の中の恐怖、そして生の実感を呼び起こされる事となり、
以来長年その兵士に匹敵する相手を探し求めていた。

+ ネタバレ注意
数少ないミルズと交戦して生き延びた人物であり、そしてその実、国のためではなく自分の戦争哲学に悩むミルズの同類でもあった。

オルフェルドでの戦闘以来、長らく去就が不明であったが、レギウム首都ソルグレンの武装蜂起においてドラグノフ幕僚脱出の護衛の任に就く。
だが、介入してきたルーミス騎士団のダークナイツとの戦いで部下を惨殺されてしまい、別人と思えるほどにガチギレ。
カットスロートで中の人をぶっ殺し自爆用AIに対し「私にとって予測可能な行動以上の事が出来ない機械人形など相手に値しない」とあっさり撃滅する。
なんだ、上からすき間狙えば楽勝&瞬殺じゃないか。

ドラグノフ軍最強の名は伊達ではなく、機動性特化の戦闘スタイルで反応速度が卓絶しており、ミルズのレールガンをも避け、平然とSAAで壁を走る。
撃たれる毎に癖や弾道を見切って回避力が更に上がってゆき、比例して攻めのギアも上がり、長引く程手が付けられなくなってゆく。
(接近と回避に専念→回避直後に反撃→回避の真っ最中に連続で反撃…といった具合に)
射撃の精度も極めて高く、高速回避中でさえ小さなジョイントに連射を絡めて百発百中。これは精鋭無比を誇るダークナイツでさえ偶然かと疑うレベルの芸当である。(高速移動・回避中ではなく、単発であれば他のエース達やダークナイツも相当なのだが)




「この宣言を境にレギウム共和国はドラグノフ連邦の植民地として併呑されるのだ!」
●アレクサンダー・ホレイショ・パウエル
レギウム遠征軍総司令。階級は上級大将、戦後元帥。
王道楽土の建設を夢見る野心旺盛な人物で、実務能力はもちろんカリスマも併せ持った遠征軍の中核。
テロを恐れながらも性急に口だけ出してくる本国の政治家を「国家の大計を任せられぬ軟弱者」と見下しているが、
占領地軍政官としてその態度に見合うだけの権勢を誇り、それすら足掛かりにして周辺国さえ併呑しようと目論む。
だがそれはディヴァンの思惑通りであり、意図的に集中した権力が決定的瞬間に排除された事で駐留軍は大混乱に陥る。

作中ではクレイズに利用され耄碌した老犬と言われるなど散々な扱いだが、彼自身は過激な思想ながらも愛国的使命感や歴史的責任感で行動している信念と気骨の人。
単純な権力欲ではなく理想に燃える野心家であり、それが故にディヴァンに付け込まれたのであろう。



「これはまたパウエル元帥らしいお言葉ですな」
●エル・ヤ・リネウィッチ
委託駐留軍政統合参謀長。中将。
ドラグノフ軍の中でも秀才と称される幕僚で、物語初期からパウエルを支えてきた高級将官の一人。
元帥暗殺を発端とする武装蜂起の混乱を収拾し得る人材だったが、クレイズの暗躍により…。
「私は絶対に逃げない」を選択しておけば…
COBRAが護衛はフラグ
歩くフラグ=ロッシのおまけ付き



「我が社の技術力の進歩をお見せしますよ」
●ジェラルド・ブラナー
ドラグノフの兵器メーカー・GAF社の重機甲部技術開発マネージャー。
次期ドラグノフ軍主力量産SAAのコンペにおいてAGI社のハワードと争う。
性格は陰湿で、模擬戦の相手にわざわざAGI製の機甲兵器を揃えてみせるなど暇人嫌がらせに長けている。
後にハワードがレイニーの持ち込んだ ゼブラ について「GAFの機体など触りたくもない!」と吐き捨てるのも分かるというもの。

ただ、ブラナー主任にしてみれば戦時中は(レギウムのバルディッシュ改に比べ) バルメ の評判がかなり悪く、後継機はいくつも作ったもののいずれも費用対効果や主力量産機としてバルメを超えるものは最後まで造れなかった*36ので、軍部からボロクソに貶され責められていたであろう事は想像に容易い。
なんせGAF社は形こそ民間企業ではあるが、退役将兵会が株の半分近くを持っている事実上の軍部兵器工廠なので…。
筆頭株主が顧客のOBってこの世の地獄では
ゼブラが徹底的にAGI社の技術を取り入れた事で完成している辺りからも、たびたびバルディッシュ改やスワッシュバックラーを引き合いに出されて肩身の狭い想いをしていたとも考えられる。世知辛い。



「ヴォロータ街の星持ち事務屋どもに伝えておけ。私は絶対に逃げない…とな」
●ミルチャ・アヴェレスク
バルシア軍団参謀長、少将。
軍政本部のオレグ・プレザン中将の腹心であり、パウエル元帥が暗殺された直後の武装蜂起鎮圧に奔走した駐留軍の事実上のナンバー2。理論と現実感覚に富む稀代の作戦家。
戦争中にリーダスにしてやられ、武装蜂起時もやられっぱなしだったが、敵役ながら正規軍人の誇りを持った魅力的な人物でもある。

+ ネタバレ注意
メタ的には敵側の人物ゆえに敗北してしまうが、軍事的価値の変動を見極め、陸軍司令部の守りを捨て軍政本部の防衛に戦力を集中するなど手腕は本物である。
これは他からすると理解が追い付かないレベルの采配であり*37、稀代の士と呼ばれる者同士だからこその目線で行われた高度な駆け引きであったと思われる。
と言うか獅子身中の虫に等しいクレイズの暗躍に始まり、規格外のミルズによる撹乱、極め付けはガードナーによる特務機甲中隊壊滅なんかは味方のリーダスですら困惑していたので錯誤しても仕方ない。

主な活躍として、駐留軍の師団長アントン・レフ・ゴルデンヴァイゼル少将、ペトロ・スネグル少将、トレバー・ガスパリーニ少将と共に武装蜂起鎮圧にあたる。
幕僚大学出(いわゆるキャリア組)の逸材であるため、事態を重く見たドラグノフ本国統帥局に「転身」の準備を要請されるも、
それが彼の直属の上官であるがノンキャリアの軍団長・プレザン中将の頭越しであったがために、静かに怒りを見せながら一蹴し最後まで戦い抜いた。
その後の去就は不明だったが、クレイズのルーミス同盟宣言の折にオービターアイズの粛清を浴びてゴルデンヴァイゼルが死亡。その報復として(相乗りではあるが)ルーミス強襲作戦に参加し、レギウム国民軍と共闘する。

首都の騒乱の行く末が自軍ひいては本国に何をもたらすかを正確に把握する聡明さと、
参謀本部=自身の守りをかなぐり捨てる事も厭わない覚悟を持ち合わせており、
それでいて理性的な判断で引き際を選べる優秀な将校であり、印象的で熱いシーンが多い。
「これは我々の軍人魂が築く強固な壁だ!」「私は無能者だが部下には恵まれた・・」などがある。



「自由なき世界に平和は訪れない」
●オレグ・プレザン
バルシア軍団長。中将。
パウエル元帥暗殺後、武装蜂起の混乱の中で有力な幕僚が首都脱出に失敗し、恐らく臨時・繰り上がりで駐留軍のトップとして軍政本部に鎮座する。
国民軍のハメル大将と同様もしくはそれ以上に寡黙な人物で、比較的温和かつ職務に忠実な軍人でもある。
実際の指揮は腹心のミルチャが行っており、そちらは軍政本部ではなく首都郊外にある駐留軍司令部に移動させている。

+ ネタバレ注意
本人曰く、かつては権力に強く憧れ、のし上がるためなら汚い手段も厭わなかったという。
努力と根回しと勘により、貧しい出自で幕僚大学も出ていないにもかかわらず現在の地位まで上り詰めたが、代わりに周りが敵だらけになった、とも。
その時に部下達に守り支えられた事により考えを改め、共に戦火を潜った部下達を「何より大切なもの」としている。

将官ではあるが前述の通りノンキャリア組である事、また本人の言う通り敵が多いためなのか、
本国からは軽んじられている節があり、上記のように部下のミルチャの方が優先されると言う扱いだったが、
彼自身は責任感に溢れ堂々とした人物で、軍政本部の最先任上級者として相応しい態度を見せており、
「世の中とは皮肉なもので優秀な者が優遇されたり生き残るとは限らない」の言葉通り、より優秀な者達は世を去り、奇跡的な偉業を成し遂げる事となったのはプレザンであった。
首都奪還作戦においては国民軍とレジスタンスに最終防衛ラインを突破され降伏。
その後名目上は人質のような状態であったが、クレイズによるオービターアイズ制御と武力を盾に脅すルーミス同盟の提案により状況が激変、ルーミスの牙城を崩すためにリーダスからドラグノフ本国との仲介を頼まれ、これを快く承諾し尽力する。
ミルチャと同じく主に敵となるドラグノフ側の軍人であるが、魅力的な人格的統率力が窺える人物である。
彼を冷遇した統帥局の連中の見る目のなさが分かると言うもの



「勝利を掴むのは圧倒的な火力差と兵の鉄の規律だ」
●トレバー・ガスパリーニ
バルシア軍団72装甲擲弾兵師団長、少将。
眼帯を着けた気骨のある老人。
物量で押すドラグノフの精神を形にしたような人物。戦いは数だよ。
自信と誇りに満ちた将だが、最前線でレギウム軍と戦い続けた猛者であるためそれも当然と言える。

+ ネタバレ注意
首都を落とされバルシア軍団が崩壊した後も全く戦意を失わず、ゴルデンヴァイゼルと共に機甲軍団を編成しレギウム国民軍との決戦に臨む腹づもりでいた。
しかし「どこで道草を食っているのやら」と揶揄されたように、たまたま集結済みの仲間との合流が遅れた事が彼と彼の師団の運命を左右した。

最終決戦ではミルチャやスネグル少将ら旧バルシア軍団の幕僚と合流。レギウム国民軍との共同戦線に参加する。
レギウムの兵士達が「ドラグノフ上層部はルミランシアのパワーバランスの考慮、或いは密約などの打算的な理由で参戦しているのであろう」と噂していたが、*38
当のガスパリーニ達はそんなもの頭に無いかのように怒り狂っており、純粋に同胞達の敵討ちに燃え報復を誓っていた。

なお、本編登場前に巻末の設定資料集で出演している。戦争末期にレギウム軍が降伏を打診した最初の将官がガスパリーニだったのだ。
彼はオービターアイズの攻撃という決定的瞬間に立ち会った人物でもあり、幸か不幸かはともかく歴史の転換点に何度も居合わせている。

余談だが、10巻では、たった2ページで凄まじい勢いでフラグを立てまくり、地雷を設置し続けていった。
  • 兵力差で勝負→よくある負けフラグ。ついでにコマが眼帯のどアップ。(しかもフラグ立てた当人は平気だった。他の5項目も同様)
  • レギウム正規軍を投入すればいい→ミルチャの忠告通りの結果に*39
  • 幸い、重火器を再装備させていた。すぐにでも使える→フラグ上乗せ、2つ。幸い?
  • 所詮は軽武装の烏合の衆→ガチ凹みしながら「烏合の衆の戦術と侮った報いか」(しかも凹むのはミルチャ)
  • リネウィッチ中将や急なポスト調整の話→ああ・・

たった6コマ位(同志の発言も含めたら9コマの間)での清々しい出来事であった。
しかも力説後の表情がドヤ顔にも見え、加えて隣のゴルデンヴァイゼルがいかつい顔*40で見ているのが視覚的スパイスとなっている。
「貴官ら軽挙は慎めよ」直前(1コマ前)のミルチャ先生のお言葉

ただ本作品はフラグを重要な要素と捉える声も多く、この時のガスパリーニの行動はむしろ絶賛されるべき…かも知れない。



「この出来損ない共が!ドブネズミ一匹に何をしている!」
●ヨアン・ドルーツェ
レギウム陸軍第5歩兵連隊付政治委員。少佐。
正規軍各大隊に派遣された、いわばドラグノフがレギウム陸軍を操るために据えられたエストン人将校。詳細は 8個師団 の項を参照。
彼はその代表例で、部下のレギウム兵を粗雑に、そして非人道的に扱う。
結局はそれが仇となり、ミルチャ・アヴェレスク少将の危惧した通りレギウムの正規軍から離反者を生み出す事となる。



「あの顔を見せろ!俺を興奮させる驚愕の表情を!!」
●ディエゴ・ペドロサ
ドラグノフ軍の機装兵。階級は曹長。
装甲の進化により機装兵の死亡率は大幅に低下したが、その装甲をたやすく切断できるブレード使いこそが最強のSAAであるという信念を持つ。
このため「最強のブレード使い」を自称し、世間的に有名なブレード使いのレイニーを倒す事でそれを確実なものにしようとしていた。
本編に登場するドラグノフ軍人では数少ないエース級であり、レイニー相手に互角に立ち回る猛者。

しかし切り裂き魔でシリアルキラーの雰囲気があり「目の前で恐怖に顔を歪めて死んでいく顔にゾクッとくる」という快楽殺人者でもある。
果ては同じ部隊の同僚からも猟奇殺人事件の犯人ではないかとまで思われている有様。ペドロリ曹長と呼んではいけません
とは言え実力は確かであり、趣味を兼ねているとは言え先陣を切って敵兵を殲滅してくれるため、
部下達からは恐れられながらも頼られている様子が窺える。多分いちばん戦場をエンジョイしてる人。
装着するSAAはゼブラ先行量産型(FR-A13M1)。ハワードの独自チューンを施したレイニーのゼブラと火花を散らす*41



「武勲の機会を逃すなよ」
●シュクロウプ
ドラグノフ軍ジン機甲旅団本部付情報将校。少佐。
敵の指揮所または中継地点らしき不審な電波を探知し発信源であるビルの制圧に臨んだが、エレベータの電源途絶やジャミングは元より通信電波の発信そのものが敵の存在を誤認させるための罠であった。
ジャッカル隊の仕業であるという予測そのものは間違っていなかったのだが…。
ビル内の様子は全てモニターされており、全てガードナー少佐の掌の上。最終的にビルごと爆破され戦死する。
この機装特務中隊の潰滅は軍政本部の混乱は勿論の事、駐留軍司令部からの予備兵力を吐き出させる事にも繋がっていく。



「英雄になって来い!」
●レブロフ
ドラグノフ軍ジン機甲旅団305機装特務中隊長。大尉。
ガードナーの無人兵器部隊に翻弄された挙句、ビル及び中隊ごと爆破される。



「後方の閑職に左遷されたと思ってたが…結構楽しめそうだな」
●フリオ・バルベラ
バルシア軍団の司令部付き少尉。本編に登場するドラグノフの数少ないエース級。
狙撃型バルメ・イェーガーを駆り、司令部防衛任務の中でレジスタンスと交戦、マルケスと壮絶な狙撃戦を繰り広げる。
「一射撃で2枚抜きか!」とダブルキルを決めたマルケスを賞賛し、後方に回された退屈が晴れると喜びながら、
一般兵があえなくやられた狙撃を生身で回避する超人的反応や、士官らしく的確な指示と戦術でレジスタンスを追い詰める歴戦の兵士。
一瞬で数人にヘッドショットを決めたり、生身でもSAAでも他の兵士が反応すら出来ないマルケスの狙撃を二度に渡って回避したりと戦闘能力も相当に高い。

任務中にお酒を飲んでいるようにも見えるが、瓶の中身は果たして…?




<ルーミス・ディヴァン>

かつてルーミスに仕えていた『旧ルーミス王朝貴族の末裔(ディヴァン)』および『ルーミス騎士団』の関係者。


「大尉…もう終わったのですよ」
●ユリアン・クレイズ
本編開始時から一貫して暗躍し続ける黒幕。ミルズに汚名を被せた張本人。
元ジャッカル隊副隊長でありながらドラグノフのスパイを兼ね、更にはディヴァンの尖兵。
当初からレギウム国防軍内国治安維持部第1課第5室長・少佐と、ドラグノフ連邦軍統帥局情報部第7課付大佐の顔を持つ。

ディヴァンに籍を置いているが、実際には評議員ではなく詳しい素性も明かしていない。

+ ネタバレ注意
その正体はルーミスの王族シルバイン家の唯一の生き残りで、先述した狂瀾のルーミス騎士団を擁している。
事実を知っているのは評議員の長老(ドイエン)のみ。

ディヴァンは今次大戦を含めた『混沌への再生(グラン・ケイオス)』計画を実行するが、これを立案・執行しているのも基本的にはクレイズ。
レギウム、ドラグノフ、ディヴァンすら自分の目的遂行の為の要素としか考えておらず、オービターアイズの制御コードを手に入れて世界の掌握を目論んでいる。

極めて高い能力を持ち、兵士としての戦闘能力も元ジャッカル隊だけあって規格外。
…なのだがルーミス騎士団にクレイズの影武者が登場したため、実際の所本人がどれ程の実力を持っているかは不明となっている。
ただ、ジャッカル隊に所属していた頃のクレイズは影武者ではなく本人であるようだ。*42



「後は彼がいかに迅速に任務を遂行し得るか…です」
●レイラ・クルーガー
レイニーの妹で、治安維持部としてのクレイズ少佐の副官。階級は中尉。
軍人の殆どがお兄さんとオジさんとお爺さんしかいない雄度MAXな本作ではほぼ唯一の女性軍人。
副官として付き添う傍ら、秘書や情報士官、情事まで担当する。半ば愛人的なポジション。
クレイズに心酔しており、逆にクレイズを危険視し家族愛が重い(いわばシスコンの)兄を疎ましく思っている。
26巻現在まで直接戦闘の描写こそないが、それを差し引いても兵士としてはかなりマルチかつ高度な技能を発揮しており、オペレーター業からハッキングなどの電子戦、車の運転から戦闘ヘリの操縦及び砲撃まで多ようにこなす優秀な能力の持ち主
また「ジャッカル」とその隊員達とも、兄やクレイズを抜きにしても浅からぬ因縁がある事を匂わせており、コミックス3巻の82ページにはそれを示す一コマがある。
当のクレイズにとっては駒の一つに過ぎないが、一方で自身の出自など重大な秘密を明かしている他、様々な作戦でオペレータやコントロールを任せるなどかなり重用しており、配下の中でもルーミス騎士団に次いで信頼が厚い事が窺える。
数少ない女性レギュラーキャラ。



「またクレイズ少佐の悪い癖が出たか…困った王子様だ」
●ロッシ・セリオーニ
元ジャッカル隊。クレイズをして彼に狙われて生き残った者はいない『猛毒』と言わしめる暗殺のプロ。
クレイズとは恐らくレイラと同程度の古い付き合いがあり、終戦後もクレイズの護衛と重大な作戦を遂行する。
ミルズを裏切った理由もクレイズに従っただけだと思われる。

顔には右目の上下に傷があり、鋭い目つきをしている以外は精悍。
性格も冗談を好むが不真面目でもない、程々にバランス良く砕けており、仕えている対象には公私きっちりとした仕事をこなす、まさにプロ。
クレイズについても「困った王子様だ」と評する辺りからおおよその人物像が窺える。
また、ガードナー程には謎の多い人物ではないものの、ドラグノフのシュワンツ大尉とはちょっとした因縁があるなど明かされていないプロフィールがちらほらある。
かつてはJRR隊員で、ミルズの三期上だった。

狙われた者以外にとっても猛毒という事なのか、さり気に歩く死亡フラグだったりする*43*44。ついでに本人もツキが無い。殿下が心配である。



「"殿下"…お迎えが参りました」
●ルドルフ・チェカ
ルーミス騎士団の総長。ミルズにも劣らぬ他の騎士団長達からも、満場一致で頭領に推挙された怪物。
クレイズ直属の護衛であり、たびたび作中最強の存在である事が示唆されている
その戦闘力はそれなりの規模であるはずの暗殺部隊や正規軍部隊を一人で悠々と潰滅させる程。
感情が剥き出し気味になるクレイズなどと違い、チェカは感情の起伏のなさが際立っており、大部隊も淡々と処理していく様子はかなり異様。
それゆえに近くで見ている味方でさえ精神に異常をきたすと噂され、人の形を保っている『悪夢』(ナイトメア)とまで呼ばれている。
生身でも超越的な白兵格闘を見せ付け、専用SAAを纏った際の戦闘力はもはや言語に絶する。愛機のお披露目回のタイトルが「アルティメット」なのも印象的。

こんな超人運動会の優勝候補である彼だが、本人の担当はあくまで”隠密・暗殺”である。



「こいつらだけを構っているヒマは無い。接近戦で早期に決着をつける!」
●バルトロメ・ロレンソ
ルーミス騎士団・黄の大隊長。
主に陸戦を担当する人物で、作中では巨大SAA・ティーガーを操りレギウム軍と交戦する。
リアル系二足歩行兵器は「巨大な人型は不安定で投影面積も広く不利である」とまま言われるが、
ロレンソはロケットを見切っての回避や、スモーク及び隠密機動でそれを補う力量で敵を苦しめる。
生身でもやや特殊な体調や状況だったとはいえ、身体能力や技量もエース級相応のものを見せており、大隊長に相応しい確かな実力を持つ。



「この先にはどちらかの死しか待っていない。さあ殺し合おう」
●イシュメル・スピーズ
ルーミス騎士団・白の大隊長。
主に空戦を担当し、機体性能もあるとはいえ実際に専門領域では負けなしというエースパイロット
勘の良さや判断力も非常に優れており、いざとなれば機体を破棄する事も躊躇わない思い切りの良さも持つ。
飛行機からの脱出後は地上戦に移行し、白の大隊長専用機・フレズベルクを駆りレギウム軍と交戦、
バルディッシュでは反応しきれない速度と、極めて高い技量で敵軍を圧倒する力を見せつけた。
長きに渡る鍛錬や死闘で感情が欠落していたが、互角の力を持つ者との戦いで色鮮やかな世界を取り戻す。
桁外れの実力を発揮するものの、そんな彼でも「チェカと戦うことがあれば殺されたかもしれない」と独りごちており、彼らの頭領の異常な実力を窺わせる役割も担う。

絵に描いたように忠実かつ精悍な騎士といった風情であり、死闘を経た相手にも敬意を払う武人肌である。



「私の魂はまだ生きている。何者にも汚されない!運命にさえ逆らい—自我を貫き通す!」
●ビガス・バウティスタ
ルーミス騎士団・青の大隊長。
仮面とフードを被った謎の多い人物だが、実は読者が気付かないうちに素顔をお披露目している
本来は海戦を担当するのだが、決戦の舞台は荒野の真ん中であるため基地の警備に回る事に。
この割を食って終始本領を発揮しきれなかったが、それを差し引いてもなおエース級の実力者。
使用機体は青の大隊長専用機・ダーインスレイヴ。水中戦に特化した仕様で、水の抵抗をものともしないパワーを誇り、全身が強化装甲で通常SAAが小さく見える程のモンスターマシンである。
生身でも拳銃一丁でSAAを含む完全武装した兵士の一団をたやすく壊滅させる程の猛者であり、SAA装備時にはエース級ですら「水中では勝ち目がない」と悟らせる程。

ちなみにルーミス騎士団員の多くは先祖代々ルーミス王家に仕える騎士との事だが、彼は珍しく外様の出身である。
にもかかわらず「青の大隊」の隊長を務めている事から、彼の際立った実力とルーミス騎士団の徹底した実力主義が垣間見える。
なおメイン回のタイトルは「シャドウ・ウォーリアー」と「エゴ」。バウティスタの立場と内心がよく表れていると言えよう。



「報告が遅れているぞ。ヤツの始末は終わったのか?」
●ダニエル・マードック
ディヴァン評議員の一人。
若手で青臭い部分があり、評議員の中で唯一(表向きは新参者の)クレイズを敵視し、裏工作で始末しようとした。
節々に怪しい言動のあるクレイズを最も警戒していた人物とも言えるが、家紋に頼るボンボンというイメージが強い。
一貴族としての器はともかくとしても喧嘩を売った相手があまりに悪く、工作はことごとく打破され返り討ちに遭う。



「身に余る光栄でございます、陛下」
●ドミトリー・ラシモフ
旧ルーミス貴族家の当主。
ディヴァン評議員の1人。
眼帯を着けている。ルーミスに対する忠誠心は非常に高い。




<その他>


「めでたい奴め!あれはよく出来たCGだ」
●アントニオ・リベラ・デ・グレイフ
ザンテダル社会共和国頭領。
核ミサイルを発射し、その利益で世界の中心になろうと目論む。極めて利己的な人物。
「よく出来たCGだ」「ハッキングに長けたテロ国家」といった発言をする。
(ハッカーが暗躍した東の小国といい、東では独裁やハッキングにまつわる設定や構想がいくつかあるのかも??知れない)

ハンドガンで的確にヘッドショットを連発し、約3秒の間に部下を5キルする腕前を持つ。…え?!(直前にも1キル。さり気ない部分がしっかりしている事の多い作品なので、実は意外と強い設定…だったのかも知れない)





【登場SAA】


エーリエル・ガナー重工(AGI)

かつてハワードハカセが在籍していたレギウム資本の民間軍需企業。
技術力はルミラン地方諸国随一と名高く、数多くの機甲兵器がレギウム軍に制式採用されている。


◆APF-175mod "バルディッシュ改"

レギウム軍の現行主力機。
作中ではドラグノフのGAF社製「バルメ」と並んで出番が多く、モブキャラはもちろんミルズも何度か使用している。
バルメと比べてスマートな外見が特徴で、伸縮式フレームやアジャスト式装甲版の機構が見た目から分かりやすい。
そうした意味で本作の象徴的なSAAのひとつ。

量産機としては当時の世界水準で見ても高性能を誇り、数で勝る強大なドラグノフと互角に戦えたのもこの機体の存在によるとされる。
作中では改になる前の機体どころか先行量産型(XPF-175)や強襲用装備など豊富な改造・換装などによる仕様変更機体が見られる。
ただ、高性能な機体ではあるのだが、ミルズのような化け物エース級のクラダーには「反応が鈍い」と性能不足を指摘されている。
あくまで一般兵クラダーに準拠した性能という事だろう。

標準装備は手持ちの12.7mm徹甲重機のみで、かつ本体側に武器が装備されていない。
これは重火器はオプション装備で担い、それぞれ作戦毎に対応する汎用性重視の設計と思われる。
作中で活用された装備はロングレンジライフル、スモークディスチャージャー、ミサイルポッド、対戦車ロケット等。
重装型の中には肩部だけでなく脚部にもミサイルポッドを装備している機体(APF-175mod-AA 強襲用重装備)も登場した。
なおバルメやブラックバードにも言えるが、バックパックから胴部に空調用と思しきホースが接続されており、緊急時にミルズは胴体側の接続をパージして風力を浴びせ(熱風?)、一時的に隙を作り出す運用を行った。


◆ASP-177e "スワッシュバックラー"

かつて次期主力量産機の予定だったSAA。
バルディッシュ改の後継機として開発がスタートしたが、高い製造コストと戦時後期の財政難が重なり、先行量産機16機のみロールアウトした時点で特殊機へと転化(APF-177→ASP-177)。
量産は見送られ、生産された機体は指揮官機として配備される事となる。
その後ジャッカル隊用にeタイプ(特殊部隊仕様)が8機製造されたが、傑作機の評判を抱えたまま生産は終了した。

登場は物語冒頭。
重戦車に匹敵する火力と遥かに優れた神速の運動性能……まさにモンスター!」とはこの機体の活躍を目撃していた兵士の弁。実際、この機体を装着していたミルズは単機でドラグノフの機甲中隊を殲滅するという凄まじい戦果を上げている。
バックパックに搭載されたロケット砲と対戦車ミサイルのせいで他のSAAに比べて非常に巨大なシルエットが特徴。
隊長機であるミルズ機のみ二つ折りにして機体右側に格納している大型レールガンを装備。射撃には脚部のアンカーを展開して機体を固定する必要がある。
但し大量の電力を消耗するため、発射後は全システムが一時的にフリーズしてしまい再起動まで数秒のタイムラグが発生、その間は全くの無防備になってしまう欠点が存在する。*45

ちなみにハワードが「わた…我が社のスワッシュバックラー」と言い間違えかけた所から、この機体も恐らくハカセの成果物である。
この頃から高性能に注力しすぎて生産性をおろそかにしがちなクセがあったようだ。

派生機としてバロス・ウォード専用のスナイパー・カスタム(ASP-177scMK-23)がある。
こちらはバックパックに大型スコープとセンサーを搭載し、同じく専用の50mmロングレンジライフルと連携した後方支援用の機体。
射撃精度を上げる為の固定装置などの機構も搭載している。
これらの兵装は機体との一体型ではなく、換装によって通常のeタイプとしても使用された。


◆XSP-180 "MK-54"

スワッシュバックラーの後継機として、次期主力量産型の競作に提出された試作機
制式名称は未定なのかMk-54、MK54など表記ゆれがある(機体に刻印された文字はMK-54)。読み方はハワードの台詞から恐らく「マーク54」。
AGI社製…というよりハワード主任の趣味もとい人生をかけた機体である。比喩でなく我が子同然と思っているようで、ミルズの酷使によりボロボロになったMK-54を見たハカセは号泣した。
標準装備は両腕のアームガン(但し度重なる改修によってかなり変更が大きい)で、大型の徹甲重機と小型化に成功したレールガン「ハイパー・ヴェロシティ・アームガン」を持つ。
だがスワッシュバックラー同様の生産コストの高さと、異常に機動力が良すぎて乗り手が機体に振り回される現象が起きる*46と極めてピーキーな性能故、誰にも乗りこなせなかったため「失敗作」と酷評されていた。
優秀とされるクラダーですら「俺の体が持たない」「これは人間が制御出来る代物ではない」と匙を投げた程。
※しかもこの時点では、電磁反応装甲(EMリアクティヴ・アーマー)の重さにより、本来の性能・速度を発揮できていなかった。
…そもそも主力量産機のコンペに常人に扱えないレベルの機体を開発したハカセが悪いだけだが。
なおそのコンペの際、MK-54がスペックを全く引き出されず戦死判定されたのに憤慨したハカセは、傍にいたレイニーに試乗を頼んだが……すげなく断られた。
それを根に持ったからか、後に国民軍に合流したハカセはゼブラのカスタマイズを頼まれた時に思いっきり拒否っていた

但し化け物なミルズの使うワンオフ機としては申し分なく、機種転換訓練すら受けもせずに、静止模擬演習機構のチュートリアルを見ただけで完全に乗りこなして見せた。
ミルズ「さすがに、スワッシュバックラーの後継機だ。しっくりくる」
今作の主役機と言っても過言では無くミルズと共に戦場を駆け抜ける。
なお外部装備等はAGI系規格の物を転用換装出来る模様。


◆"Nk-54 聖騎士(パラディン)"

首都奪還作戦で用いられたMK-54。
MがNになっているのはサヤの塗装ミスで、聖騎士もサヤが名付けたもの(当然ハカセは認めていない)。ちなみにkは小文字。
フルカスタムチューンが為されており、敵地での遊撃(特に継戦能力)を主眼に置いた市街戦仕様となっている。
変更点は多岐に渡るが、外見上もっとも目立つのが左腕付属の大型シールド。またアームガン化していたレールガンをこの内側にマウントしている。
15.2mm徹甲重機も撤廃され、代わりに弾倉の大きいカービンを持つ。カービン自体にもブレードが内蔵されている。

背部にはハカセ謹製の新兵器『タンク・バスター』を装備。
敵中での遊撃を行うには弾数の少ないミサイルポッドは不適であり、それを解決するために開発されたもの。
名の通り対戦車徹甲榴弾を放つ砲だが、携行弾数と貫通力を重視しているため有効射程が極端に短く(約5m)、しかも戦車側面を狙わなければならないピーキーな兵器であった。ハカセ曰く「あんたにしか扱えない兵器…かな?」「トップアタックよりはましだろう」ハカセの長々とした説明に飽きたのか、ミルズは途中でガン飛ばして説明の簡略化を求めた
他に、踵にも格闘用の武器を仕込んでいる。
コンペ当時のMk-54に装備されていた電磁リアクティブ・アーマーも機動性重視のミルズには合っていないためか撤廃された。
そのため防御力の大半は盾と回避に依っており、同格以上の相手に急襲された際には危うくなる一面もあった。(尤もこれは相手が強すぎただけだが)


◆"MK-54 重駆逐型(ヤークト)"

ルーミス強襲作戦時にミルズが駆ったMK-54。
レールガンはかつてのスワッシュバックラー00(ミルズ機)のように大型で背部装着・使用時に手で構える方式に戻っている。
全体的なデザインや仕様もほぼスワッシュバックラーを踏襲しながらも、コンパクト化・高機動性を重視したスタイルになり、
ここに来て遂に正統なスワッシュバックラーの後継機として完成した感がある。
右腕には大型徹甲重機アームガン、左腕には多目的ランチャーとブレードを仕込んだシールド(Nk-54より小型化)を持つ。
シールド表面には排莢口があり、ランチャーにはグレネードの他、敵ミサイル迎撃用の子弾を散布するものが見られる。
その他、背部右側に大口径、左側に6連ミサイルポッドの存在が外見から推察できる。


◆ASP-NC1200R "ブラックバード" / ASP-NR770 "ダークホーク"

レギウムのGIGN特別機装隊第1班が運用する特殊SAA。ブラックバードは部隊の通称にもなっている。
対人用でテロ等の即応鎮圧を任務とする性質から、旋回性やリフティング装備など対人想定の小回りを重視しているのが特徴。
両腕にアームガン化した小口径(7.92mm)機銃を持ち、更に手持ちの銃として9mm短機銃や対SAA用重機がある。
物語序盤の他、後に横流しされたものをカスタムした機体が登場し、クリヴィーレ少佐が使用している。

ダークホークは同部隊の隊長用だが、ブラックバードに似ているのは外観だけで装甲や武装は別物。
アームガンの片方はグレネードランチャーに換装され、装甲も強化装甲になっている。
その耐弾能力は対SAA用の12.7mm徹甲重機をものともしない程で、作中ではウォルドマンが使用しミルズを苦しめた。


強行偵察型(フォース・リーコン) SAA

ガードナー少佐専用に造られたワンオフ機。
正確にはAGI製ではなく、ハカセがバルディッシュのフレームを流用して急造したオリジナルの機体である。
中身や性能の詳細は不明だが、性能自体はハカセが太鼓判を押す(いつも自信満々ではあるが)程で、実戦では多数の無人兵器を同時に制御している事から極めて強力な演算装置を持っていると考えられる。


即製駆逐(インプロ・ヤークト) "T-7"

首都攻略後に合流したヘイデンが使用する重駆逐SAA。
詳細は不明だが、この時期の国民軍は物資に余裕がないためおそらくバルディッシュのフレームを流用しているものと考えられる。
アームガンに重機関砲、背中には相当数の対戦車ミサイル、そしてリアクティブアーマーを搭載。
基本的には重装甲で耐えつつSAAを駆逐するのが通常の運用で、重装甲の歩兵というよりは人型の装甲戦闘車両に近い仕様になっている。
但し使用者が脳筋のヘイデンであるため、考えなしにミサイルのフルバーストをかまして貴重な装備の無駄遣いに繋がってしまう。
なおこの実績からもヘイデンは、後にエース級のハイエンド機が到着した時も「これはお前には勿体ない」と吐き捨てられる羽目に


◆APF-152A3 "ミュルミドン"

レギウム軍でかつて使われていた旧式SAA。
作中に登場したのは博物館に飾られていた骨董品だが、学芸員の適切な維持のおかげで燃料とバッテリーの補助だけで稼働した。
外見は丸みを帯びており鈍重なイメージがある。口元の騎士の甲冑を思わせる列状の縦スリットが特徴的。
旧式のためか、現在のAGI製に共通する片目スコープはまだ実装されていない。
使われた武装はアームガン化した対物ライフルで、旧式といえどもバルメの装甲を貫くには十分な威力を持つ。
劇中では大きな戦果を挙げたものの、ライフルは途中で破壊されてしまった。貴重な博物館の資料が…学芸員涙目である。



ガイエ・アームズ・ファブリク(GAF)

ドラグノフの民間軍需企業。しかし軍の退役将兵会が半分近く株を所有しており、事実上軍の兵器工廠である。
技術力ではAGI社に劣っており、「トーラスの和約」後AGIの技術の解析・吸収に躍起になっていた。


◆FR-A4 "バルメ"

ドラグノフ軍現用主力機。
当時の世界水準ではあったものの、戦時中はレギウムのバルディッシュに性能面で大きく水を空けられている。
その正確なスペック差は不明だが、作中の描写から機動力、装甲、反応、取り回しといった面で劣っている様子。
特に装甲は対SAA徹甲弾にあっさり貫通される程脆く、機動力もレギウム軍から『ドンガメ』と呼ばれているあたりが物語っている。
ちなみにこの蔑称俗称の由来は、バルメの鈍重さをドラグノフ側のクラダーが揶揄して言った事で、レギウム軍はそれに習ったのであった。つまりバルメの機動力の低さは、両軍の共通認識だったりする。

しかしながら、曲がりなりにも主力機であり欠陥品という訳ではない。
作中でも銃撃をものともせず突き進み、塹壕直上まで迫って籠った兵士を銃撃するなど歩兵に対する制圧力も高い。
いくら『ドンガメ』と言えども、動いている状態で弱点を狙うのは極めて困難なのである。
狙撃タイプ、重装甲拠点防衛タイプ、寒冷地仕様タイプ(スキー板装備)、市街地戦用軽装型と実に7機種近くもバリエーションがあるので、性能が低くとも様々な場面に対応できる拡張性を持った傑作機と言えよう。新型機が開発できなかったので、予算度外視で拡張機にせざるを得なかった可能性もあるが

まあそれでも本作におけるトップクラスのやられメカで、事あるごとに撃たれ斬られ殴られ燃やされと散々な目に遭う。
地味に分かりづらいが実はコミックスの表紙でもやられているという徹底っぷりである。
レギウム側の主要SAAと異なり両目がゴーグルで隠れているため、余計にやられ役モブ感が増している。
ちなみにやられる時の台詞は「ダカッ(半角)」「ガハッ(半角)」など名言となっている。


◆FR-A4M6/D "バルメ拠点防衛型(ヘビー・ディフェンダー)"

上記バルメの重装甲拠点防衛タイプ。名前に恥じない重武装が施されている。
ジン機甲旅団502重駆逐大隊『鋼鉄の防壁』所属のSAAとして登場し、アームガン(というよりほぼ外付けの)ガトリング式重機関銃Nk-54のものと同程度のサイズのシールド、6連装ミサイルポッド等を装備している。
なんといっても全身強化装甲が特徴で、なけなしの機動力を完全に捨て去ったヤケクソみたいなカスタムのおかげか、重機関銃(HMG)による大火力と汎用対SAA徹甲弾ではビクともしない恐るべき防御力で国民軍の強襲部隊を苦しめた。
なおバリエーション元のFR-A4M6は外見だけならD型とさほど違いは見られない。こちらはルーミス強襲作戦に参加している。


◆FR-A4SⅡ "バルメ・イェーガー"

狙撃型仕様のバルメ。大型スコープ付ロングレンジライフルを持ち、片膝をついた状態で狙撃を行う。
従来のバルメと比べ凹凸の少ない装甲が目立ち、特に頭部スコープの形状が全く異なる。このためバルメらしさはかなり薄い。
オルフェルド戦線の他、バルシア軍団司令部付きの機装兵隊にも登場しており、ラウール・マルケスと狙撃合戦を繰り広げた。


◆FR-A5M2 "コブラⅡ"

ドラグノフ軍特殊部隊COBRAの指揮官機"FR-A5 コブラ"をシュワンツ大尉のオーダーで軽量化カスタムしたもの。
装甲の徹底的な軽量化により対弾能力と安定性を完全に捨てているが、代わりに得た機動性はとてつもなく、最高時速は90km/hを超え、凄まじい加速力で人体をブン回す変態機動を行う
最高速度のカタログスペックだけならMk-54が僅かに上回っており、こちらもテストクラダーが異常な加速と評したSAAなのだが、そんなMk-54を装着したミルズが「尋常な迅さじゃない」と言わしめたあたりコブラⅡのとんでもない加速力が窺える。

一方で犠牲にされた装甲によって防御力・生存性は無いも同然で、作中では遠隔操作中とはいえミルズの対SAA用ハンドガンで頭部装甲を普通に撃ち抜かれており、もはやSAA本来の設計思想とはかけ離れている。
当然ながら余人に扱えるはずもなく、完全にシュワンツ大尉に最適化した専用機となってしまった。
特技は壁走り。
ベース機のコブラそのものは現状作中には出ていないため、そちらの詳しいスペックは不明。

本体武装は背部内臓のヒートナイフ一本のみ。
代わりに携行武装としてコブラシリーズ専用のアームフィクスト・ライフル"バスターM1"がある。
これは腕部装甲形状にフィットし、肘まで収まる形で持つようになっている独特な形状のライフルで、2つの銃口を持ち12.7mmAP弾と20mmHPEP弾(ショック・バスター)を装填している。

なおシュワンツ大尉のCOBRA107戦隊の部下機も同様に極限まで軽量化されたバルメ(FR-A4LAC)を使用している。
どうやら彼の部隊は基本的に機動性一点特化で占められているようだ。


◆FR-A12 "ゼブラ"

ドラグノフ軍次期主力機。コンペに出されたMk-54のライバル
バルディッシュを凌駕し、かつスワッシュバックラーと同等以上の性能を量産機で実現する事を目標として設計されている試作機で、実質的にレギウムのAGI系技術とドラグノフのGAF系技術の融合の「合いの子」機体。
性能も平均的に向上された量産機原型として申し分ない性能を持っており、高コストで量産できないMk-54に勝利する。
だがコンペの評定時にミルズの襲撃があり、どさくさに紛れてレイニー・クルーガー中尉によってMk-54と共に奪取された。
後にドラグノフで正式に採用された先行量産型(FR-A13M1)が現れる。

武装は右腕に12.7mm徹甲重機アームガン、左腕に小型シールド、背部バックパックに大型のミサイルランチャーを4基装備している。
なお設定上では更に2基ミサイルランチャーがあり、ミルズとの対決時に実際に使用しているのだが、作中・設定画どちらを見てもどこに搭載されているのか分かりにくい*47。恐らくはシールドの内側だろうと思われるが…。

奪取された機体はミルズらの国民軍合流時点でレイニー専用機となり、後にハワ-ドによるカスタマイズ(脅迫されてやったが手抜きはしていない)がなされた。
このハワードカスタムはフレームでは肩アーマーの形状*48が異なる以外はさほど大きな違いはないが、バックパックは体積の大きいミサイルランチャーから別のオプションが搭載されている様子。
一方で性能は原型とかなり異なり、元がGAF製という事もあってワンオフ機となっている。
整備スタッフすら「元の機体より別物みたいに出力や反応速度が良くなった」と評しているため、当のゼブラを更に凌駕する性能である事は想像に容易い。



ヤガミ重工(YHI)

作中では極東のメーカーとされており、詳細は不明。日本に近い国の所属と思われる。
ハカセ曰く「お国柄が出ているのかとにかく設定が細かい」らしい。


◆F3A "鬼神"(キシン)

カシワザキ事業所製。先述の通りハワードがAGIに機体開発時の参考用として輸入した機体。
出力自体はGAFのゼブラと同等だが、機体の操作追従性を極限まで追求しており、なんと0.01ミリレベルの駆動部調整を要する代物。
代わりに装着者に「SAAを着ている感覚が全くない」と言わしめる程その機体の操作に対する追従性が高い。
武装も和風な機体らしく特徴的な日本刀型TCV(熱伝振動)ブレードを背面右側に担ぎ、反対側の左にはハンドガンを装備している。
腰の部分に柄頭部分を交換する形式のTCVブレード用予備バッテリーホルダーが有る。
TCVブレードには出力変化スイッチが付いており表記は「弱/強」の日本語表記。
またバックパック中央内部には射出式アンカーを装備している。


◆F4CS "修羅"(シュラ)

エース用にラセツと共にヤガミ重工業から輸入したニューモデル。
キシンのモチーフを侍とするなら、シュラは忍者がモチーフだろうか。
スピードタイプと銘打たれている通り、キシンの並外れた追従性をそのままに、機動性や柔軟性が格段に向上させたような機体で、クラダーの身体能力を更に増幅し目にも止まらぬ縦横無尽な動きを実現させる。

奇しくもクラダー同士に縁があるコブラⅡとはまた違った軽量型であり、通常の戦闘機動はもちろんの事、屈んだままの高速滑走を行ったり、三次元的な連続跳躍も苦もなくこなすなど、トリッキーな運用にも対応。
強いて欠点を挙げるなら装甲がそれ程厚くない事、活かし切るにはクラダーの腕前が必要である事だろうが、それを差し引いても相当な性能のハイエンド機と言えよう。
確認されている武装は、忍者刀型TCVと思しき武器(長さは平均的な忍者刀より長い)・クナイ状の武器(時限装置及び爆発物を内蔵し腕部から発射)・ハンドガン。


◆F5 "羅刹"(ラセツ)

エース用にシュラと共にヤガミ重工業から輸入したニューモデル。
ハカセ曰く、スピードタイプであるシュラとは逆のタイプ。
強化装甲を全身にまとう重装備タイプで、防御力が非常に高い(クラダーの身体能力共々「まともじゃない!?」)。またパワーも桁外れで、重機関銃を苦もなく連射するのみならず格闘でも高性能機を寄せ付けない程。
装甲は作中でも指折りで、直撃ではないとは言え巨大SAAの砲撃に耐え、一斉射撃も全く通用せず、近距離なら強化装甲も貫けるとされるダークナイツの大口径弾を弾切れになるまで弾き続けていた。クラダーが明確にダメージを負ったのも大口径の近距離射撃が初で、それまでは攻撃を意に介していない。
重量級ではあるが格闘能力も非常に高く、ラセツの拳のみでもブラックナイツの首をヘルメットごと吹き飛ばし、強化装甲のダークナイツですら腹部を殴られてクラダーが吐血する程。

とりわけ逸品なのが備え付けの斧であり、当然のように斬れ味抜群で投擲時も容易くSAAを切断する他、斬撃力重視なのか薄刃にもかかわらず、
ラセツの強化装甲すら貫通する大口径弾を完全に防ぎ切り、あまつさえ反撃に転じても問題ない程の頑強さを誇る。まさに業物と呼ぶに相応しい。
クラダーの身体能力もあるだろうが、重装SAAとしては作中最高峰と言っても差し支えない仕上がりとなっている。高く付いただけはある
こちらもシュラと同じくクナイ状武器(時限装置及び爆発物を内蔵し前腕部より発射)を搭載。



<その他>


◆"フェンリル"

ルーミス騎士団・総長専用機。
色合いこそ派手だが、全体的なフォルムはダークナイツなどに近いオーソドックスなもの。
しかしその性能は異常の一言で、チェカの圧倒的実力も合わさって悪夢のような戦闘力を発揮する
純粋な火力こそそれ程でもないが、事も無さげに戦車へトップアタックを行うチェカの実力がそれを補っており、
また両腕から伸びるブレードワイヤーは、先端からの閃光で目を眩ませ、周囲の敵兵を一瞬でまとめて薙ぎ払ってしまう。
チェカにしか扱えないであろうピーキーな仕様だが、それ故にチェカが扱うと手がつけられない機体であると言えよう。


◆ 野戦重装甲二足歩行型兵器 "ティーガー"

ルーミス騎士団・黄の大隊長専用機。
外見上はSAAかそれに類すると考えられるが、実際にはSAAのような「機装」ではなくロボットに乗り込む形となっている機体。
現行のSAAの倍近い巨体を持つ機動兵器であり、重機関砲すら歯が立たない重装甲と様々な重火器を持つ化け物である。
形態としては人間で言う膝の先にもう一つ関節があり、そこからは鳥のような逆関節になっているというかなり奇異な見た目をしている。
この部位は通常は膝を曲げるように折り畳まれ、いざという時に(さながらジャンプするように)瞬発力を発揮するため巨体に見合わぬ高い機動力を持つ。

主な武装は右肩に6連装ミサイルポッド、左肩に大砲、右腕に重機、膝部にスモークなど。
メインウェポンであろう右腕の重機はSAA用のそれと比べて異様に巨大で、砲身の大きさは人間の身長に匹敵する。
付属している弾倉も同様に大きく、相当な継続火力を持っているであろう事が窺える。
左肩の大砲は小口径の戦車砲塔に近いイメージで、並列して同軸のような機銃が内蔵されている。もちろんどちらも威力は絶大で、砲の威力は廃戦車を容易く吹き飛ばす程。
また両手は格闘武器になっており、4本指で、その形状から言ってマニピュレーターではなく切断専門と思われる。
まさにクリヴィーレ少佐の洞察した通り「戦車にSAAの機動力を持たせたような」機体といえよう。


◆"フレズベルク"

ルーミス騎士団・白の大隊長専用機。
西洋の騎士を思わせる意匠に、長剣と盾を装備した王道デザインの機体。
純粋な性能こそエース級用にチューニングされたハイエンドSAAに匹敵する高品質なものであるが、
基本的に航空機に搭載しているため重くできないためか、装甲は腕部の盾を除いてそれ程厚くはなく、
加えて脱出した後の自衛が主目的のためか、装備も両刃の長剣と左腕の盾及び内蔵の小型アームガンが主力。
重装備と言えるのも背中の10連装ミサイルのみで、それも対SAA用の小型のものでしかなく、他の専用機に比べると大人しめの性能と言えよう。

しかし使用するスピーズが文句なしにジェノサイド級の怪物であるため、これ程シンプルな仕様にもかかわらず作中では驚異的なパフォーマンスを叩き出す事になる。
雨霰と降り注ぐ航空機の破片を容易く掻い潜る機動力、正確無比なヘッドショットを連発するエイミング、並いる敵を文字通り一掃する白兵戦能力と、あらゆる面で全く隙がない性能を発揮しレギウム軍を圧倒した。


◆"ダーインスレイヴ"

ルーミス騎士団・青の大隊長専用機。
水陸両用の重装機体で、通常のSAAが小型に見える程のサイズ感を持つ。
主機出力もそれに見合って破格であり、水中の抵抗をものともせずに推進する程のパワーを誇る
その戦闘力はバルディッシュの精鋭部隊を文字通り撫で斬りにして殲滅するのはもちろん、エース級の隊長格にさえ「水中では勝ち目がない」と悟らせ、仕切り直しを強要する程。
地上戦に移行しても大出力と全身の強化装甲は健在で、SAA近接戦闘の第一人者をして「懐に入らなければどうにもならない」と言わしめ、クラダーの技量と執念も相まって死闘を強いられる事になる。

基本的な装備は背中のミサイルとダークナイツとも共通する籠手のグレネードと、両腕の巨大な鉤爪である。
特に印象的であろう鉤爪は、手のひらに近い部分でも相手のブレードを受け止め、あまつさえ握り潰す程の頑強さ持ち、
爆発物と防御力、格闘リーチの長さも相まって生半可な機体や技量では手も足も出ないという怪物的な性能を発揮する。
但し基本的に水中戦を主眼に置いているためか、地上ではそれ程小回りが効かないのが弱点で、バウティスタが敵の狙いに気付いても対応しきれない場面もあった。

なお作中では水中性能を活かすために貯水槽で侵入者を待ち構えたが故に、水を抜かれて地上戦に持ち込まれてしまったが、
この対処法は軍隊が通常の作戦で想定している天然の水場ではまず実行が不可能であり、対戦したレギウム軍がなんとか互角の勝負に持ち込めたのは環境の要因が大きい。
この機体を使用しているバウティスタも、彼が率いる「青の大隊」も、本来の専門は海上・水上の戦闘であり、荒野のど真ん中で戦う他なかった今回は元からかなり不利な舞台設定を強いられていたと言える。
使用者であるバウティスタが生身でもSAA含む部隊を蹴散らすエース級だった事で、苦手な地上戦でも相当な性能を発揮できた事が唯一の救いだっただろうか。


◆"ダークナイツ"

クレイズ殿下の王宮騎士団用SAA。
抗弾マントを被って柄頭に銃口が付いて剣身の真ん中にカシメのような丸い折り畳み部分を持つ珍妙過ぎるデザインの剣を持つ。
脛には空中散布型散弾ユニットの射出装置、両腕アーマーにグレネードランチャーと火炎放射器を持つ。
強化装甲だが、強化装甲とは思えない速度を出せる。
空中散布型散弾は強化装甲すら貫通する。
なお主な使用者はルーミス騎士団の小隊長格。通常の団員と一線を画す実力者である彼らは、ダークナイツを駆る事でエース級相手にも踏みとどまる程の戦闘力を発揮する。


◆"ブラックナイツ"

ルーミス騎士団の通常SAA。
ダークナイツとはマントの有無が最大の違いで、基本性能でも劣っているようだが、それでもなおバルディッシュを着たレギウムの精鋭でも苦戦する程に強い。
とはいえダークナイツと違い流石にエース級には歯が立たず、挙句の果てには真っ黒なせいで「ゴキブリ」「巣に群がる虫」などと不名誉な渾名を奉られてしまう。そして害虫の如く秒殺されまくる
派生機種として水陸両用型や、重野戦用の「タクティカルナイツ」などが存在する。




【その他の兵器】


ここではSAA以外の特徴的な兵器を記す。


155mm装甲重野砲(インヴィジブル・ハンマー)

戦時中レギウム軍を苦しめた、『見えざる鉄槌』と呼ばれる対機甲兵器用精密狙撃砲。
精密狙撃時の有効射程は10kmにも及び、僅か十秒で照準・誤差修正・砲弾自動装填を行い移動目標を正確に撃ち抜く。
陣地に設置された砲門そのものであり移動能力はないが、全身装甲に覆われており、もはや要塞に近い。
作中では第3軍の籠るアルバ・ユーリアへと続くランスバール山脈入口ルートを封鎖していた。


▼ パルスアーム

戦時中、質はともかく生産力で差を付けられたレギウムが苦肉の策で研究していた兵器の一つ。
SAAの腕部をベースに開発された歩兵携行用の対SAA装備で、外見上はそのままSAAの腕部である。
その実体は手に電撃端子を装備し、高圧電流によって敵SAAの駆動部やCPUを破壊するためのもの。
しかし、効果を上げるには敵SAAに直接触れなければならず、当然ながら実戦でそんな事ができる人間はまずいない。
初めて実戦投入された対SAA猟兵部隊において帰還したのはロビン・ストーナー大尉ただ一人だけであった。
首都奪還作戦では大尉の身体能力や可能な限りの不殺という信条と噛み合っており、多数のSAAを沈黙させた。

更にルーミス強襲作戦では大尉専用の特殊装備としてパルスアームの発展型が登場している。
これはハカセに「本当にあんなものでいいのか」と言われた程の奇妙な発展型装備で、一見すると特殊なスーツの形態のようにも見える。
背中に背骨のようなフレームがあり、上部先端からケーブルで従来の左腕パルスアームへと接続。下部先端の腰部分にはバッテリー・両サイドにモーターと腿部に続く伸縮フレーム、そしてSAAの脚部のようなロングブーツまでがセットになっている。
言い換えればSAAの腕と足以外の装甲を廃した、見方によってはシュワンツ大尉のコブラⅡと同じ機動力特化SAAに近い。
これにより外見では生身に見えてもSAAと同等かそれ以上のスピードで動く事ができる。
脚部には腕と同じく電撃端子を装備している他、予備武装として内部にナイフを格納している。


▼ 新型レーザー兵器

ハワードハカセが戦時中にオービターアイズのレーザー兵器を模倣したもの(オリジナル並みは無理だがマイクロコピーは造れる自信があった)。
当時は基地中の電力を使用しても小型ミサイル一発分の火力しか発揮できなかったが、後にとあるエネルギー源を入手した事によりルーミス強襲作戦に用いられる事となる。





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最終更新:2025年02月25日 08:47

*1 26巻:2022年3月発売

*2 女性兵士が殆ど出てこないが、一般兵が爆発等で手足や頭が簡単にポロリしたりヘッドショットで脳漿ぶちまけたりよく切れる包丁の宣伝に使われる野菜みたいにTCVブレード系でスパスパ身体ぶった切られたりするetcのが日常茶飯事なのでグロリョナ好きでもなければ不要ではあるだろう。

*3 15巻の表紙をめくった次および裏表紙の墓標らしき物のある位置はヘッドの戦死した場所または付近であるという事に気付くと、表紙のラストシューティングの理由の1つが見えてくる、、等

*4 芸大系出身の為、絵画系技法寄りの描き方をしているらしい

*5 武装蜂起があまりに広範囲なため、即応部隊程度では効果は限定的と推察されている。

*6 コバーン基地はもともと駐屯地ではなく、基地所属の防衛戦力も小規模である。

*7 サーカムの前身

*8 冒頭のミルズがそうだが、味方への誤射はそれだけでも軍法会議ものである。この場合は故意に味方を吹き飛ばしているので大変な事態であるが、それだけミルズが深刻な脅威である事の証左でもある

*9 かつては怒らせると怖い、「触らぬ神のレイニー」という綽名で恐れられていた。

*10 不可抗力でサヤを怒らせてしまった事はあるが、その場の事であり関係には影響していない。

*11 罪状読み上げの意味合いもあると思われるが

*12 運動性能の異常な高さのせいで、コンペの際には乗っている兵士は全くポテンシャルを引き出せずに早々に戦死判定される醜態も起こした。

*13 この時は同席していたクラダーから気まずそうに咳払いされる程度で事なきを得たが…。

*14 恐ろしい事にジベルノウは「死んだ方がマシ」の時点で刀に手をかけており、野蛮人云々の愚弄には特に反応していない。つまり別に侮辱されて怒った訳ではなく、純粋にハワードの仕事の出来栄えを彼自身で試しただけである。

*15 全く訓練も受けていない子どもを仕事場に入れる事に忌避感・抵抗感を示すのはプロとして当然であろう。但し大人として真っ当な断り方もせず、妥協点も示せないのはハワードの落ち度である

*16 但しこの一件に関してはパールマン中将の方が正論である。リーダスが見逃されているのは、あくまで能力さえ示せば許される身内だけの場だからと言う側面が強い。なお当然だがリーダスも他軍の高官や公衆の面前ではきちんと身なりを整える

*17 これは前任のキャラダイン中将がレギウム軍でも屈指の智謀を持ちながら、自分を上回るリーダスの才覚を認めて彼の意見を躊躇なく採用するという傑物中の傑物であった事も大きい。

*18 リーダスに頼りがちという状況は巻末資料において、パールマンの数少ない利点呼ばわりされている。

*19 なお彼の戦死によって、ミルズが怪物と化した瞬間を目撃した人間はこの世から全て居なくなった

*20 今回はあえて記号無しの表記とする

*21 なおミルズは当時一般人であり原隊など無いので、ガソリンスタンドに勤めていた前職から「スタンドマン」と呼ばれるようになる。

*22 「愛国心」の内容についても、基本的に「国家」を重視するクルサード大佐と「国民」を重視するクリヴィーレ少佐で対になっている。但し両者とも「戦争」は避けるべきものであると言う意見は共通しており、道程は違えど最終目的は同じと言うのもまた興味深い

*23 SAAを着込んでおいて姿が分からないのに、ミルズの目を見ただけで本人だと判断した。過去の一件はトラウマ化していた模様

*24 ミルズに復讐されるとでも思ったのだろうか、ダン・チャップマンの事などミルズの記憶から消えていると思うが

*25 実際に首都では平和団体とクーデター支持派で論争が起きており、どちらの側にも筋の通った理がある。

*26 ミルズ戦に関しては大佐への想いの強さと、大佐の教え子同士(この時のサブタイトルがピューピルズ)という点も大きな動機であると思われる。一番の理由はヘイデンを心配したからかもしれない。

*27 「国やこの地を愛する国民たち」のために闘うという想いが強い。愛国心においても、国そのものが愛の対象であろうクルサードとは対照的と思われる。

*28 過去回想を見る限り、ドラグノフが不穏な動きをし始めた割と最近の時点ではまだ少年に近い年齢で、ミルズ達と同じく20代前半から半ば位の可能性がある。具体的にはドラグノフの実質的な戦争決議が開戦の2ヶ月前であるため、ド軍がその何年も前から怪しい動きをしているとは考えづらく、ヘイデンの回想も時系列はそれ程遡らないと考えられる。

*29 騎士団が人権を無視した苛酷な環境であるとして、ある意味歩兵装備以下の武装でSAAに突撃&密着して来いと命令される部隊とどちらが酷いと感じるかは人それぞれであろうが、「どっちも酷い」で構わないと思われる

*30 駐留軍はその兵力不足から、一旦は武装解除させたレギウム正規軍に重火器を再装備させ、将校を親ドラグノフ派に挿げ替えた上で武装蜂起に対処させていた。

*31 大佐の真の目的も知っていた。

*32 実際に援護で救われたミルズも「その距離から狙撃できるのはお前とバロスくらいだろう」と称賛している。なおマルケスは「彼(バロス)ならこの倍の距離でも狙撃できた」とあくまで謙遜したが、ヘリに対する彼の狙撃距離は最低でもヘリの索敵範囲である7kmを超えており、この倍だと14kmという破格の距離となってしまうため、いくら的が大きいヘリとはいえ流石のバロスでも厳しいと思われる。つまりどちらも並の狙撃手ではない

*33 対バルベラ戦ではスナイプを額に受けたが頭蓋骨で逸れたので無事だった…のはまだ良いのだが、そのまま意識を失う事なく転倒しながら発砲しバルベラを撃破するという離れ業を見せた。極め付けはルーミス騎士団攻略戦で乗っていた輸送機・ハミングバードが墜落し爆発炎上してもほぼ無傷のまま脱出し、そのまま味方を援護しスピーズと交戦し時間稼ぎをするという無茶を敢行している。

*34 不甲斐ない友軍に業を煮やして、諸共に殲滅したという悪評

*35 現時点では対象がミルズ限定の可能性や敬語の理由も複数考え得るが、強者への敬意も含まれると思われる。

*36 なんとバルメの後に7機種(!?)も造っているのだが、コストも含めた総合的な性能でバルメを上回るものはついぞ出来なかった。ブラナー主任がゼブラの設計・製造時にAGIの技術を取り込んだのは、もう株主をキレさせて後がなかったが故のヤケクソだったとも取れる

*37 通常は軍司令部を優先するので、他の者達は首を傾げていた

*38 実際ドラグノフ本国や統帥局は、その辺りも当然念頭にあると考えられる。しかし無警告・宣戦布告なしの戦略兵器による大量虐殺を受けた彼らの感情を考えると、憎悪や憤怒が相当なのも確かだろう

*39 元帥閣下の同案をクレイズも酷評していた

*40 不安というか、訝しげというか、賛成の「さ」の字も感じさせない表情。普段と同じ顔かも知れないが

*41 何故ペドロサはレイニーの連撃が6回で終わると判断したのか?という疑問を複数見かけたので補足を。ペドロサは6回目に突きの出掛かりのモーションが見えた(少し分かり辛いが目線も向けている)のでラストと判断。最初や途中では6回と決め付けてはいなかった、、という解釈が有力と思われる

*42 影武者を前にしたレイニー曰く「クレイズ本人はもっと底知れない邪悪を秘めていた」。

*43 勧誘した人・迎えに来た人・要人・同じ車に乗った兵士達・任務でとばっちり受けた人達, etc.

*44 迎えに来た人は、2人が暗殺担当・1人がロッシのお迎え担当なので、足止め役のチーンしたのも恐らくお迎え役の人

*45 実際ミルズは物語冒頭の戦闘でフリーズが発生した際、無防備のまま敵の集中砲火を浴びる羽目になっており、再起動があと数秒遅ければ間違いなく死んでいた。

*46 振り向いて照準を合わせようとしたらその速度が速すぎてバランスを崩したり、ブーストで回避行動を取ろうとしたら速すぎて壁にぶつかりそうになるなど

*47 しかもこのミサイル、明らかにSAAに積めるサイズではない…

*48 多少大きくなり、側面のメイドインドラグノフの刻印をジャッカル隊のマークに変えてある。